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【BLEACH】こちら空座町 藪第一病院前 技術開発局出張所【アナタのお悩み改造(なお)します】

1 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2022/10/12(Wed) 23:35
…(トゥンク)


ククク!久しぶりの現世に、私の心臓が乙女のようにときめいているヨ!

時間が惜しい!
さっそく始めるヨ!

初めまして、と言っておこうか?被検体の諸君。
私は、十二番隊隊長及び技術開発局二代目局長の……

【涅マユリ】だ。

私たちの活動写真が久々に上映されると聞いてネ。
来るべき次の戦いに備え、現世のデータを採りに来たのだ。

というわけで、そこの名無し!
おめでとう。

君 を 被 検 体 一 号 に し て や る ヨ

人間爆弾になって、護廷の鬼となるか!?
私に解剖されて、科学の発展に寄与するか!?

好きな方を選び給えヨ!

フハハハハハハ!!!
ハァーッハッ…

【ほおぎゃぁあ おおおぎゃぁあ うおおぎゃああああん】

チッ……何だネ?

五月蝿いぞ!
伝令神機は”まなーもーど”にしておけと言ったろう、ネム……眠八號!

ナニ、京楽総隊長からだと?
まったく、これからオタノシミだというときに……

【アニメ放映記念に現世行きを命じてごめんねー?
 でも、どーせお客さんなんか来ないだろうし、テキトーに前居たトコの質問にでも答えててよ。
 じゃ、がんばってー
 http://www.10ch.tv/bbs/test/read.cgi?bbs=narikiri&key=114087083&ls=50

……あの浮浪中年め!
「どーせお客さんが来ない」とか!
シレっと恐ろしい事を言いおって!

フン、まあいい。
新たな被検体が来るまでは、言う通りにしてやるとしようかネ。

それに。
あの時間に戻るということは、あのときのネムに。

眠七號にも会えるという事だからネ……


269 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2024/12/15(Sun) 21:45

【“Can't Fear Your Own World” その後の小噺01】

《衝撃のスクープ!! 檜佐木修兵副隊長に隠し子発覚!?》


「だぁあああーー!!何だこの見出しは!!
こんなもの瀞霊廷通信に掲載できるかー!
ボツ!! 絶対にボツだ!!」

事実上の瀞霊廷通信編集室と化した九番隊の副隊長室で、
檜佐木修兵が吼えている。

到底記事に出来る事ではない、と言うから私が代わりに記事を書いてやったのに。
恩知らずもここに極まれり、だネ。

「いいかネ、檜佐木君。
“あの子”の存在はもう隠しようがないのだヨ?
男ならば潔く、不倫謝罪会見を開き給えヨ?」

「不倫じゃなくて隠し子でしょ……って!違う違う!
隠し子じゃないから!!」

「オヤ、そうだったネ。
君は独身で、恋人もいなくて、家族もいない天涯孤独の身で。
おまけに友達もいないんだったネ」

「ふぐっっ……!」

「聞いたヨ?
黒崎一護に死神の力を取り戻させるべく、“有志”達が相談していた時も……
君は仲間外れにされていたんだってネ?」

「……泣きますよ!?マジで!!
護廷十三隊の副隊長が本気で泣いたらどうなるか?
見せてやりましょうか!!」

「そんな事に本気で取り組もうとするんじゃないヨ。
暑苦しい」

檜佐木修兵はやいのやいのと言っているが??。
マァ、何らかの形で公表せざるを得まいヨ。
あの子供の事はネ……。


270 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2024/12/15(Sun) 21:46
【“Can't Fear Your Own World” その後の小噺02】


発端は十数年前に遡る。
滅却師どもの侵攻を退けてほどなくの事。

尸魂界において、圧倒的な権勢を誇る“四大貴族”のうちの一つ、
綱彌代(つなやしろ)家。
その当主であった綱彌代時灘がひと騒動を起こした。

ナニ、大した事ではない。
世界に散らばった霊王の欠片のいくつかを集めて人造死神を作り……
そいつを新たな霊王として、世界の中心に据えようと画策したのだヨ。

無論、その下らん目論見が成就する筈もなく、綱彌代時灘は無様な死んだのだが。
その人造死神――“産絹彦禰(うぶぎぬひこね)”は生き残った。

産絹彦禰は、外見だけを見れば、年端も行かぬ幼い餓鬼に過ぎない。
しかし一時は、あの更木剣八と五分に渡り合う程の強さを見せたそうだヨ。
結局、綱彌代時灘が敗れると、その餓鬼も力を失ったのだがネ。

大罪人の片棒を担いだ産絹彦禰が極刑を免れたのは、
このように彼が無害化したことに加え……

大貴族が騒動を起こしたなどという醜聞をもみ消すべく、
事件そのものを“無かった事”にした支配層たちの判断によるものだヨ。

実際、この話は君達の現世へもこの話は細々としか伝わっていない筈だ。

そんな事があって産絹彦禰は、今は流魂街の外れに住んでいる。
情が移ったのか知らないが、檜佐木修兵が時々顔を出してやっているらしい。

で、それを誰かに目撃されて。
この隠し子騒動となったわけだ。

まったく!
脇の甘い男だネ!

無力化したとはいえ、いまだに産絹彦禰の身体には霊王の欠片が宿っているのだ。
それを狙う者は大勢いるというのに。

今回がまさにそのケースだったのだ――――


271 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2024/12/15(Sun) 21:47
【“Can't Fear Your Own World” その後の小噺03】

【24時間前 技術開発局通信室】

『92点!90点!96点!92点!92点!92点!91点!
合計は……645点! 暫定順位は??第3位!
まだ4組残っていますから、これは厳しいかー!?』


「うーん、惜しいっちゃ惜しいんだけどな。
オチ前のフリが弱いんだよな、マユリカって。
そう思うだろ、リンも?」

「いえ、鵯州さん。
ボクが思うに、このマユリカって人たち、まず名前が良くないと思うんです。
局長の名前に似てる時点で、ぜんっぜん笑えませんもん」

「ぶひゃひゃひゃひゃ!なんだそりゃ!
マユリカも災難だな、名前のせいで笑いが取れないなんてよ!」

「でもマユリカ、今年のM-1は決勝に出れないんですってね。
このまま消えちゃわないといいんですけど」

「消えるって、アレか?
“マユリカの霊圧が消えた”ってか?
あはははは!!やべぇ、ツボに入っちまった!
あはははははは!!」

「ちょ、局長本人がいないからって油断してると・・・」

「はは、何を言って――
ぎ に ゃ あ あ あ あ あ !!
延髄に!!
延髄に刀が刺さって痛いぃいいいいい!!!」


……ヤレヤレ。
ちょっと目を離すとすぐに上司の陰口を言う。
こういうヤツには根気よく“しつけ”をせねばならない。

「残念だったネ。出掛けるのはこれからだヨ。
それで? お前たちは何をしているのかネ?」

「ああ、えっと、ほら。そろそろM-1の季節なんで。
おさらいをしておこうと……」

「ホウ、それは良い心掛けだネ。
追実験であれ、再現実験であれ、それらの地味な作業の繰り返しが、
研究成果の妥当性と信頼性を担保するのだからネ」

「は、はは、そうっすね。
で、今回の出張はどちらへ?」

「流魂街の西の外れへ行ってくるヨ。
先日(>>256)、猿柿ひよ里にボコボコにされ……イヤ、少々不覚を取ったものでネ。
疋殺地蔵を改造して、私の近接格闘能力を強化しようと思ってネ。
今回はその性能テストをしようと――」

「局長!
“やつら”が動き出しました!」

「フム、予想より少し遅かったじゃアないか、阿近。
二番隊の隠密機動も嗅ぎ付けた頃だろうから、早速出掛けるとしよう」


272 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2024/12/15(Sun) 21:48

【“Can't Fear Your Own World” その後の小噺04】

【20時間前 西流魂街六十四地区『錆面』】

私達がやってきたのは流魂街の外れの僻地のそのまた奥地の……
流魂街西六十四地区、『錆面』だった。

私も阿近も、それぞれの靴と草履に仕込んだ『雨竜君四號』という名の飛簾脚発生装置を使い、
華麗に駆けている。

本来なら、“優れた技術による快適な移動”を満喫しても良いところなのだが。
阿近はいつも以上に不機嫌な顔をして、つぶやいた。

「――滅却師どもの侵攻の際。
三界の均衡を保つためとはいえ、何千、何万の民を“消去”したんでしたね。
この『錆面』をはじめとした、流魂街の僻地で。
俺たち、技術開発局と十二番隊の手で……」

「そうだヨ。
だが、アレは致し方無かった。
どうせ消去するなら、善良で慎ましく暮らしている流魂街上位地区の住民より、
無法者がのさばる下位地区の輩どもを消した方がマシだ。
……お前も納得していたハズだヨ。阿近?」

「ええ、分かってますよ……」

ヤレヤレ。
どうも甘っちょろい奴が多いようだネ、私の部下は。
これでは、またも修多羅千手丸に嗤われてしまうだろうネ。

そんな事を考えながら駆けていると、ほどなく目的地の……
産絹彦禰の住む炭焼小屋が見えてきた。

同時に、想定していなかった事態に気付く。
なんと――子供たちの笑い声が聞こえるではないか。


273 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2024/12/15(Sun) 21:50

【“Can't Fear Your Own World” その後の小噺05】

――これは、一体何が起きているのだ?

産絹彦禰の住むあばら家同然の炭焼き小屋に着いてみると。
その縁側に6人の子供が並んで座っていた。

「あ!マユリさま!」
「あーっ!涅隊長だー!!」

この時間は真央霊術院で学んでいる筈の、眠八號と阿散井苺花がいる。
授業を抜け出して何をしているのか――とは、今は問わずにおいてやろう。
その横にいる短髪で褐色の肌をした子供が産絹彦禰だネ。

「わーあの人!きっと悪者だよ!怖いー!」
「しっ!目を合わせちゃダメよ!」
「何あのおじちゃん、変なあたまー」

……さらに小汚い餓鬼が3人。
これは地元のお子様たちだろうか?
この『錆面』に子供の姿が戻ってきた、というのは、喜ぶべき事なんだろうが、ネ。

一方、粗末な庭の真ん中には――
顔から地面に突っ伏して、こちらに尻を向けたまま気絶している檜佐木修兵がいた。

「悪いヤツは私達が許さない!
お縄をゲットだよ!」

檜佐木を足蹴にしながら謎のポーズを取りつつ、そうのたまったのは、
自称“九番隊のスーパー副隊長”こと、久南白(くな ましろ)だった。

――フム。
さしずめ、子供たちの前で、ヒーローショーもどきでも演じていたのだろう。
檜佐木修兵め、ロクに抵抗も出来ぬままボコボコにされたに違いない。

そうなると――――

「ついに現れたね!
ゴクドーンを陰から支配する黒幕、涅博士!
せせらぐ森を駆け抜ける疾風のグリーンストーム!
エメラルドポリス・ましろが相手だ!」

――私は阿近を見た。
阿近は目を逸らし、知らんふりをしている。

こいつめ。
これでは私もヒーローショーに参加せざるを得ないではないか。
私だって子供たちの期待に背くほど野暮では……

「わー!がんばれー!エメラルドポリスー!」
「悪い博士をやっつけろー!ポリキュアー!」
「あのおじちゃん、お帽子取ったらハゲてるんじゃないかなー」

――あの3人目のガキ。
さっきから色々と引っ掛かる物言いをしてくれるものだネ。
貴様は将来の実験材料確定だ。オメデトウ。

「なにおう!ポリキュアなんて瞬殺よ!
涅隊長はね、それはもうすんごい……ものすんごい悪人なんだから!
すんごいのよ!本当よ!」

――阿散井恋次と朽木ルキアは娘にどんな教育をしているのだろうか。
あの頭の出来では将来のダンナが不憫だヨ。

「マユリさまー!
負けたら夕ごはん抜きですよー!」

――眠八號。
私を食いしん坊キャラにするのは止めてくれ。

だがまァ。
久南白と戦う事になろうとは。
猿柿ひよ里対策を施した、新生・疋殺地蔵。

ククク……
その性能試験の相手として……不足は無い!


274 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2024/12/15(Sun) 21:52

【“Can't Fear Your Own World” その後の小噺06】

「くらえ!
“ウルトラ・ラジカル・スクープ・エディター”キィィーック!」

……説明しよう。

“ウルトララジカルスクープエディター” とは、久南白が九番隊隊長の六車拳西から授かった役職だ。
略すとURSE(うるせえ)となる。
つまりは、六車拳西から久南白への想いが籠められた名となっているのだ。

などと解説している場合ではなかった。

久南白の上段からの蹴りは、洒落にならない速度と威力を持っている。
こんなものを腕でガードしようものなら、骨がグジャグジャになってしまうヨ。

私は後方に飛んでそれを回避しつつ、疋殺地蔵の柄尻のボタンを押した。

疋殺地蔵から数本の触手が伸び、私の耳に絡みつく。
そのまま耳道に入り込み、脳に接続された。

これはペルニダ・パルンカジャスの能力『強制執行』を参考にしたものだ。
この触手は、私の神経系に接続し、私の身体を疋殺地蔵の支配下へと置く。
こうすることで、私自身の運動能力を底上げし、戦闘動作を最適化する。

改造前の疋殺地蔵は、“剣だけが自動で動いて” 敵の斬撃を防ぐという機能を有していた。
実際、これは日番谷冬獅郎相手には有効に機能したのだヨ。

しかし、猿柿ひよ里が相手ではそうは問屋が卸さなかった。
天才的な剣技を持つ反面、バカ正直な日番谷は攻撃パターンが読み易い。
だが、あのチビメスゴリラはバカで狡猾で性悪だ。

浣腸、目つぶし、くすぐり、浣腸、猫騙し、浣腸。
あらゆるイレギュラーな攻撃を繰り出してくる。

あのような悪魔を相手にするには、剣だけの自動防御では不足だ。
私自身の身体を効率的に動かす必要がある。
その為の新機能なのだヨ。

「逃がさないぞ!」

久南白は鋭い踏み込みから右の正拳突きを放ってきた。
疋殺地蔵によって硬質化した掌で弾いた……ときには目の前に久南白の左拳が到達しつつあった。

私は首を捻るとともに、右足の力を抜き、わずかに重心をズラす。

私の頬を掠めるようにして、久南白の拳が後方へ抜けて行く。
その風圧だけで、私の頬の肉が裂け、血が噴き出した。

彼女の腕と私の血が視界に残るうちに、彼女の蹴りが私の胴を狙っていた。
普段の私なら、これは回避できなかっただろう。

だが、今の私は、身体の操縦を疋殺地蔵に預けている。
私が何を目にしているか、何を認識できているか、そんな事は関係ない。

疋殺地蔵は全方位を監視する複眼を持つ上に、霊圧、気圧、音圧の変動を察知し、
脅威度を瞬時に算定し、私の筋肉に最適な命令を下した。

私は疋殺地蔵の命ずるまま右膝を上げ、久南白の蹴りを防いだ。
さらにそのまま膝を伸ばし、防御から蹴りへと変化させ、彼女の顔面を狙う。

久南白は後退して私の蹴りを回避した……筈だった。

「――!?」

私は足の関節という関節を外した。
私の蹴りが一気に伸び、ムチのようにしなりつつ、久南白の顔面を襲う。

バチンッ!と乾いた音が立った。

久南白は2回3回とバク転し、打撃のエネルギーを逸らしつつ、距離を取る。
立ち上がった彼女は、愉し気に口元の血を拭い、言った。

「へええ、やるじゃーん!
シンジなんか目じゃないよ!」

コキ、コキン、と足の関節を嵌めながら私も答えてやる。

「今の蹴りでその程度のダメージとはネ。
見事な体術、そして石頭だ。
さすがはエメラルドポリス、といったところかネ?」

「拳西にいつもゲンコツされてるからねっ!
本当にヒドんだよ! 拳西のバカったら!
でも、これ以上、顔にケガしたくないからぁ……」

久南はいつの間にか、左手に“虚の仮面“を持っていた。

「仮面でガードしちゃおうかなっ♪」

仮面を被った久南白の身体から、爆発的な霊圧が奔流となって溢れだした。


275 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2024/12/15(Sun) 21:53

【“Can't Fear Your Own World” その後の小噺 07】

――物凄い霊圧だ。
空気が震えているヨ。

『ヴァイザード(仮面の軍勢)』か。
死神の身に虚の力を宿し、魂魄の限界を突破して己を強化した者達。

サテサテ。
疋殺地蔵を開放することなく、体術だけでどこまで凌げるものだろうかネ。

だが――――

「残念。
お客サンが来たようだヨ。
まァ本来は、”こちら” の相手をする予定だったのだがネ」

「むぅー!
これからって時に!
デリカシーが無いんだから!」

そのとき。
すでに私たちは何者かによって包囲されていた。
いや、それが何者かはすでに解っている。

「遅かったネ。
綱彌代家の方々。
“前当主どの“以上の鈍臭さじゃアないか?
そんな事だから、家が傾くのを止める事も出来んのだヨ」

周囲の男たちから放出される殺意が、怒気に変わったのが分かる。
フン、本当に解り易い連中だヨ。

「おのれ、涅マユリ!
綱彌代復興のために、まずは貴様から血祭りにあげてやる!」

独創性のカケラも無いセリフを吐きながら、5人の男たちが姿を現した。

「オヤオヤ。実にツマラン脅し文句だネ。
どうせ産絹彦禰を“回収”して、また君たちの都合の良い道具にしようと言うのだろう?
良い大人が子供の力にすがるとは……
君達は羞恥心を、肥溜めにでも落として来たのかネ?」

「貴様……貴様……ッ!!」

正面の一人は繊細な顔立ちをした若者だったが、すでに冷静さを欠いている。
神経質そうな青白い顔に神経質そうな青筋を立てている。

この男は――綱彌代家の分家の男だ。
たしか、綱彌代義時、だっただろうか?
イカンネ、どうも興味の無いモノを覚えるのは苦手だヨ。

要するに。
綱彌代家は時灘が起こした一件で、権威を失いつつあった。
だから産絹彦禰を“復活”させ、綱彌代家の勢威を取り戻そうと画策している、らしいのだヨ。

その動きがある事を察知した護廷十三隊は、隊長格を送り込み、
産絹彦禰を守る事としていた。

私と檜佐木修兵がここにいるのはその為だが……
なぜ、久南白や阿散井苺花、眠八號までここにいるのだろうか?

……イヤ、どうせ暇だからと無理やりついて来たんだろう。
マッタク。
遠足か何かと勘違いしているんじゃないのかネ?

一方、残りの4人は仏像のような無表情で押し黙っている。
が、眼光だけは鋭い。
中央の青二才よりは“出来そう”だネ。
だが……

「もう言葉が出て来んのかネ?
今ここには護廷十三隊の隊長格が複数人いるのだヨ?
君等ごときに、どうにかできると思っているのかネ?」

綱彌代義時が表情を歪ませた。
余裕の笑みを浮かべようとしたらしいが、怒りが大きすぎて失敗している。
よほど器の小さな男なのだろう。

「フ、フフン!
護廷十三隊など、恐れる我らだと思うか!
この4人は、我が綱彌代家を1000年に渡って守護してきた一族で、綱彌代の四天王なのだ!
貴様らごとき……」

「ましろキィィーック!!」

綱彌代義時のセリフが終わる前に、しびれを切らした久南白が飛び蹴りを放った。


276 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2024/12/15(Sun) 21:56

【“Can't Fear Your Own World” その後の小噺 08】

ごぎん、という鈍い音とともにに、“四天王”とやらの一人の頭部が消し飛んだ。

……オイオイ、イイのかネ?
悪役のセリフを一通り聞いてやるのがヒーローショーの鉄則だろうに。

「ああっ!広目!? 広目天――!!!」

推定“広目天”さんがしめやかに成仏なされた。
それを抱きかかえているのは、持国天か増長天か、多聞天か。
どうでもイイがネ。

「おのれ!よくも広目天を!!」

綱彌代義時と残り3人は左手を顔にかざした。
奴らの身体から強烈な霊圧が噴き出す。

――ホウ?
これはこれは……

左手を下すと、その顔には虚の仮面が装着されていた。

「なっ!?
こいつらも仮面の軍勢なのか!?」

……いたのかネ?
檜佐木修兵。
すっかり存在を忘れていたヨ。

「イイヤ、アレは仮面の軍勢というよりは……
限りなく虚に近いネ。
見給え、身体に“孔”が開いているヨ」

実際、目の前にいるのは虚そのものであった。
綱彌代義時は白い虚。
残りの3人は赤、青、黒の虚となっている。

――おそらく。
青いのは東方守護の持国天。
赤いのが南方守護の増長天。
黒いのが北方守護の多聞天。
変身する間もなく首を吹き飛ばされて死んだのが、西方守護の広目天だろう。

自己主張が強くて結構。解り易い。
そして、いずれも身体の中央に“孔”が開いている。

虚の孔――人が虚となるのは、その心と魂に埋めがたい欠落があるためであり……
その孔こそは中心(こころ)を亡くし、本能の塊となったことを示している。

だが、“虚の力を手にした死神”である仮面の軍勢にはそれが無い。
つまりこの男たちは――

「死神に生まれながら、虚に魂を売った連中である、と。
そういうことかネ?」

「ぶーぶー!
あんなのと一緒にしないでよー!
ましろはもっと……カッコいいんだ、よっと!」

久南白が推定・持国天へと飛び掛かり、パンチを放つ。
しかし、持国天は、それを受け止めてみせた。

「護廷十三隊ごときが、綱彌代家に楯突くなど!
後悔させてやるぞ!
ガキどもも皆殺しだ!」

「オイ、檜佐木修兵」

「はい?」

「君は阿近とともに後方へ下がり、産絹彦禰と子供達を守ってい給え」

「イヤ、俺も戦いますって!」

「馬鹿者。
子供達をこの場に引き入れたのは君だろう?
ならば責任を持って、彼らの安全に務め給えヨ」

「くっ!
……分かりました」

「素直なのは良い事だヨ。
まァ、久南白には好きにやらせるけどネ。
どうせ言う事を聞く気などないだろうから」

「あったり前田のクラッカー!」

60年以上前のギャグフレーズとともに、久南白が持国天を襲う。
両者は激しい打ち合いを始めた。

「サァテ。
“新生”疋殺地蔵の真価を見せてやるとしようか。
先程までのはまだーー――
“始解”状態ですら無かったのだからネ。


―――― 掻 き 毟 れ 

疋 殺 地 蔵 ――――



277 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2024/12/15(Sun) 21:56

【“Can't Fear Your Own World” その後の小噺09】

「キィィィヤァアアアアア!!!」

産声とともに、愛しの我が子が刀の鍔に顕現した。

「サテ?
やはり、まずは三下から相手すべきだろうかネ?」

「この……死ねェ!」

増長天と多聞天が斬魄刀を抜き放ち、こちらに突っ込んで来た。
ちゃんと2人で距離を取り、私を左右から挟もうとしているトコロは誉めてやろう。

「フンッ!」

左右から強烈な斬撃が来る。
私は右へ跳んだ。

同時に身を低くする。
多聞天の斬撃の下をくぐりつつ、疋殺地蔵を横薙ぎに払った。
刹那、疋殺地蔵の刀身が3倍に伸びる。

「ぐぅあ!!」

多聞天の左足首が飛ぶ。
疋殺地蔵の指令を受けた私の左足の膝、足首の関節が外れ、私の身体が左傾する。
私はスピードを落とすこと無く方向転換を果たし、一気に増長天へと肉薄する。

「しぃぃっ!」

増長天が刀を振り下ろす。
疋殺地蔵から触手が伸びて地面に突き刺さる。
増長天の斬撃は標的を失い、空を切る。

一方、突進する私の運動エネルギーは回転エネルギーに変換された。
勢いを得た疋殺地蔵は、増長天の脇腹に突き刺さり……

「がはぁつ!!」

そのまま増長天の身体を上下に両断した。

「なんと他愛の無い。鎧袖一触とはこのことかネ?」

地に這ってのたうち回っていた多聞天の頭に疋殺地蔵を突き立て、私は言った。

「あーあー、もう終わりかあ」

久南白の方も戦いが終わったらしい。
彼女の足元には、原型を留めぬほどに頭部を潰された持国天が転がっている。

「綱彌代家を1000年守護してきた一族が、虚化までしてこの程度ではネ。
興が冷めるというモノだヨ」

「きっ、貴様ら!よくも……よくも!
私を……綱彌代家の者に逆らってタダでいられると思うのか!?」

「綱彌代家も地に堕ちたものだネ。
不肖の子孫を持った“偉大なる“ご先祖サマはさぞかしお嘆きだろう。
ご先祖サマに変わって、私がオシオキしてやるヨ?」

私は疋殺地蔵を振り上げた――――



278 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2024/12/15(Sun) 21:59

【“Can't Fear Your Own World” その後の小噺 fin】

【現在 九番隊舎 会見室】

「それで檜佐木修兵さん!
その隠し子というのは、誰との間に出来た子なんですか!?」

“取材許可証”と書かれた札を、豊満な胸の前で揺らしながら、松本乱菊が質問に立った。

「いや、ですから!
俺の隠し子じゃないんですって!」

「でも、そのお子さんとあなたが極めて親密そうにしていたという証言があるんですよ!
そうですよね、久南白さん!」

「うん、修兵ったら、その子の前ではデレデレしちゃってねー。
本当のお父さんみたいだったよ」

続いて伊勢七緒が記者席から立ち、眼鏡をくいっと持ち上げた。

「六車隊長!
護廷十三隊の副隊長ともあろう者がこれでは困ります!
風紀の乱れは組織の腐敗の温床になりかねません!」

こちらの記者証は胸の前で……接着剤で固着しているのかというぐらい揺れない。
悲しいね……バナージ。

「えーあー。
ほんとスンマセン。
不始末を働いた部下には、隊長の俺からよーっく言い聞かせますんで。
どうか勘弁してやってください」

「ちょ……隊長!
俺は無実ですって!!!」

「はいはーい。
そういうわけだから。
檜佐木君には責任を持って、その子の一生を見守らせますんで。
ね?
そういう事でいいじゃないの?
ねー?」

“護廷十三隊総隊長”という席札を前にして座っていた京楽春水が、なだめるように言う。

「……ところで、隊長。
アナタから提出されたこの領収書ですが」

伊勢七緒記者は一枚の領収書を取り出した。
そこには『マダム千草 8万環』と書かれている。

「これ、調査費用ではなく。
ただの遊興費ですよね。
経費では落ちませんので、よろしく」

「ぎゃふん」

本当にぎゃふんなんていう奴をはじめて見たヨ。
すん、としてしまった京楽春水に代わって、私が口を開くことにした。

「まァそういうわけで。
産絹彦禰の身柄は、護廷十三隊が保護する。
彼を利用しようとする者があれば、我々は容赦しない。
これでいいだろう?
特に、“父親”の檜佐木修兵君を怒らせると怖いヨ?
彼は卍解の習得者であるという事をお忘れなく」

「えー、またそれー?
どうせ卍解するする詐欺なんでしょー?」

「そうだそうだ、隊長の俺だって見た事ねえぞー」

「もういやだ!
護廷十三隊なんかやめてやるぅ!!!」

――こうして瀞霊廷の平和は続くのであった。

サテ、眠八號と阿散井苺花でも連れて、サンマ定食を食べに行くとするかネ。



279 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/12/15(Sun) 22:37
えらいお土産持って帰って来ましたね
おかえり局長

280 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/12/16(Mon) 12:09
マユリっちは鰻好きか

281 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/12/21(Sat) 14:49
マユリ精神世界内とは言え
ザエルアポロまた出るとは

282 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/12/22(Sun) 20:07
またしてもマユリカの霊圧が消えた…!?

283 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2024/12/22(Sun) 22:29
驚いたネ。
まさかマユリカが……。

敗者復活で這い上がっただけでも見事というべきだとは思わんかネ!
そして令和ロマンが連覇、実に見事だったヨ。

というわけで、
>>282君。
【またしてもマユリカの霊圧が消えた…!?】

見事、予想を的中させた君は、特別に予約番号を飛ばして……
まっさきにバラバラにしてやるヨ!

よもやイヤとは言うまい?
オメデトウ!

(バリバリ、ギリリ、ジョッキン!ジョッキン!ぐちゃぐちゃ……)

フム、解体完了!
来年も良い年になる気がするヨ!

サテ、阿近。
今回はどれへの回答だネ?

「ぷくく……熊猿ってなんだよ……
ああ、ええっとスミマセン。

今回回答するのはコレですね。
>>194
マユリちゃんの好きなラーメンは何味?
>>195
今年もクリスマスぼっち確定のマユリ
>>199
イベントには必ず現れるマユリ
おまえツンデレだな」

……コレだけ見ると、随分と私が残念なヤツに見えるのだが?

「い!?
いいえ、気にしすぎですって!
あと、この辺もいっときますか?

>>201
原作完結してからというものpixivで「井上織姫」って検索するとほぼほぼNTRなのなんでだと思います…織姫も原作とはかけ離れたビッチに描かれることも…
たしかに昔からNTRも一定数あったけども相手も愛染や月島とかある程度の格がある相手だけだったのに…
正直、一織純愛派の俺食傷気味気味なんですけど…局長はこの現象どう思いますか…?

>>202
パルスィからクリスマスプレゼントとメッセージ
涅 マユリ:『Juicero』 ジューサー
マッドサイエンティストには些か趣向を変えてガジェットを包んだわ、三千年紀の粋を集めたのに極めてアナログな手法で会社廃業まで追い込まれた極上の皮肉
"完璧"を否定し、果てること無き改善あるいは創造に喜びを見出すことを是とする貴方ならこれでさえも妬ましいものと変えるのでしょうね。

イイだろう。
あと、せっかくだ、頂いたプレゼントも活用させて貰うとしよう。
>>206
つ【ありがとうチョコ】
今は義理チョコとは言わないらしい

>>207
遅くなっちゃったけどマユリちゃんへ
つ【脳みそチョコ】」

では、回答をはじめよう。



284 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2024/12/22(Sun) 22:31
【とあるラーメン屋のメリークリスマス 01】

メリークリスマス!

え?
お前は誰だって?

やだなぁ、俺だよ俺!浅野啓吾!
今は何を隠そう、はらペコログ高評価の超人気店、『念力ラーメン』のCEOだ!

分かる?スゥィー・イィー・オォーゥだぜ?
“空座町のジョブズ”とは俺のことさ!

おっと、だからって気負う必要はないよ?
気軽にケイゴって呼んでくれよな!皆!

(しーーん……)

今日はたまたま……たまたま一人も客来てねーけど!
クリスマスだからな!
でも、元気に営業がんばるぜ!!

<プルルルルルル……>

おっと!
早速、ビジネスの電話だ!
繁盛店はコレだから困るぜ!

「はいはーい!
こちら念力ラーメンのシー!イー!オー!こと、浅野ケイゴでぇす!」

「てめぇこらケイゴォォオ!!!
さっさと金返せやコラァ!!!」

「げえーっ!!!
ねねねね、姉ちゃん!?」

やべえ!
姉&出資者&債権者だ!
そして今日は素敵なHEN★SAI★BI★!!

「すまん姉ちゃん!
だが、これには間宮海峡より深いワケが!
とーちゃんが危篤で!かーちゃんが忌引きで!じーちゃんは山へ芝刈りに!」

「ふざけんなてめェ!
実姉相手に親の不幸サギとか通じるか!
それと間宮海峡は水深10メートルしかねえよバカ!

……いいか?
今夜中に利息だけでも持って来い!
さもないと、てめーの熱帯魚のレオナルドとディカプリオとジョニーとデップを
天ぷらにして食ってやるからな!」

「サモハンとキンポーは食わねえのかよ!
仲間外れか!」

「なんかヤだ!
名前的に食欲湧かない!」

「ひーいーきー!
ひーいーきー!」

(ガチャン! ツーツーツー……)」

おおおおおおお!!やべえ!!
やべえやべえどうしよう!!

そうだ、こういう時こそ仲間を頼ろう!
債務超過も経営不振も友情パワーで解決だ♪

「おーっす、水色―?
ひさしぶ……どなたですかって?
ケイゴだよ!ケ・イ・ゴ!!
間違い電話じゃないですよー!」

「おっすたつきー?
たまにはウチのラーメン食べに来いよ?
え?おごりかって?
いや、それは……今は無理だな。
金はキッチリ払ってもら……って、おい待て、切るな!」

「一護―!!
おおおい一護―!!
電話出てー!
っていうか既読無視1年以上続いてるのなんでー!!」

……そして誰もいなくなった。

ごめんデップ。ごめんディカプリオ。ごめん皆。
みんなで仲良くねーちゃんの胃袋に収まってくれ……

(ガラガラ)

「うぃーす。
まだ営業してるよな?」

お、お客さんキター!!!!



285 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2024/12/22(Sun) 22:34
【とあるラーメン屋のメリークリスマス 02】

イラッシャッセーヘェェい!!

……しまった!!
久しぶりに大声出そうとしたら声が裏返っちまった!!

けど、この客……。
どこかでデジャヴュ?

イヤ、知らねえ顔なんだけどな。
服装というか、雰囲気というか、なんか見覚えが……。

なんかどっかのィヤベエ奴らに似てる。
つかこの人、額にツノみたいの生えてね!?

「ちょうど店主がいるみたいですよ、局長」

……へ?局長って?

「フム。
しかも都合の良い事に閑古鳥が鳴いているじゃアないか?」

……黒塗りの顔に、クワガタ虫みたいな変な帽子……。
知ってる…知ってるぞ…この人!

「これなら目撃者を気にする必要は無さそうだ!
フハハハハハハハ!!!」

ケイゴ知ってる!
一護と石田から聞いたから!

尸魂界三大悪人の一人!
瀞霊廷変質者四天王の人!
護廷十三隊上司にしたくないランキング116年連続1位!

なんで涅マユリがウチの店にぃいいいい!!
いいいやぁああああああああああっっー!!!!!



286 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2024/12/22(Sun) 22:35
【とあるラーメン屋のメリークリスマス 03】

「では、さっそく。
塩ラーメンを貰おうか?」

……へ?
今なんて?
俺の骨から骨髄液を抽出してトンコツならぬ人骨ラーメン食わせろ、とかじゃなく?

よ、よよよよーし!
ならば最高の一杯を出してやるぜ!

ご賞味ください!
塩ラーメン念力スペシャルニンニク醤油マシマシ味噌トッピング!!

「……ちがうネ」

「……ちがいますね。色々と味がうるさい」

ガガガーン!
はい!念力スペシャルラーメンNOPEイタダキマシター!

「現世の塩ラーメンと言えば、サッポロ一番塩ラーメンと聞いたのだがネ?」

「おい店主。サッポロ一番の塩ラーメンを出せ」

ええー……
そして俺はコンビニへダッシュして袋ラーメンを買い、調理した。

「うん、これだ。
やはり塩ラーメンはこうで無くてはネ」

「はぁー沁みる。
現世に来たらコレっすよねー」

……俺の名は浅野啓吾。
『念力ラーメン』のCEO。

その俺が今、お客さんに提供しているのは1袋100円くらいのサッポロ一番塩ラーメンだ。

こんな屈辱があるか!?
どんなドMでもコレは耐えられんわ!
つか俺ドMじゃねーし!微Mですぅ!!

「……サテ。
腹ごしらえも済んだところで、本題に入ろうか?」

「店主さんよ、この店には井上織姫と茶渡泰虎、石田雨竜も来るんだよな?」

「き、きき!来ます!
ごくたまに!ごくごく稀にですが!」

な、なんですかその顔触れは?

美女と野獣とメガネ!?
プリンセス&モンスター&メガネ!?
この3人にどんないかがわしいアレが!?



287 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2024/12/22(Sun) 22:37
【とあるラーメン屋のメリークリスマス 04】

「フム。
では、この技術開発局謹製・特製餃子をやろう。
この店の看板メニューにし給えヨ。
そしてその3人に確実に食わせるのだ」

「とりあえず300人前だ。
追加は順次発送する。
特殊防腐剤入りだ。保管場所に気を使う必要はねえ」

餃子!?
なんすかそのアヤシイ防腐剤は!?
でもなんだろう。
とっても美味そうなイイ匂い……。

「ククク……食欲をそそる匂いだろう?
店主君には製法を見せておくかネ。
皆、店主の許可は貰った、入っていいヨ」

「へーい」

許可なんか出した覚えありませんけど!
うおおおお、なんか……ゾロゾロ入って来たぞ!

「おーう、鵯州ってもんだ。よろしくなー」

太った半魚人さん!

「こ、こんばんは、壺府リンと申します」

あれ?まともな人っぽい?
い、イヤ!騙されんぞ!

「こんばんはー!久南ニコでーす!」

眼鏡っこ?
あれ?かわいい?
イヤイヤ!騙されんぞ!!

「こんばんは、眠八號です」

子供!?

「私の娘だヨ」

嘘でしょ!?

「で、コレが、>>202水橋パルスィ君から貰った……」

へ?誰って?

「ジューサー兼ミキサーだヨ」

でっか!
何これ、人ひとり入る大きさじゃん!

「フム、しかし、『Juicero』とかいうこの社名シールも含め……
頭のネジが2、3本どこかに行ってるとしか思えんネ、あの女。
マァ、だが。
これだけの大きさならば人間大の材料でもすっぽり収まるというワケだヨ」

ま、まさか俺にソコに入れってことっすか!
イヤだイヤだー!!



288 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2024/12/22(Sun) 22:38
【とあるラーメン屋のメリークリスマス 05】

「アア、そうだ。
もう一人紹介を忘れていた。
入り給え、ヒゲゾンビ君」

「誰がヒゲゾンビか!!
吾輩の名はドルドーニ・アレッサンドロ・デル・ソカッチオだと何度言ったら……。
……って。
なんだね、この禍々しい機械は」

「ギャアギャア五月蝿いヨ、チョコラテ君。
君にはこのジューサーに入って、ひき肉になってもらうヨ」

「なー!何を言って!
やはり狂人だな、アンタ!」

「ニコ!捕まえろ!」

「はいはーい」

ドルド……なんとかっていう大男が、眼鏡っこのニコちゃんに捕まった。
ニコちゃんはドル……チョコラテさんをひょいと持ち上げちゃったよ!?

ホラやっぱり!
あの子もまともじゃなかった!
あっという間にジューサーに押し込まれちゃったよ、チョコラテさん!

「今だ鵯州、蓋を閉じろ!」
「へーい」

「では、リン。
そのボタンを押して、フィットチーネ君をひき肉にし給え」
「えー、なんか嫌だなー、気持ち悪そう……」

「やめてー!もうチョコラテでもいいからー!
Madre!(母ちゃん!)Madre!!!」

何このスプラッタな展開!?
こんなのクリスマスにやっていいの!?

「はい、そこまで。
時間短縮のため、予めフィットチーネ君のクローンを刻んで、
イロイロやって完成したのがコチラの餃子だヨ」

「それ吾輩のクローンを刻んだの!?
クローンとはいえなんかヤダ!」

「モノは試しだ。
ひとつ食してみるかネ?」

今日は腹の調子が悪いので無理ですスイマセン!
と断ったら、内臓全部引き出されて洗浄されそうだ。

俺は覚悟を決めて、その“餃子”を食べた……。



289 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2024/12/22(Sun) 22:41
【とあるラーメン屋のメリークリスマス 06】

アレ?
美味い!!

「メチャクチャ美味い!
すげー美味いですよ、これ!」

「もう少しボキャブラリーは無いのかネ?」

「でも、どうして?
こんなモノをくれるんです?」

「クリスマスだからネ。
頑張ってるラーメン屋さんへのプレゼントだヨ」

嘘くせぇー……

「……何だネ、その顔は。
人の好意は素直に受けておくモノだヨ?
だが、そうだネ……。
井上織姫、茶渡泰虎、石田雨竜。
この3人の共通項は解るかネ?」

美女と野獣とメガネの共通項!?
やっぱりあの3人はいかがわしい関係だったのか!?
一護!大変だ!
お前の妻は野獣とメガネのNTRターゲットになっているぞ!

「……鼻の下が伸びているヨ、君。
マア、君が人妻もの、それもNTRが好きなのは分った。
私もそういうモノは嫌いでは無いから、気持ちは解るがネ」

解るんですか!?

「人妻に限らず、ケモミミやエイリアンやロボットやゾンビでも面白いと思っている。
そういうモノを大量に扱っているYDM出版の矢胴丸リサに紹介してやろう。
虚の人妻モノもオススメだヨ」

きょ、興味があるような、無いような!
なんか新しい世界が拓けそうで怖いんですけど!?

「あと、黒崎一護に“お前の妻はそういう目で見られているぞ”と教えておいてやるヨ」

それだけはやめてください!!

「で、話を戻して。
井上織姫、茶渡泰虎、石田雨竜の共通項。
ソレは、黒崎一護との戦いを通して、異常な程の能力の発達を見せた、という事なのだヨ」

あいつらが向こうで大活躍したらしい、って事は知ってますけど。
そんなにスゴい事だったんです?

「ソレはそうだヨ。
死神が数十年、数百年修行を重ねて身に着けるモノを僅か数年で身に着けたのだからネ。
そしてソレには、虚の力が関係している、と私は見ている」

虚……というと、ひき肉にされたヒゲのオッサンですよね。

「異常発達したという意味では黒崎一護が一番なのだが。
彼には虚の力が内在していた事が判明している。
ならば……井上織姫、茶渡泰虎、石田雨竜はどうなのだ?」

つまり、やっぱり、あの4人でいかがわしい事をしていたと?

「いい加減、その発想から離れ給えヨ。
つまり、彼らにも黒崎一護を通して、虚の力が影響していたのではないか?
そう思われるのだヨ。
特に石田雨竜は滅却師だ。
滅却師にとって、虚は天敵。イヤ、存在そのものが毒である筈なのだが……。
ならば……石田雨竜が虚のひき肉入り餃子を食べたらどうなると思うかネ!?」

俺が石田を毒殺した罪でしょっ引かれる!?

「万が一そうなるようなら、私が奴の再生を引き受けよう。
現世で言うところの、製造物責任法というヤツだヨ。
だから安心してこの餃子を出し給え。
看板メニューにすれば店も繁盛するヨ?」

……俺は。
覚悟を決めた。

「……あの、すみませんが。
お断りします」



290 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2024/12/22(Sun) 22:44
【とあるラーメン屋のメリークリスマス 07】

そう言った瞬間、全員が一斉に俺を見た。
怖い!!

「……ホウ。
何故だネ、一応、理由を聞かせてもらおうか?」

ヒィッ!
マユリさん、ゆっくり右手を上げて、指を曲げたり伸ばしたりし始めた!

「確かにこの餃子は美味い……中身は怪しいけれど。
でも、俺は念力ラーメンのCEOです!
だから新メニューは俺のオリジナルで勝負したい!
頑張ってるアイツらに、友達に食べてもらうなら、なおさらです!
俺が頑張って作ったものを食ってもらいたいんです!」

言った…言ってしまった。
助けて神様!

「へぇ……意外と、こいつ。
言いますね、局長」

「フム、料理人の矜持というヤツだろうかネ?阿近」

「彼は以前、京楽総隊長の胸ぐらを掴んだ事もあるらしいですよ」

そういえば……そんな事もあったかなぁ。
あははは、もう怖すぎて何が何だかわかんねーや。

「フン!そうか。
だが、まァ……“料理と科学”には似た部分も多くあるとも言うし。
とすれば、君の意地、嫌いではない。
ヨシ!良いだろう!
今回は退散するヨ。
次回は君が土下座して懇願するほど美味い虚料理を用意してやろう!」

そう言うと涅マユリさんは身を翻し、店を出て行った。
それに局員さん達も続く。

あの……そのデッカイミキサーは置いてくの!?
あ、良かった。
チョコラテさんが必死に這い出て、持って行ってくれた。
自分がひき肉にされかけたのに、律儀だな、あの人。

「惜しかったっすね。
石田雨竜や井上織姫が、さらに未知の進化を遂げるかもしれなかったのに」

「フン!
単に腹を下して終わった可能性もあるがネ」

「マユリさまー、サッポロ一番おいしかったですか?」

「そうですよ、局長と阿近だけ食うとか、あんまりですぜ?」

「コレはウッカリしていたヨ。
では技術開発局に戻ったら、リンに6人分を作らせよう」

「ええ、また食うんですか?」

「ウノ、ドス、トレス(ひー、ふー、みー)
……んん?吾輩の分は無いのかね?」

「「「あるわけないだろ」」」

「まァまァ。今日はクリスマスだ。
実験台として日々奮闘するヒゲゾンビ虚にも感謝をしよう。
リン、7人分用意し給え。
ソレくらいのストックは常備している筈だヨ。
あと、餃子が大量に余っている。
ついでに餃子パーティーとしないかネ?」

「はは、まあ、いいかもっすね。
そういうのも」

「というワケで、少し早いが……
メリークリマスだ、諸君!」


「「「メリークリスマス!皆さん!」」」


291 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/12/22(Sun) 23:57
ばいばいキーン!んちゃ!これを挨拶にしよう!

292 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/12/23(Mon) 08:11
サッポロ一番もそうですが現代の食べ物でもっとも好ましい食べ物はありますか

293 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/12/25(Wed) 23:18
クリぼっちなマユリさんに目ん玉飛び出すようなプレゼント
BLEACHの女性キャラクターとデートできるパスポートを進呈

誰とデートしたい?でも
卯ノ花さんとか七緒ちゃんとか雛森さん松本さんとか隊の女性はなんか強そ
ああ空鶴さんも強すぎるしマユリさんの周り強い女性多いっすね

294 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/12/28(Sat) 22:23
黒崎苺はただの平凡な人間だったのに
こんなにも超人になってしまった

295 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2024/12/31(Tue) 21:47

「局長―?
そろそろ護廷十三隊合同餅つき大会の準備をやらなきゃ、ですよ?
って、何やってんです、さっきから」

何だネ、阿近!
餅つきなんぞ、無駄に元気な十一番隊の馬鹿どもにやらせておけば良いのだ!
私は、“技術開発局おみくじ”を作りに忙しいのだヨ!

「技術開発局おみくじ?
また怪しげなモンを……。
ウチは神社でも無いのに、他人の吉兆の判定なんてしていいんすか?」

そうでも無いヨ?
ホレ、>>206>>207を見給え。
現にこうして、私にお供え物をする敬虔な者もいるのだヨ?

「お供え物……?
いや、あれはバレンタインで頂いたものでしょう?」

……バレンタイン?

ハテ?
はじめて聞く言葉だネ。
私は知らんヨ、そんなモノ?

「うっわ!
本命貰えなかったからって、データベースから消去しやがった!
しかも、自分へのお供え物に思い出変換するなんて……
どういうこじらせ方してんすか!」

何が拗らせなモノかネ?
このお供え物は、神のごとく偉大な私を拝み、その威光にあやかりたいという……
か弱き大衆の願いが、カタチとなったモノなのだヨ?

春の木漏れ日が如くに慈悲深い心を持つ私としては、その期待に応えないワケにはいかないネ。

「へいへい。さいですか。
んで、どんなおみくじなんです?」

フム、では阿近、お前にやって貰おう。
なァに、やり方は簡単だ。
ちょっとした運試しだヨ。


いま、この瞬間、時計を見てみ給え。
もし、何時何分までしか表示されていないのなら、分を。
秒まで表示しているのなら秒を見ればいい。

そこから12で割り算をし給え。ここでは小数点は考慮しない。
つまり、割り切れずに余った数字が君の「ラッキーナンバー」となるのだヨ。

仮に、そうだネ。
時計を見た瞬間、〇時34分だったのならば……
34÷12で割り切れぬ余りの数字、ラッキーナンバーは10となる。
何故なら34とは、12×2+10に分解できるからネ。

〇時8分ならば、12で割り切れぬ余りの数字は8だヨ。
8とは、12×0+8のことだ。

〇時19分47秒ならば、秒を見る。
そして、12で割り切れぬ余りの数字は11となる。
47は12×3+11のことだからネ。

ここまでは良いかネ?
では、君のラッキーナンバーが本当に幸運を呼ぶ番号であったのかどうか。

運試しの結果は次に掲載するヨ!


296 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2024/12/31(Tue) 21:51

サテ。
これで君たちは0~11までのラッキーナンバーを得たはずだ。
以下、自分のラッキーナンバーと照合し給え。


『ラッキナンバー 1』
君は死後、十番隊に入隊する事になるヨ!
松本乱菊のおっぱいに誘われて、喜んで飲み会に参加してみれば、
血ヘドを吐くまで飲まされて、君はツルッパゲになるヨ!
そんな君の今年の運勢は、中吉だヨ!


『ラッキナンバー 2』
君は死後、十三番隊に入隊する事になるヨ!
新婚の朽木ルキアの幸せビームを浴び続け、
それと比較した我が身の不幸を呪った君はツルッパゲになるヨ!
そんな君の今年の運勢は、吉だヨ!


『ラッキナンバー 3』
君は死後、四番隊に入隊する事になるヨ!
出勤直後から、救急要請や十一番隊の奴らから掃除や草むしりの雑用も押し付けられてさァ大変!
山田花太郎三席から栄養食をもらうも、中身はただの小麦粉だ。
プラシーボ効果しか得られず、ツルッパゲになるよ!
そんな君の今年の運勢は、中吉だヨ!


『ラッキナンバー 4』
君は死後、十一番隊に入隊する事になるヨ!
知能の低い獣と猿どもの動物園だ!
地獄を味わった君は、班目一角とおそろいのツルッパゲになるヨ!
そんな君の今年の運勢は、末吉だヨ!


『ラッキナンバー 5』
君は死後、七番隊に入隊する事になるヨ!
犬の五郎、得体の知れない大狼、輪堂与ウが連れてくる動物の世話で大忙し!
けど、一番世話が面倒臭いのは射場隊長だ!
一歩間違えると指を詰めるか切腹だから気を付けて!
仁義なき世界の恐怖でツルッパゲになるヨ!
そんな君の今年の運勢は、小吉だヨ!


『ラッキナンバー 6』
君は死後、二番隊に入隊する事になるヨ!
毎日、砕蜂にこき使われ、大前田希千代のヘマの尻ぬぐいに奔走し、最後に君はツルッパゲになるヨ!
そんな君の今年の運勢は、末吉だヨ!


『ラッキナンバー 7』
君は死後、八番隊に入隊する事になるヨ!
矢胴丸隊長が隊舎のあらゆる場所にエロ本を隠しているぞ!
うっかり見つけても、気付かないフリをしてあげろ!
思春期の娘をハラハラしながら見守る母親と同じスリルを味わう事で、君はツルッパゲになるヨ!
そんな君の今年の運勢は、吉だヨ!



297 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2024/12/31(Tue) 21:52

『ラッキナンバー 8』
君は死後、五番隊に入隊する事になるヨ!
隊長の平子はユルいけど、油断は禁物!
週に3度は猿柿ひよ里の襲撃を受けているから、巻き込まれて死ぬかも!
あと決して「眼鏡」を話題に出さない事!
雛森副隊長の発作に巻き込まれて死ぬかも!
そういう殉職の心配でツルッパゲになるヨ!
そんな君の今年の運勢は、中吉だヨ!


『ラッキナンバー 9』
君は死後、六番隊に入隊する事になるヨ!
金銭感覚の壊れた朽木隊長と、知性に欠ける阿散井副隊長のせいで、
隊の運営はいつも大雑把でトラブルだらけ!
なのに “朽木家の誇り“だけは護らねばならず、君は心労でツルッパゲになるヨ!
そんな君の今年の運勢は、小吉だヨ!


『ラッキナンバー 10』
君は死後、三番隊に入隊する事になるヨ!
元隊長に裏切られ、一度は滅却師に殺されて「屍人」として蘇り、
文字通り生ける屍と化した吉良イヅルの愚痴を朝から晩まで聞かされ続ける事になるヨ!
ストレスの溜まった君はツルッパゲになるヨ!
そんな君の今年の運勢は、末吉だヨ!


『ラッキナンバー 11』
君は死後、一番隊に入隊する事になるヨ!
京楽春水の放蕩に伊勢七緒がイライラしているので、職場の雰囲気は最悪だヨ!
ランチ後のお茶の時間も、今は亡き山本のクソジジイの茶道派と雀部長次郎の紅茶派が抗争だ!
一秒たりとも神経が休まる暇もない君はツルッパゲになるヨ!
そんな君の今年の運勢は、小吉だヨ!


『ラッキナンバー 0』
君は死後、九番隊に入隊する事になるヨ!
副隊長は檜佐木修平だ!
何をどうやったって、ツルッパゲになるヨ!
そんな君の今年の運勢は、凶だヨ!


「……どうやってもツルッパゲ不可避なんすね。
地獄のようなおみくじだな」

けど、凶はひとつも入れていないヨ。
優しいだろう?

「大吉もないっすね。
つーか、ウチの隊は?」

フム。これも私の優しさだ。
このおみくじを引いた者全員に、コレをプレゼントするヨ。

【つ
『ラッキナンバー ∞』
君には死後の入隊先を辞退し、栄えある十二番隊を志願する選択権を与えよう!
死ぬまで尸魂界のために働き、死後は実験体として科学の発展に活かされる!
解剖されるときには気持ち良すぎてツルッパゲになるほどの快楽を与えると約束するヨ!
そんな君の今年の運勢は、大吉だヨ!


「……今からゴミ箱用意しとくか。
捨てられるのが目に見えてるからなあ」

フン!
私のせっかくの心遣いを踏みにじりおって!

だが……まァアレだ。
この世界に住まう諸君。
もし、時間があれば運試しをして行き給え。

結果の報告はしなくて良いヨ。
心に留めておいてくれれば良い。

「せっかく報告もらっても返答不可能っすからね。
筆が遅すぎて」

……馬鹿者!
余計な事は言わなくて良いんだヨ!

……オホン!
いずれにせよ、新年が君たち皆にとって、良い年となる事を。
心から願っているヨ。

では、来年も会おう!


298 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2024/12/31(Tue) 21:57
アア、イカン。
一つだけ、凶を入れていたネ。

まァ、檜佐木修兵だから仕方が無い。
今回は諦め給えヨ。

来年はきっと良い事があるヨ?

299 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/12/31(Tue) 22:04
そしてー、輝くウルトラマユリ(ソウル)ッ!

300 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2025/01/02(Thu) 22:15

【瀞霊廷 GANDPRIX 2025 vol.1】

「明けましておめでとうございまーす!
今年もやります!
第4638回 新春紅白駅伝 GANDPRIX in瀞霊廷!
開幕でーす!
実況は、今回も私、松本乱菊と――」


「――涅マユリですが何か問題でも?」


「あら、どうしたんですか涅隊長?
新年早々、暗い顔しちゃって?
前回大会>>208も楽しかったじゃないですか?」

「そりゃア去年優勝した君は楽しんだのだろうがネ!
直前で勝利を奪われた私にとってはトラウマだヨ!」

「えー?
そんな事言って、今年こそはとヤル気満々なクセに!
その主張の激しいワガママボディはどうしたのよ?」

「フン!
前回の私は、君の暴力的な胸の大きさに敗れたワケだが。(>>216
同じ轍を踏む私ではないのだヨ!

見給え!
この圧巻のバスト130cm!Qカップボディを!
これには、さしもの『瀞霊廷最強・乱菊っぱい』とて敵うまい!
さァ!この神乳に平伏するがイイ!」

「あらー残念!
今年はルールが改正されて、実況席の涅隊長に参加資格はないんですよ?
せっかく豊胸手術までやったのに、無駄になっちゃいましたねー?」


「……何……だと……?
じゃあ、このおっぱいは無意味だったというのかネ!

……否!
この世に無意味なおっぱいなどある筈がない!
おっぱいはおっぱいであるがゆえにおっぱいなのだ!
おっぱいのおっぱいによるおっぱいのためのおっぱいを――」

(ズキューン!!)

「新年早々なんですか!
卑猥なことばを連呼して!
教育的指導です!」

「ちょっと七緒、指導って……ショットガンはやり過ぎじゃない?
涅隊長の脳みそ、半分以上飛び出てるわよ?
まあ、そのうち治るでしょうけど」

「脳漿を……ぐいっと押し込んで……と。
イヤ、すまんネ。
私としたことが、少々取り乱してしまったヨ。
それで?
実況の私には選手資格が無いと?
ならば同じく実況の君と、指導係……か何かの伊勢七緒君にも参加資格は無いのだろう?」

「いえ、参加しますけど?
レースをしながら、同時に実況も。
臨場感があって良いと思いません?」

「当然、私も参加します。(眼鏡くいっ!)
風紀の乱れを正すには現場から!
会議室からでは事件は解決しませんから!(くいくいっ!)」

「……えぇ?
そんな不条理が許されるのかネ?
というか。
伊勢君は何故、眼鏡を動かすたびに小声で(くいっ)と言っているのだネ?」

(バキューン!!)

「言ってません!
これは(ロール)です!
(ショットガンをしまいつつ)」

「アアア、脳みそ……脳みそ……(がさごそと周辺を探し回る)
“ロールなんて意地でも使ってはならんのぢゃ!“って山本のクソジジイに習わなかったのかネ?
(首傾げ)」

「最低限にとどめてますっ!
(顔をしかめて、指先で眼鏡を押し上げる)とか言うよりマシですし!
涅隊長も今使ってましたよ!(くいっくいっ!)」

「フム。
だが、使ってみると案外と面白くてネ(ニタァ)
しかし、流石に字面が五月蝿い。
今後は極力控えるとしようかネ。
(眼鏡くいっ)だけは例外としても、だ」

「えー、私のはだめなんですかー?
(ぶるんぶるん)」

「……伊勢君の霊圧の上昇率が尋常ではないから自重し給えヨ。
どうせ八つ当たりを受けるのは、私か京楽なのだからネ」


301 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2025/01/02(Thu) 22:16

【瀞霊廷 GANDPRIX 2025 vol.2】

「では、第4638回 新春紅白駅伝 GANDPRIX in瀞霊廷!
出場選手の発表でーす!
では、まず……
カーナンバー1番!
檜佐木修兵選手!
搭乗マシンは『ホンダCB1100』です!
“CB子ちゃん”、と呼んでいるそうでーす!キモーい!」

「えーっとあのCB子ちゃんは……
10数年前に浦原喜助に頼んで現世から仕入れたというバイクだネ。
聞けば夏冬賞与支払いアリのローンで購入したという。
当時はまだ現世のモノを霊子へ変換して持ち込むという事が稀だったとは言え……
かなりぼったくられたのだろうネ」

「フフフ、ついに俺が主役を張るときが来た!
見ててください!乱菊さん!」

「自分からフラグを立てるクセを直したまえヨ。
いいかげんに」

「続いてカーナンバー2番!
眠八號選手!
搭乗マシンは『大型二輪電動車・技術開発局スペシャル』です!
……要するに、セグウェイよね?これ?
でも怪しいなあ、変な改造してそう」

「フン!
偶然、現世の機械に似ていただけの事。
マァ、目に入れても痛くない愛娘を出走させるのだ。
安全装置だけはマシマシにしてあるがネ。
それ以外に余計な機能は付けていないヨ?」

「フーン、ま、いいけど?
優勝するのは私だもの!
さあ!お待ちかね!
カーナンバー3番!は私、松本乱菊!
搭乗マシンはディズニー世界風の馬車よ!」

「……それは“マシン”なのかネ?」

「あーら? “車両” なら何でもイイのよ!
けど、馬車を曳くのはタダの馬ではないわ!
こちらも紹介しましょう!
馬車馬は、この2頭!
射場鉄座衛門号と吉良イヅル号でーす!」

「分かるか?イヅル。
惚れた女に花を持たせてこそ、男が上がるってモンなんじゃ!」

「雛森さんを運ぶならまだしも、松本さんを運ぶなんて……
でもボク、屍人だから……仕方ないのかな……アハハハァ」

「馬の着ぐるみを着た隊長格に馬車を曳かせるとは……
アイツらには隊長格のプライドは無いのかネ!?」

「では続いてカーナンバー4番!
伊勢七緒選手!
搭乗マシンは人力車!
これを引くのは京楽総隊長でーす!」

「ボクと七緒ちゅわんの間に、プライドなんて無粋なモノは要らないよねェ♪」

「隊長格の……プライドとは……?
総隊長が率先して威厳をブチ壊すンじゃアないッ!」

「カーナンバー5番は朽木ルキア選手!
搭乗マシンは大八車!
これを引くのは阿散井恋次副隊長でーす!
新婚パワーで優勝を狙います!」

「賞金でもう一度新婚旅行に行くぞ!恋次!」

「おうよ!一護を驚かしてやろうぜ!」

「……マトモなマシンがほとんど出て来ない件について。
もう突っ込む気力も失せたヨ」

「カーナンバー6番は久南白(くなましろ)選手!
搭乗マシンは六車拳西隊長の肩車でーす!」

「ホラ、もっとやる気だせー!拳西―!!!」

「ぅうるっせぇ!! 耳元で怒鳴るんじゃねェ!!」

「チョット待て!!
アレはいくらなんでも車両とは言えんだろう!
六“車”拳西 の 肩“車”って、そんなバカな話が通るのかネ!?」

「面白いからアリ!」

「……何……だと……?……」

「ハイ次!
カーナンバー7番は、猿柿ひよ里選手!
搭乗マシンは“車”谷善之助の手押し“車”でーす!」

「オラァ、分っとるな? このアフロハゲェ!
ノロノロしくさったらドキツまわすで!」

「ひー!勘弁してくださーい!」

「……現世の虚退治を手伝ってもらったとか?
何か弱みを握られたネ、車谷のヤツ。
しかし、いくら脅迫しても手押し“車”で速度が出る筈がなかろう。
底なしのバカだネ、猿柿ひよ里は……」

「では、いよいよスタートです!
各車配置についてくださーい!
……ホラ射場さん!もっと前に出て!有利なポジションを取るのよ!」

「控えめに言って狂ってるとしか思えんヨ。
大丈夫なのかネ、瀞霊廷は……」


302 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2025/01/02(Thu) 22:17

【瀞霊廷 GANDPRIX 2025 vol.3】

「それじゃ、スタートしまーす!
よーい……」

去年の第二中継車担当から実況席へ“昇格”した阿近が号令をかける。

「スタートッッ!!!」

……アア、はじまってしまった。
この下らんレースが。

……案の定。
スタートから遅れを取ったのはカーナンバー7、猿柿ひよ里だった。
「マシン」役の車谷善之助が、スタートまでの数十秒の間に体力を使い果たしていたらしい。

「あーえっと、車谷選手、じゃねえや間違えた。
“手押し車の車谷“が力尽きたところを後続車にどんどん轢かれて行きます!
うわーありゃ重傷だな。
虎徹さーん、救助を頼んでいいっすかね?」

「このがしんたれが!
根性見せんかーい!!」

地面に這いつくばり動けなくなった車谷を、猿柿ひよ里が足蹴にしている。
もうヤメテ!
車谷のHPはゼロだヨ!

「車谷善之助の屍を踏み越えて、スタートを切った各車ですが。
やはり先頭は檜佐木修兵選手のバイクがぶっちぎり……ん?いや?
違う!あれは!」

「うおおおおおおおおお!!!
吉良ァ!もっと気合入れんかいぃい!!!」

「射場さんこそ、そんなモンですか!
ボクだって頑張れるんだってところ、見せてやりますよおおお!!」

「うそだろぉお!!
こっちはホンダだぞ! リッター超え車なんだぞ!?」

「すげえ!
カーナンバー3の松本さん、快調じゃないっすか!」

「はーいコチラ、カーナンバー3の松本!
ふふふ、そうよ!絶好調!
このままゴールまで突っ走って2年連続優勝よー!」

……だが。
松本乱菊の高笑いは、長くは続かなかったのだ。

「あん?何だ?
カーナンバー3、松本さんの馬車が急に減速して……止まったぞ!」

「ちょっと射場さん!吉良!
どうしたのよ!」

「射場さんと吉良が、馬の着ぐるみを脱いで……何してんだ?」

……まさか!
アイツら!


「う゛え゛ろ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!」


「ぎゃーーーーー!!!!
この振袖高かったのよ?
汚れたらどうすんのよー!?」

「うっわ!ゲロ吐きやがった!!
あの二人、年越しでガッツリ飲んでやがったな!!」

……確か去年もゲロゲロしていたネ、射場は>>211

学ばぬ漢一匹・射場鉄左衛門。
もう切腹した方がいいんじゃないのかネ?


【カーナンバー3 松本乱菊 リタイア】
【カーナンバー7 猿柿ひより里 リタイア】
【生き残り……5台】


303 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2025/01/02(Thu) 22:18

【瀞霊廷 GANDPRIX 2025 vol.4】

「んもー!
なんなのよー!あの酔っ払いどもは!」

「あ、松本さん、チーッス。
残念でしたね、今回は」

「ハァ、仕方ないわね。
あとは実況を頑張ろうかしら。
というわけで、阿近!
アンタは中継車に戻りなさい!」

「ええ……」

阿近が放送席から立ち去った頃。
レースは第一関門へ差し掛かろうとしていた。

「さぁ生き残りは5台!
そして、先頭の檜佐木修兵選手が『第一関門』にやってまいりました!」


……結局は、車と付けば何でもアリの障害物競走と言ったトコロらしい。
今になってようやく理解できたヨ。

で、その最初の「障害」とは。
五番隊隊長・平子真子だった。

「ハイハーイ♪
“難攻不落の第一関門”こと平子のお兄サンやでーえ♪」

本当に難攻不落ならば、第一関門に配置されないだろうに。
まァいい。お手並み拝見といこうかネ。

「つーワケで、この先は通されへんでぇー?

―――――― 倒 れ ろ
   逆 撫 ――――

……ようこそ 逆様の世界へ」

「出たー!
平子隊長の『逆撫』!
視覚情報を逆転させ、上下左右前後の感覚を逆転させる、厄介な斬魄刀です!」

「うぉおおおお!?」

檜佐木修兵が派手に転倒する。
あーあ、ローンで買ったバイクがキズモンだネ。
可哀想に。

しかし、逆撫……中々に厄介な斬魄刀だネ。
アレを克服するには感覚器官を再補正する『逆撫キャンセラー』が無ければ厳しいだろう。

そう、つまり……

「何ィ!
んなアホな!?」

「おおっとー?
カーナンバー2、眠八號選手!
何事も無かったように、涼しい顔で通過していきまーす!」

我が技術開発局のギミックを仕込んだマシンに乗る眠八號にとっては、
無風の平原を征くが如し、だヨ。
それに対して……

「何をしているのだ恋次!
そっちではない!こっちだ!」

「ええ!?ちげーだろ!
こっちだろうがよ!」

カーナンバー5の新婚のバカ二人は大八車をグルグルさせているのみだ。
ククク……あのまま喧嘩別れすればいいのだヨ!

「ちょっと隊長!
前に進んで下さい!」

「まぁまぁ七緒ちゃん。慌てないの。
だってこの状況じゃ、前になんて進めないじゃない?
風向きが変わるまで、昼寝でもしてた方がマシだよ」

「風向きが変わるまでって、いつまで……!」

「んー?
もうそろそろだと思うけどね?」

京楽春水の視線の先、息を切らせながらやって来たのは、
カーナンバー6 六車拳西……に肩車をさせた久南白だった。


304 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2025/01/02(Thu) 22:20

【瀞霊廷 GANDPRIX 2025 vol.5】

「んもう!
拳西のグズ! 
第一関門に着いたの最後になってんじゃん!」

「うるせえ!
肩車でそんなに早く走れるワケねーだろ!
ん?なんだ、この霊圧は……?
真子の『逆撫』が発動してんのか?」

「えー!もー!
面倒くさいなぁ!
やっちゃえ、拳西!」

「よし来た!
任せとけ!」

六車拳西は指をボキボキ鳴らし始めた。

「え? ちょ、お前ら!
そんなんアリなんか!
俺は“第一関門”なんやで!?」

「だから?
他の選手を殴るのはともかく、設備を殴っちゃダメとは聞いてねェぜ?」

「んなアホな!
自由過ぎるやろこのレースぅううううう!!!!」

そして平子真子は星になった。

君の言っている事は全面的に正しいと私も思うヨ。
だが、気付くのが少しだけ遅かっただけなのだ――


ありがとう、平子真子
さようなら、平子真子

あなたの勇気を、あなたの愛を、あなたの笑顔を――
私たちは忘れない――



305 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2025/01/02(Thu) 22:22

【瀞霊廷 GANDPRIX 2025 vol.6】

「さあ、現在の生き残りは……
カーナンバー1 バイクに乗る檜佐木修兵選手!
カーナンバー2 セグウェイに乗る眠八號選手!
カーナンバー4 京楽隊長の引く人力車に乗る伊勢七緒選手!
カーナンバー5 阿散井副隊長の引く大八車に乗る朽木ルキア選手!
カーナンバー6 六車拳西隊長の肩車に乗る久南白選手!
以上、5台です!

現在のトップは眠八號選手のセグウェイ!
それを檜佐木選手のバイクが猛追しています!
両選手、ほぼ同時に第二関門に差し掛かりました!」

エエっと……
第二関門は、『鵜鳴池』……だと!
チョット待ち給えヨ! この池は……!

山本のクソジジイが手塩に掛けて景観を整えた名所じゃないか!
良く使用許可が下りたモノだネ?

「そうなんですか?
一番隊副隊長の沖牙さんが、2つ返事で使用許可下さいましたけど?」

……沖牙ァ!!!

実は英国かぶれで紅茶党の雀部長次郎といい、沖牙源志郎といい。
山本のクソジジイの部下には面従腹背の輩しか居ないのかネ!

「まず眠八號選手が池超えにチャレンジするようです!
セグウェイから一旦降りて、何かガサゴソと……」

「えーっと、マユリ様がこのボタンをポチッとしなさい、って言ってました」

「おっと!セグウェイの下部が膨らんで……
空気式のゴムボートが出現しました!
眠八號選手、ゴムボート付きセグウェイを水面に浮かべると……
あ、なるほど!車輪に水かきが付いていて、水車になってるんですね!」

速度は出ないが、安全性重視の設計だから、アレで良いのだヨ。
一応聞くが、水車で水面を前進するのはルール違反になるのかネ?

「“どんぶらこ、どんぶらこ”って感じが、すっごくかわいい!
勿論オッケーです!」

……カワイイからオッケーなのかネ?
まァ、私の娘だ。 
カワイイのは当然なのだが。

「一方、檜佐木選手、これを指を加えて見ているだけか?
しゅーへー! 男を見せなさ―い!」

「そんな事言ったって!
CB子ちゃんを沈めるワケには……!」

……檜佐木君。
一つ良い事を教えてやろう!

この池の幅は約100メートルなのだが。
もし、君の自慢のバイクが、時速180kmを出せるのならば……
ソレは秒速50メートルという事になる。
つまり、たったの2秒で、その池を走破できるのだがネ?

「2秒で!?
よ、よし! それなら行けるかも!」

(ヴォォン!ヴォン!!
 クゥーーンンオオオオオン!!!)

「時速150km……180km!!
見せてやるぜ! 俺のバリバリ伝説!!
うおおおおおおおおおおお!!」


(ざっぱーん)


【カーナンバー1 檜佐木修兵 リタイア】
【生き残り……4台】



306 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2025/01/02(Thu) 22:34

【瀞霊廷 GANDPRIX 2025 vol.7】

ククク!
檜佐木修兵め、ローンまみれのバイク諸共、まんまと沈没してくれたネ!
馬鹿なヤツだヨ!

「もう浦原商店に身体売るしかないんじゃないかしら?
ま、どうでもいいけど♪
さあ、先頭は眠八號選手!
それを追いかける3台のマシンはいずれも人力推進式ですが、どうするか!」

……そりゃアやっぱり。
泳ぐしかないのではないかネ?

「ああもう、せっかくのオシャレが台無しだよ。
七緒ちゃん、申し訳ないけど、着物持っててくれる?
あと、このフンドシを人力車の手すりに結んで、と」

「京楽隊長、カーナンバー4の人力車を引きながら平泳ぎです!
ゆっくり、ゆっくり進んでいきます!」

「京楽隊長に遅れを取るわけにはいかねえ!
見てろルキア!
俺の魂の泳ぎを見せてやるぜ!!」

「一方、カーナンバー5の大八車を引く阿散井副隊長は……
やっぱり犬かきです!
咬ませ犬だけに!」

「誰が咬ませ犬だチクショー!!」

「気合だけは十分で、凄まじい水しぶきが起きてますが、おっそーい!」

「あばばばばばばば!!!」

後ろの朽木ルキアが窒息寸前になっているヨ。
あ、阿散井の尻から、何かが飛んだ……

「(べちゃあ)……ぴっ!
なん……だ、この布は!?
ひぃぃぃっ!
おいバカ恋次!フンドシが私の顔に付いたぞ!」

「えっ?嘘!?
あ!いつの間にか脱げてた!」

「馬鹿者!とっとと直さんか!
馬鹿者!馬鹿ものおおお―――!」

「痴話ゲンカはいいから、早くフンドシ締め直しなさいよ!」

マッタクだヨ!
お茶の間に粗末で些末で些細で微小で卑小でチンケなモノを映してどうするのだ!
新年から縁起が悪い!

「オレのモノを縁起モノ扱いすんじゃねえ!!」

「……しっかし、1位から3位まで、みんなおっそいわねえ。
レースとは思えない、とてものどかな光景だわ。
もう一台、カーナンバー6はどうなったのかしら?」


「(ぶくぶくぶくぶく.。o○)」


……水没しているネ。

「え!? 六車隊長ってカナヅチなの!?」

卍解の名前からして、『鐵拳断風(てっけんたちかぜ)』なのだヨ?

通常、人体の比重は水に対して0.9-1.0といったトコロなのだが。
筋肉と金属だらけのヤツは、水よりも圧倒的に重くなる。
特殊な泳法でも身に着けない限り、浮上すら出来んだろう。

ヤツにシンクロナイズドスイミングでも練習させるかネ?

「いえ、ノーサンキューです!」


【カーナンバー6 久南白(六車拳西の肩車に搭乗) リタイア】
【生き残り……3台】


307 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2025/01/02(Thu) 22:39

【瀞霊廷 GANDPRIX 2025 vol.8】

「さあ、レースもいよいよ最終関門に差し掛かりました!
現在先頭は……え?
カーナンバー4!伊勢七緒選手です!」

さすがは京楽春水。
眠八號のマシンよりも早く、人力車を引いてきたか!
だが……!

「最終関門は……涅隊長が作ったクイズロボットが相手です!」

フン!
もっと“まともなレース”になるモノだと思って用意したロボだが。
まァいい。
我が技術開発局の驚異のメカニズムを刮目して見るのだネ!

最終関門は……
超高性能霊子AI搭載クイズロボ!
『雨竜君・伍號』だヨ!!

「んんー?
キテレツ大百科のコロ助みたいなボディに、石田雨竜の頭部?
何であんなデザインに?」

ククク……
ヤツと滅却師どもをバカにする以外に、目的なぞあると思うのかネ?

【ガガ…ガ…問題で……ス……】
【京楽シュンスイ…ガ…好きなオッパイは…次のどのオッパイでショウカ?】

「…………。
何だか滅却師たちが可哀想になって来たわ。
私、死神に生まれて本っっっ当に良かった!」

【A:松本ランギク】
【B:コテツ勇音】
【C:伊勢ナナオ】

「ひ、卑猥です!
何なんですか!この問題は!!」

「答えないと失格よー、京楽隊長」

「えっ!?
ハハハ、い、いやだなあ、そんな……。
ボ、ボクが好きなのは、七緒ちゃんの胸に決まってるじゃないの!
ねえ?」

……この『雨竜君・伍號』の凄いトコロはネ?
嘘発見器も装備しているという事だヨ。

ウソの回答をすれば……?
元破面ゾンビの“チョコラテ君”を殺すほどの電撃が!!


<<バリバリバリバリー!!!!>>


「ギャアアアアアアアアア!!
嘘じゃないってばぁあああ!!」

「キャアアアア!!!
隊長のバカァ!バカぁ!」

「痛い痛い!
電撃浴びながらメガネのツルで頭をグサグサ刺すのやめてー!」


【カーナンバー4 伊勢七緒(京楽春水の人力車に搭乗) リタイア】
【生き残り……2台】


308 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2025/01/02(Thu) 22:42

【瀞霊廷 GANDPRIX 2025 vol.9】

「うわぁ、石田のヤツ……。
尸魂界中にこんな姿を晒してるなんて、夢にも思わねえだろうなあ。
でも、一護のバカに教えたら笑い死ぬかな?」

「おい、マジメにやらんか恋次!
石田が出題しようとしておるぞ!」

【ガ……ガガ……ソレデハ問題デス……】
【朽木ルキアの……ブラジャーのカップを……答えヨ…】

「んなっっ!!!!
石田の馬鹿者!!
何を言っておるのだ!!」

「馬鹿野郎!石田!
お茶の間にそんな個人情報を晒せるか!!」

心配いらないヨ?
ちゃんと放送の霊波に乗せる際には“BEEP音“を付けて。
視聴者には聞こえないようにしてやるヨ?

「ほ、本当でしょうね?
じゃ、じゃあ、仕方ねぇか……」

「小声で!
なるべく小声で言うのだぞ!恋次!」

「ええっと、答えは 【 ビー 】 カップ、だな」

「なっっっ!?
何だ、今のBEEP音は!
ビーって鳴ってしまったら、答えを言っているのと一緒ではないか!!」

「え?
ルキア、でもお前……」

「何だ恋次!?
何か文句でもあ――――」


<<バリバリバリバリー!!!!>>


「ギャアアアアアアアアア!!
お前!!こんな時に見栄張ってんじゃねええ!!!
Bカップも無えだろうがぁああああ!!!!」

「キャアアアア!!!
うるさいうるさい!!!そんなのは体調にもよるしぃ!!
私だってなァ!!私だってなァァアアア!!!!!」

「もうダメだわ、この夫婦……」


【カーナンバー5 朽木ルキア(阿散井恋次の大八車に搭乗) リタイア】
【生き残り……1台】


309 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2025/01/02(Thu) 22:47

【瀞霊廷 GANDPRIX 2025 vol.10】

さて!
2組の焼死体(?)の横を涼しい顔をしながら通り抜けてきたのは!
カーナンバー2 眠八號選手です!」

……もう他は全部リタイアしたのだろう?
眠八號が優勝でいいのではないかネ?

「そういうワケには行きません!
八號ちゃんにもちゃんとクイズを受けてもらいまーす!」

……フン!
どうなっても知らんヨ?

【……ガ……ガガ……問題デス……】
【松本ランギク……の……初恋の人は……誰?……】

「は!?
ちょ!え?
何言ってんのよぉ!石田ァ!!!」

「はい。それは……いちまる 【 ビー 】さんです」

「何なのよ、あのBEEP音!
さっきから何の役にも立ってないじゃないの!」

……まァまァ。
市丸と言っても、双子の兄弟の市丸キンさんかもしれないじゃァないか?

「キンさんギンさんみたいな双子のキツネじゃないわよ!
で、でも、まあ……初恋、だからね!
あくまで、初恋、よ!」

【第二モン……松本……乱菊の今……好きな人は?】

「はい。それは…… 【 ビー 】まる ギンさんです」

「もう嫌だ……!
何で八號ちゃんに対する問題が、私のプライベートなのよ!?」

そこはホレ、エンターテインメイト性も追求した、
超高性能霊子AIの『雨竜君伍號』だからこその……

【第三問デス……
>>244 名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/08/05(Mon) 07:43
マユリでも初デートとかしたことあるの?】

……ヘ?
な、何を言っているのだネ、石田雨竜!!
しかも誰だネ! “名無しさん@お腹いっぱい”とは!!


「はい。マユリさまにそんなモノは存在しま【 ビー 】 」

……石田雨竜!!
許すまじ!!
この恨み、はらさでおくべきか!!!!

「わーすごーい……。
何でも知ってるのねー、八號ちゃんはー。
じゃあ、このままゴールして優勝ってことねー」


「 ち ょ っ と 待 っ た ぁ ぁ ! ! 」



310 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2025/01/02(Thu) 22:51

【瀞霊廷 GANDPRIX 2025 vol.11】

何だ?
もう優勝は眠八號で決まりのハズ……

「俺は……まだ!
勝負を諦めちゃいないぜぇ!!」

「こ、これは何と……!
檜佐木修兵選手です!
リタイアしたと思われた檜佐木修兵選手、ボロボロになりながら……
バイクを担いでここまで走って来たようです!」

……何と!
本当に暑苦しい男だネ……

「不屈の男と言ってくださいよ!
さあ、石田雨竜!
オレへのクイズは何だ!」

【ガガガ……ガガ……檜佐木修兵の好きなオッパイは、次のドレ?】
【A:松本乱菊】
【B:朽木ルキ……】


「乱 菊 さ ん の お っ ぱ い ! !」


「うっわ、キモ!
っていうか、何で私の胸ばかりクイズにしてんのよ石田ー?
やっぱりムッツリスケベなんじゃないのー?」

眠八號!
ターボだ! ターボスイッチをオンにするんだヨ!!

「はい、マユリさま!
……ぽちっとな」


(どひゅーーーん)


「眠八號選手のセグウェイ、後部にジェットエンジンを付けていたー!!
ぐんぐん加速して、ゴールは目の前だー!」

「うおおおおおお!!!
勝つ! 絶対に勝―――つ!!!」

「檜佐木修兵もここに来て、凄まじいダッシュを見せるー!!
勝つのはどっちだー!!!!」


311 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2025/01/02(Thu) 22:53

【瀞霊廷 GANDPRIX 2025 fin】

チッ!
コレはまた微妙だネ!
勝ったのは――


「勝ったのは――
檜佐木修兵選手でーーす!!」


……こうして。
第4638回 新春紅白駅伝 GANDPRIX in瀞霊廷は、
万人の予想を覆し、檜佐木修兵となったのだった。

勝利者を予想して賭けをしていた者達は軒並み悲嘆に呉れた。
中でも更木剣八が荒れに荒れたため、十一番隊舎は倒壊したという。

一方、この超万馬券を引き当てたのは山田花太郎だった。

彼は朽木ルキアに〇印をしたつもりだったのが、過労でウトウトしてしまい、
間違えて檜佐木に〇印を付けてしまったのだそうだ。

以来、山田花太郎は十一番隊の連中に命を狙われる事となり、外出不能となっているらしい。
……まァ、私の知った事ではないがネ。

ちなみに、優勝者インタビューでの檜佐木修兵の第一声は、

「今まで生きてきた中で一番幸せです!!」

……という、昔の現世で金メダルを取った少女と同じセリフだった。
まァ、そうだろうネ。
これまでの人生で、勝利者になった事などほぼ皆無だったのだから。

なお、優勝賞金も贈呈されたのだが、その直後に債権者から取立てを受けていた。
浦原喜助からは、バイクのCB子ちゃんのローンの残債清算を。
沖牙源志郎からは、『鵜鳴池』の清掃及び原状回復費用を。

さらに松本乱菊からギャラリー全員に奢るように強要されていた。
あっという間に無一文になった彼は、

「何も言えねえ」

と、これも現世のメダリストと同じコメントで締めくくったのだった。
身から出たサビとしか言いようがないがネ!

と、まァ……
そんな形で瀞霊廷の新年も明けたワケだヨ。


>>220
【マユリお返しは?】

此処の検体の諸君に世話になったお礼として、
正月の馬鹿レースのリポートをお届けしたワケだが。

こんなに長い報告になるとは思いもしなかったヨ。
自分でもネ。

>>253
【アニメ千年終わってもマユリここ続けてくれるの?】

モチロン、続けさせてもらうヨ。
少々……いや、かなり遅くなったり、ペースに緩急もあるかもしれないが、ネ。

せっかく此処で始めた出張所だ。
業務の一環とはいえ、なるべく楽しんで続けて行きたいと思っている。

コレからもヨロシク頼むヨ、検体の諸君!


312 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2025/01/07(Tue) 18:26
アニメ千年また中断!?

313 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2025/01/07(Tue) 18:28
以前友人が剣八がヒロインで
一護助けるの嫌がるSS書いてたが

ペルニダ戦は実質剣八ヒロインで
マユリがヒーローだったかも
ネムは相棒で


314 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2025/01/07(Tue) 20:15
マユリ殿が家電ともコラボした

315 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2025/02/17(Mon) 22:03
もしもし?俺っちナナシーさん 今、このスレの状態1ヶ月過ぎてるの?

316 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2025/03/24(Mon) 03:29

オカシイ……何度シミュレートしても計算が合わん!

相手投手の投球は時速159km。
それに対するバットのスイングスピー、時速122km……と。

結果、打ち出された打球の初速は時速187km。
射出角度は34度。

ならば……
打球は143メートル以上飛ぶはずだ!
それが何故……!!

「あ、居た居た。
何やってんすか、局長。
虎徹隊長が輸血製剤の製造スケジュールの打ち合わせに来てるんですけど?」

そんなモノは後回しにし給えヨ、阿近!
血が足りんのなら十一番隊の奴らから一人3リットルくらい抜き取ってしまえ!

それよりも!
大谷翔平の打球だヨ!

あの第一号ホームランは、東京ドームの右翼後方か二階席へ着弾して然るべき打球だったのだ!
それが何故、右翼最前列の観客の手に当たらねばならん!

こんな事は有り得ない!
コレは科学史を揺るがすミステリだヨ!

「え?
アレは、打球が東京ドームの天井に当たって、途中で角度が変わってたんですよ?」

……何……だと?
では、アメリカのメディア関係者が「疑惑のホームラン」呼ばわりしているのは……

「完全な言いがかりっすね。
去年の通訳の件といい、大谷アンチがそれなりに居るって事でしょう」

ムッキー!!
許せん!!
アイツら、死んだら全員実験台にしてやる!!

「西梢局のウイング・バインドとモメ事になるから勘弁してくださいよ。
つーか、いつから大谷翔平ファンになったんすか?」

フン!
当たり前じゃアないか!
あんな素晴らしい素材は100年の1体あるかないかだヨ!
今からバラバラのぐちゃぐちゃに解剖するのが愉し……イヤ、楽しみで仕方が無いヨ!

「へいへい。
あと60年くらい先の話でしょうけどね。
っていうか、もう3月も終わろうとしてますけど。
また随分と間を空けましたね?」

確かに。
気付けばアッっという間だったネ。

鵯州が「くら寿司」でナレーションのバイトをしている藍染惣右介を見つけたというから、
冷やかしに行こうと思っていたのに、ソレも終わってしまったヨ!

「そこはそっとしといてくださいよ……」

マァ、アレだ。
悪魔の祭典であるバレンタインデーとホワイトデーも終わっていたのだけが救いだネ。

>>220
【マユリお返しは?】

フフン!
>>206>>207の事かネ?
結局はソレが目的なのだろう?
私がそんな浅薄な策に乗ると思うのかネ?
射場鉄座衛門や檜佐木修兵と一緒にするンじゃアないッ!

「あの二人、いかに松本さんへ豪華な返礼を贈るかを競った挙句、多額の借金をして。
『大前田宝石貴金属工場』で馬車馬のように働いているらしいっすね」

松本乱菊のアレは、特級呪物か何かじゃないのかネ。
関わりたくもないネ!


317 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2025/03/24(Mon) 03:29

>>218
【ペペの愛対策もして来たの?
操られている本人すら気付かないから
ジジゾンビと違って分かり辛い支配だが】


『ペペ・ワキャブラーダ』。
星十字騎士団を自称する滅却師の一人。
聖文字は『L』、だネ。

フン!
あんな醜悪なヤツに私のゾンビが操られるワケが無いだろう!

私とヤツとでは、美的センスに天と地ほどの違いがあるじゃアないか!
比べモノにならん!
あんなヤツの操り人形になどなったら、それこそ世間の笑いモノだヨ!

その点……
この私のゾンビになれるのならば……
ソレは誇るべきことだヨ!

あの偉大なる技術開発局二代目局長である涅マユリさまのゾンビ!
あの美意識の塊!威風堂々、荘厳なる涅局長のゾンビ!
皆が羨むに違いない!

というワケだ、>>218
君も涅骸部隊の一員となり給えヨ!


318 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2025/03/24(Mon) 03:30

>>219
【茶度ボクシングだけでなくヤムチャ野球もだが
超人、人外の中であまり強くない者が
常人中で無敵は複雑
本人的には幸せかもだが
今まで応援した身としては「そら強いだろ…」
と冷めてしまう】

全く同感だネ。
一般人には一般人のカテゴリというモノがある。
それを侵犯するのは感心せんヨ。
せいぜいメカ丸をピッチングマシンにするぐらいに留めておくべきだと思うのだがネ。

とはいえ。
茶渡泰虎の場合は純粋な筋力と拳闘の技術だけで戦っているそうだヨ。

世間一般に尸魂界の存在や力の仕組みをバラしてしまうワケにもいかないし。
そもそもヤツにその気が無いからネ。

マァ……その気になれば十刃級の力を持つ男だ。
ヤツが本気でやったら井上尚弥だろうがマイク・タイソンだろうが木っ端微塵にされてしまうヨ?
真の能力を発揮したヤツに勝てる人間などいるワケが……

……イヤ。
今、我が技術開発局の誇る超々々高度演算機・『扶桑・改』に計算させてみたのだがネ?
20%程度だが、本気の茶渡泰虎に勝てる可能性を持った人間が2名ほど居るようだ。

ガッツ石松と具志堅用高がそうらしい。

コイツ等は人間というよりは……野獣とアフロだからネ。
もっと別の生物というべきだろう。


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