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■ ■中世ファンタジー世界総合 11■ ■

1 名前:シェンリー ◆LnUU8pic 投稿日:2020/10/25(Sun) 00:41
ファンタジー世界を背景に持つオリキャラの総合スレです。
ファンタジー系のキャラクターを演じて
名無しさんの投下するネタや質問に答えたり、仲間に話題を振って会話をしましょう。

【ルール】
 1. 参加キャラは、このスレッド独自のオリジナルであること。
 2. 参加キャラは、キャラ紹介テンプレを使って自己紹介をすること。(>>2にあります)
 3. 単発系の質問・ネタ投下歓迎。
 4.誹謗中傷などはスルーすること。


【外部サイト】
中世ファンタジー世界総合スレッド避難所
 ttp://jbbs.shitaraba.net/otaku/17089/

中世ファンタジー世界総合wiki
 ttps://wikiwiki.jp/medievalftsy/

2 名前:シェンリー ◆LnUU8pic 投稿日:2020/10/25(Sun) 00:41
【キャラ紹介テンプレ】(追加・省略可)
名前:
年齢:
性別:
身長:
体重:
種族:
職業:
属性:
性格:
利き手:
魔法:
特技:
装備品:
所持品:
髪の毛の色、長さ:
容姿の特徴・風貌:
趣味:
将来の夢(目標):
簡単なキャラ解説:

3 名前:シェンリー ◆LnUU8pic 投稿日:2020/10/25(Sun) 00:43
ふ、ぁ……。朝……。
(東の山あいから日が昇る。寝床にしていた洞穴で羽を休めていた私は、岩の隙間から差し込む温かな日差しで目を覚ました)
(随分と長い間眠っていたようだ。身体は鉛のように重く、思考も靄がかかったかのようにはっきりしない)
(この洞穴は羽を広げても問題のない広さ。翼をゆっくりと広げて全身に血を行き渡らる。少女の身体とは不釣り合いな飛膜。それをを軽く羽ばたかせた)
(洞穴の中に風が吹きすさび、砂煙が宙を舞う。私は深く深呼吸をして、毛布代わりにしていた外套を手に取る)
(頭の双角が、飛膜が、長い尾が、みるみるうちに小さくなって身体の内側に引っ込んでいった)

いい天気……。行って、きます……。
(幾分か軽くなった足を外へと向ける。晩秋の朝、ひんやりとした空気と適度な湿気が心地よく、もう一度深呼吸してしまった)
(少々目立つ服装――儀礼用のチャイナドレス、それを、目立たない茶色い外套を羽織る事によって隠す)
(随分と長い間お世話になった洞穴に、お礼の言葉を残して。私は新たな旅に向かう)
(今度は、どんな人たちに出会えるんだろう――そんな期待に、胸を躍らせて)


■    ■    ■    ■    ■    ■    ■

名前:シェンリー
年齢:13歳
性別:女
身長:148
体重:40
種族:ドラゴニュート
職業:旅人
属性:水
魔法:自然操作・竜変化
特技:動植物と意思疎通が取れる
性格:内気で臆病
利き手:右手
装備品:くすんだチャイナドレス、使い古した外套、封印の腕輪
所持品:路銀少々
髪の毛の色、長さ:金銀が混ざり合った無造作な長髪

容姿の特徴・風貌:
色素の薄い肌色に大きな丸い真紅の眼を持つ。
頭部に枝分かれした一対の角を持ち、背には身体と不釣り合いなほど大きな翼、岩から削りだしたような尾  
普段は竜の特徴を抑えているが、油断した時や魔法を行使する時などは出現してしまう

趣味:おしゃべり、観劇、空を飛ぶ事
将来の夢(目標):世界中を見て回り知見を広める事
簡単なキャラ解説:
世界の精気が集まり形を成して生まれた、最後の古竜
生まれて間もないために物を知らず、故郷に災いを振り撒き追放されて以来、安住の地を求めて放浪していた
道中に関わった人々の影響で人に興味がわき、それ以来は人の世に身を投じる
種族由来の強力な魔力を秘めるものの争いごとを好まず、その力を他者に向ける事は基本的にない

4 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2020/10/25(Sun) 00:48
懐かしいスレやのう
前スレ落ちてたのか

5 名前:シェンリー ◆LnUU8pic 投稿日:2020/10/25(Sun) 00:53
>>4
……え、えっと……うん……。
もう、あの穴の中に、住んでれば、いいかなって……思ってたけれど……。
こんなに、いいお天気、だから……。前みたいに、また、旅をしてみたくなったの……。
……えへへ、あなたも、旅の途中……?気を付けて、ね?良い旅を……。
(久しぶりの人との会話。声の出し方は何とか覚えてたようで、一安心。といっても、消え入りそうな声だけど)
(なんとか会話を終えたあと、外套のフードを目深に被り、通りすがりの旅の方に頭を下げた)

6 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2020/10/25(Sun) 01:03
あんた達もう聞いたか?
なんでも、遺跡の調査に向かった連中が消えちまったって話だ
学者の先生と護衛の冒険者、合わせて七人だか八人だか…

7 名前:シェンリー ◆LnUU8pic 投稿日:2020/10/25(Sun) 01:17
>>6
遺跡……昔の、建物……。
危ない場所、なんだよね……?その人達は、どうして、危ないって分かってて、そこに向かったんだろう……。
(その手の感情は、理解できなかったけれど……今は、今なら分かる気がする。それは好奇心、知識の探求)
(知らない事を新しく知るって言う事は、とても楽しくて、素晴らしい事だ。身を危険に晒してでも手に入れる価値がある事……)
……あの、その遺跡って、この近く、だよね……きっと、多分……。
え、えっと……私、出来る事は、あまりない、けれど……どこにあるか、教えてほしい、です……。
(もしかしたら助けれられるかもしれない。それが無理だとしても、彼らの遺志を継いで、遺跡から何かを見つけられるかもしれない)
(誰に頼まれたわけでもないけれど、それは私にとって、とても“嬉しい事”のように思えた)
(行く宛のない旅、気の向くままに、風の精の囁き声のする方へと向かおう。私は、学者達が消息を眩ませた遺跡を探してみる事にした)

8 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2020/10/25(Sun) 02:32
宇宙に行こう

9 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2020/10/25(Sun) 06:23
おう?ここは……
ガリガリの小娘霧使いがいましたかなあ
南方へ行くとか何とか言いながら消息を絶ってしまったが……

10 名前:シェンリー ◆LnUU8pic 投稿日:2020/10/25(Sun) 13:52
……そっか、もうすぐ、収穫祭なんだね……。
どこか、人がたくさん住んでいる所に付けると、いいけれど……。
(一年の豊穣を感謝し、神様にお祈りを捧げてみんなで楽しくお祝いするというお祭り)
(そういう場所や催し物は、私は好きだ。普段は難しい顔をしている人たちも、一様に笑って、一年の無事を喜びあっている)
(そんな人たちの姿を見ていたら、私も胸の底から、何か温かいものがこみ上げてくるから。それは、とても心地が良いものだった)

>>8
う、ちゅう......?空の、向こう側、だよ、ね……?
宇宙には、神様、が……居るのかな……?ずっと、ずっと、飛んでも……私の翼でも、辿り着けない……。
見たことがないものは、見たくなるし……何があるのか、知りたくなる、よね……。
あなたは、宇宙を目指す……とても、素晴らしい夢、だと、思います……。頑張って、ね……?
(空はこんなにも高くて、この世界をどこまでも見守って、包み込んでくれる)
(夜になると宝石のような星々が煌めき、それを手にしてみたくて、高く、高く飛んでも、星の輝きは変わらず、手は届かない)
(だから、空の向こうへ行こうという彼の言葉は、夜空の星々に負けないくらい輝いて見えた)

>>9
霧の、魔女……。その人とは、少し……お話したことが、ありました……。
あなたも、知っているの、ですね?同じ知り合いがいる人って、なんだか、他人、じゃないような気がします……。
へへ、ごめんなさい。変、ですよね。……
霧は……風に吹かれて飛び散っても、また、どこかで集まって……形になる、から……世界の、どこかに……。
だから、その……霧の人も、きっと、どこかで……ぷかぷか、霧を吹かしていると、思います……。
きっと、そうだよね……そうだったらいいなぁ……。
(他に知り合った面々も、きっとこの世界のどこかで、自分の生を全うしているんだろう)
(私も負けないようにしないと……。フードを目深に被り直し、旅の方に一礼。街道をゆっくりと歩いていく)

11 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2020/10/25(Sun) 14:04
(´・ω...:.;::..あとは……頼んだ…ぞ…!
(´・...:.;::..お前達の力で…必ず…
(´...:.;::..この世界の…平和…を…!
..:.;::..…………!

12 名前:シェンリー ◆LnUU8pic 投稿日:2020/10/25(Sun) 14:12
>>11
え、えぇ、っと……?あ、あの……世界の平和、とか……えっと……。
……あ。あの、ごめんなさい……!世界の、平和は……荷が、思い、です……。
(不思議な人、だったけれど、先程話に出ていた霧使いの女のことは、おそらく、別人)
(すごく、重大な事を言いながら消えていったけれど、そんな事、私がどうこうできる力なんてない)
(もう消えてしまったあの人の残滓に、消え入りそうな声でお断りの言葉を残す事しか、私にはできなかった)

13 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2020/10/25(Sun) 19:58
洞窟で落とし穴に落ちた

14 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2020/10/25(Sun) 20:02
かわいいお嬢ちゃん、かぼちゃのお菓子はいかが?
仮装用の衣装もあるよ!

15 名前:シェンリー ◆LnUU8pic 投稿日:2020/10/26(Mon) 00:45
……わぁ……。
(空を飛ぶのも好きだけれど、自分の足で一歩一歩、ゆっくりと進む旅では、世界は私に、また違った色を見せてくれる)
(森の木々の植生の変化や、鳥や獣の力強い生命の息吹。街道を行き交う旅人たちとの、何気ない会話――)
(その全てが、群れからはぐれた渡り鳥みたいに、迷い飛んでいた頃には見れなかった色だった)
(寝床にしていた洞穴から人の住む集落に辿り着くまで、徒歩で三日程。ちょうどこの村は収穫祭の準備に追われているようで、小さいながらも活気に満ちていた)
(飾り付けられた家々、村の広間に据えられた大きな焚火、せわしなく動き回る村の人々……それらを目にして、感嘆の声が漏れる)

>>13
あ……だい、じょうぶ……?無事に帰ってこられて、良かった、ね……?
洞窟の中は……暗くて、トゲトゲしていて……あなたたちには、ちょっぴり、大変な所かも、しれないから……。
そんなところで、落とし穴に落ちたら……そのまま、かえってこれなくなるってこと……よく、あるみたい……。
だから、うん……あなたが、無事に帰ってこれたことは……とても、幸運なこと、って、思います……。
……え、え、っと……?あ、は、い……そうだよね……落ちないに、越したことは、ない、よね……?
不幸中の、さいわい、って、いうのかな……こういうの……。

>>14
お菓子……。え、っと……ほんとに、いいの……?
ありがとう、ございます……えへ、甘いもの、好きだから……。
(食べ物は、食べなくても生きていけるけれども、美味しいものを食べると、いつもよりも元気が出る気がする)
(甘いかぼちゃを練り込んだパイ。出店のおじさんに、一切れ渡してもらって頬が緩んでいくのを感じた)
(お礼に頭を下げ、ちょっとだけ持っていた銅貨をお渡ししたあと、長椅子に腰を下ろして早速それを頬張る)
ん、ん……おいしい……。
(ぽかぽかと身体が暖まるような、そんな感覚。それがお腹から全身に広がって、頭を蕩けさせる)
(仮装用の衣装?っていうのも気になるけれど……どんなものだろう。劇団みたいな、綺麗な衣装が用意してあるんだろうか)


16 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2020/10/26(Mon) 20:24
私の魔法であなたを癒して差し上げましょう

17 名前:シェンリー ◆LnUU8pic 投稿日:2020/10/26(Mon) 22:33
……えっと、仮装、してないんだけどなぁ……。
(外套を脱ぐと、くすんではいるが身に着けている衣服の赤が映える)
(そういえば、この服を買ってもらった時もお祭りの時だったかもしれない)
(動きやすいし、丈夫そうだし、一目で気に入って旅の連れに買ってもらったけれど)
(これは、普段着ではなく、こういったお祭りや儀礼の時に身に着けるものだったらしい)
(おかげで普段は酷く目立つけれど、仮装している人もちらほら見かけるこの時期は、それなりに周囲に溶け込めそうだ)

>>16
え……?その、気持ちは、すごく、ありがたいです……嬉しい……。
けれど、私、どこもケガはしてないから……大丈夫……。
あちらの道沿いで、転んでひざを擦りむいてる子がいるから……その子を、癒してあげて、ほしい、です……。
……癒しの魔法が使える事って……素敵、だよね……。
この、チカラを、けがを治すチカラに変えられるのって……すごいなぁ、って……。

18 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2020/10/27(Tue) 01:38
ねぇ、何か冒険に役立つ資格・スキルの取得を目指してる人っている?
フリーランスの冒険者たるもの、常に己の実力を高めようと考えてるんだけどさ
どの方面に行こうか、ちょっと迷ってるんだよねえ…
もしよかったら参考程度に聞かせてくれない?

19 名前:シェンリー ◆LnUU8pic 投稿日:2020/10/29(Thu) 22:52
いよいよ明日は、収穫祭……はろうぃーん、だっけ……?本番、だね……?
何をする、ってことはないけれど……楽しみ……。
お祭りが終わるまでは、この村に、いようかなぁ……。
(ここは規模の小さな村だけれど、お祭りの準備で活気があふれていた)
(大きな街での盛大なお祭りとはまた違った、素朴で温かな雰囲気の中で行われる、お祭り)
(それはとても居心地が良いもので、旅の歩みを遅らせる。といっても、当てのない旅ではあるから問題ないが)

>>18
あなたは、冒険者……なんですね……。
(遺跡や廃墟に潜り、人の手に益となるものを持ち帰る。あるいは害となる魔物を討伐したり、または様々な人助けをしたり……)
(いわゆる、旅をしながら色んな事をして、お金を稼いでいる人たちを冒険者、っていったっけ)
(以前、旅の連れ合いの伝手で、そのような仕事を一緒に受けた事を思い出した。その時に、一応私も登録?のようなものをした気がする)

ん、んー……?資格、スキル……あなたは、とても、頑張り屋さん、なんですね……。
地図を読めるとか……火をすぐに起こせるとか、そういうのは……大事、だけれど……きっと、もっとレベルの高い事を、言ってるんだよね……。
……え、っと……私は、その……あまり、冒険者については、詳しくない、けれど……。
みんなで力を合わせて、足りない所を補い合って……冒険とか、お仕事をする…って、聞いたことがあります。
だから、今の自分の得意な事……それを、伸ばしていく感じで、勉強していけば、いいんじゃないかなぁ……?
ん、っと……見当はずれ、だったら……ごめんなさい。あなたの旅路に、幸がありますよう……お祈りしています。

20 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2020/10/30(Fri) 18:35
俺はこのランスで魔物を串刺しにして来るぜ

21 名前:シェンリー ◆LnUU8pic 投稿日:2020/11/01(Sun) 15:18
ふぅ……ん、えへ、楽しかった、かも……。
次は、どこに、向かおう、かな……。
(小さな村で迎えたハロウィン祭り。ほとんどお金は持っていなかったけれど、少しの食べ物と、お酒を分けてもらえた)
(道中の無事もお祈りしてもらい、とても満ち足りた気持ちで、この山あいの村を立つことができた)
(村と街道を繋ぐ小道を出て、周囲を見渡す。当てのない旅路……一先ず、学者たちが消息を絶ったという遺跡へと向かおうか)

>>20
立派な鉄……あなたは、魔物を倒すことを、仕事にしている人、なんですか……?
ん……お日様の力が弱くなって、夜が長くなってきたから……夜を生きるヒトたち……魔物……さん?
そういう人たちが、活発になってくる、ね……。
んっと……自分の身を、守るためなら……串刺し、にして……払うのは、仕方のない事、だと、思います……。
反対に、やられたりしないように、気を付けてください、ね……?

22 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2020/11/02(Mon) 16:46
巨人討伐の依頼が来たぞ

23 名前:シェンリー ◆LnUU8pic 投稿日:2020/11/02(Mon) 22:35
雨……強い、ね……。
(北風と一緒に冷たい雨が吹き付ける。外套のフードを目深に被り直し、日が落ちて夜の帳が落ちた街道を一人往く)
(空は分厚い雨雲に覆われ、月の光も星の光も届かない、暗い夜道。私の他に歩いている人は誰も居ない)
こっち、かなぁ……。
(翼を使わずに歩く速さは一般的な旅人比べてもひどく遅い。この姿では、歩みも見た目相応のもの)
(風の唸る音に獣の吼え声が混ざっているような気がして、ほんの少し歩みを速める。どこか雨宿りできる場所があると、いいけれど)

――――ん、今日は、ここで休もう……。
(幸運なことに、雨露が凌げそうな廃墟を見つけた。崩壊した石造りの建物だけれど、寝床にするには十分だ)
(本当の事を言えば、一晩中歩き続けても、雨風の中で横になっても平気なのだけれど、人の世の中で生きているのに、そんな事をするのはおかしい)
(それに、旅中でどこか野営を張れそうな、そんな素敵な場所を見つけるのが楽しみの一つにもなっていたから)

>>22
あっ……あなたも、雨宿り中、ですか……?雨も風も強くて……とても、心地いい、夜ですね……?
火を焚こうと思ったけれど、良さそうな火種も、小枝もないし……全部濡れてて、今日は、起こせそうに、ない…かも…?
ん、んー……あ、そうだ。あのね?私、魔法が使えるんです……だから、火おこしくらいは……暖を取る、だけなら、良い、よね……?
――――えへ、これで震えずに、夜が越せそうですね……。水も、土も、風も好きだけれど……火があると、安心、しますよね……。
火は、いつも……人に寄り添ってきた、夜の闇から、寒さから、守ってきた、そんな……元素の中でも、より、人に身近な物だと、感じます……。
巨人の討伐に、行かれる途中、なんですね……。小さなヒトが、大きな、巨人さんとか、ドラゴンとか……。
そんなものに、立ち向かうなんて……すごい、って、感じます。……なぜ、討伐しないといけないのかは、分からないけれど……。
それが、必要な物なら、仕方がない、よね……あなたの、無事をお祈り、させてもらいます、ね……?それでは、おやすみなさい……。

24 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2020/11/04(Wed) 13:33
この辺でタコみたいな変な小動物見なかった?
ウチで合成獣の研究してたんだけどちょっと逃げちゃって…

25 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2020/11/06(Fri) 20:12
君の必殺剣を見せよ

26 名前:シェンリー ◆LnUU8pic 投稿日:2020/11/08(Sun) 14:15
ふぅ……。ちょっと、休憩……。疲れてはいないけれど……。
足を止めて、ゆっくり座って……周りを眺めてるのが、好きなんです……。
(翼を使えば、気を懸ける間もなく通り過ぎてしまう景色たち)
(こうして地に足を付いて歩いけば、その全てを目から、耳から、肌から感じられる)
(興味が引かれる事を見つけたら、そちらを覗いてみたり、こうして立ち止まって辺りを観察しているから)
(目的としていた遺跡に辿り着くまで、一週間近くかかってしまった。急ぐ旅ではないから、問題はないけれども)
(朽ちた石造りの建物を望む丘に腰を下ろし、冬の気配を感じる風を受けて目を閉ざす。髪を撫でる冷たい風が心地いい)

>>24
え、ん……ごめんなさい。見て、ません……。
合成獣……キメラ……ですか……?ん……見つかると、いいですね……。
(違う生き物同士を魔法の力で掛け合わせて、別のモノに作り替えられた生き物をキメラというらしい)
(新しい知識を得るために、好奇心の赴くままに行動するのは、とても楽しくて、素晴らしい事だと思うけれど……)
あ、あの......。あなたは……研究、合成獣の研究……。どうして、しているのですか……?
うぅん、違うの……。それはあなたにとって、とても良い事、だと思うけれど……。逃げ出した子は、どんな気持ちだったんだろうって……。
(ただ、そう思っただけ。それが良い事か、悪い事かの判断は、私にはつかなかった)
(だからそれ以上の言葉はかけられず、恥ずかしくなるくらい小さな声で問いを向けた後、何を言っていいか分からずに俯いてしまった)

>>25
絶対に相手を倒せる、一番強い剣技……?どんなものでも斬れる、すごい剣……?
ごめんなさい、私、そのどちらも持って、ないです……。
あなたは、強さを追い求めている、人、なのですか……?
見つかると良いですね……ヒッサツケン。
こういう、遺跡とか……昔に作られた、不思議な剣や、道具が、眠っている事があるらしい、ですね……?
あなたは、それを探しに……?ん、えっと、違ったら、ごめんなさい……。
では、良い旅を……。


27 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2020/11/08(Sun) 23:24
薬草の詰め合わせセットを持って行け

28 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2020/11/23(Mon) 04:24
親はどんな人だったか覚えてる?

29 名前:シェンリー ◆LnUU8pic 投稿日:2020/11/23(Mon) 19:54
冬は、もうすぐそこまで来ていますね……。冷たい、澄んだ空気が気持ち良い……。
(心地が良い北風に当たっていたら、少しの間眠ってしまっていたようだ)
(その"少しの間"は、ヒトからすれば大分長い間だったかもしれない、けれど)
(羽をぐ……っと伸ばして立ち上がり、丘をゆっくりと下りていく)

>>27
え……?貰っても、いいの……?
その……お代は、きちんと、お支払いします……足りないなら、えっと……受け取れません。
せっかくのご厚意なのに……ごめんなさい。だけど、私には、必要のないもの、ですから……。
この薬草、珍しいもの、だと、思うし……集めるの、大変だった、でしょう?
なので、他の……必要としてる人に、分けてあげた方が……あなたの為にも、なるし……。
世の中?の、ため?にも……なると、思うから……。

>>28
ん……親……。
生まれた時の事は……あまり、覚えてないです……。
だけれど、暖かくて……安心して……ずっと、夢見心地で、ふわふわしているような……。
はじめの、ずっと初めの、記憶は……そんな感じ、でした……。
んと……それと、色々と、教えてくれた人も、居ました……。
その人達……旅の道連れの、人達、とか……。精霊さんとか……。
あと、旅の途中で、出会った、色んな人達……その人達が、育ての、親……?
ふふ、はい……あなたも、育ての、親……に、なる、かなぁ?

30 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2020/11/24(Tue) 14:27
冬は好き?私は嫌だなぁ
なんだか日が短くなると気持ちが暗くなっちゃってさ

31 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2020/11/30(Mon) 19:02
あなた は でんせつ の きのぼう を てにいれた!

           やったね!!

32 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2020/12/17(Thu) 22:51
里から出てしばらく、山道に差し掛かると道端に女性が座り込んでおり
周りには大柄な男たちが3人ほど倒れていた
どうする?

33 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2021/01/10(Sun) 22:35
誰か〜

34 名前:赤錆 ◆BIv/1NS2 投稿日:2021/01/11(Mon) 01:41
「その肌はごわごわとして固く、触れればとても冷たい」

名前:赤錆(あかさび)
年齢:誰も覚えていない
性別:女
身長:167cm
体重:58kg
種族:レヴナント(不死人)
職業:元傭兵
属性:闇
性格:野暮ったい
利き手:左
魔法:使えない
特技:身体の再生
装備品:
 赤錆びた剣鞘 :鉄製の鞘に納まる鉈剣。全体が酷く錆びついており、刀身を抜くことすらできない。
             故に鈍器として鞘ごと振われる。
 コート・オブ・プレート:厚手の上着の裏側に板金を仕込んだ鎧の一種。
 外套 :頭巾の付いた外套。風雨に曝されて久しい。
所持品:
 ダガー :よく切れる大刃の短剣。腰に提げている。
 投げナイフ :投擲に適したナイフ。斜革ベルトに数本が納まる。
 大鷲の小旗 :もう掲げられることのない小さな旗。かつて属した傭兵団のシンボル・大鷲の図案が描かれている。
髪の毛の色、長さ:漆黒の黒髪を戦いの邪魔にならぬよう荒く、短く切ったもの。
容姿の特徴・風貌:ぼろの外套を纏った傭兵崩れ。
不死人のためか肌はくすみ潤いなく、瞳は乾き切り焦点を結ぶことがない。
普段はその徴を隠すようにフードを目深に被る。
趣味:生血に浴すること
将来の夢(目標):仲間の復讐を果たすこと
簡単なキャラ解説
傭兵崩れの冒険者。
所属していた傭兵団を壊滅させた「青銀の獣」を追い、各地を廻る不死人。
レヴナントとは強く復讐を願う者が死に絶えるおり、憑代(アイテム)に仮初の命を宿して蘇ったもの。
見事雪辱を果たせば安寧の眠りを得るとされるが、
そうでなければ正常の意思は衰え、未来永劫この世を彷徨う亡霊になり果てるという。

35 名前:赤錆 ◆BIv/1NS2 投稿日:2021/01/11(Mon) 01:42
>>33
誰かの呼び声が聞こえた。
こんな雪深い山中で人探しだろうか。
それとも遭難者が偶然の通りすがりを頼ったものか。
あるいは声の主は山賊で、のこのこやって来た者から根こそぎ奪おうと手ぐすねを引いて待ち構えているのかも。

……まあ何でもいい。
なんにせよ人がいるのは好都合だ。
この山に足を踏み入れてから幾日たったかは忘れたが、事の次第はこうだ。
急な積雪でおぼろげな道の痕跡は消え失せ、それから闇雲に稜線を跨ぎ、登って降るを繰り返せど人家の気配はない。

つまり、オレは遭難していた。

36 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2021/01/11(Mon) 02:37
>つまり、オレは遭難していた。

そうなんですか

37 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2021/01/11(Mon) 19:30
俺女?

38 名前:赤錆 ◆BIv/1NS2 投稿日:2021/01/11(Mon) 23:41
>>36
やけに爽やかに言うじゃないか。
確かに俺は遭難しているが、それではお前も困るだろう?
この雪じゃ遭難者がふたり揃ったところで問題は解決しない……。

食い物と燃料は分けてやれる。
ただし、体を寄り添って温め合うやつは不可能だ。物理的にな。

>>37
俺は荒くればかりの傭兵団あがりでね。
そんな連中と肩を並べて戦うにはこっちの方が都合がよかったんだ。
部隊じゃ女は飯炊き係が多かったんだが、俺は腕っぷしが強かったもんで男共と一緒に前線に立った。

だから死んだ。
獣が現れたとき、武器を取った連中がまず死んだ。

39 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2021/01/11(Mon) 23:59
爆弾ならありますけど…これ使いますか?

40 名前:シェンリー ◆LnUU8pic 投稿日:2021/01/12(Tue) 23:13

(空には分厚い雲が覆い、山肌に雪を積もらせる。一面に広がる銀世界。その中の一つの小さな雪だまり、そこから紅い皮膜が飛び出し――)
ぷ、はっ……ん、んぅ……ここ、は……。
……また、眠ってしまっていたようでした。寒いのは少し苦手……すぐに、眠くなってしまうから……。

>>30
はい……嫌じゃない、ですけれど……どちらかといえば、夏が好き……?
静かで、暗い冬も、もちろん好きですが……周りがみんな、眠っちゃうと、私も、眠くなってしまうから……。
村の人達も、冬の間は巣ごもりして、春を待ちわびて……温かい家で……。
……私も、はい。柔らかい雪に包まれてたら、ついつい、眠く……ふぁぁ……。

>>31
んっ……っ。丈夫な棒です……きっと、元は立派な木だったんでしょう……。
……不思議、ですね。木とか、石とか……動物の皮とかも……。
命を奪っても、また、違う役割を与えて……生まれ変わらせているみたい……。
元々とは、全く別のもの、に、なっちゃってるけれど……。
あ、の。ごめんなさい。何が言いたいのかわかりません、よね……。まだ、頭がぼーっとしてて……。
えっと……本当に、これを持てるのは、ありがたいこと、だなぁって……言いたかったの……。

>>32
あ、あっ……え、っと……。もう、大分、経っちゃったけれど……。
どうか、しましたか?倒れてる人も……。
すごく、長い間……待たせちゃって、ごめんなさい……。
周りの人達、気を失ってはいたけれど生きてはいるみたい、ですが……。
……あ、あの……もしも、困っている事があるなら、助けになれるなら、私も嬉しい、かな、って……。

>>33
声、聞こえた……。こんな山の中にも、人はいるんだ……。
だけど、人間、では、なさそう……?寂しくて、辛くて……誰かに気付いてほしくて……。
そんな、気持ち……伝わってきます。

>>35
――不思議なヒト……死んでいるのに、生きてて……でも、元とは違ってて……。
さっき貰った、きのぼうに、ちょっとだけ似てる……。

……あの。あなたも、道に迷ったの、ですか……?
私は、……今、起きたばかりで、ここがどこか分からないのですが……。飛べば、少しは分かるかも、しれない、です……。
え、えっと……んんっ。初めまして?あなたは、何という方、ですか?

>>39
それって、火薬、ですよね……?火を付けたら……一気に、大きくなって、弾けて……。
空気も、土も、一緒に飛んでいっちゃうくらいに、すごい勢いで…薄く、大きくなる、ような……。
……多分、ですけれど……ここで、今、それを使ったら……上の雪が、一緒に落ちてきて、雪崩になってしまいそうな、気がします……。
だから、うん、ちょっと……考えた方が、いい、かも……?

41 名前:赤錆 ◆BIv/1NS2 投稿日:2021/01/13(Wed) 00:40
土に埋まって雪解けを待つという手も無くはない。

>>38
爆弾……?
お前、そういうものを扱う行商なのか?
ただここで発破してもな……。
救助要請とは思われんだろうし、雪が滑れば状況はもっと悪くなる。

……。
おい、焚き火にそいつを近づけるんじゃない。
導火線に火が付いたらどうす……ちょっ、点火してるぞ!?
バカバカ!笑ってないでその辺に放るんだ!伏せろ!



ドーン(花火が上がる音)

  ☆※☆
 ☆※☆※☆
 ※☆ ☆※
 ☆※☆※☆
  ☆※☆
    ・
    ・



(キレイ……)


>>40
やれやれ、遭難者一人追加か。

俺は赤錆(あかさび)。流れの冒険者だ。
目当てのモンスターがいてね。そいつを追って各地をうろついてる。
お察しのとおり俺も迷子だ。

……。(なんでこいつは俺と木の棒を交互に見るのだろう……)

ところでお前、今飛べるといったか?
獣人か何かか知らんが、高く飛べるならこの辺りの様子を見渡してくれないか。
人か集落か、山小屋でも何でもいい、見つけたらそっちへ移動したい。

42 名前:赤錆 ◆BIv/1NS2 投稿日:2021/01/14(Thu) 01:21
>>32
遠くにその場景を捉えたあと、俺はその場所を通り過ぎることにした。
嫌な感じがしたからだ。
だから彼らのいる道からは大分逸れて、険しい獣道を往った。

しかし、そのうちふと脚が止まった。
そして俺は去来した自分の感情に舌打ちした。

・・・

「遭難ですか?」

のそのそと近づく俺に向かって、道端の娘は両の眼を閉じたまま、少し微笑みながら言った。
薄桃色の長髪が冬の寒風に撫でつけられるが、艶を失わずにさらりと流れる。

「そちらは行倒れのようだが」

俺は近くに倒れ伏したまま動かぬ男達の背中を眺めながら、左手にある獲物の柄にそっと指に絡めた。
こんな奇妙な美人局もないだろうが。

「彼らは私の連れです。ですが、それでよかったのです」

いいはずはない。俺は鼻白んだ。

「私を連れ去った方々ですので」

娘は、やはり目をつむったままカラカラと笑った。
俺は娘の簡素な旅装から覗く肌に幾つかの痛々しい痣を、そして手首には縄の痕を見つけた。
つまりはそういうことだろう。
人買い連中が分け前の算段か何かで揉めたのだろうか。
だとすれば転がっている男達の亡骸はその成れの果てということになるが。

「これからどうする」

肩を貸す。

「私の目は光を失っております。親切な方のお助けなしでは動けなかったのです」

「貴方が戻ってきてくれてよかった」

俺は素早く手首を返すと赤茶けた鉈剣の鞘――俺の獲物だ――を娘の首にあてがって言った。

「俺がここに戻ったのを知っているのは俺だけだ」

「いいえ」

娘は俺の首に腕を回した。
鞘錆びの凹凸が娘の首に傷を付けた。俺がこのまま強く引けば娘は派手に血を噴いて死だろう。

「私の眼を見て」

娘の眼には瞳はなかった。
その代わり娘の白眼は水晶のように透き通って、その内側に夜の闇を宿していた。
そしてその闇の底には、娘の姿が映っていた。
俺が今凝視している娘の顔貌、そのものが映っていた。
瞬間、俺は理解した。

「お前、俺の眼を盗んだのか」

「親切な方のお助けがあれば私はその光をお借りして、周囲を探って動くことも、浅はかに企てることもできます」

・・・

他者の視界、聴覚、感情を共有する異能のことを、彼女の故郷では千里眼と言って恐れたという。
だから彼女は里を追われ、追われた先で攫われて、ここに至った。
「千里眼の魔女」の話。

43 名前:赤錆 ◆BIv/1NS2 投稿日:2021/01/15(Fri) 00:35
>>31
尋常の傭兵ならば武具の目利きもできようが、俺にその才能は無いようだ。
手に取ると確かに握りはしっくりくる。
が、上下左右あらゆる方面から眺めても普通の木杖にしか見えなかった。
しかし仮にも伝説と謳われる品。なにか謂れでもあるのだろうか。

「いかにも。この杖は天地開闢の頃より在る世界樹の、そのヤドリギの枝一本を手折って造られた。
 さらに、あろうことかこの杖は、いにしえの巨人に神殺しをすら成さしめたのじゃ」

なんだ爺さん。いつからそこにいたんだ。

「何を言う。お前さんがワシの前に立ったのじゃぞ」

……まあいいか。
すると太古の神はこの杖で殴られて死んだのか?

「馬鹿め。杖を上下に捻って捌け」

カチリと鯉口を切る音と共に美しい白刃が露わになる。
こいつ、仕込み刀か!?

「古く【枝】は【剣】の喩えよ」

・・・

俺がしばしの驚愕から戻ると、爺さんの姿は霧散していた。
あの男は、もしかしたらこの杖に宿る木の精だったのかもしれない。
そんなことを想いながら俺は仕込みを鞘に戻した。

「ちなみに伝説はまだまだあってな」

まだいたのか、爺さん。

44 名前:赤錆 ◆BIv/1NS2 投稿日:2021/01/16(Sat) 00:52
「存在そのものが世の理から外れている」

>>30
そうか。
俺はお前とは逆で、冬は悪くないと思う。
空は澄んでいるし、死者の腐敗が抑えらるし。
夏場の戦場に行ったことはあるか?そりゃあ酷いもんさ。見た目も臭いもな。

すぐに暗くなるのも気に入ってる。
夜襲・奇襲の機会が増えるだろう?
それに街中を歩いているだけで誰何してくる腐れ教会騎士も躱しやすい。

ああ……ここしばらく教会の追手に付き纏われて難儀していてな。
俺が何をしたっていうんだよ、全く。

45 名前:赤錆 ◆BIv/1NS2 投稿日:2021/01/17(Sun) 02:48
>>28
親のことは覚えていないな……。
俺にとっては傭兵団の連中が家族みたいなものだった。

ガキの頃だ。
団の連中が街を訪れたとき、一緒に連れて行ってもらえるように交渉したんだよ。
戦場荒らしで拾ったこの錆剣を抱えて。

46 名前:赤錆 ◆BIv/1NS2 投稿日:2021/01/17(Sun) 02:50
役立たずを随行させるわけにはいかない。
そう断られた俺は、アジトから秘蔵の剣を持ち出すとすぐに取って返した。
そして困惑顔の連中に大事に抱えたそれを見せつけた。

「それがおめぇの獲物か」

俺は頷いた。

「それで俺達と仕事しようってんなら、ちゃんと使えるとこを見せろ」

俺は鞘から剣を抜こうとしたが、刀身が錆びついてピクリとも動かない。
何度も何度も渾身の力を振り絞ったが無駄だった。
手の皮は剥け、視界は涙でぼやけた。

とうとう俺は、赤錆びた剣の鞘をそのまま構えた。

「どういうつもりだ」

俺は答えてやった。
この剣は既に抜き身だ。この錆びは俺が手にかけた哀れな敵の返り血だってな。

その後どうなったかって?
大爆笑のあと、俺の渾名が決まったのさ。

47 名前:赤錆 ◆BIv/1NS2 投稿日:2021/01/19(Tue) 23:41
俺の体は灰や土や砂で出来ている。
だから肉ではなく「灰を切らせて骨を断つ」だ。

意味、わからないな……。

>>27
後ろから荒い息づかいが聞こえる。
追手は二人だ。
ひとりは若い神殿騎士。
もうひとりは……言いたくはないが、手練れだ。

「逃げ場はないぞ!」

若い騎士がよく通る声で言った。
確かに俺の目の前には崖が広がっていた。

「俺が何をした」

俺はゆっくり振り返ると、獲物の剣を地面に突き立て、両手を空にしてからそう主張した。

「血に渇き……血を求める」

そんなことをした覚えはない。

「なに……直にそうなる……絶対にな」

俺の内面は見透かしてか、手練れの騎士がねっとりと言った。

「こいつは本当に不死人なのですか?」

松明を掲げ俺を照らしている若い騎士が問うたが、そんなことはお構いなしに奴は段平を抜いた。
それから慣れた手つきで剣の血溝に聖水をふるう。祝福のつもりらしい。

「それは今から証明してやる」

一閃。
呪われた刃は無防備に突っ立っていた俺の首を寸断して逆側へ抜けた。

「!?」

松明がつくる影が揺らぐ。

俺は首のないまま左手で獲物を握り直すと、左足を踏み込んで奴に突きをお見舞いした。
そしてその反動で後ろへ飛んで、背中から絶壁を落下した。

「ほうら言ったろう、ええ!?これが尋常の人間の為す事と思うか!」

崖上から奴の哄笑が聞こえた。

>>25
ありがとう。
多少は持ち合わせがあるんだ、取っておいてくれ。

ちょっと首の座りが悪いんだ……効くかな?
体と一緒に首も落ちて来たのは幸運だったんだが、少しひしゃげているみたいでね。
これは暫くかかるかもしれない……。

48 名前:赤錆 ◆BIv/1NS2 投稿日:2021/01/22(Fri) 23:31
「なんだこの醜悪な合成獣は!ヒトのようでヒトでなし!我が主の美的センスは理解デキナイ!」

俺のことを言っているのか……?
果たして浮遊するタコみたいな合成獣は、俺を視界の端に捉えるなり上から目線でそう言った。

>>24
タコ?
あの吸盤のついた触手で体を這いずり廻る生物か。
そんなものをわざわざ造るとはぞっとするな、お前……。

幸い俺は見かけなかったが、なんなら失せ物探しの仕事として請けてもいい。
見つけたらどうする?
生け捕りか?それとも始末するか?
俺は後者をお勧めするよ。強力にな。

49 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2021/01/24(Sun) 21:10
魔王を封じたこの壺を開封してみて

50 名前:赤錆 ◆BIv/1NS2 投稿日:2021/01/26(Tue) 00:28
>>22
へぇ、巨人ね。
俺の目当てじゃないが、悪くない。その依頼請けよう。
巨人殺しともなれば俺の名声にも箔が付く。
箔がつけば各地から魔物の討伐依頼が入ってくるだろう。
きっと、あの獣の討伐依頼もな……。

何?
巨人討伐用の装備を貸与するだと?
この背嚢を背負うのか。
なぁ、この腰の替え刃はなんだ?
剣にも銃のようなトリガーがあるようだが。これを押すとどうなr(ビュン

ズィーイアダスエッセンナインヴィアーズィントデァイェーガー

>>49
「魔王を封じたこの壺を開封してみて」

なんでそんなものの開封を赤の他人に頼むのかは分からない。
ただなんとなく、押し付けた相手の困惑する様を見てほくそ笑む悪戯のように思えてしまって。
だから俺は何の躊躇もなく壺の封印をベリベリと裂いた。

……

何も起きない。

……

風の音が聞こえる。

……

壺、返してもいいか。
重いんだが。

「フゥーハハハ……貴様は魔王の封印を解いたッ!間違いなくッ!」

目の前の壺行商が外套を投げ捨てると、くすんだ白髪を両サイドで括った褐色娘が現れた。

「我が名は朱ノ三日月(アケノミカズキ)……。闇の血族フォモーリアが最後の末裔……」

俺は壺を丁重に床に置くと、道を先に往った。

「逃げるのか勇者よ?我が剣に封印されし者の真名を唱えれば、その力が解放され世界は焼き尽くされるのだぞ?」

声が遠い。

「それを止められるのは封印破りし者……我が因縁の、我が宿命の勇者だけだなのだぞ?」

小走りの音が近づいてきたので俺は振り向かずに走った。
こいつの名はバロール。従えるは邪龍クロウ・クルワッハ。視た者の魂を破滅させる邪眼の持ち主で、いわばガチもんの魔王だった。
まぁ悪い奴ではなかったんだが。
いろいろあって、もういない。

51 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2021/01/26(Tue) 17:04
この世界のレジェンドを知りたい

52 名前:赤錆 ◆BIv/1NS2 投稿日:2021/02/08(Mon) 00:33
>>51
伝説的人物か。
少し古い話になるが、東の王国で謀反があった。
王様が急死して王子が後を継ぐはずだったのに、王様の弟が軍を率いて王子を殺しにかかった。
だけど、王子とその指南役はなんとか王弟の手を逃れて潜伏。その後、見事王弟を排して王座についたんだ。

特に指南役の活躍は海を渡って俺たちの耳にまで届いた。
混乱する王国の内外で仲間を集って軍団を編成し、常に前線に立って剣を振い、見事な用兵で難局を切り抜けた。
しばらく酒場はその男の話で持ちきりだったよ。

その男の名は……

男の名は……

……

すまん。度忘れした。
いや……でもこの話は有名なんだ。
酒場の親父にでもこの話をして貰えればすぐに分かるはずだ。

……悪い、俺はもう行くよ。役に立たなくてすまなかったな。

・・・

「ああ、それはフルド王国の内乱の話ですね。今から十数年前でしょうか」

「その英雄は確かに有名です。"王の剣"の2つ名で知られるヘイラム卿でしょう」

「内乱当時、年若い王子を支えながら王子派閥の陣頭指揮を執っていたが彼です。内乱の平定も彼に依るところが大きいと言われています」

「ところで、その話をした者の様子はどうでしたか?」

「どこか虚ろな様子ではなかったですか?」

「……忘れるのですよ。重要でない事柄から。そのうち、自分がこの世をうろつく理由すら忘れるでしょう」

「そうなる前に手を打たなければなりません。さあ、手をお出しになってください」

「聖水で穢れを払いましょう。貴方は運がよかったのです」

「あれは既にこの世の者ではありません。復讐の亡霊レブナント。もう近づかぬことです、命が惜しいならね」

「偽りの肉に備わる魂は冷たく、それを我ら生者の命で温めようとするのですから」

「我々が朝餉や夕餉を頂くように、彼らにも必要なことなのでしょう。全くもって迷惑な話です」

53 名前:sage 投稿日:2021/02/16(Tue) 01:18
命無き躯が出歩くなど冒涜も甚だしい!我が念仏にて調服してくれようぞ!

54 名前:赤錆 ◆BIv/1NS2 投稿日:2021/02/18(Thu) 00:59
「もしその錆びた剣の鞘が折れれば、お前はこの世から消えるんだよ。ブランシェ・ルル―」

ローブを来たシャレコウベはしゃがれ声で言った。

>>52
わかった、受けよう。
その詠唱で俺の呪われた魂が破滅するというなら、受ける。
抵抗はしない。

……ただ駄目だった場合は俺に協力しろ。
レヴナントは復讐の完遂を持って消滅する。そういう契約だ。

探すのは青銀の獣だ。
青い眼と銀の毛並みを持つ巨狼だ。
満月の夜、鷲の嘴を折った怪物だ。

「鷲の嘴」傭兵団は一夜にして砕かれた。

一面が血の海だ。その手足は、誰の胴から千切られたのか。その臓腑は、誰の腹から飛び出したのか。その脳漿は、誰の頭蓋から流れたものか。少なくとも俺には分からなかった。

何もかもが終わる頃、獣は小高い丘の上から俺達の残骸を見下ろしていた。
月明りは獣の体躯が真赤に染まり切っていることを俺に教えた。
女は勝ち誇る様に空へ吠えた。その姿は恐ろしくだが美しかった。

そう感じたとき、俺は俺に激しい怒りと不条理が宿るのを知った。
この地獄の創造主ならば、似合いの姿にしなければならぬと、俺は思った。
奴の腹十字にかっ捌いて臓物をばら巻き、四肢は撥ね、首を丘のいっとう高い木の枝にぶら下げる。
そうあるべきだと。
そうあるべきだ。

なあ、俺に協力してくれ。
俺の復讐に協力してくれ。
それがせめて前向きってものだろ。
なあ。

>>20
お前、騎士なのか?
騎兵と言えば戦場の華だが、そのランスで魔物をやろうってんなら本職を打遣って冒険者に鞍替えしたのかな。
かくいう俺も傭兵崩れだ。もしかしたら過去、どこぞの戦場ですれ違っていたかもな。

馬の嘶きと砂埃。遠くにそれを確認すると今でも身震いする。

当時、敵が騎馬隊を用いるならパイク(長槍)で槍衾を作って待ち構えた。
対騎兵には相当有効な戦術とはいえ、ランスの突撃をじっと待つのは気が気じゃなかった。
轟音を立てながら甲冑野郎がもの凄い速度で迫ってくるんだぞ? 周りに仲間がいなければケツを捲りたくもなる。

パイクはいい武器だ。
だが、いかんせん長すぎる。
しなりまくって持ち運びしずらいし、陣の横腹に突っ込まれたら転回するのもエッチラオッチラ苦労する。
だから俺は、特に乱戦模様にもつれこんだら、ビルって武器を使うことが多かった。
槍の穂先が鎌みたいに曲がってるやつだ。
そいつで馬上の人間を引掛けて地面に引き摺り降ろすのさ。
そうなれば後はどんな風にも料理できる。地べたを這いずるのは俺達の特技だからな……。

55 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2021/02/18(Thu) 17:16
碧眼の巨狼とはなるほど覚えがある
しかしここ長らく山で見たという噂も聞かぬな
そう、いつぞやの流行病の頃からとんと話に聞かぬ

巨狼が人知れぬ山奥で病に倒れたとて人には預かり知らぬ話よ
まさか躯を探すとでも?

56 名前:赤錆 ◆BIv/1NS2 投稿日:2021/03/01(Mon) 00:20
髪の毛の先から滴が垂れた。
突然現れた色の無い濃霧に入って、もう半日は経過している。
まるで視界が利かない中、ふと前を見るとずっと先の方で光が見えた。

霧が明ける。

>>55
お前、奴を知っているのか?
実際に見たことは?
俺にはあの化け物が病気で死ぬとは思えない。
死ぬはずがない。
そうでなければ俺は道化じゃないか、なあ……。

乙女子の名を冠する山脈の麓に小さな里がある。
そこに俺の仲間の墓があるんだ。
つまり、そこで俺達は奴と出会った。
お前はあの辺りの人間か?

俺はあすこで病が流行ったなんて話は知らない。
いや、忘れちまったのか…?

あれはいつのことだったんだ?
あれから一体どれくらい経つ?
俺はどれくらいこんなことを続けてるんだ?

くそ……頭の中が虫食いだらけだ……。。

>>18
珍しいやつだな。
冒険者なんて訳アリか山師か、そうならざるを得ない連中ばかりかと思っていた。
お前は何を目指す?
遺跡を荒らして一攫千金狙いか?
妖魔を狩って英雄気取り?

俺は一匹の獣を殺すためにこの稼業に流れてきたんだ。
そのために命を投資した。
それに資格が必要なのかは教えてくれなかった。
俺は問いかけに「はい」と答えただけだ。

57 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2021/03/01(Mon) 22:23
おや旅のお方、こんな夜にどちらへ行かれるのです?
最近この山には血に飢えた怪物が出ると噂ですよ

なんでも、その怪物は血に塗れていて赤く
なんでも、その怪物はまるで不死身のように刃が効かず
なんでも、その怪物は犠牲者を食らう前にある質問をすると…

そう、「狼を見なかったか」と

58 名前:赤錆 ◆BIv/1NS2 投稿日:2021/03/09(Tue) 00:45
不意に月明かりが零れると、朱く染まった切っ先が見えて忌々しい。
いつまでも隠し果せるとは思っていない。
だがそれを暴く者が現れたら、どうするかは決まっていた。

>>57
夜は都合がいい。闇が全てを密かにする。

生血は魂の凍えを癒すために
灰と塵の身体は斃れぬために
青銀の獣を辿る路の途中で、決して斃れぬために、在る。

……お前、修道会の狩人だな?
抜け。
言葉は不要だ。
後ろめたい者同士、せめて月光の下で遣り合おうぜ……教会の暗部さんよ。

>>16
教会の癒し手か。
俺の体は問題ない。
ただこの剣に無理が来てる。
これは俺の獲物なんだ。なんとか魔法で修復できないか……?

いや、だから俺の体はいいんだよ。
これは鉄製の剣鞘なんだが、俺はコイツを棍棒代わりに振う。
いや、鍛冶屋に行けっていうのはそうなんだが……事情があってな。
普通の鍛冶ではダメなんだ。

体をぺたぺた触らないでくれ。傷はない。
ちょ……服をめくるな!
なにか肉体に対する偏執的な情熱を感じるな、お前……。

59 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2021/03/09(Tue) 01:09
俺と共に来い
厨二の血を引く同志よ
貴様のコードネームは「赤ちゃん」だ

60 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2021/03/09(Tue) 01:39
それは 剣と言うには あまりにも錆すぎた
大きく ぶ厚く 重く そして 大雑把すぎた
それは 正に 赤錆だった

61 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2021/03/24(Wed) 22:56
設定に凝る人ほど飽きっぽく燃え尽きやすいものだ

62 名前:赤錆 ◆BIv/1NS2 投稿日:2021/03/31(Wed) 00:04
おやぁ?ブルブル震えてどうしちゃったんだい?
寒いのかな?
春がやって来たというのにオマエは独りでこんなに冷たく濁っている。

「煩い……」

暖まろ?
命が膜を破ってドロっと出てくるときのヤツだ。
例のアレで暖を取るんだ。
時間が経ったのではダメだ。
空気に混じると途端にダメになるんだ。
じわりと熱く、鮮やかに赤くなくては。

「……決めた。お前の血で腹を満たす」

なぁ"れぶなんと"なんて嘘だぞ?
そんなのは僕の辞典にも載っていない。
神も悪魔も知らないお前は何者だ?

「俺は赤錆。獣を殺す不死者、赤錆の――」

俺は既に用を成さぬ眼球を指で弄ると、僅かに膨らんだ箇所を声の方へ向けた。
魂は凍え身体は酷く重い。
だがどこからかやって来た白衣の悪魔の戯言が薪となって、俺を燃やした。
激しく燃える炎が俺の内側をジリジリと焦がした。

「そんなに燃やすと目減りするぞ赤錆の何某。自分を燃料にしてどぉーする」

俺が得物を振りかぶると既に悪魔は姿を消していた。

……体が熱い。どうやら暫くは動けそうだ。
まだ、暫くは。

>>59
俺の身体に血は流れていないし、お前と往くことはできない。
わかるな?
レヴナントには成すべき定めがある。
お前にもきっと。

「そんなこと言うなよ。な、赤ちゃん!」

俺が拳を振り上げると、悪魔は姿を消していた。

「だいたい人間風情に成すべきことなんてないんだよなぁ。
 それはお前の思い込みであってただの感想ですよね?
 な、赤ちゃん」

俺が拳を振り上げると、悪魔は姿を消していた。

>>60
俺の剣鞘は小剣よりはやや長い程度の代物だ。
竜を殺せるような大仰なものじゃない。
ただ鞘が鉄製なんでやたら重い。
これでは取り回しが悪すぎるから、こいつはおそらく観賞用に作られた美術品の類だろうな。
元は凝った意匠が彫り込まれていたはずなんだが……今は錆びが酷くてほとんど見えない。

「このオンボロに自分の魂を宿らせた馬鹿がいると聞いて飛んできました」

最も愛着のある物品が最も俺を強くすると聞いて飛んできました。

「自分の魂を宿らせた物品でチャンバラする馬鹿がいると聞いて飛んできました。※折れたら自分が死ぬ」

俺が拳を振り上げると、悪魔は姿を消していた。

>>61
「燃え尽きた灰に火を入れてみた」

「とは言えまぁ……僕の経験だと、あの手のヤツは自滅するね」

「最初はみんな翼を手に入れたと思うんだよ」

「でも実際には足枷が付いている」

「呪われているんだ」

「小さな心を燃やし尽くせばもう何もない」

「カラッポばかりがある」

「悪魔としても、こんなゴミクズみたいな魂を奪っても仕様がない」

「だから薪をくべて火をツケタ」

「この前アンタが投げた種火を僕が今日放り込んでやったら、多少はまぁ良くなった」

「また今度動かなくなったら、ヤツの魂を奪って半分こしようぜ」

「多分2千円くらいにはなる」

――やることが裏目に出がちな悪魔

63 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2021/04/01(Thu) 18:28
魔王様復活の儀式を執り行う

64 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2021/04/02(Fri) 11:04
おーお

65 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2021/04/09(Fri) 23:35
フンッ!傭兵など血に飢えた山賊匪賊の兄弟よ!
来たるべき時には奴らは一匹残らず引っ捕らえて広場で吊るすべきだな

貴公もそう思うであろう!ガハハ!

66 名前:赤錆 ◆BIv/1NS2 投稿日:2021/04/14(Wed) 00:12
o-o

o-o < 「どうだ?」

>>63
バァン!(ドアを開ける音)

「全員動くな。魔王等復活準備罪で逮捕する」

何がしかの儀式を行っていた連中が全員何事かと振り返った。

「お前たちにも権利はあるが…まあ…詳しいことは詰め所で聞いてくれ。
 俺は雇われなもんでな。質問されてもわからん」

・・・

「しかしこんな法律が整備されるなんて世も末だな」

俺は特に抵抗するでもなく神妙にお縄を頂戴してトボトボ歩く集団を横目にそう独り言ちた。

「その通り。世が乱れればこそ民草は力ある魔王を求める。
 ……眼前の理不尽を破壊する魔王をな」

連中は宗教的熱狂というよりは、何か切実な願いを込めて魔王の復活準備を進めていたように見えた。
官憲に連れられて往く背中がどこか弱々しい。
大立ち回りになることが予想されて冒険者ギルドへ応援要請がかけられたのだが(それに応じたのが俺だ)、結局それも杞憂となった。

「聞け、闇の信徒たちよ、魔王既に此処に在り!」

褐色肌の少女が突然、往来で停車している荷車の上で叫んだ。

「我が前に集い平伏せ。されば汝ら救われん!
 我が名はブラッディ・ムーン。古の闇人フォモーリアが長なり!」

俺は奴を見た。官憲も、連れて行かれる連中も奴を見た。
そして、俺達は何事もなかったように歩き出した。
俺達には陰鬱な日常が待っている。ただ、あの変な娘に付き合うよりは多少マシだろうと思われた。



ちなみに俺はあの変な娘にずっと付き纏われている。

>>64
o-o < 眼鏡である

「ああ……」

o-o < カワイイか?

「賢そうには見える」

o-o < お前もどうだ?

「俺の眼は機能してない。見えないってわけじゃないがな」

o-o < 伊達だっていいのだぞ?

「……」



o-o



>>65
その日はきっと虫の居所が悪かったのだ。
古巣を侮辱された俺はゆっくりと立ち上がった。
男に反駁するため、なんなら拳でも一戦交える構えだ。

ただその企ては銀髪を左右に結わえた闇人の末裔に邪魔された。

「ハッ!転々流浪の有象無象、その飼い主こそ唾棄すべき真の悪よ。
 即ち、手ずから兵を養わぬ惰弱の君主、常の軍を有さぬ貧国の王……」

「都合のよいときばかり餌をやり、用が済めば何も与えぬでは。
 いかな忠犬とは言えど、腹を空かせば飢えた野犬に成り下がる」

「飢狼の群れを従えてこそ真の王。それを忘れた僭主どもこそ吊られて然るべきである!
 我が名は血塗れの三日月……今こそ集え、我が旗の下に!」

騒がしかった酒場が静まりかえった。
この反応は少し不味い。俺は机の上で仁王立ちの娘の手を引くと、素早く酒場を後にした。

「手を離せ馬鹿め。あの陶然とした聴衆が目に入らなかったのか?
 あと少しで我が軍門に下ろうという者が殺到するところだったのに」

「いや……この街じゃあ領主の悪口はご法度なんだろう。そういう反応だった」

あのまま酒場に留まってもあまりいいことは起きない。そういうことは何度か経験がある。

「言いたいことも言えぬこんな世の中では、あの連中のように魔王等を復活させたくもなるな……」

魔王が魔王を復活させてどうする。と言おうと思ったが、俺は口をつぐんだ。
続く会話がどうせ面倒になるからだ。

魂が熱くなったり、寒くなったりした晩の話。

67 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2021/04/19(Mon) 00:03
怪物を倒すのは常に人間だぜ!

でも怪物を倒した人間はもう怪物だよな!

68 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2021/04/19(Mon) 17:48
傭兵募集するお

69 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2021/04/21(Wed) 21:27


70 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2021/06/09(Wed) 20:44
次にキャラハンが来るのは7月13日かな?

71 名前:赤錆 ◆BIv/1NS2 投稿日:2021/06/11(Fri) 00:43
古来より人は
その身に余るに対するとき
人ならぬを以て対してきた。

獣、使役す。
魔、招来す。
巫(かんなぎ)、神降ろす。

では我ら修道会は、何を以て其れと対するのか。

>>67
「化け物だよ」

満月の夜に俺達は幾度目かの邂逅を果たした。

「我々のような化け物を以て、貴様のような化け物に手向かう」

土を踏みつける音が近づいてくる。

「我々はずっとそうしてきた」

追手が夜空を仰ぎ見ると、恐ろしい咆哮をあげた。
毛髪が伸び盛り月影の容は野性味を増し、口の端から覗く牙が俺を凝視する。
そしてその面は、既に獣のそれへと変貌していた。

――人狼だ。

「……逃げるなよレヴナント。古薔薇の娘子。追いかけっこも飽いたろう」

見るからに鼻が利ききそうな顔だ。撒けないのも道理か。
俺は錆び剣を担いで半身に構えた。

「血の匂いの絶えぬうちは、貴様を見失うことはない。
 オルドローズの契約はさぞ魅力的に聞こえたろうが、ここで白紙に戻せ」

狼は剣を使わないのだろう。
腰の得物を投げ捨てると、奴は鋭く尖った手の鉤爪を聖水で祝福して言った。

「死人は土に還り給え。灰は灰に。塵は塵に」

72 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2021/06/12(Sat) 19:58
俺の投げナイフをお前に託す

73 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2021/06/21(Mon) 23:48
馬鹿みたいにでかい剣を背負った男を見なかったか?

いや金色ツンツン頭じゃない方の

74 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2021/07/08(Thu) 23:11
中世と言ってもどれくらい昔の世界なの?



75 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2021/07/15(Thu) 22:25
次にキャラハンが来るのは9月10日かな?

って言ったら早く来るかな?


76 名前:赤錆 ◆BIv/1NS2 投稿日:2021/09/09(Thu) 23:28
>>68
「赤勝て!白勝て!
 ここブランドン平野にて>>68率いる赤軍と対する白軍、開戦は今か今かと対峙しております!
 解説は私、アンドリューと!」

「……赤錆だ」

「平野を一望できる急峻な丘スタジオから、我々2人の実況でお送り致します!」

「おっとここで開戦のラッパが吹き鳴らされました!
 赤軍白軍、両軍と横陣を敷いてゆっくり前進です。激突まではあと僅かと言ったところ!
 赤錆さん、この状況はどう見ますか?」

「……白軍の方が多勢だな。このまま順当に進めば白軍が赤軍をゆっくり囲んで優勢か」

「いやぁわかりませんよ!白軍は数こそ多いが有象無象の無名傭兵団の集まりです。
 対して赤軍が抱え込んだのは少数精鋭、百戦錬磨の隼(はやぶさ)傭兵団だ!」

「……へぇ」

「ここで白軍、数を生かして赤軍の側面に展開していきます!
 赤軍も鉤型陣形に移行して迎え撃つ!」

「……赤軍の隼、よく連携しているな。後退しつつ鉤型凸部を密にして白軍の突破をよく防いでいる。
 とはいえそろそろ自陣も深いぞ」

「よし、そろそろ頃合いか」

アンドリューが右手を上げると、傍仕えの楽師が突撃ラッパを響かせた。
それを合図に、平野に隣接する深い森から隼傭兵団の騎馬部隊が飛び出した。

「まずは自軍側面の敵兵を切り取って殲滅する!怯むな戦えーッ!」

渦巻く怒号と地鳴りのような蹄音の中、彼の命令がどこまで届いたのかは分からない。
ただ、彼らの動きには迷いがなく、自分のやることを身に染みて知っているようだった。

「……ああ、アンタはもう行っていいよ。赤錆くんだっけ?
 悪かったね、足止めしちゃって。
 ここに俺達が居るのをバラされたら商売あがったりだからさぁ」

俺の首に当てていた剣をそっと引っ込めると、隼の切り込み隊長アンドリュー・プレグランは合戦の砂埃の中に消えて行った。

>>69
Σ

>>72
その短剣、役に立ったぞ。
使ったのは修道会の獣人の方だったがな。
奴はその短剣を拾い上げると俺の目玉に投擲した。
ほらこの通り、俺の眼に深々と突き刺さっているだろう。
……だが、こいつのおかげで奴を打ち倒すことができた。
今後、その話をすることもあるだろうが、今は、この>>72の短剣に感謝を。

*** 赤錆は自身の目玉ごと短剣を引き抜くと、その目玉を食べてしまった!! ***
*** 赤錆は>>72の短剣を手に入れた! ***

>>73
昔、色の無い霧の中で、妖精を伴ったその鉄腕の男を見た覚えがある。
霧は異界の門、現世と常世の境、もう会うことはできないだろうが……。
ただ俺は一旦潰えた物語が、再び紡がれた例を知っている。
豹頭の王の物語のように。
いつか霧の中より詩人が戻り、あの鉄腕の剣の冴えを詩う日が来るといいな。


ちなみに金髪の方は中つ国で見た。昔より解像度が上がっていた。

>>74
俺は今を生きている。
お前が今を生きているのと同じようにな。
だからどれくらい昔か、と聞かれても困るが……。

俺は職業柄、武器や防具を見ることが多い。
そこで使われている兵器を見れば、その国、その時代の文明の高さを測れるんじゃないか?

こっちでは大体鉄の武具が使われてる。
鎧も鉄の鎖帷子や小札帷子が多いかな。板金鎧は貴族の御用達だ。あれ一揃いで家が建つ。
最近じゃあ火薬で鉛玉を飛ばす銃を持つやつもいるが、戦場で使われるのを見たことはない。

遠距離戦なら長弓か、それとも魔法か……ところでお前の世界の魔法にはどんな系統があるんだ?

>>70,75
予言の度にその確かさを上げる千里眼はお前か?
次に俺が訪れる日はいつだろうか。
それが俺の道標になって、此処に繋ぎ止める楔になる。
そんな気がしている……。

77 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2021/09/10(Fri) 15:52
久しいな赤錆よ、前に見えたはいつの事だ?
儂はほれ、もはやこの通りただの老耄よ…

次に会うは冥府であろうな…

78 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2021/09/10(Fri) 20:40
鋼の鎧を買ってくれ

79 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2021/09/18(Sat) 22:01
今年もいい麦が収穫できた

焼き立てのパンはいかがかな?

80 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2021/10/20(Wed) 11:37
あの森に入った村人が戻ってこないって聞いた?
あの森を突っ切る予定なんだけど……何かあると困るねぇ

81 名前:赤錆 ◆BIv/1NS2 投稿日:2021/12/07(Tue) 22:30
>>77
翁。此処に居たか。
こんな火山の深層で出会うとは奇遇も奇遇。
我らの命運未だ尽きず、だな。

「生あるものが ここになにをしにきた!」

ニア なんでもありません
  サル―インの いばしょをおしえろ
  つよいぶきをくれ!
  ガラハドを生きかえらせろ

>>78
嵩張るし、手入れが面倒そうだ。
俺には要らん。

何度勧められようが、不要なものは買わない。
いい加減にし……いや、一揃えでなくて、籠手だけ買い求めるというのはアリか?

ダメか。一式セットでないとダメなシステムか。

俺は左手を切り離されなければ何とかなる性質でね。
最悪首を落とされてもどうにかなるが、利き手を落とされては困るんだ。

ダメか。

>>79
パン屋の親父があんまり清々しい顔で売り込みにくるので、つい買ってしまった。
食えもしないのに。
無理に飲み込めば喉を通って一旦胃袋に収まるが、そのまま延々と居座ってそのうち腐ってしまうというのに。
そうなると大量の水か酒をかっこんで吐き出すしかなくなる。

このまま鞄の肥やしにしても、季節柄すぐに悪くなることはなかろうが、さりとてそのままダメにするのは勿体無かった。

街の中央広場に黒服の大道芸人がいたはずだから、おひねり代わりにこのパンで交渉してみよう。
ちなみにその交渉が決裂してもパン自体は押し付けようと思っている。

>>80
俺でよければ力になるぜ。
依頼なら冒険者ギルド経由で受ける。
護衛任務の相場は……此処じゃあ幾ら位だったかな。

急ぎじゃないなら、その行方不明の村人の安否や森の状況を集めてから出発したほうがいい。
相手が徒党を組んだ野党の場合はこっちも頭数が必要だしな。

ただし、相手がどこからか紛れ込んだ獣なんだとしたら、俺一人で十分だ。

82 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2021/12/11(Sat) 19:43
俺のパーティがダンジョンの最下層で全滅した

生き残りは俺だけだ、あとは任せた

83 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2021/12/26(Sun) 17:55
刃の錆は心の錆!!私は研師!!
ややっ!!そこ行く剣士殿!!その腰に指したる物は如何に?! 

刃の錆は心の錆!!心の錆は刃の錆!!
私は研師!!刃と心を研ぎ澄ます者ッ!!研がせろうぉりああああッ!!!

84 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2021/12/26(Sun) 19:43
この手製の銀の十字架で吸血鬼を倒せるだろうか…
いや倒して見せるぞ!

85 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2022/01/31(Mon) 01:32
薬草は塗っても食べても効果が無いらしいぜ!
正しく使うなら焼くと良いそうだ!

薬草だけにな!ガハハハ!!

86 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2022/03/01(Tue) 22:25
傷なんぞド根性だけで治す!

87 名前:赤錆 ◆BIv/1NS2 投稿日:2022/03/06(Sun) 23:16
神聖帝国北方に位置する小国ランディア。
ランディアは伝統的に国境を蛮族域と接し、それ故、彼らの領土侵入を阻む防壁の役割を果たしてきた。

「蛮族に集結の動きあり」

この報を受けてからのランディアの動きは早かった。
最前線・第十三砦に詰める正規騎士団を増員し、同じく砦の防衛に当たる傭兵の募集を開始した。
群雄割拠の蛮族域において、他民族を併呑し纏め上げる英雄の噂が小国の素早い行動を後押しした。


「今回は小競り合いで終わり、ってことにはならなさそうだ。
 全員、覚悟は決めといてくれや」

金髪碧眼の偉丈夫が緊張感の欠片もなく言い放つ。
こいつが俺の部隊の部隊長だと先ほど紹介された。

「顔合わせも済んだことだし、ひとつ賭けでもやって親交を深めようぜ」

部隊長は重そうな麻袋を酒場の机に荒っぽく載せてやると、こういった。

「参加料は銀貨1枚。俺のイニシャルからフルネームを言い当てた奴がこの袋の中身を総取りだ」

袋の紐が緩むと、数枚の貨幣が零れ落ちる。銀貨、銀貨、銀貨だ。
おそらく今のところ、部隊長の賭けに勝った奴は居ないということだろう。

「で、お前のイニシャルは?」

「A.P」

俺には勝算があった。
俺はこいつの面と名前を、どこかで聞いたことがあるからだ……。

--

>>82
悪くない選択だ。
俺とお前が頑張ったところでこの状況をひっくり返すことは難しい。
だからお前は救援を呼びに行った。
それは最善の策のように俺に思える。

だからお前がここに戻ってくる前に、お前の仲間たちが化け物の腹の中に入ってしまっては、台無しだ。
地面に這いつくばり、痛みと絶望で呻くしかない。
俺はそんなときの感情を知っている。

巨人の一撃を得物で受ける。動かない。一歩も。
急激に体が熱を持つ。
冷たい腕は内から燻り、昏い瞳には炎が宿り、決意が俺の魂に火を点けた。

>>83
やれそうか?
なら、頼む。

……昔、腕のいいドヴェルグの爺様にも頼んだことがあったが、断られちまった。
これが俺の魂の依り代になったとき、これはこのまま、錆びて鞘から抜けぬまま、固定されてしまったのだと。
この錆びを落とすことは、この錆び剣に載った俺の歴史を削ぎ落すことだとね。


研ぎ石、まだ無事か?
ああ、それから剣をあんまり遠くへ持ってかないでくれよ。
身体が崩れる。

>>84
おいそこのお前。確証がないなら止めておけ。
一度失敗しても再挑戦できるならそれもいいだろうがな……。

十字架の威光を信じられるのなら、そもそも教会へ依頼したらどうだ。
あそこはそういう連中と昔から遣り合ってきてんだ。
お前よりは蓄積があるだろ。
俺も最近まで付け回されて大変だったんだ。

>>85
え……。(薬草を焼きながら)


>>86
まあそう言うなよ。
ここに大量の焼き草があるだろ。

後は分かるな?

88 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2022/03/08(Tue) 01:25
こんな御時世でございますからな、生きるも金、死ぬも金
ここは一つこの免罪符を買いなされ

89 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2022/03/15(Tue) 19:55
傭兵募集中

90 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2022/03/16(Wed) 20:26
邪な存在を封じるお札を手に入れたら
いきなり身動きできなくなった!
俺が邪だと言うのか

91 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2022/03/18(Fri) 21:43
穢れた不死人が!不敬であろう!!

92 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2022/04/03(Sun) 15:17
気に入った!ワシの娘をオヌシの嫁にやろう!!

93 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2022/04/20(Wed) 09:45
あの戦士酒癖悪すぎて酒場で皆に迷惑かけるんだ

94 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2022/04/24(Sun) 00:07
故郷のお袋に…俺は最期まで勇敢だったと伝えてくれ…

95 名前:赤錆 ◆BIv/1NS2 投稿日:2022/06/06(Mon) 06:25
(もう少し待って欲しい。きっと顔を出すよ)

96 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2022/06/06(Mon) 23:25
仔山羊がどこかへ隠れてしまったんだ!
でも少し待ってれば

キッド(仔山羊)顔を出すよってな!!!

97 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2022/06/07(Tue) 16:14
行方知れずだった馬鹿みたいにでかい剣を背負った男が帰ってくるってよ!

金色ツンツン頭じゃない方のな!!


98 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2022/07/08(Fri) 13:12
100も行ってないスレを保守する理由は?

99 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2022/07/13(Wed) 07:39
そりゃ愛だよ愛!ラブ&ラブ!!

100 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2022/08/09(Tue) 21:20
削除予定日:9/7日

101 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2022/08/11(Thu) 01:37
まだまだ先やん

102 名前:赤錆 ◆BIv/1NS2 投稿日:2022/09/06(Tue) 00:58
泥土に足を取られて思うように歩くことができない。
それは味方の重装歩兵も、騎兵もそうだった。

人員・兵装ともにこちらが圧倒的に上回っていたが、
この悪路ではむしろ、相手方の(粗悪な装備の)軽装歩兵が身軽に動いた。

「用意!」

敵将官の掛け声が上がる。
頭に血が上って突出した連中はやっと我に帰るが、泥濘が生への歩みを封じた。
弓の引き絞る音がやがて来る運命を予感させた。

>>88
それは生きてる奴が買うものだろ?
俺にはもう遅すぎる。評価はもう終わっているよ。
ところで、獣の免罪は許されるのか?
いや、許されるはずもない。所詮は人でなしだ。そうだろ?

>>89
[風の精霊よ、我らを矢傷から護り給え]

矢の雨が俺達に降りかかる間際、雑音のような声が戦場に響く。

「まだ終わってねぇぞ」

痩せぎすの女が酷くしゃがれた声で叫んだ。
こいつも俺と同じ傭兵の一人だ。

「頭上は気にするな。このまま数で押し潰せ!」

オーッ!と我が軍から歓声が上がった。
この風の一吹きで一縷の望みが見えたのだ。
心折れかけた兵士たちの中に、半ば捨て鉢にも似た闘志が宿った。

彼女は魔法使いだった。
この女は一息にふたつの魔法を使える等と嘯いていたが、それは本当だったようだ。
今も吹き荒れる風が俺達を包み、また女は敵陣に火球を見舞っている。
どこかの王国の魔法士官くずれという売り込みもまんざら大嘘ではないらしい。

ちなみに俺は陣の端に居たためか、荒れ狂う風に運ばれた百の鏃が体の隅々にまで突き刺さっていた。

>>90
なんだ、蝦蟇の油売りの類か?
自分で自分を封じるなんて聞いたこともないが…どれ、取ってやる。

ペリ……

(!?)

(か、体が動かない……ッ!
 コイツ、まさかこれを狙っていたか!?)


(?ω?)ククク... <- 90


>>91
お前、貴族か?
どうせ俺が不死でなくたって、下賤だなんだと言うんだろうが……。

お会いできて光栄です。
ご機嫌いかがでしょうか?
我が命既に尽きたるとも、どうか友の仇を取るまでの猶予をお与え下さい。
さようなら。良い一日を。

……だめだ、この風体でやっても一層胡散臭い。

103 名前:赤錆 ◆BIv/1NS2 投稿日:2022/09/06(Tue) 01:05
>>92
俺が近隣に巣食う妖魔の討伐から返ると、何故か依頼人に気に入られ、縁談の運びとなっていた。

「さあさ、娘よ。挨拶を」

依頼人に促され、家の奥からブルネットで背の高い女がしずしずと歩いてくる。

「私はアデラ。グラーフシュトレム家の長女でございます」

やや低いが艶のある声だ。仕立てのいいドレスを纏ったアデラは深々と礼をした。

「なかなかの器量でございましょう?ただこの娘、少々お転婆でしてな。何度か縁に恵まれたのですが上手くいかず…。
 しかし貴方程の勇者であればこのアデラもきっと落ち着くと思っているのです。
 な? そうだよな?アデラな?」

しばしの沈黙。
そしてアデラは口を開いた。

「……父上。もうこのような嘘で固めた縁談などご免です。勇者殿にも申し訳が立ちません」

静かに、だが固い意志を込めた物言いはどこか武人めいて居る。

「馬鹿な、何を言う娘よ!」

狼狽する依頼人を横目にアデラは続けた。

「私は子を宿せぬ体。過去の破談はこの故。なまじ名家の誇りが父の眼を曇らせ、この事実に目を向けぬのです」

「グラーフシュトレムが跡継ぎを残せぬ等と……!」

「ふん。父上、そこまで家の存続がお望みならもう一子おつくりなされ」

アデラはドレスを脱ぎ棄てると、身軽な旅装となっていた。

「勇者殿、この度はとんだ茶番に巻き込んでしまい失礼した。
 今の今まで父上の心変わりを期待してきたが、それもここで終わりにしようと思う。
 そうそう、仕事の報酬にはこの騒動のぶんも上乗せしてある。では!」

指笛で黒馬レイヴンを呼ぶとアデラは何処かへ去った。
余談だがグラーフシュトレム夫妻は高齢ながらもう一子を生み育て家を存続している。

……まあ、他に言う事は何もない。

>>93
木製の空ジョッキが散乱する中、その隙間を縫って大柄の男も何人か伸びている。
酔っ払いの喧嘩の跡だ。
今夜の勝者はカウンターに突っ伏して寝ている奴らしい。

「もう店じまいだってのに、どうにも暴れてかなわん。
 誰かアイツを外に放り出してくれ!」

髭面のマスターが心底疲れた表情で嘆いた。
居合わせた客や腕自慢も先だっての大暴れを見てか腰が引けているようだ。

騒ぎを聞いて駆け付けた俺だったが、ここで恩を売るのも悪くはないか。
俺はつかつかとカウンターの客に近寄る。

艶やかな銀髪にしなやかな体躯。

女か?

とにかく、俺はそいつの腕を掴んだ。
ぐいと引くがビクともしない。まるで大岩を相手にしているようだ。
一体どんな顔をしているのかと覗いてみると、白く整った目元を、赤く泣き腫らしている。

「……えらく懐かしい匂いがするな」

女は蒼く胡乱な目を俺に向けると、ニヤリと笑った。
この女の名を青銀のブラウという。
青銀は、俺の求める獣の名だった。

>>94
大風が吹いて文字通り、勝負の風向きは変わったぞ。
矢雨は降ってこない。戦場での幸運は誇れ。お前の神に感謝しろ。
お前の最期はまだだ。そうだな?

それに、最期の後がまだ続くこともあるんだ。
そうなれば自分で話しに行けるな。
もっともそれが幸運かどうかはわからんがな。
もしその機会があったら、お前はどうする?
正しく死ぬか?

それとも……

104 名前:赤錆 ◆BIv/1NS2 投稿日:2022/09/06(Tue) 01:06
(残りは次回だ。また来る)

105 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2022/09/07(Wed) 00:55
因果の糸車がぐるりぐるりと廻るのを感じるよ
そう遠くない将来、君の物語には一区切りの幕が下りるだろう
赤錆びた屍が何を得て何を失うのか見届けさせておくれ

106 名前:赤錆 ◆BIv/1NS2 投稿日:2022/09/07(Wed) 01:07
>>96
叢からまろび出た顔は、仔山羊のような愛嬌は微塵もなく、おまけに生気もなかった。

「こんな面で悪かったな」

やや驚いた様子の依頼主を横目に、硬直した表情と焦点の合わぬ眼を悟られぬよう深くフードを被る。山羊の子を小脇に抱えながら。

「迷子はこの通り捕まえたぞ。あとはラジカルドリーマーズ農場に届ければ依頼完了だな」

陽光を浴び黄金に輝く白い体毛を見ながら依頼主は頷く。

「帰るぞキッド。このお転婆め」

>>97
そう。興味ないね。

……いや、無くはないね。
俺も片腕を仕込みの義手にしようと技師に見てもらったことがある。
結局、何度腕を切り落としても元の形に戻っちまうんで頓挫したがね。

英雄は帰り、伝説は続く……か。

>>98「誰だ」

振り返るも返答はなく、静けさだけが残った。
妙は妙だ。
ここ暫く俺の背中を見つめる目がある。
当初は教会の追手と思ったが、連中はここまで穏便ではない。
旅から旅の道すがら、襲う機会は幾度もあったのだから。

でなければ誰だ。何のためだ。

俺は歩き出す。決して見えないが、確かに在る気配を感じながら。

>>99
「あれもラブ。これもラブ。
 貴方、これまで自分は愛されることがなかったと、そう思っているでしょう。
 これから自分が誰かを愛すことはないのだと、そう思っているのでしょう。
 ですがそれは当然のことなのです」

胡乱な易者が俺の前に立ちはだかる。
俺の壊滅的な顔面を見て壊滅的な人生を送ってきたと確信したのだろうか。

「貴方、まず自分を愛しなさい。自分が愛せるような自分で在りなさい。
 その様になることがまず最初の一歩」

俺は砂と灰で崩れかけた掌をじっと見た。
抱く感情は失望、落胆、焦り、そして怒り。
そこに愛はなかった。愛することはなかった。

「ラブは貴方が育て、また心通じ合う者と共に育むもの。
 どうか心だけは切らさぬように」

はたと気づくと、易者は影も形もなく消えていた。
あの男は夢か幻か。
不死人は眠らぬが、ただ呆然と物思いに耽ることもあった。
消えゆく記憶を必死に手繰り寄せるように深く、深く……。

「あれもラブ……これもラブ……」

易者はいつの間にか俺の背後に回り込んでいた。

>>100, 101
「削除ヲ 執行シマス」

千年モノのストーンゴーレムが、得物の手斧を薙いだ。
俺は僅かに体を反るが、刃は首を深々と切り裂き、残るは首皮一枚。

だがこれでいい。これがいい。不死の身躱しに用はない。

俺は構わず身体を捻り力の溜めを作ると一気にそれを放出する。
錆び剣は狙い過たずゴーレム頭部の魔晶石を粉砕した。

「ああっ、貴重なコアが……いえ、この際仕方ありません」

今回の依頼人、遺跡調査の学者が独りごちる。
先程から古い羊皮紙とにらめっこしているが、あれはこの遺跡の地図のようだ。

「ねぇねぇ、アンタ今、首をばっさりいかれなかった?」

「無傷だ」

別の護衛に先程のことを突かれるが誤魔化しておく。
赤髪の若い冒険者だが周囲のことをよく観察している。
少し落ち着きがないのが難点だが。

「なぇねぇ学者先生、遺跡の最奥ってもっとかかるの?もう結構奥まで来たけど」

「うーん、この地図によると……直線距離であと1kmくらいですかね」

「まだまだ先やん!」

先日の地震で露出した遺跡だったが、各所に配置されたゴーレムの数が異常だ。
俺達護衛チームはややうんざりしながら、気を取り直した。

107 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2022/09/07(Wed) 06:54
ポエマーですか?

108 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2022/09/29(Thu) 20:48
見覚えのある面々だな
まさか生きていたとは

109 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2022/10/13(Thu) 20:55
君には勇者になる素質がある

110 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2022/10/14(Fri) 07:39
血なまぐさい赤ずきんちゃんだな!

111 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2022/11/29(Tue) 06:30
知っているか、人は皆獣なんだぜ

112 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2022/12/03(Sat) 00:54
誰もいないの?

113 名前:赤錆 ◆BIv/1NS2 投稿日:2022/12/05(Mon) 22:36
獣は、まず見張りの弩弓兵2名殺害して樹に吊るした。
鬱蒼とした森が天蓋となり月光から死を隠した。
隔番に向かった若輩兵は、血の滴る先を見上げたときその喉を裂かれた。

次に本隊が地に塗れ、輜重の野営地が襲われたのが恐らく最後だった。

>>107
オ 俺は、ついていけるだろうか

サ 災厄(獣)のない世界のスピードに

レ レブナント

>>112
何かに駆られるように、追い立てられるように現れる者もいるぜ。
例えばお前の目の前にな。
身体が、上手く動かないのだ。
ひどく冷えて、末端は悴むように感覚がない。

おれの手をにぎってみるか?
不器用にこねた粘土のようだろう。
けさはこれにしもが降りた。

……おまえの手はあたたかいな
ひふいちまいをへだてて あつい ちしおがめぐるのを かんじる
このうすいまくが やぶれて あふれでるものだけが
おれを あたためるのだ

【幽鬼レヴナント が 一体 でた】

>>108
いつからだ?
いつから みている?
おれは 
ずっと 
いたぞ
もはや いきてはいないが
ずっと さいごを みたいと ねがっていた

>>109
ゆうしゃは いつも みいだされて ばかりだ
そのひとだけで ゆうしゃになったものは いない
おまえは おそかったんだよ
いまさら おそい
みろ
この つちけ いろの もうじゃを

>>110
さいしょは いろなんて なかった
かえりちが つくと あらっても あらっても こべりついて とれない
しばらくたつと いろがくろく かわって こわばる

かえりちまみれで ぎるどに はいることはできなかった
だから はじめから あかいずきんを まとうように なった
これで すこしなら ごまかせる だろう

だが はながきくやつは どこにでも いる
おまえの ように

>>111
おれは けもののように いきてきた
なかまたちも そうあった
だから おまえのことばには どうい しかない

けものが けものを ころす なんて よくあること だろ
くうために まもるために もてあそぶために ころす
だから おれが やつを ころすのは とても ありきたりなことだな?

114 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2022/12/11(Sun) 20:21
オレタチは伝説になる事を目指して冒険してるんだ

115 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2022/12/13(Tue) 07:30
どれ、拙者がこのれぶなんとなる面妖な化生を調伏成仏してしんぜよう
いざ参る!!

116 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/02/08(Wed) 07:39
エビ好きに悪いやつはいねぇ!

117 名前:赤錆 ◆BIv/1NS2 投稿日:2023/03/05(Sun) 22:04
(レヴナントは花粉の異常な蔓延によって四肢を動かすことができない。
 土人形に粘膜はなかったが、なぜだ?
 瞳からは絶え間なく水が溢れ、鼻腔からは絶え間なく水が溢れた。
 瞼は勝手に閉じることはないから、左手の指を添えた。
 別の穴は右の親指と人差し指で器用に塞いだ。
 
 おそらくだが、次に赤錆の、身体の強張りが解かれるのは……七日以内の、いつか。

 ちなみに口は開けたままにした。
 呼吸を失って久しいが、息苦しい気がして)

118 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/03/06(Mon) 20:27
こんなところに不死身になれるマジックアイテムが!!

119 名前:赤錆 ◆BIv/1NS2 投稿日:2023/03/13(Mon) 00:20
>>114
新人冒険者の言葉を、俺は虚ろな顔で聞き流した。
俺の記憶は、古く、さして重要でないものから消えていた。
だがそれでも、未だ残るものはあった。
俺に夢はなかったが、仲間はそうでなかったことを覚えていた。
俺は槍を振り回したが、彼は抜け目なく知略を巡らしていたことを覚えていた。

「鷲の嘴」は国境の会戦で軍功を挙げた。
地方の小さな領地に封ぜられ、これからより大きな軍制を整えようとしていた。
曰く、これを足掛かりに、我々はひとつの国を作るのだと。団を率いる彼が、一国の王になるのだと。

だが、任地に戻る者は誰もいなかった。
月夜の晩に、誰かの夢は潰えたのだ。

俺は彼の夢を継ぐべきだったろうか。
いや、それはできなかった。
彼と仲間たちをその場に残し、俺だけがあそこを立ち去ることはできなかった。
だからこれは正しい選択なのだと。
何度も思考は逡巡する。
何度も何度も。

俺はこの話を誰にもしたことがなかった。
これからも、することはない。

>>115
何かの間違いじゃないか。
俺は冒険者ギルド所属の冒険者だ。

――実際には言わなかった言葉。

あいつはレヴナントを知って得物を抜いた。
俺の立場がどうあれ、不死者をこのままにはしておかぬだろうと思った。

アンデッドを許さない修道会の方が、俺よりも俺たちを知っている。
奴らは、少なくとも3体のレヴナントを把握していた。

1つ目。
ヘンリエッタ・バスカヴィル
のろいの魔犬を殺す者。

2つ目。
イザベル・ブル。
ジェヴォーダンの獣を殺す者。

3つ目。
ブランシェ・ラ・ルイユ。
青銀の巨狼を殺す者。

1つ目と2つ目はもういない。
だがラ・ルイユ(赤錆)は未だここにいる。

俺は赤錆びた剣の柄をゆっくりと握ると、異国の剣士にその切っ先を向けた。
その手は僅かに震えている。

恐怖はない。
呼吸すらない。
あるのは魂をすら底冷えさせる凍えだけ。

俺は何も言わなかった。
コイフの奥からギラついた視線を剣士に送った。

これは狩りだ。

生き血だけが、俺の魂の暖となる。
凍え切ってしまえばきっと正気を失い、絶望の内に果てるだろう。
かつてヘンリエッタ・バスカヴィルがそうであったように。

120 名前:赤錆 ◆BIv/1NS2 投稿日:2023/03/13(Mon) 00:21
>>116
「…へっ、ざまぁねえな」
「勘違いした小悪党には、相応しい最後ってわけだ」

「…なあ、お前、助けてくれよ」
「俺は、呪われたくない。死ぬのはいい、だけど」
「今度こそ、真っ当に産まれたいんだよ…」
「なあ、お願いだから…」
「…」


「糞喰い」に侵入されました!


赤黒い異形の鎧が、俺を穢しにやってくる。
奴の目には、俺の魂がまだ清浄に見えるのだろうか。
俺の目には、この赤錆と灰の体は、奴の纏う呪いとまるで変わらぬように思える。

…カニ好きには、いい奴しかいねぇ

俺はゆでカニを口に含むと半身に構えた。
これで、どちらが斃れるべきなのかは明らかだった。

>>118
死ななければ、それは不死だ。
だがどんな形でそれが実現されるのかが重要なのではないか、と俺は思った。

例えば意志を奪われたり、肉体の苦痛を取り除くことはできなかったり、
逆に肉体を失い家族や友人との絆を絶たれたり、
不死であることを公言できずに孤独に打ちひしがれたり……

いや、それでも今よりはマシだと思うのであれば、今ここで終わるよりはと思うのであれば、使ってしまうだろう。
俺がそうだったみたいに。

「なぁ、誰かそれを使わないのか?」

今回のダンジョン・アタックの仲間たちが嬉しそうな顔をしている中、俺は言ったが、結局誰もそれを使わなかった。
効果の確認のために、使った奴を一度殺してみようとする人間がいるかもしれないからだ。
結局、そのマジックアイテムは魔法ギルドに売却することにした。

いい値で売れたよ。
一番いい選択だとも思った。

俺は川縁にひとり座って、先ほどの祝勝会で胃に入れてしまった食べ物を中から取り出している。
そうしないと、これらは俺の体にずっと残る。
そのうち腐って嫌な臭いを放つ。


121 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/03/13(Mon) 07:36
一匹狼と思いきや時には群れるか赤錆よ

122 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/04/16(Sun) 21:30
武器屋で欲しい武器を見付けたが、金がたりねぇ

123 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/06/05(Mon) 21:39
こんな良い天気の日は、昼寝もいいよな

ZZZ…(一時間後)

あちっ!顔がヒリヒリする…日焼けしちまった

124 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/06/06(Tue) 18:03
赤胴…赤胴鈴之助?

125 名前:赤錆 ◆BIv/1NS2 投稿日:2023/06/13(Tue) 22:44
>>121
不死は死なぬだけだ。
身体の無理は利くが、仇の行方を探るのには向かない。
俺はしばらく身一つで各地を流浪したがすぐに頭を抱えた。
この大陸は俺には広すぎる。

俺には多くの眼と足が必要だった。
だから各地で名を売り恩を売り、獣の足跡を見返りに求めた。

……無宿人ばかりの冒険者という仕事はいかにも俺向きだったよ。

>>122
ショーケースの武器を眺める122を後目に、俺は仕事の張り紙をひとつ、酒場の主人に手渡した。
冒険者の宿には無数の依頼が張り紙として掲示してある。
金が無ければ稼げばいいのだ。

「おう、請けてくれるか。 薬草の運搬依頼でな、早馬で頼む」

俺は薬草の入ったバスケットを受け取り厩に急ぐと、鐙に足を掛けて栗毛の背中にひょいと飛び乗った。

「手付はねぇが急ぎの仕事だ、払いはいい。金は向こうで荷と交換だそうd」

瞬間。
馬は嘶き、俺は振り落とされる。

「いやあんた……馬に乗れねぇのにこの依頼を持ってきたのかい?」

何度目かの試行のあと、主人が呆れたように言った。
俺も忘れていたのだが、生物は不死を恐れる。野生に近いものほど強く。

雨が降ってきた。
俺は地面に叩きつけられたまま、天を仰ぐしかなかった。

ざっ。

その足音に振り返る俺と主人の目線の先には不敵な笑みを浮かべた122が立っていた。

「よし。金に飢えてる冒険者なら歓迎だ。……馬には乗れるな?」

>>123
思考が取り留めもなく溢れるときがある。
頭の中で思い出が無限に繰り返す時がある。
レヴナントは眠ることができないから、俺は、それが不死にとっての夢見だと思っている。

ふとした瞬間にそれは訪れる。
独りで動かずにいると、時には半日、時には一昼夜、時にはもっと、それが続くときがある。

夏の、ひどく日差しの強い白昼、俺は俺が揺らめく太陽をじっと覗き込んでいることに気づいた。
こうなったのはおそらく昨日の月がいやに大きく見えたからだ。

なぁ、俺は日焼けなんて起こさなかった。
その代わり、目と顔が乾燥でひび割れていた。旱魃の田畑を見たことがあるか?
街中に入る前に気が付いてよかったよ。

>>124
神出鬼没の盗賊団「オーガ・フェイス」。
その中でもスキアポデスを名乗る魔術師は強酸の雲を操ることで有名だった。
どんなに凄腕の用心棒を雇っても、剣先がそいつに届く前に武器ごとドロドロに溶かしてしまうという。

だが物事には相性ってものがあるだろう。

奴と対峙したのはちょっとした宝物殿の護衛をやったときだ。
奴が俺に杖を向けてなにがしかを唱えたのは分かった。
俺は全身が蕩けていくのを感じたが、そのまま奴の前に突進した。
奴は動揺したのか、もう一度、目の前の俺に向けてアッシド・クラウドを撃ったんだ。

つまり俺の中に、奴の一部が溶けて混じったってことだ。

(「赤錆レヴナント 一本足の魔人」より)


126 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/06/19(Mon) 21:35
俺が装備してる銅の剣がみすぼらしいと思わないか?

127 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/06/23(Fri) 00:03
蛮族も異教徒も亜人も恐るに足らん!

128 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/08/06(Sun) 22:12
この剣こそ
宝剣の紛い物の偽物の廉価版を見様見真似で作った…

一周回って普通の切れ味の普通の剣だ!

129 名前:赤錆 ◆BIv/1NS2 投稿日:2023/09/12(Tue) 21:47
>>126
嫌味かお前……。
どう見ても俺の得物の方がみすぼらしいだろうが。
錆ついて抜くことすらできないんだぞ。
持って歩くには異様過ぎるが……まあ、目印には分かり易い。
俺の名が売れた今となっては。

「貴様、赤錆だな」

声に棘がある。
俺に誰何するのは仕事の依頼か、俺が仕事の対象か、どちらかだ。

>>127
俺達を殺すのは過信だ、冒険者。
いつだってそうだったじゃないか……。

ランディア国境の小競り合いで、蛮族が持ち出した光の矢は城塞ごと俺の魂を焼いた。
修道会のお歴々は、死にぞこないが街を闊歩するのを許さない。
獣人は……アケルナルに向かうという情報を流したのは他でもない、あの獣自身だった。

この街道をずっといくと、月のよく見える丘がある。
そこで会う約束をしたよ。
次の満月の夜に。

>>128
一周回っていないのではないか。赤錆は訝しんだ。
そも宝剣の贋作の贋作、そのレプリカなのだから。
似せれば相応の剣としかならぬのだから。

だがお前がその剣を持って名を馳せば、一周回って宝剣となる。
英雄の佩いた一振りとなって。

(この間0.1秒)

「ああ、いいんじゃないか」

俺はなぜかやや気恥ずかしくなって、言葉を濁した。


130 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/09/13(Wed) 22:02
ダンジョンにある宝箱の中身を窃盗してはいけない

131 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/09/14(Thu) 03:32
赤錆って傭兵が最近有名だが
黒錆とか青錆も居るんじゃないかって噂だぜ!

132 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/09/14(Thu) 20:45
狩りは得意か?

133 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/10/17(Tue) 02:11
おのれ赤錆、父上の仇よ!!
ここで我が剣の錆にしてやる!!

134 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/10/30(Mon) 02:32
 どこにでもあるような廃村。ありふれた廃屋。
 これは、あなたがそんな場所を訪れた夜のことだ。

 扉を開いたあなたは、まず鼻をつく鉄錆の匂いに気が付くかも知れない。
 足元を見たのなら、暗い色の液体で満たされた水盆を目にしたかも知れない。
 しかし、あなたが何か行動を起こすよりも先に、語りかけてくる声があるだろう。

「……おや。
 まさかこんな時間に、こんなところで人の姿を見ようとは。
 貴公、すまないな。見苦しいものを見せるつもりはなかったのだが」

 声の方向には、黒衣と鳥に似た形状の仮面を身につけた人物が座している。
 表情や視線は伺えないものの、声音は至って平静だ。

「私は旅の薬師。人にはジャックと呼ばれている。
 ご覧の通り平凡で、至って善良な旅の者だよ」

名前:ジャックドウ
年齢:27歳
性別:男
身長:173cm
体重:60kg
種族:人間
職業:薬師/剣士
属性:無
性格:冗談や回りくどい言い回しを好む
利き手:右
魔法:治癒・防護などの補助系統を扱える他、戦闘の役には立たない魔法を少し
特技:植物の鑑別、調薬
装備品:鳥の仮面、フード付きの黒い外套、細剣、短剣、手袋、帽子
所持品:木製の大きな薬箱、ワンド
容姿の特徴・風貌:全体に細身。髪や素肌の露出は一切ない。
鳥のような仮面で顔全体を覆い、頭部を丸ごと隠す形でフードを被り、その上から更に帽子を乗せた珍妙な装い。
趣味:民間療法の収集・実践、記録
将来の夢(目標):持病の完治
簡単なキャラ解説:
各地の医術を学んでは自分の体で実験を繰り返している病身の放浪者。
調薬に関する知識・技術を持ち、冒険者として収入を得る傍らで薬草類の採集を行っている。


 あなたは何かしらの行動を起こしてもいいし、何もしなくてもいい。
 何にせよ、彼は今後しばらく近隣に留まり、概ね七日に一度を目安に姿を現すだろう。

135 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/10/30(Mon) 02:33
……ああ、そうだ。貴公らに一つ、頼みがある。
あまり私に近寄りすぎぬように。厄介な病を患っている。
これまで人に伝染したことはないようだが……
貴公とて、一人目として数えられたくはなかろうよ。それに私も心が痛む。

>>132
まさか。私ほど獣狩りに向かぬ人間もそうそうおるまい。
夢見ることなく、慈悲深く、血を忌避する。
優れた狩人の、およそ対極に位置する者と言えるだろう。

……だが、何事にも例外というものはある。
ただの一種のみ、私にも得意な獣がいるのさ。
何、そう珍しい獣ではない。
ちょうど貴公の目の前にもいるだろう?

連中ならば、私は急所をよく知っている。
苦しませることなく、迅速に狩りを遂行できるだろう。
血を流さずに済むのなら、それに越したことはないがね。

>>133
そうか、ここで……いや待て、ここでか?
その、なんだ……貴公、盛り上がっているところすまない。
私は赤錆なる人物とはまるで無関係の者なのだが……。

ああ……もしや、匂いで勘違いでもさせたかね。
この場に漂う匂いは錆ではない。ただの血の匂いだ。
なお匂いの元はこちらの水盆に入った生血だ。事件性は一切ない。
心配せずとも、すぐに処分する心算ゆえ気にするな。

……ということで、状況は理解できたろう。
貴公、ひとまずは安心して剣を納めたまえよ。
お目当ての人物も、そのうち現れるだろうさ。

136 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/10/31(Tue) 02:13
黒き死の病は悪しき怨霊が原因に間違いありませぬ
貴殿方も足繁く教会へ礼拝しなされ
我らの祈りを神々も必ずや聞き届けて下さることであろう

お布施も忘れてはなりませぬぞ
喜捨を渋るバチ当たりな俗世者は福音を受けられませんぞ!

137 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/11/03(Fri) 01:31
長らく、黒死病は不治の病と言われてきた……だが今は違う!
……などと、力強く断言できたら良いのだがね。
灰であれ黒であれ、死の病を克服する道は遠く険しいようだ。

>>136
……ほう、なるほどな? 素晴らしいよ。感動した。
こちらの教区の司教殿は随分と慈悲深く啓蒙的で動物愛護の意識がお強いようだ。
だが専門家として一つ言わせてもらうと、豚に法衣を着せるのは感心しない。衛生的にな。

人とよく似た品種の豚を飼うのが昨今の流行のようだが、見分けるのは容易だ。
人の身なれば、法衣を纏い神の名のもとに金儲けなど――
それも不安を煽って集金せしめようなどという、賎しい真似ができようはずもない。
しかし、豚とは泥にて身を清め、残飯に鼻を突っ込んで漁る生き物だからな。
豚であることは決して罪ではなかろうが、人間基準の品性を求めるのは酷というものだ。

しかし貴公、親愛なる哀れな豚畜生猊下、ご存知かな?
寵愛されし家畜の役目は、特別な晩餐として供されること。
存分に肥えた後、貴公は主人からどのような献身を要求されるものだろうかね。
私としては、今のうちに本気で祈ってみることをおすすめするよ。
家畜に神はいないなどと宣う不届き者もいるようだが、私は差別主義者ではないのでね。
一心に祈れば、あるいは神々のご高配により人に変えて頂けるかも知れん。

138 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/11/05(Sun) 00:27
王侯貴族みたいな生活がしたいぜぃ

139 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/11/07(Tue) 01:02
貴公らは疫病の乙女の伝説をご存知かね?
赤いスカーフを持った若い娘で、村から村へと旅をしているのだという。
彼女が気まぐれに家々の戸や窓をスカーフで撫でると、その家で疫病が発生するそうだ。
地域によって扱いは異なり、魔女だとも、天の怒りを伝えに来た使徒だとも言われる。
美しい娘らしい、という点は共通しているようだが……
あまり積極的にお目にかかりたい相手ではないな。

>>138
王侯貴族……王侯貴族か……。
この大陸の頂点といえば、かの神聖帝国の皇家となるだろうか。
一体どのような生活を送っているものか、一介の旅人の預かり知ることではないが……ふむ。
彼らに関しては、数年前に奇妙な噂を聞いたことがある。
何でも、かの皇家の皇女殿下が出奔し、冒険者に身をやつしているとかいう与太話さ。

何でも皇女殿下は、東方の武芸者、人狼、吸血鬼などという錚々たる面々を配下に従え、
大陸各地で悪党どもを成敗し、邪悪な陰謀を暴いては叩き潰して回っているのだという。
ああ、いかにも荒唐無稽な内容で笑えるだろう?
だが与太話というのはこうでなくては面白くなかろうよ。
暴れん坊皇女の伝説は、後の世でも永く語り継がれるに違いない。

まあ……野暮な話をすれば、皇女殿下ご本人がふらふら出歩いているわけもなし。
皇女殿下のご芳名に、当時の冒険者の活躍でも結びつけられたのだろう。
だが貴公、王侯貴族というのは往々にしてそういうものさ。
良きにつけ悪しきにつけ、誇張された噂ばかりが好き勝手に語られて当人は置き去りだ。
羨ましいと思うかね? 私は、願い下げだがな。

140 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/11/09(Thu) 21:20
今年できた麦のビールとパンを食いなよ!
もう冬が来ちまうんだぜ!

141 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/11/12(Sun) 22:06
私の師はフォーマルハウトの医学院を出た後、各地を放浪していた方でな。
共に旅をした間に多くを学び、実践の機会を頂いたものだよ。
私自身は学位や資格などというものには無縁な、在野の薬師に過ぎぬがね。
……何だ、腕が不安か? それは安心したまえよ。
私の処方で落命したという苦情は今のところ来ていない。

>>140
ご厚意に感謝する。後ほど頂くとしよう。
すぐにでも頂きたいところだが、人前でこの男前の面を外すわけにはいかなくてな。
この嘴が開閉などすれば、装着したままでも飲食できたのだろうがね。

冬ね……いや全く、実に急に冷え込んだものだ。
今年の冬将軍は悠長に構えておいでだと思ったが、奇襲にてお出ましとは。
このようなやり口は月神か混沌神の領分だろうに、入れ知恵でもされたものか。
真正面から戦っても無双の者に策まで弄されては敵わんよ。無法だ。

ともあれ、冬将軍が軍備に手間取る年は、例年より雪深くなると聞く。
もし寒波で体調など崩す者がいたなら、呼んでくれれば診よう。
こちらとしても、頂いてばかりでは据わりが悪いのでね。

142 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/11/15(Wed) 22:26
故郷の話を聞かせてよ

143 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/11/17(Fri) 03:02
遠い昔。
祖国の危機に瀕して、その身を竜に変え国を護った男がいたのだという。
今となっては、男の名はおろか、国の名や場所さえ伝わってはいないがね。

>>142
世界のどこかに、私のような鳥面の連中が隠れ住む秘境が……などというわけもなく。
私は南方の出身だ。田舎も田舎、とんだ僻地だよ。
特に見るべきものもないが、中央から距離があるぶん諸国の争いとは縁遠い。
静かに、穏やかに暮らしたいのなら良い土地だろう。

……と言いたいところだが、何事もそう上手くは行かぬものだ。
魔物が湧く。年に数度、領主が討伐隊を編成して掃除をさせるのだが、それでも湧く。
人の行き来も少ない僻地だ。被害が出れば、たちまち人手が不足する。
豊作の年などは、農民に限らず住民総出で収穫に追われていたものだよ。

まあ……今となっては全て昔の話だな。
私が故郷を離れてから、十年以上の時が経っている。
今やすっかり様変わりしている可能性も十分にあるだろうさ。
旅立ってからというもの、故郷の話は耳に入れぬようにしているものでね。
帰れもせぬ身で里心がついてはやりきれんだろう?

144 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/11/19(Sun) 00:18
与太話やら昔話やらよく鳴く小鳥ちゃんだぜ!
子供の頃婆ちゃんが暖炉の前でお話してくれたのを思い出しちまう!
えーん婆ちゃーん!

145 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/11/21(Tue) 02:11
穢れ払いの祈祷。
地域によって作法に多少の差はあるが、概ね神聖術の系統か。
軽い不調ならば、これだけで快方に向かうこともある。
各地の民話に『祈りで万病を治癒する聖人・聖女』などという者がよく登場するが、
彼らが実際に行使していた能力も、恐らくこれに近いものだろう。

――余談だが。
衣服や健康な人体に使っても悪臭を防ぐ効果があるので、長旅でも重宝する。
この話は聖職者には黙っておくことをおすすめするよ。
「神聖なる主神ルシルフルの御力を洗濯桶の代わりに!」
と、以前ものすごい剣幕で怒られたからな。

>>144
田畑を蝕む害虫を啄み、騒がしく夜明けを告げるのが小鳥の仕事というものだ。
ああ、しかし貴公、よく鳴くからといって炭鉱に連れていくのはおすすめしない。
私の場合、死んだ後も構わずこの調子で話し続けるだろうからな。
「そういえば私の肉体が死んでしばらく経つが、貴公らもそろそろかな?」
などと言い出した頃には、もはや全員手遅れというわけだ。

……実際、長く一人で旅を続けていると、ふと思う瞬間がある。
私はもう、既に死んでいるのではないか、と。
気付かぬうちに病に倒れ、ただ意識ばかりが漂っているのではないか、と。
だから、……いや、さすがに回りくどすぎるか、この言い方は。

貴公にとって、暖炉際で昔話を聴いた過去の時間は幸福な記憶となっているようだ。
同時に、貴公の祖母君にとっても、昔話を聴かせる時間は幸福なものだっただろう……と。
私が言いたかったのは、大体そのような内容さ。
語る物と聴く者、双方が揃わなければ、物語など消えゆくばかりだからな。 
無論、私も貴公には感謝しているとも。

146 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/11/24(Fri) 22:14
この先は亜人と異教徒と異邦人と異端者のスラムじゃ
入れば命はないぞ

147 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/11/27(Mon) 23:37
病の実態は様々だが、様々なりに法則はある。
蔓延するのも死んでいくのも、大概は貧しい者が先ということだ。
よって、私が都市に訪れた際には必ず貧民街の様子を見に行くことにしているのだが……。
……今宵はどうにも、霧が濃いな。

>>146
ならば貴公は、さしずめ冥府の番人というわけか。
死は穢れを呼び、穢れは疫病を呼び、疫病は死を呼んでくる。
繰り返す毎に勢いは増し、生者が死者へと変わる度、冥府の勢力は拡大する。
それを食い止めるのが、私の仕事の一つでな。
連れて帰りたい相手もないのに冥府下りなど、正直ぞっとしないがね。

さて貴公、番人殿。ご存知ならば聞かせてほしい。
奇妙な病の噂を聞いたり、見たりすることは?
さほど具体的なものでなくても構わんさ。
ただ、そうだな……いつ頃から出回り始めたか。
できれば、どうなるのかも分かるのならば知りたい。

ああ、止められようとも行かねばならん。
命はないと言われるほどの状況はさすがに稀だが、貧民街には慣れている。
血気盛んな瀉血治療の希望者も、二、三人も処置をすれば大概は落ち着くものだ。
私としては背後や物陰からではなく、一人ずつ整列してお越し頂きたいものだがね。

148 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/11/29(Wed) 01:39
人の姿を真似た魔物が街に紛れ込んでいるらしい
見つけ次第に捕らえて灰にしてしまおうではないか

149 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/01(Fri) 02:51

・貧民街調査
 連日、濃霧により視界不良。調査継続。
 所見――莓毒、焦紅熱と思しき患者を確認。祈祷、内服薬を処方。要経過観察。
 現時点では、疫病の大規模な流行が起きる危険性は低いか。
 暴漢、計四名。瀉血を施す。昏倒後、止血処置。治療費を徴収。依然として赤字。
 新たな情報、特別な収穫――なし。

・記録
 拍動性の疼痛、幻聴、幻視、■■■■■。
 そろそろだろう。

・・・・・・・・・・

……ああ。貴公、本当にいたのか。
すまない。無視をするつもりはなかったのだが。
少々……手記を書いていた。日課のようなものでな……。

>>148
ふむ、魔物か……差し当たって異論はない。
しかし貴公、一つ質問をさせてくれたまえよ。
かの魔物と人とを見分ける、確実な方法はあるのだろうな?
まさか“怪しげな者を捕縛し、抵抗した者や拷問して自白した者が魔物”か?
だとしたら、そのような知的極まりない手段に従うのは難しい。

無論、聡明なるお歴々が崇高な思想の元に命じられる内容に間違いはないとも。
しかし私のような愚物には、あまりにも難解すぎて理解不能でな。
おまけに私自身、見るからに不審な男という自覚ぐらいは持っている。
その鳥面を外して素顔を見せろなどと言われては困るのさ。

……そう怖い顔をするなよ、貴公。もし機嫌を損ねたのなら謝ろう。
詫びの代わりだ、一つ耳寄りな情報を教えて差し上げよう。
人に聞かれてはまずい内容なのでな、もう少しこちらへ寄ってくれ。……いいだろう。
これは誰も知らない秘密なのだが――鳥はな、犬に追い立てられると、逃げるのだ。
おまけに犬を昏倒させたりもする。丁度、今の私のようにな。
そういうわけだ。勉強になったろう? では、失礼。

150 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/02(Sat) 00:59
今回の霧も失敗ですね
向こう側の瘴気が滲むばかりで門は開かない失敗作です

151 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/03(Sun) 00:10
最近この辺りでガラの悪い奴らの集会があって治安が悪い感じ…

152 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/04(Mon) 23:20
 ――現在、私が置かれている状況を簡単にまとめると、こうなる。

・持病の状態が悪いので今すぐ宿に戻って休みたい。
・官憲に見つかったら恐らく捕まる。一巻の終わり。
・魔物に行き合ったら恐らく負ける。一巻の終わり。

 さて、ここで貴公に一つ、簡単な問題を解いてもらおうか。
 ここは土地勘のない異国の貧民街で、周辺は濃霧で視界が悪く、
 更に私は複雑な路地を人目や気配を避けて逃げ隠れしつつ歩いている。
 どうなると思う? 

>>150

 深い霧中を彷徨い続け、此岸と彼岸、現実と夢、あらゆる境が曖昧になる。
 私が彼らを目撃したのは、そんな時だった。

>「今回の霧も失敗ですね」
>「向こう側の瘴気が滲むばかりで門は開かない失敗作です」

 ……ああ、道を教えてくださいと言える雰囲気でないことは確かだな。
 もう少しよく観察させてもらうとしよう。……まず、身なりが良い。
 言葉遣いが整っており、この地方に特有の発音とは少々異なる訛りがある。
 見た目と雰囲気と発音と会話の内容、更にこんな霧の日に立ち話という状況。
 乏しい材料からなる判断で恐縮だが、これで善良な一般市民だったら驚きだ。

 彼らの会話の詳しい意味は分からないが、まあ大まかな推測ぐらいはできる。
 ――古来より、霧は異界に通じると囁かれる。魔物は異界より来るという。
 連中、神より固く禁じられた、異界との繋がりを持とうとしている。異端者か?
 魔物騒ぎとも無関係ではなかろう。ならば私の苦難も連中の責というわけだ。

 しかし、それを知ったところで何ができよう。
 官憲を昏倒させて逃げてきた不審な男がどこに訴え出るというのだ?
 今はひとまず、体力の回復を待つべきだろう。
 私は息を殺して、彼らが立ち去るのを待った。

153 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/04(Mon) 23:21
……霧が、少し薄くなったか。
これなら宿にも戻れそうだ。
散々な日だったな……。

>>151
集会か……現状、気味が悪いだけで特に被害はないと。
気になるのなら、冒険者ギルドに調査を依頼するのも良いかと思う。
貴公の懐が寂しければ、近隣住民と相談して費用を出し合っては如何かな。
どのような結果であれ、何も分からないよりは気が楽になるだろうさ。

以前に、こんな話を聞いたことがある。
夜な夜な人相の悪い連中が廃屋に集い、殺伐とした言葉が断片的に聞こえてくる。
これは悪党に違いないと通報を受け、衛兵たちが踏み込んでみれば、
なんと演劇趣味の素人集団が練習をしているだけだった、とな。
今回もそんな笑い話で済めば良いのだがね。

しかし……そうだな。今は、個人的に気になることがある。
その集会、いつ頃から目にするようになったものだろうか?
持病の状態にもよるが、私が様子を見に行ってもいい。
この街にはもうしばらく世話になるつもりだからな。
治安の悪化も、全くの他人事ではないというわけだ。

154 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/06(Wed) 00:28
火付盗賊改方である、おとなしく縛につけぃ!

155 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/06(Wed) 21:47
見えないものが見える体質?

156 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/07(Thu) 20:32
失われた過去の書物を旅のお方が見つけてくださった!
ありがたやありがたや

157 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/09(Sat) 00:10
数年前に、一度だけ妖精を見たことがある。
霧深い森で道に迷っていた時、不意にどこからか声をかけられてな。
周囲を見回すと、小さな――そうだな、およそ鳩に近い大きさだったか。
そんな子供のようなものが、木の葉の陰で眠たげに膝を抱えていたのさ。

紙を保管するにはどうしたらいいのかと聞かれたよ。
丁度、空いた瓶があったので一つくれてやった。
それに入れておけば、少しは劣化も抑えられるはずだとな。
返礼として、私は森から解放されたというわけだ。

>>154
遠方よりはるばる出向いて頂いたようで嬉しいよ。
個性的な発音で内容が全く聞き取れなかったのだが、とりあえず心には響いた。
そういうわけで、先ほどの感動を改めて味わわせて頂きたい。
もう一度……できれば、ゆっくりと言ってもらえるかな?

……。
…………ふむ。
『煮付け』『豚足』『温め方』『願う』、『愚かしく』……何だ? 『爆裂拳』……?
……そうか、違うか。だろうな。安心したよ。
突然そんなことを言われたら感動よりも恐怖に心を震わせるところだった。
よし、修正しよう。どこが違う? ……何、全部か?

ああ、そう興奮するな、貴公。
声を荒げてはますます聞き取りづらくなる。
私は決してふざけてなどいないさ。無論、挑発する気もない。
極めて真面目に、真剣に聞き取ろうと努力しているとも。

ところで、私に一つ名案がある。
筆談をしないか?

158 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/09(Sat) 00:12
>>155
体質……というよりは持病の症状だな。
発作が近付くと、体調の悪化に加えて少しずつ幻視や幻聴が出てくる。
普段はもう少し緩やかに変化するのだが、今回はいつになく急激に悪化した。
霧中で身体を冷やしたのが悪かったか、あの霧そのものが……何か……。
……推論できるほどの材料はないにしても、記録はしておくべきだろうな。

この奇病を患ってから長く経つ。
私も随分と調べたが、原因も治療法も不明のまま時間ばかりが過ぎていったよ。
伝統的な治療にも効果はないか、せいぜいが気休め程度のものだ。
こうなると、もはや試していないものを片っ端から試してみるより他にない。

まあ、そう悲観するばかりでもなかろうよ。
少なくとも、すぐに死ぬ病でないことは確かなようだ。
それでも不安に苛まれる時は、運命神を口説き落とすことにしている。
「生かしておいた方が面白い男だと証明するので、私から目を離さぬよう」とな。
……願いの対価として、更なる困難を課せられているようにも思えるのだが。
それこそ見当違い、見えないものを見ていると、運命神の不興を買うか。

>>156
それは重畳。見つかったのは……ああ、魔女と鼠の断章か。
かつて、吟遊詩人の歌う叙事詩に耳を傾けたことがある。
私も物語は好きでな。特に騎士物語や英雄譚の類は好んで見聞きする。
いずれは全ての章が見つかるよう願っているよ。

貴公も書物を好むのならば、魔法の書物の噂を知っているかな?
気まぐれに現れては消え、失われたかと思えば再び姿を表す古代の魔法書。
一見するとただの古い書物なのだが……開かれる度に内容が変化するのだという。
失われたはずの物語、止まったはずの時間が、現れる度に進んでいくそうだ。

古代魔法の力が、どのような理屈で働くものかは計り知れん。
しかし、風の語らう噂によれば――それは意志なのだと。
人の望みに応えて姿を表し、熱で成長していく生きた魔法なのだという話だ。
私も旅を続けるうち、いつか本物を目にすることがあればいいと思っている。
たとえ手に取って読んでいたとしても、そうとは分からないものかも知れないがね。

159 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/09(Sat) 19:52
きみはこう言いたいのでしょう

 イ シ ャ は ど こ だ !

160 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/11(Mon) 15:51
そろそろいにしえのドラゴンが4年に1度の目覚めの時を迎える

161 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/12(Tue) 22:10
ああ困った、指輪を落としてしまった
青い宝石のあしらわれた指輪でね

あれは呪われているのだ
もし見つけたら私に報告するか、いっそ破壊してくれ
宝石の悪魔が君を魅了する前に……

162 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/13(Wed) 20:34
エルフ、ドワーフ、竜人に獣人……俗に亜人と呼ばれる者たち。
この大陸で、彼ら亜人の姿を見る機会はそう多くない。
旅をしていたり、人里付近に住んでいる変わり者が少数いる程度か。
大半の亜人は人間を避けて暮らしている。伝承も殆ど残らぬ大昔からな。

……しかし、何事にも例外はある。
大陸北西、海を臨む地の名をアケルナル亜人領という。
太古より聖地と呼ばれるその地では、人と亜人が共に暮らしているのだそうだ。

>>159
悪質な冗談はやめたまえよ。私は死ぬかも知れないのだよ。
ほら、私の顔はこんなに黒ずんでいるではないか。
おまけに嘴まで伸びてしまって……
……と、茶番は程々にしておくか。
貴公と戯れるのは愉快だが、続けていては私の寿命が尽きてしまう。

私が探しているのは医者というより賢者だな。それも亜人――エルフだ。
聖地に住まうエルフの中には、数千年もの時を生きている者がいると聞いた。
それだけ長く生きているのなら、病についても知っていそうなものだろう?
明確な治療法でなくとも、手がかりになりそうな事なら何でもいい。

……そう思って、大陸北西を目指していたのだが。
どうやら近年、帝国南部で亜人種が人間に虐殺される事件が起きていたらしい。
ただでさえ数を減らし、人間と距離をとって生きていた亜人たちだ。
聖地においても徹底的、いやテッテ的な警戒がなされていたとしても不思議はない。
こうなると目当ての相手に面会どころか、まず聖地に入れるかどうか……。
悪質な冗談はやめたまえよと、貴公よりもこちらの事件にこそ言いたいものだ。

>>160
童話『うたたねドラゴン ウールーのおはなし』か?
たった一日のみ意識を保ち、再び眠りにつく古竜……子供の頃に聞いたよ。
実在するなら、存外に規則正しい輩なのか、呪いでもかけられているのか。
あるいは本当に、単に何百年もの間うたた寝を続けているだけかも知れんな。

千年以上を生きる種に、我ら人間の常識など通じぬものだ。
いつも早春に目を覚ましては、軽く腹を満たして寒さが和らぐまでと二度寝をする。
そんな生活を続けているうち、すっかり名物になってしまった……とかいう話だろう。
だとすると、いずれはきっちりと目を覚ます日が来るのだろうかね。

……ああ。ドラゴンと言えば、そうか……嫌な話を思い出した。
先ほど他の客人と話した内容と重なるのだが……
帝国南部で起きた虐殺事件。その被害者たる亜人は、竜人なのだという。
純粋な竜と竜人との間に、どれほどの繋がりがあるものかは分からん。
だが貴公……微睡みの古竜が報復を胸に覚醒するというのは、出来すぎた話だろうか?
どうする? およそ二ヶ月半後、大陸が劫火に包まれていたら。
……あまり笑えんな。

>>161
おや貴公、それを私に聞かせて良いのかな?
確かに私は善良にして親切、更に金銭欲に乏しい男だと自負しているとも。
だが、残念ながら相談相手として致命的な問題が一つあってな。
鳥の仮面になぞらえて、光り物を好む? ……残念、外れだ。
問題は、私が薬師の端くれだということさ。
植物のみならず、鉱物にも薬効があることを知っている。

日頃あまり鉱物素材を扱わないのは、稀少さと原価の高さが理由でな。
もしもその指輪を見つけたら、嬉々として磨り潰してしまうかも知れん。
……いや、それは一般的には破壊行動のうちに入るのか?
貴公がそれでも良いと言うのなら私は構わないが。
まあ当面の方針としては報告を第一とするか。もし粉にしてしまったら謝ろう。

呪われた宝石を粉末にして薬にしたら、呪いはどうなるものだろうな。
細かく分散されて薬に宿るのか、指輪や宝石の形を失った時点で解けるのか……。
不謹慎ながら興味が尽きん。早くも宝石に魅了されているのだろうか。
いずれにせよ、砕いた時点で宝石の悪魔は泣き出すかも知れないが。
まあ、それはそれで悪魔にとってもいい薬になるのではないかな。
たとえ魅了ができたところで、執着心の表れ方には個人差がある、ということさ。

163 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/15(Fri) 01:21
うっふん、お花を買っていきません?

164 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/16(Sat) 00:40
寒いとついつい防具を中心に購入してしまう…

165 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/16(Sat) 03:23
私の生母はラベンダーの花を好んだと、幼い頃に父から聞いた。
理由は教わらなかったが、まあ何も言われずとも想像はつくよ。
それを語った父の瞳は、あの花とよく似た色をしていたのだから。

>>163
このような時期に咲く花とは珍しい。
貴公の言葉には魅力を感じるが、あいにく今の私は甲斐性のない病人でな。
花の美しさを愛でるより、自らの生活を立ち行かせる方が優先だ。
花とて、私のような男に買われては不憫だろうさ。
言うなれば、まさに高嶺の花というわけだ。

さて、人の生業に口を出すのは野暮なことだが……
できれば、あまり遅い時間に娘一人で出歩かぬよう。
冷えた空気は害虫の活動を鈍らせるが、同時に人にも花にも毒となる。
そのくせ、粋人気取りの花盗人は季節を問わず見境がないものだ。

……ああ、却って引き留めてしまったか。すまない。
昨今は治安に些か不安があると耳にしたもので、つい気になってしまってな。
次は良客に恵まれるよう祈っているよ。
口先で冷やかすばかりの鳥ではなく、懐の広く暖かい者にな。

>>164
金属鎧は快適さとは縁のない代物だと聞く。
着るも一苦労、脱ぐも一苦労。夏は暑く冬は寒い。
重い上に手入れも手間で、かと言って怠れば我が身が危うい。
より良い装備を揃えたくなるのも道理というものだ。
定住者ならいざ知らず、旅暮らしでは衣装持ちというわけにも行かぬしな。

それで貴公、掘り出しものは見つかったか?
体に合う大きさ、性能の良さ、金額……重視する点は様々だろう。
だが、注意したほうがいいことが一つある。全体のバランスだ。
よくいるよ。多くの店を回り、一つ一つを注意深く厳選した結果……
全てを合わせて装備した時、滑稽な姿になってしまう輩が。
まあ、見た目に頓着しないと言うのなら、それも一つの選択だろう。

……私はどうなのか、と?
確かに私も珍妙な装いだが、これはこういうものだからな。
この面が――特に鳥の如き嘴が、人の目に奇怪に映ることは知っている。
だが貴公、命には替えられぬという点では前線に立つ戦士と同じさ。
いざという時、命を守る効果がどれほどあるものか怪しいところも含めてな。

166 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/16(Sat) 12:32
赤竜のウロコは守護の効力があると噂に聞いたな…

167 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/17(Sun) 07:50
色のドラゴンは悪。鉱物のドラゴンは善とか昔BEEPの幻想辞典に書いてあったな
ブラックドラゴンは悪で、シルバードラゴンは善だそうだ。
悪のドラゴンは頭が悪く善のドラゴンは賢かったという。


168 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/17(Sun) 07:53
そういえばどこぞのエルフ喫茶という魔法使いのエルフがやってるメイド喫茶があるという
ところがそこの看板娘が小柄で怪力。
どうやらドワーフとエルフのハーフらしい。

169 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/17(Sun) 12:18
解散した悪の組織の残党が新たなグループを作ろうとしてるらしい

170 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/17(Sun) 14:52
>>169
アルフ?

171 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/17(Sun) 16:10
どうせいつか倒れるのなら、美しく前のめりに倒れたい。それが俺の憧れる生き様

172 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/17(Sun) 22:00
おれは大の字に倒れたいな。


173 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/18(Mon) 03:16
俺昨日武器ショップでカリバーン買ったわ!

174 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/19(Tue) 00:15
大陸南に広がる砂漠地帯は“竜の砂漠”と呼ばれている。
“赤竜峠”に“白竜山地”、“飛竜渓谷”。“黒竜峰”……いや、これはおとぎ話か。
竜の名を冠する地名は大陸各地にあるが、今でも竜が棲んでいるとは限らない。

……ああ、おとぎ話の“黒竜峰”か?
火口付近に狂った黒竜が棲み、永遠に孵らぬ卵を守っているという話だよ。
私の故郷では相当に古い時代から語られているものらしい。
しかし、肝心の黒竜峰がどこにあるのか伝わっていないのさ。

>>166
守護の効力か……ふむ。気になることがあるのだが。
その力は、本当に“赤竜”という種の特性なのだろうか。
同じ種の薬草でも、土地や育て方によって薬効に多少の差が出るものでな。
長命の竜ならば、個体差の幅も広いのではないか……と、ふと思った。

もしも特殊な効力が竜の個性だとしたら……そうだな。
守護の力をもたらす竜には、何か守りたいものがあったのかも知れん。
ありがちだろう? 主の意志や願いが遺品に宿るという話は。
竜は死して鱗を留め、人は死して名を残すという。
鱗を身につけた英雄が歴史に名を刻んだなら、竜の名もまた残るだろうか。
どのように生き、何を願い、死んでいった者だったのか。

……もしも私が鱗を手に入れたら? 無論、薬にするとも。
薬に竜の名を付けて、長い説明書に竜の生き様を物語として添えて売ろう。
ただ効力を謳うより、それらしい物語を添えた方が記憶にも残るものだ。
ついでに私の懐事情にも守護を頂ければ言うことなしなのだが。

>>167
古今東西、竜に魅せられる者は後を絶たんな。貴公もその口か?
虚構か史実かも曖昧な伝承の中で、これまた様々な特徴が語られる。
竜の血は不老長寿を得るという話があれば、逆に猛毒だと語る話もある。
神と崇める地域があれば、魔物と恐れる地域もある。
どちらでもなく、ただの巨大な動物に過ぎぬという地域さえある。

嘘や想像が混ざっているのか、単に個体や種類による差なのか。
私も気になっているのだが、この大陸に竜の棲家はさほど多くないようでな。
探せばいるかも知れんが、通常、道を歩いていて出くわすようなものではない。
竜の数も少なければ竜を倒せる者とて稀。
文献を漁れど先の通り意見はバラバラだ、情報の真贋を見極めるのは困難だ。

――ああ、だが善悪の話については分かるような気がするよ。
人間の語る物語においては、よくある話だからな。
生きている方が役に立つか、強すぎて倒せないなら賢く善良。
死んでもらった方が都合が良ければ、愚かで邪悪ということだ。
語り継ぐのは勝者の権利、都合の良い話にもなるだろうさ。

>>168
ふむ……世界は広いな。…………。
ああ、黙り込んですまない。少し考えていた。
エルフとドワーフは仲が悪いとよく聞くが、子を成すこともあるのか……と。
いや、それ自体には文句のつけようがない。
むしろ種族の不仲を乗り越えて結ばれるのは素晴らしいことだろうさ。

ただ、個人的な事情というものか……。
私はエルフの賢者に面会するため、大陸北西の聖地を目指していたのだが。
その聖地では種族を問わず受け入れ、共に暮らしているという話なのだ。
ないとは思うのだが、その店の在所はもしや、まさかと思ってな……。

……もしも目当ての賢者がそのように働いていたら、私はどうしたものか。
その風変わりな店で注文でもすれば良いのだろうか……。
しかし肝心の内容は「店員と個人的な話をするな」などと断られかねん。
かと言って、退店を待ちかまえているというのも変質者のようで気が引ける。
……運命神に深く祈りでも捧げておくか。
守護の対価に困難を課すにしても、そのような方向性はお許しくださいと。

175 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/19(Tue) 00:16
>>169
その話なら、私にも少しばかり心当たりがある。
少し古い話なのだが、大陸南東に位置する学術大国で事件があった。
非人道的な研究をしていた地下組織が暴走したとか何とか……。
事件の詳しい話までは伝わらなかったが、街はそれらしい噂でもちきりだったよ。

当時、私もその国――フォーマルハウトにいたからな。
ちょうど師と別れて一人旅を始めた頃だったか。
検問もやたらと厳しくなって、どこに行くにも難儀したものだ。

……思えばあの頃のフォーマルハウトは、少しばかり厭な雰囲気だった。
学園都市でおかしな事件が続き、街道にアンデッドが湧く。
北の隣国、魔法大国アヴィオールとの関係は雲行きが怪しい。
海を挟んだ東の隣国、東西の交差路フルドでは内乱が長引く。
大きな戦争でも起きるのではないかと零す者もいたな。

貴公、その情報はどこで耳にした?
私の師は今もあちらの国にお住まいだ。
あるいは全く無関係な別組織かも知れんが、動向には注意しておきたい。

>>170
貴公、何か知っているようだな。人名か、はたまた組織名か……
いずれにせよ、情報を漏らす場所と相手は慎重に選んだほうが賢明だ。
組織の関係者と疑われれば、捕縛されて尋問でも受けかねん。
あるいは、秘密漏洩を恐れた組織の側から消される可能性もある。
巷でもよく言うだろう? “お喋りな奴は早死にする”と。
私もよく言われる。大概、武器など突きつけられてな。

……さて貴公。改めて、私とお話をしようか。
先の客人にも話したが、私はその情報が欲しくてな。
なに、真贋などはこちらで判断するさ。自信がなくとも構わない。
貴公がするのは、知っていることを私に話すことだ。分かったかな?

>>171
そうだな。美しいかどうかはさておき、私もそう思うよ。
倒れたところで命があれば、また幾度でも立つこととなる。
予め倒れる際の心構えをしておけば受け身も取りやすかろう。
立ち上がりやすい姿勢で倒れれば、順調に歩き出せるというものだ。

だが貴公、生き方まで前のめりになってしまうのは少し問題だ。
分かるだろう? 前傾姿勢の時、後ろから押されたらどうなるのか。
追い風にできるような事態でも、簡単に倒されてしまうかも知れん。
前へ前へと急ぐあまり視野が狭まれば、見落とすところも多くなる。
時にはバランスを意識するか、足りないところを人に補ってもらうといい。
一人旅は気楽なものだが、仲間がいれば可能性は相当に広がるからな。

何より、貴公は美しく倒れるのだろう。
いかに美しかろうと、鑑賞者がいなければ面白くなかろうよ。
誰に見られずとも美しく誇り高く、というのも立派な心構えだとは思うがね。

>>172
なるほどな。つまりこう、両手を広げて後ろにばったりと……
……いや貴公、その倒れ方はまずい。
後頭部を強打しかねん。命にかかわるぞ。

さては貴公、相当に疲れているな?
勢いよく寝台に身を投げ出したくなる日は私にもある。
だが、倒れ方にはくれぐれも気をつけたまえよ。
竜殺しの英雄とて、女に刺されたり頭を打ったりすればあっさりと死ぬものだ。
我々のような凡夫ならば尚更だろう。たとえ頭が無事でも腰をやる。

まあ……そうなったらそうなったで別に構わんか。
湿布薬の処方なら私に任せたまえよ。なんなら先に買っておくか?
特に安くはしないが、効果は保証しておこう。

>>173
ああ、歳末大売り出しか? よく売れているらしいな。
その剣を買ったという者を見るのは貴公で三人目だ。
同工房の銘剣、エクスカリバーシリーズに並ぶ人気と聞いた。

私も広場で宣伝をしている様子を目にしたが、あれは見事だったな。
「岩に突き刺しても折れない」とかいう派手な芝居をしていたろう。
流石に本物の岩を使っていたとは思えんが、いかなる細工を施したものか……
いずれにせよ、頑丈さを訴えるには良い演目だったと、皆が認めることだろう。

荒事は冒険者の常だが、扱いが荒ければ剣はあっさり折れる。
得物が駄目になっては、食い扶持どころか命が危うい。
少しばかり切れ味に目を瞑っても、頑丈な剣には需要があるということだな。
なまじ頑丈だと、油断して手入れを怠る者も後が絶たんと聞くがね。
貴公も、剣に対する礼節は持っておきたまえよ。
たかが道具と侮れば、肝心な所で裏切られるかも知れんぞ。

176 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/20(Wed) 17:51
エクスカリバーはカリバーンを聞き間違えた名前だったはずだよ


177 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/20(Wed) 17:55
大の字に倒れたいといったがそれは死ぬ時だ。
前のめりはプライドとして俺は好きではない
使命を果たしてやり遂げた死には大の字だこればかりは譲れない。
ライバルと戦い相打ちでも倒れるときは大の字だな

178 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/20(Wed) 17:59
いや、毒ガスばらまいて集団殺人を行ったとある宗教団体が逃げるように設立したのがアルフだあったからな。
元の宗教関係者は全員死刑になってるから俺が追われる可能性はない

179 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/21(Thu) 00:56
馬車が通るぞどけどけー!!

180 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/21(Thu) 17:59
メンタルの弱さは、フィジカルの強さでカバーするつもりだ

181 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/23(Sat) 00:07
せめて戦士として一旗揚げてからじゃないと恥ずかしくて田舎に帰れないんス!

182 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/23(Sat) 01:46
霧は異界へ通じているという。
我々の頭の中にも、それぞれの異界へと通じる霧が充満しているのかもな。
……ああ、喩え話だよ。頭蓋の内側ならば見たことがある。

>>176
伝説は人から人へ、口から口へと伝わるうちに変化を重ねていくものだからな。
同じ名でも、語られる場によって異なる姿を取るのは珍しいことではないさ。
あるいは私の知る武器屋か工房の方が、聞いた話を元にして剣を作ったのか。
量産品でも、伝説にあやかって立派な名を付けるというのはよくある話だろう?

世界は広く、語られる伝説、物語は星の数ほどある。
だが、私はこの“アルデバラン”と呼ばれる大陸から出たことがない。
大陸の外には、私には想像すらつかぬものが多くあるのだろう。
貴公も同様に、この大陸や近隣の文化を殆ど知らぬのではないかな。
知りたいことがあれば聞いてほしい。私の知る範囲で答えよう。
そもそも本来、ここはそういう場だ。

……だが、知らぬ話については語りようがない。
私は今後も私の知識に基づいた話のみをするし、それしかしない。
貴公にとって、私の言葉は的外れなものと感じられることが多いのだろうな。
それを逐一訂正されたとて、私の見ている世界は何一つ変わらんのだが。

>>177
そうか。素晴らしいな。よく分かった。
確固たる信念を持つ者に自説を述べたところでさしたる意味はない。
ましてや茶化そうなどと考えては無礼というものだ。
だが、場合によって意図的に曲解したり、関連性を無視したりするのが私の性分でな。
貴公とは相性が悪いのだろう。口を噤むことが適切な対応なのかも知れん。

>>178
そうか。近隣諸国でそのような大事件は聞いたことがない。無関係か。
貴公にとっては、遠方の地でさえ想起するほど印象深いものだったのだろう。
これ以上は追求すまい。語られたとて、私には理解しかねることと思う。
私は何も知らぬ立場の者。安易に語るのは犠牲者への冒涜に他ならん。
非礼を詫び、ただ哀悼の意を表明させて頂くのみとしよう。

183 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/23(Sat) 01:49
>>179
ああ、貴公らほど勤勉な者の道を妨げては天罰が下るだろうさ。
大変な仕事なのは見ていて十分によく分かるとも。
どこの世界でも、上司や雇い主が横暴だと下は苦労するものだ。
この寒い中、頭が下がるよ。道中くれぐれも気をつけて。

……おや。何か言いたげな顔がちらほら見えるな。
私の発言がらしくない? また体調でも悪いのかって? まさか。
私は常日頃から、勤労者を非常に尊敬しているよ。
礼節を弁えぬ猿の檻を引く仕事など、私だったら絶対にお断りだ。
なぜか運搬されている猿の方から返事を頂くことが多いのだがね。

しかし、ああ急いで何を為そうというものか……。
あの馬車の来た方向は……ふむ、貴族街だったか。
貴族家の紋章らしきものは見えなかったが、商人の様子とも思えん。
微妙な違和感はあるが、何かが起きているとも言い難い。
いっそ本当に馬と会話ができたなら、詳しい事情も伺えたのだがな。

>>180
貴公、良い心がけだな。素直にそう思う。
己の精神の強さ弱さを判別できる者は稀だ。
明確な基準を設けられるようなものでもなく、把握は極めて難しい。
ならば鍛えやすい方を鍛えるのも合理的な判断というわけだな。

だが、身体を鍛えるうちに勘違いしてしまう者も多い。
肉体の屈強さを粗暴な形で誇示したがる馬鹿――失礼、口が滑った。
精神の弱さを力で克服したと思い込む乱暴者は珍しくなかろう。
貴公がそのような存在になってしまわぬよう願っているよ。
すなわち、自らの持つ強さ弱さで何を為したいのか忘れぬように。

もう一つ助言をするのなら、鍛えられずとも手入れはしておくことだな。
精神も肉体も、貴公の持ちうる替えのきかぬ道具。
まるで使わねば衰えゆき、誤った扱いをすれば歪み、酷使すれば壊れる。
適切な手入れの具合を知るにも、自らと向き合うことは避けられんのだろうな。
あるいは、そうして自分と向き合い続けることこそが最も辛いのかも知れん。

>>181
貴公、随分と励んでいるようだな。
一旗揚げるほどでなくとも、よく働くと評判だ。
冒険者などという稼業では、まず不運な者が命を落とす。
次いで、思慮や経験の足りぬ者、人の善い者が続くと言う。
冥府の女神殿は常に我々を品定めしておいでだ。気をつけたまえよ。

田舎か……。
帰れる立場なら、帰れるうちに……と考えるのは、こちらの勝手な感傷か。
なまじ受け入れられてしまえばこそ、決心が鈍ると思えば帰れぬものかも知れん。
だが、せめて手紙ぐらいは書いてやっても良いのではないかな。
実際に送るかどうかはともかく、文字にすれば気持ちの整理もつく。
背負った過去も抱いた感情もどうにもならんが、紙なら捨て去るのも簡単だ。

まあ、私とて人のことは言えぬ身の上だ。あまり深入りはすまい。
元より面倒な立場の人間が面倒な病に罹ったら、この上なく面倒な事態になった。
そんな訳で、この厄介な病を治さぬうちは、故郷に帰ることが叶わんのさ。
うっかり帰ったら父か弟か、もしかすると妹に斬られてしまうかも知れん。

184 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/23(Sat) 15:03
カタールってかっこいいですよね!

185 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/23(Sat) 22:05
俺が無口なのには理由がある…………
人間の正体は言っている事ではなく、やっていることだ……
だから、俺は行動で全てを示そうとしているのだ……

186 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/24(Sun) 06:54
この辺にもクリスマスみたいな風習ってあるの?

187 名前: 投稿日:2023/12/24(Sun) 19:15
お兄ちゃんどいて!そいつ殺せない!

188 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/26(Tue) 01:16

「リーミルンの森の奥には聖夜の間にしか咲かない花があるらしいです」
「その花を煎じて飲めば、どんな病気でも治るって婆ちゃんが言ってました」
「でも、森には魔獣が棲みついてて、採りに行く人もいなくなったって……」

 ――この情報は、貧民街の調査を続けて得た、数少ない収穫の一つだった。

 一年の終わりにかけての数日間は、正教において非常に重要な祝祭だ。
 聖夜祭、生誕祭、降誕祭、降臨祭……様々な呼び名があるが、示すところは同じ。
 現人神アルカンフエルが降り立ち、奇跡を起こした神話に由来する祭である。

 ……だが、我々のような流れ者が、祝祭日をこまめに祝えるわけもない。
 街の人々が盛大に聖夜を祝う頃、私は森の中で焚き火を囲んでいた。
 連れ合いは若い冒険者(>>184)、寡黙な狩人(>>185)、異国の戦士(>>186)の三人だ。
 魔獣の討伐任務を請けた三人に、目的地の近い私が同行を願い出た形になる。

>>184

>「カタールってかっこいいですよね!」

 偵察から戻るなり、若い冒険者がそんなことを口にした。
 同行している異国の戦士が微笑み、自らの得物を自慢げに掲げて見せる。
 どうやら、彼女の持つ風変わりな武器をカタールというらしい。

「ありがとう。これね、私の故郷だとジャマダハルって呼ぶんだよ。
 この辺の人、なんかみんなコレのことカタールって呼ぶよねえ。
 カタールはカタールで別のがあるから、ややこしくってさあ……」

 皆がそう呼ぶのなら、かつてそう伝えたものがいたのだろう。
 拳を突き出すように扱う独特の戦技は、剣術というより近接格闘術に近い。
 とにかく素早く、刃の軌道が読みづらい。
 仮に読めたところで、その速さに対応するのは至難の業だ。
 使い手の珍しさも相俟って、確かに魅力的な武器だった。

 異国の戦士と武器談義を交わすうち、夜も更けた。

>>185

 ――ところで、その武器談義に全く加わることのなかった者もいる。
 彼は仮眠から覚めた後、黙々と自ら仕留めた雉の羽根をむしっていた。
 我々が愉快なお喋りに興じている間も、羽根をむしり、捌き、下処理を施す。
 気付いた時には、野営としては妙に豪勢な串焼き肉が出来上がっていた。

「なんか一人でやらせてしまってすみません」
「言ってくれれば手伝ったのに」

 我々が口々に声をかけると、狩人は静かに首を横に振った。

>「俺が無口なのには理由がある…………」
>「人間の正体は言っている事ではなく、やっていることだ……」
>「だから、俺は行動で全てを示そうとしているのだ……」

「なるほど。私と貴公は似た者同士のようだな」

 私がそう言うと、たちまち「お前は何を言っているんだ」と野次が飛んだ。

「私も初対面の相手には必ず『善良だ』と名乗るのだが、
 本当に善良な人物だと信じて頂くのは非常に時間がかかるよ」

 つまるところ、中身のないお喋りと何も言わないのとはあまり違いがない。
 善良な者は食い物にされる。弱者も同じく、利用されて捨てられるばかりだ。
 その両方が揃えば、それはもうご自由に搾取してくださいと掲げるようなものだ。
 私が善良であることは、ある程度の付き合いを経た相手だけが理解すればいい。
 彼の寡黙も私と同じく、経験と人生哲学に基づいたものなのだろう。

 それはそれとして、言ってくれれば手伝いぐらいはしたのに、と私も思った。

189 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/26(Tue) 01:17
>>186

 食事の後は数時間おきに交代しながら、周囲の警戒と仮眠を行う。
 一人の野営は危険極まりないが、数人いればこの通り安心だ。

>「この辺にもクリスマスみたいな風習ってあるの?」

 火の様子を見ていた異国の戦士が、不意にそんなことを口にした。
 彼女の祖国では、この日をクリスマスと呼んで祝うらしい。
 遥か異国の地でも祝祭日とは、偶然なのか、何らかの意味があるのか。

「25日はアルカンフエルが生まれた日だって聞きましたよ」
「諸説あるな。この大陸に降り立ち、悪魔を撃退して平和を取り戻した日とも」
「その聖なる戦いの日々が聖夜祭の期間で、勝利した日を年の初めと定めたという……」
「私の故郷ではその説だった。だが近隣では神聖帝国を興した日だという説も……」
「君らの国のお祭り、諸説ありすぎでしょ」

 致し方あるまい。なにぶん古い話である。数千年だ。古すぎる。
 人の頭では、たかが十数年前の出来事でさえ記憶が曖昧になるというのに。
 その数千年の間に、神話も記録も相次ぐ戦乱で失われ、隠匿され、歪められた。
 その間ずっと生きていたエルフなら、と改めて思う。
 たとえ覚えていなかったとしても、記録さえ残っていれば――

 そう考えた時、近くの茂みが大きな音を立てた。

>>187

 皆、一斉に武器をとる。
 仮眠をとっていた狩人もすぐさま得物を手に構えた。
 茂みの奥から姿を表したのは――見覚えのある少女だった。

「その女は魔女なのよ。お兄ちゃん、騙されないで」

 少女はそう囁きながら、まっすぐに異国の戦士を指さす。
 懐かしい姿に、懐かしい声。見間違えるはずもない。
 その少女は、十年以上前に別れたきりの、妹の姿をしていた。

「……悪くはないが、命をくれてやれるほど見事な余興でもないな」

 最後に会った時、妹は十歳ぐらいだったか。もう少し小さかったか。
 いずれにせよ、本物の妹はもう大人になっている。
 結婚どころか、子持ちでもおかしくないような歳である。

 仲間たちの様子を伺う。
 皆、呆然と少女を眺めているように見えるが、視線の向きが少しずつ違う。
 それぞれに馴染み深い相手の幻覚を見せられているのだろう。
 言われている内容も違うのだろうが、まあ大体の想像はつく。
 あまり嬉しい経験ではないが、私は幻覚にも幻聴にも慣れている。
 武器を構えると、妹の姿をしたものは叫んだ。

>「お兄ちゃんどいて!そいつ殺せない!」

 私が少女の首の血管の位置を裂くと、霧が晴れるようにして幻はかき消えた。
 同時に、仲間たちも正気に戻ったようだった。

 ……後に残った魔獣?
 ああ、幻覚さえ解いてしまえばそう特別なこともなかったよ。
 皆でさっさと片付けて終わりだ。


 こうしてリーミルンの森の魔獣は討伐され、後は薬草探しの仕事だけが残った。
 薬草を探す様子など、語ったところでそう面白い話でもないだろう?
 何か話せることがあったしても、報告は街に帰ってからになるだろうな。
 雪や道の様子によっては、帰る頃には年が明けているかも知れないが。

 そういうわけだ。よい祝日、よい年を。

190 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/26(Tue) 22:56
獣と言えば赤錆は今頃どうしてるかのう…赤ずきんちゃんと小鳥ちゃんが揃ったら殺伐メルヘン珍道中になりそうでちょっと期待しとったんじゃが

191 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/27(Wed) 16:32
氷使いであることを嘆かざるをえないのがこの季節ですよ…

192 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/28(Thu) 20:13
釣りをしてたら巨大なクラーケンを釣り上げてしまって驚きましたよははは

193 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/28(Thu) 23:37
赤錆の野郎が赤い頭巾を被ってるなんて聞いたこと無いぞ!

でも絶対汚れと血と錆で赤黒いぞ!間違いなく赤頭巾ちゃんだぞ!

194 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/29(Fri) 00:37
自分の顔を捨てどんな顔にでもなれる能力
ついに身に付けたのさ
過去を捨てたからこそ…な

195 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/29(Fri) 07:14
なんでも願い事が叶うとしたら何を願うべきだろう?

196 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/29(Fri) 13:58
「ありがとう。これね、私の故郷だとジャマダハルって呼ぶんだよ。
 この辺の人、なんかみんなコレのことカタールって呼ぶよねえ。
 カタールはカタールで別のがあるから、ややこしくってさあ……」
間違って伝わってしまったからである。


197 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/29(Fri) 21:09
今年の問題は今年のうちに片付けておきたい。
……ということで、予定外だが少々失礼。後日、改めてまた来る。

>>196
貴公が博識であること、人に物を教えたい意欲が強いことは非常によく伝わった。
だが、残念ながらその知識は場違いな上、やり方にも問題がある。

貴公の故郷の知識はここでは役に立たず、求められてもいない。
加えて、名乗りもあげずに話に割り込むのは、近隣の文化では無礼な行いだ。
終わらせた話を長々と繰り返そうとすることも同様にな。
どうしても自身の知っている話をしたいのなら、相応の場を設けるべきだろう。

大事な話なのでもう一度言う。

・貴公が何か知っていると感じても、それはこの場で通用する知識ではない
・他の客人の言葉や私の返答に対して、横から口を出したり、訂正したりしないでほしい

私から貴公に申し上げられることは以上だ。
言葉を重ねることではなく、行動にて理解を示されるよう願う。

198 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/31(Sun) 00:28
今年はどうにか、街で年を越せそうだな。

“万病を癒す薬草”……そのような植物の伝説は、思いのほか各地にある。
大概は険しい山や森の奥、入手困難な地でのみ育つもののようだ。
実際のところ、物珍しさや美しさから薬草扱いされているだけのことも多い。
中には有用な薬効を持つものもあるが……。

……今回?
さあな。今のところ、目立った変化はないとだけ言っておこうか。
良くも悪くもいつも通りだ。……なに、毎度こんなものだよ。

>>190
貴公もなかなか人が悪いようだ。
いかにも可愛らしい“赤ずきんちゃんと小鳥ちゃん”という表現で
http://www.10ch.tv/bbs_img/img-box/img20231230233904.jpg
このような想像をさせておいて、実際に出てくるのは
http://www.10ch.tv/bbs_img/img-box/img20231230233923.jpg
ご覧の有様なのだからな。

場合によっては詐欺罪で覚悟の準備を強いられるぞ。
ああ、赤ずきんに関しては面識がないので評判を聞いての想像だよ。
殺伐としているのだろう? ……ふむ、何か間違えたかな。
まあいい。あまりに違っていれば、訂正のために出てくるかも知れん。

珍道中に関しては、私としても望むところなのだが……こればかりはな。
歩む速度が異なれば、共に行くのは厳しいものだ。
残念ながら、私も人に合わせるのが上手い性質ではない。
互いの道が交わることがあるのなら、どこかで会うかも知れないが。

いずれにせよ、私とアルデバランの大地はいつでも旅人を歓迎するだろう。
懐かしい顔も、新たな顔も喜ばしいものだ。
長く滞在することはもちろん、一時的な帰還や来訪もな。
それまでは小鳥の囀りに耳を傾けて頂こうか。
多少、物足りない思いをさせてしまうかも知れないがね。

>>191
ほう、氷使いか。……それは、この季節……色々あるな。
何事にも良い面と悪い面がある。今回は良い面から話そうか。

地、水、火、風――自然の力を借りて行使する魔法は、
その力の多く存在する場所では強力になるというような話を聞いたことがある。
貴公もそうなら、今の時期こそ最も活躍できるのではないかな。

さて、お待ちかねの悪い面だ。
これは、力が強くなりすぎて制御が難しくなるという点だろうな。
よくある話だよ。魔物を氷漬けにしようとして、
前線で戦っていた仲間ごと凍らせてしまったというのは。
その様子だと、貴公も似たようなことをしでかしたか。

まあ、誰にでも失敗はある。そう気に病むものではないさ。
気晴らしに少し散歩でもしてきてはいかがかな。
こんな辺鄙な場所では、見るものもないが――いや、あれがあったか。
実は向こうの平原に、素晴らしい氷像が設置されていてな。
なぜこんなところにあるのかは分からないが、実にいいものを見た。
おそらく名のある職人の作だろう。まるで生きているような躍動感だったよ。

>>192
雑談をしていたらクラーケンを釣り上げた豪傑が現れて驚いたよハハハ。
釣りでクラーケンといえば、こんな話を聞いたことがある。

とある山沿いの田舎町で、小さな洞窟が見つかったのだという。
洞窟の中には湧き水があり、釣りをすると目のない魚がよく釣れた。
見た目こそ不気味だが味はたいそう良く、町人は好んで食したそうだ。

――ある時、その湧き水の中に、何かキラキラと輝くものが見えた。
金貨でも沈んでいるのかも知れぬと、泳ぎに自信のある老人が潜ったが……
町人たちがいくら待てども、老人の腰に結んだ縄が飲み込まれていくばかり。
呼び戻した方が良いのではないかと話し始めた頃、猛烈な勢いで縄が引かれた。
やがて岩に括り付けた縄が凄まじい力で引き千切られた。
老人は戻らなかった。

その時、湧き水の中に触手がうねるのを見たと証言した町人が何人かいたそうだ。
そのうち一人は完全に恐慌を来たしてしまったようでな。
あのキラキラと輝くものは、金貨などではなく巨大な瞳だったのだと言った。
釣りをしていたのは自分たちではなく、怪物のほうだったのだ……と。

……しかし、貴公ほどの者にこのような話をしても脅かしにもならんな。
喰らい合えば強い方が生き残る。結局、それが自然の摂理というものだ。

199 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/31(Sun) 00:29
>>193
貴公、そんなことを言ったら私が小鳥ちゃんだったのは大昔の話だぞ。
だが小鳥ちゃんなる呼称を否定はすまい。
今なお“ジャックドウ”などと名乗るからには……と、言っても伝わらんか。
この付近の言葉だと何と呼ぶのだろうな、あの鳥は。ル・シュカ?

話を戻そうか。件の御仁は――なるほど。
元の意匠はともかく、とりあえず赤っぽく染まってはいる、と……。
なんとも末法めいた雰囲気の赤ずきんちゃんだな。
……いや、待てよ? 赤黒い頭巾、神出鬼没、殺伐とした……まさか……。

……貴公。少々、荒唐無稽な話になるのだが。
こちらで聞いた複数の情報を繋ぎ合わせるうち、私は一つの想像に至った。
聞いたことがあるのだ。東の果ての、恐ろしい怪人の物語を。
死地より蘇り、復讐の炎を胸に各地に姿を現す殺戮者……。
もしかすると、赤錆の正体は……ニン……

……いや、これ以上はやめておこう。あまり滅多なことを言うものではない。
すまないが、今のは忘れてくれたまえよ。いいね?

>>194
ほう? それで、そんな顔をしているのか。……なるほどな。
貴公は過去も顔も捨て、今と未来しかないというわけだ。
その割には、まっさらな気持ちで生きているようには見えんがね。

私はあいにく、貴公とは逆の立場だ。
確かに今は、この鳥の面こそが私の顔のようなものだが……
この下にある顔も過去も、何一つ捨てるつもりはない。
いつか自然に薄れて消えるかも知れんが、それでも抱えているだろう。
わざわざ他の顔になりたいとも思わんな。捨てるには惜しい。
今は鳥の面しかお見せできず非常に残念だが、こちらも男前だろう?

――なあ貴公、一つ聞かせてほしいのだが。
顔を失くし、過去を失くして、それから鏡をじっくりと見たことはあるか?
気を悪くさせたら謝るが、迷子になった幼児のような顔に見えたものでな。
せっかく生まれ直したのだ、いっそ派手に泣き声ぐらい上げてみてはどうかな。
記憶にこびりついた過去の残滓も、案外すっきりと洗い流せるかも知れんぞ。

>>195
こうするべき、などというものはないさ。
自らの望むこと、欲するものを存分に願いたまえよ。
際限なく願いが叶うのなら、それこそ神にでもなったようなものだ。
神が人の機嫌や都合など伺うものではないだろう?
何をしようと、人は人の方で勝手にそれらしい理由を見出すものだ。

だが、叶う願い事がたった一つに限られるのなら……そうだな。
強く叶えたい願いがないのなら、何を願ったところで後悔するだろう。
いっそのこと、どうでもいいことを願って忘れてしまうのが楽かもしれん。
例えば『今後の人生で、やたらと猫に懐かれるようになりたい』程度の。
あってもなくてもいいが、あれば少し幸福になる程度が平和ではないかな。

この手の話をすると、思い出す寓話がいくつかある。
どれもこれも、降って湧いた大金に狂わされる話だよ。
あればあるだけ良いように思えても、結局、金に振り回されて自分を失う。
これが願い事でも、だいたい似たような結果になるのでは?
まあ、私に限れば、今すぐにでも病を完治させて頂くより他に願うことはないがね。

200 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/31(Sun) 03:45
鳥のおじさんは病気なの?
俺の兄ちゃん何年か前に病気でしんじゃったんだ…
強くて優しくて…女にもモテモテの兄ちゃんだったのに…

なんか梅の病気だって先生が言ってたから
鳥のおじさんも梅の病気でしんじゃだめだよ!

201 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/31(Sun) 07:24
刀ってなんていえばいいんだ?


202 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/31(Sun) 08:29
さすがに一人でクラーケンを食べきるのは無理なんで、みんなにお裾分けだ

203 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/03(Wed) 13:40
日本刀はシャムシャールで通用する


204 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/03(Wed) 13:49
大量のゾンビを相手にしたせいで鼻がおかしくなっちまったんだが

205 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/03(Wed) 16:06
霧の町と呼ばれる場所では年中濃い霧が晴れることはない
それを払う力の持ち主がいればな…

206 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/01/05(Fri) 00:24
新年。新たなことを始めるには良い時期だな。
そろそろ私もこの街から離れるとしよう。
名残り惜しいが、目的の為には旅を続けなくてはならん。

>>200
そうだな。もう患ってから随分と長く経つよ。
心配ありがとう。だが、私のことなら何も気にしなくていい。

冥府の精霊たちは仕事熱心だが、しばしば仕事に私情を挟む。
気に入った相手に印をつけて、予定よりも早く連れて行ってしまうそうだ。
多くを愛し、多く愛された者ほど冥府の印をつけられやすい。
そして、印のある者を愛してはならないとも言われるな。
精霊の嫉妬を受けて、その者も冥府に早く連れて行かれてしまうのだとか。
……どんな印か? 大陸各地で身近な果実に例えられる、とだけ言おうか。

貴公の兄君は、たいそう魅力的な方だったようだ。
きっと今では精霊の寵愛のもと、冥府で穏やかに暮らしていることと思う。
現世に遺された身からすれば、身近な人を喪うのは辛いことだが……
今は貴公の健やかな成長を願って、この話は終わりにしようか。

>>201
カタナか? さほど詳しくないが、異邦……遠東の剣だったか。
そちらの出身者がいれば、細やかな名称の違いなど教えられたのだろうかね。
だが残念ながら、あいにく今は平凡な薬師が一人だ。
全知全能の神でもなく、大図書館の知恵を修めた賢者でもなく。

……ふむ。少し考えねばならんかな。
『キモノは?』『スシは?』『ラデンカザリノツルギは?』
……という風に、単語や物品一つ一つを細かに確認されたらどうしたものかと。
それほど詳しく聞くのなら、何か目的があるのだろうが――察しはつくよ。
その熱意。大陸共用語の辞書でも編むのだろう?

そのような大仕事ともなると、私より学術ギルドに頼るのが適切だな。
私に負けず劣らず話の長い連中だが、色々と知っているのは確かだよ。
ものによっては、語源や古代の用法まで教えて頂けるかも知れん。
まあ、講義の受講料を求められる可能性もあるがね。
行くのなら、金は多めに用意しておきたまえよ。

>>202
ほう、これが悪名高き海魔の……、……貴公。一ついいか。
何やら物凄い匂いがするのだが、これは本当に食えるものなのか?
私でも分かる程の匂いとなると、貴公らにとっては相当だろう……。
食中毒者が出る程度なら、私も薬が売れて結構なのだが。

……加工次第でいけるのか。まあ貴公ほどの者がそう言うなら……
……いや待て、一応、念の為に穢れを祓わせてほしい。祈祷する。
祈祷が終わったら、貧民街の連中に振る舞おうか。
祝祭日でも、ろくに腹を満たせなかった者が多くいるからな。
これほどの量があれば、当分は彼らが飢えることもないだろう。

……。
いや、なんでもない。

・・・・・

 クラーケンパーティは盛況だった。
 最初こそ凄まじい悪臭で顰蹙を買ったが、食えるとなれば話は別だ。

 亜人、異教徒、異邦人、異端者――貧民街の住人たちの顔ぶれは多様である。
 彼らに様々な加工を施された海魔もまた、異国情緒溢れる料理に姿を変えた。
 貧民街では賑やかな新年祭など無縁だったが、この年のみは違ったというわけだ。

 一方。私は先ほど思いついた言葉――
 『仮に食って死んだとしても、それはそれで飢えることはなくなるからな』
 ――などという冗談を口にしなくて良かったと、心の底から思っていた。

 今の私がこの街で集められそうな情報は一通り集めた。
 貧民街の患者たちも快方に向かい、最後に宴にも参加した。
 気持ち良く街を去ろうというのに、そんな言葉を残しては後味が悪くなる。
 私は記念に海魔の塩漬けを一切れ頂戴して、滞在していた宿を引き払った。

207 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/01/05(Fri) 00:25
おや、何だ貴公。永劫の別れでもあるまいに。
……ああ、確かに少しばかり紛らわしい言い方になっていたか?
誤解を与えたなら謝ろう。私は今後も旅をしながら話を続けるよ。
貴公らも、気が向いた時に話していってくれると嬉しい。

>>204
大量のゾンビ……ああ、先ほど上がっていた煙はそれか?
気になることは色々とあるが、まずは治療だな。
悪臭に触れすぎたのならば、清浄な空気を吸わせるべきだろう。
私にできる処方といえば……ポマンダーがまだ残っているか。
薬の調合をしてもいいが、今からだと少し時間がかかるぞ。
……まあ、私は構わんがね。調合しながら話せばいいか。

――実は私も先ほど、海魔の調理に付き合って鼻がおかしくなったところでな。
この鳥の面は本来、そのような悪い空気を防ぐためにあるのだが……
ほら、嘴からいい香りがするだろう? 香料を詰めてある。
……いや、失礼。ちょうど鼻がおかしくなっていたのだったか。
まあ対策しても、あまりに凄まじいとさすがに貫通するというわけだな。……

……それで、貴公が相手どったのは大量のゾンビだったか。
魔物が活発化して久しいが、中でもアンデッドは妙に増えていると近年……

……おや、どうした。貴公、居心地が悪そうだな。
当ててやろうか。時間経過で、何もせずとも鼻の調子が戻ったのだろう。
金払いの悪い客には慣れている。そんなところだろうと思ったよ。
だが先に話した通り、アンデッドは増えている。出会う機会も多かろう。
私としては、お守り代わりに一つ買っておくことをおすすめするがね。

>>205
尋常に考えれば、濃霧を払うには強風だが……
年中絶えずともなると、水際か盆地にしてもただの霧ではなさそうか。
……先日まで滞在していた街でも、妙な霧に行きあった。

貴公、その町がいつから霧に覆われるようになったか分かるか?
霧の町と呼ばれるほどだ、ごく最近からということはなかろう。
しかし、もしもその霧がある時から急に発生したものなら……

そうだな……町の古い建物はどんな色だった?
我が師の住まいは、湖と山に挟まれた町でな。立地上、霧が多い。
師のお宅で世話になっていた時も、よく霧に困らされたよ。
だが、霧の濃い日でも道に迷うことはさほど多くなかった。
建物が軒並み色鮮やかに塗られていたお陰で、霧の中でも見やすいのさ。
古くから霧の深い土地なら、住民も自然と生活の知恵を身につけるものだ。

……色々と語ったが、実際のところ私に霧を払うほどの力はないだろう。
妙な霧に遭遇した折も、払うどころか結構な勢いで体調を崩してしまってな。
いや、しかし……持病が反応するのなら、あるいは原因と何かしらの関係が……

……ふむ。ひとまず、その霧の町がどこにあるか教えて頂けないか。
私自身には何もできずとも、知っておけば伝えることはできるだろう。
大陸に広く伝われば、いずれ解決に至る芽も出るかも知れん。

208 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/05(Fri) 23:41
次の目的地は決まってるのかい?

209 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/06(Sat) 20:13
鍛えてるから寒くたって軽装でぜんぜん平気なんだぜ

210 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/01/08(Mon) 02:09
私は今でこそ勤勉だが、子供の頃は違ってな。
屋内で座学に励むより、外で棒切れを振り回すのを好む類の子供だった。
いざ旅暮らしとなってからは後悔したよ。
歴史も地理も、学んだ記憶はあれど、肝心の内容をろくに覚えていないのだから。
教師の話は退屈この上なかったが、もう少し真面目に耳を傾けるべきだった。

>>208
近場の村落を巡りつつ、北へ向かう予定だ。
大目標は北西、聖地と呼ばれる土地なのだが……まだ距離もある。
もうしばらくは情報収集と補給を兼ねて転々とするだろう。
旅ガラスには相応しい生活というわけだな。

……とはいえ、ピクニック気分で楽しくお散歩というわけにも行くまい。
賊に魔物に野生動物――お馴染みの愉快な連中に加えて、寒さも命を取りに来る。
悪路は歩みを鈍らせ、積雪は足元の危険を覆い隠し、吹雪けば道標さえ見失う。
旅程と天候に十分な注意を払わねば、瞬く間に冥府の住人の仲間入りだ。

地図を見る限り、次の村までの距離は……だいたい三日程度か。
昼間に行きあった男は、一日もかからぬ距離に村があるとか言っていたが……
いくら健脚だとしても少しばかり無理があるな、これは。別の村か。
……ふむ。地図に載らぬ村など、さほど珍しいものでもないか……?
ひとまず、次はそちらに向かってみるとしよう。

>>209
貴公のような者がいてくれると実に頼もしい。
その鍛え上げた肉体なら、薪をこしらえるのも朝飯前だろう?
一方、私は脆弱な病人の身。斧を振るうなど耐え難い重労働でな。
ここは一つ、助け合いの精神を発揮してくれたまえよ。

しかし、一体どのような鍛え方をしたらそうなれるのか。実に羨ましい。
私は寒さが苦手でな……病もあるが、南方の出のせいもあるか。
できることなら、この時期は暖炉や焚き火の前から一歩たりとも動きたくない。
街に滞在する時も、なかなかベッドから出られなくて難儀したものだ。

では暑さが得意なのかと言われれば、特にそういうこともないのだがな。
厚着が必要な都合上、蒸し暑いのは特に苦手でな。すぐに気分が悪くなる。
我ながら不甲斐なさに気も狂わんばかりだが、大変か弱い生き物なのさ。

――だが、そのぶん助け合いの精神は潤沢に持ちあわせている。
疲れたろう。疲労回復によく効く薬を安くするよ。
貴公ほどの者ならば、大抵の相手は敵ではなかろう。
鍛える時も、戦い続ける必要がある時も、疲労こそが最大の敵というわけだ。

211 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/08(Mon) 11:34
俺の相棒はドラゴンだ
ドラゴンとしては小さいが、俺が背中に乗るには十分さ

212 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/09(Tue) 21:29
オレは悪の魔法使いッ!性転換魔法で冒険者共を慌てさせるのが趣味ッ!
最近美少女不足なんだよ食らえオラーッ!!

213 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/10(Wed) 23:42
皮肉にも俺の故郷はマフィアの支配下に置かれたせいでチンピラ共の悪行が減った
これは良いことなのか?

214 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/01/12(Fri) 00:22
この時期は軟膏の需要が高まるな。
貴公も、皮膚がひび割れる前に一つ買っていくといい。
血の滲む努力は修練に付き物だが、実戦で手指が血まみれでは困るだろう。
手が滑る。握力が弱まる。武器を振るう精度が落ちる。ろくなことがない。
身体や道具の適切な手入れも、戦いのうちと言うことだ。

>>211
ほう、騎竜とは! 実に興味深いな!
貴公、相棒殿を見せて頂いても構わないか? 少しでいい。
鞍はやはり特注か? 餌や体調管理などはどのように……

……ああ、失礼。興奮しすぎたか。
冒険譚が好きなものでな、つい心が踊ってしまった。
竜を駆り世界を巡る旅人など、まさに物語の英雄そのものだろう?
各地の旅の話や相棒殿との出会いなど、是非とも聞かせてほしい。

実に羨ましいが、相応の苦労もあることとお察しするよ。
小型とは言え竜では、宿に泊まる際、厩に繋ぐこともできまい。
大きさの問題もあるが、何より家畜どもがひどく怯えるだろうからな。

騎竜の文化が根付いた地方ならば、専用の厩舎でもあるのだろうか。
飼育環境さえ整えられれば、竜専用の牧場すら作れる可能性はあるのか……。
夢が広がるな。いずれ私も、そのような土地まで旅をしてみたいものだ。

>>212
初めまして。自首したまえ。まだ微罪で済む。
どうにも才能ある者は奇人が多いな。此度は誰を餌食に――
――は? 待て、私か? おい……人選ミスにも程があるぞ!
美少女を望むならせめて顔の見えている奴にやるべきだろうが!

…………。
いや、実に予想外だったな。
貴公、見境がないのか趣味が特殊なのかどちらだ?
良かったな。美少女(27歳/鳥仮面)の降臨だぞ。満足かね。
はいはい。お望み通り、この仮面の下で慌てふためき、赤面して涙目だよ。
お見せできずに非常に残念……、趣味が特殊な方か貴公。喜びすぎだろう。

だが……ふむ。まあ確かに、滅多にない経験ではある。
そんなに喜ぶのなら、少しばかりサービスしてやろうか。
なに、そう大したことではないさ。私は人を寝かしつけるのが得意でね。
皆、赤子のようによく眠る。試してみたいのなら、ついて来たまえ。

……簡単だよ。コツがある。こうして血を抜いてやるだけでいい。
安心なさい、血はちゃんと止めておく。その分の治療費も徴収するがね。
もしかしたら少し痛い思いをさせたかも知れないが、それは我慢したまえ。
普段と身体の勝手が違うのは貴公のせいなのだからな……では、おやすみ。

215 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/01/12(Fri) 00:23
……ああ、しまった。
先程の変態、魔法を解かせてから昏倒させるべきだったな……。
この手の魔法は、時間経過で自然に解けるとは思うが……
仕方ない。今日のところはこのまま過ごすとするかね。
……気を抜くと裾を踏みかねん。しばらく歩行に難儀するな、これは。

>>213
一時的には良くとも、長期的には望ましくない……とでも言っておくかね。
善悪、白黒。明確に分けられることは、世の中そう多くない。

悪行が横行していた時点で、その土地の秩序は崩壊していたのだろう。
領主や官憲の力も相当に弱いか、あるいは腐敗しきっているか。
その状況に、暴力組織が新たなる秩序を築いたことは否定できん。
……だが、暴力は獣の法だ。均衡を保つようにはできていない。

組織が強いうちは良いだろう。その強さで支配できている間は。
では組織が衰えればどうなる? 頭が急死でもしたら?
円満に次の世代に移行して、仲良く手と手を取りあうのかね?

まあ、あくまで想像の話だよ。私は斯様な組織とは縁がない。
だが、権力を巡る争いというものは……どこにでもあるものだ。
身内で暗殺だの陰謀だの、全く、うんざりさせられる……。
……ああ、すまない。少し私情が混ざったな……忘れてくれ。

216 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/12(Fri) 16:09
いくら心頭滅却したって、精神はどうか知らんが体は耐えられるはずないよなー!

217 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/01/13(Sat) 00:32
村でも街でも、よく眠れないと訴える患者は多い。
詳しく話を聞いて、患者に合わせた睡眠薬の処方を行うのだが……
部屋で薬草を磨り潰したり、煮たり、量を測ったりと作業をするだろう?
すると、音を聴いているうち眠くなってしまったという者がやけに多いのさ。

……自室ならともかく、私の部屋で寝ないでほしいのだがな。特に今は。

>>216
――だが、果たして本当にそうだろうか?
雨にも負けず風にも負けず、雪にも夏の暑さにも負けぬ丈夫な身体……
もしも心頭滅却し尽くした果てにそうなれるとしたら、貴公、なりたいかね?

無論、元の人間のままではいられんだろうさ。
人体は機能美に満ちているが、その精密さ、自由さこそが脆さの原因となる。
強い意志が肉体の限界を凌駕し、耐えることのみを目指し続けたらどうなるか……
私には一つ思い浮かぶものがある。……鉱物だよ。
いつか貴公が腰掛けたあの岩も、かつては人間だったかも知れんぞ。

まあ、これはさすがに冗談だ。
しかし一から十まで荒唐無稽な発想というわけでもない。
たまに、硬化薬の調合を依頼されることがあってな。
服用者の皮膚を硬化させ、様々な肉体的損傷を防ぐ薬だ。
便利だが、服用後しばらくは身動きが取りづらくなるという代償がある。

硬化薬の調合をしていると、ふと頭に浮かんでしまうわけだ。
私が配合を間違えたら、服用した奴は岩になってしまうのではないか。
もしかしたら、大昔の薬師や錬金術師の失敗作が、
人知れずそこらの岩山に混ざっているのではないか……とね。

218 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/14(Sun) 07:24
知ってるぜ・・・アンタの秘密

219 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/14(Sun) 12:42
隠れ家を派手な装飾で飾り付けるぞ
そんなに目立ってたら隠れ家の意味がない?
フッ、その先入観を逆に利用するのさ

220 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/14(Sun) 18:06
特技は地獄耳!
弱点はその分騒音に弱い!

221 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/14(Sun) 22:30
魔術のライバル的存在が現れれば張り合いも出るかもしれないが、今のところは見つからないんだ

222 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/15(Mon) 14:43
俺は小人だよ
おい!どこ見てんだ!こっちこっち!
ここにいるじゃねえか!気づかねえのかよ!

223 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/01/16(Tue) 01:34
私の故郷には魔物が多く出る……という話は以前にしたかな。
昔、坑道を調査していた魔物討伐隊が、背後から急襲を受けたことがあるという。
通ってきた坑道は既に調査を終えており、安全を確認した後のことだった。
まさに“無から急に大量の魔物が湧いて出た”としか言えないような状況だったと。

任務はどうにか遂行したものの、討伐隊の生存者は半数にも満たなかったそうだ。
その場はどうにか生き延びても、怪我が元で命を落とす者も多くいたと聞く。
魔物が増える前に片付ける仕事なのだから、例年はそう危険なものではない。
だからこそ、隙を突かれたような状態だったのだろうな。

この話を語る時、父はいつも苦い顔をしていたよ。
幸いにして、そのような怪事件は後にも先にもそれ一度きりだったようだが……。
……何にしても、気味の悪い話だ。

>>218
おや。それは興味深い話だな。私は秘密など持った記憶がないのだが。
私のことを知る者は皆、口を揃えてこう言うよ。
「話しかけたら最後、聞いてもいない内容まで延々と語り出す男だ」とな。
全く以てその通りだ、返す言葉もない。

貴公、この仮面の下を誰かと間違えているのではないかな。
あるいは、私が特に秘密にしていない内容を秘密と勘違いしているのか。
私は水を向けられれば大抵のことを話してしまうが、
自主的には触れようとしない話題も確かにある。
例えば――

――おっと、危ない。
また一方的に話し続けてしまうところだった。
ああ、特に何かを隠そうとしているわけではないとも。
しかし最近、どうにも長広舌が過ぎていたからな。
少し抑えねば、肝心の客人を置き去りにしてしまうと思っていたんだよ。

さて、私のお喋りは程々に。
聞かせて頂こうかな。貴公が、私の何をご存知なのか。

>>219
なんということだろう。
ありふれた隠れ家が、まるで……まるで……何だこれは……?
かつては周囲にさりげなく調和していた伝統建築も、
今や目を背けたいのに視線を吸い寄せる魔性の家、名状しがたい一塊の違和感に。
これが匠の域な計らいというものか……。

ああ、貴公の主張を頭ではなく心で理解できたよ。
隠れ家が見つかってしまうのは隠そうとするからだ。
逆に考えるんだ。「隠れなくてもいいさ」と考えるんだ。
そういうことなのだろう?

しかし、ここまで……何と言うべきか、独創的な装飾は初めて見たな。
見ているだけで平衡感覚が蝕まれていくような感覚さえ――

……待てよ。貴公、その外壁の塗料に何を使った?
魔光茸の色素ではないか? 微弱ながら幻覚作用がある。
考えたな。これなら確かに、無関係な人間を避けるには向いている。
関係者でさえこの家に入るのは躊躇われるのだ、効果は絶大だろうさ。

224 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/01/16(Tue) 01:34
>>220
貴公のように感覚の鋭敏な者は、特に遺跡の探索で重宝されると聞く。
失われた高度な古代文明……その知識や技術を求める者は少なくない。
大規模な遺構ならば、国を挙げて調査団が組まれることすらあるという。
冒険者にとっても格好の稼ぎ口、宝の山というわけだな。

だが、重要な遺構であればあるほど、防衛機構もまた高度なものだ。
罠の存在は言わずもがなだろう。一瞬の油断で命を取られる。
更に厄介なのが、自律して動く守護者の存在だな。
多くはゴーレムだが、まれにキメラが配備されていることもあるそうだ。
各種の危険を素早く察知するためにも、貴公のような人材は重要だ。

貴公が自ら口にした通り、鋭さは弱点と裏表一体の関係にある。
だからこそ、個々の弱点を補うために調査人員には幅が必要なのだろう。
その点、私などは頭部を覆っている都合上、大半の感覚が人より鈍くてな。
能力面でも向いているとは言い難い。遺跡探索に携わる機会は滅多にないよ。
実に残念だ。古代の知識には、興味が尽きないのだが。

>>221
さすが、天才的な魔術師様は言うことが違うな。
内心はどうあれ、生活に不自由はしていないのだろう?
切磋琢磨する相手を求める気持ちは分からなくもないがね。

この大陸で魔術と言えば、魔法大国アヴィオールだな。
あの国なら、貴公と並び立てる人員も見つかるだろう。
可能性が高いのは、魔法学校か魔導研究所あたりかね。
魔術の才能さえあれば、身分を問わず出世できると盛んに喧伝されている。
そのおかげで、向上心と競争心に満ち溢れた若者が多いという噂だよ。
もしもまだ行ったことがないのなら、いずれ訪ねてみるといい。

……と、私の知る範囲の話を語ったまでは良いが。
貴公がかの国の出身であったなら、全て知っている話になるか。
もし詳しい話を知っているのなら、むしろ私が聞かせてほしいところだよ。
私はあの国とあまり縁がなくてな。通り一遍の知識しかないのさ。

>>222
……む。どこからか声が聞こえたような。
しかし、……周辺に人影は見当たらんな。幻聴か?
普段の発作周期とはズレがあるが……しかし、先日の霧の件もある。
念の為、記録をとっておくべきだろうな。日時、天候、状況に症状と……。

以前にもこんなことがあったような気がするが、一体いつだったか。
手記に何か手がかりが――ああ、妖精の時か。と、いうことは……ふむ。
こっちとはどちらだ貴公、もう少し大きい声で頼む。ここか?
石の下には流石にいないか……虫でもあるまいし。

――ああ! そこか! 悪いな貴公、本当にいるとは。
いや、待てよ……本当にいるのか? 幻視の可能性も――
こら、叩くな叩くな。分かったよ、冗談だ。悪かった。
小人殿、度重なる非礼をお詫びしよう。私に何かご用かな?
何か役立てることがあるのなら、喜んでお手伝いしよう。

225 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/16(Tue) 08:28
ほっほっほ、私は通りすがりの長老じゃ
君は最近よく励んでいるようじゃな

関心関心これからもよく励み時にはよく休むがよいぞい

226 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/18(Thu) 18:11
あっ!UFO!

227 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/01/19(Fri) 00:51
現在、私は村の空き家を借りているのだが……どうにも奇妙なことが起きる。
ふと気がつくと、どこからかひそひそと囁き声が聞こえるのさ。
注意深く探せど姿は見えず、言葉も明確には聞きとれん。
しかし、そう悪いものではないと考えているよ。なぜって?
僅かに聞き取れた言葉が「祝ってやる……祝ってやる……」だったからな。
おそらく、恥ずかしがり屋の妖精でも住み着いているのだろう。

>>225
これは長老殿、お散歩かな。ご健勝で何より。
先日、空き家のご差配と湯治場の情報をくださったのは貴公だったな。
改めて、心より感謝を申し上げる。
膝、腰など痛む箇所あらば、何なりとこの薬師めにお申し付けを。

……ああ、年寄りと侮る気は決して。お気を悪くなされぬよう。
我が師は長老殿より年若いが、膝を痛めて隠居したものでな……。
ご老台と見ると、つい気にかかってしまうのさ。許されよ。

さて、仰せの通り私はよく励んでいるが、一方で多少だらけてもいる。
どうも先日の豪雪で、次の目的地に至る橋が落ちてしまったようでな……。
迂回するにせよ、修復を待つにせよ、しばらくは出られんというわけだ。
これが冬場の旅の難儀なところだな。足止めを食らうと長い。
いっそ、教えて頂いた湯治場を訊ねてみようかと考えていたところだよ。
極力、人目のない時間帯があれば良いのだが……。

>>226
どうした貴公、空など見上げて。何、ゆー……?
ほう。夜空に輝く丸いものが……ああ、分かった。あれか。
気にするな。通常、そう大きな害はない。……通常はな。
どちらかと言うと、問題となるのはあれを崇める連中のほうだろう。

何にせよ、いちいち恐れていては生活に支障が出るぞ。
何しろあれは、この国では毎晩のように姿を現すからな。
遠くの国でも、大概は似たようなものかと思っていたが……
その様子からすると、貴公の国では違うのか。
月だろう?

……おや、何だ。納得いかない様子だな。何か違うのか?
夜空に浮き、丸くて、光っていて……動いた?
ああ、月も動くが。こう少しずつ、東から西へと……もっと俊敏に?
月神は気まぐれな方だからな。そういうこともあるかも知れん。

貴公も、あの神の気まぐれには気をつけたまえよ。
下手に寵愛を受けては人の身でいられなくなると聞くからな。
一方、神に嫌われてどうなるかなど、想像するだに恐ろしい。

228 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/19(Fri) 10:40
祝いの藁人形の伝説…あなたも聞いてしまったのですか…

229 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/19(Fri) 14:37
もっともっと強い風巻き起これぇ!
寒いだろ寒いだろぉ!

230 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/20(Sat) 12:05
俺はなにもやってねえのに食い逃げ犯と間違えられてんだ助けてくれ

231 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/20(Sat) 22:19
くんくん、オマエからは貴人のにおいがするな
いけ好かないが落ちぶれたってんならまあ・・・・同情はするよ

232 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/21(Sun) 22:20
俺はその気になればいつでも英雄になれるんすよ。ただチャンスがないだけ

233 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/01/22(Mon) 00:11
……さむ……何だこれは……寒すぎる……。
貴公、ご足労頂いたところすまないが、今日は休業だ。
私はもう寝る。耐えられん。

……と、言いたいところだが……むしろ寝たら死にかねんか。
仕方ない。起きよう……で、要件は何だね。
……なるほど、外の様子が妙だから調べてほしいと。
しかし調査しようにも、この寒さではな……防寒着でも借りるか……。

>>228
貴公、何か知っているのか?
私もあの声が気にかかってな、村人に軽く聞き込みをしたのだが……
一言目には「あの祠に行ったのか!?」
二言目には「ダメと言ったらダメだ、忘れなさい」
……誰に聞いてもこの繰り返しだ。話にならん。

ご存知だろうが、私が声を聞いたのは長老殿に差配して頂いた空き家だ。
おそらく、村人が漏らした“祠”という単語が鍵になるのだろう。
……もしかすると、空き家の敷地のどこかにあるのか。祠。
それとも、匠の手により限りなく空き家風に改装された祠なのか。
有り得んとは思うが、匠の発想はしばしば常人の理解を超えるからな。

最終的には、長老殿に直接お話を伺うことになるだろう。
しかしな……こういう時は慎重に事を進めねば、ろくなことにならん。
十分な情報がないままでは、はぐらかされて終わりだろうさ。
真相を追求したいのならば、適切な時、的確に証拠を突きつけねば……。
そうして謎を解き明かしたその時こそ、改めて祝ってもらいたいものだな。

>>229
貴公、随分と力が有り余っているようだな?
おかげで防寒着の暖かさを実感できたよ。どうもありがとう。
私も旅をして長いが、こんなに着膨れたのは初めてだ。
丸々と膨れた冬毛の小動物は愛らしいものだが、
残念ながら私は小鳥ちゃんと呼ばれているだけの成人男性でな。
視覚的なサービスに至らず申し訳ない限りだよ。

さて、実は貴公に労働の場を紹介してやろうと思ってな。
なに、そう難しいものではないさ。風車小屋で粉を挽く仕事だ。
……風を起こす力で? まさか。面白い冗談だな。
村の風車は、貴公の暴風で羽根が壊れてしまったというのに。

だから風力の代わりに、貴公に粉を挽いてもらおうと言うんだよ。
奴隷が棒を押して、妙な装置を回している絵を見たことはないかな?
細部はともかく、大体、あのようなものを想像してもらえば良いさ。

そういうわけだ、ここは大人しく捕縛されたまえよ。
正直に言うと、今の私はあまりの寒さに気が立っていてな。
もはや癇癪を起こす一歩手前、気の利いた言葉の一つも出せんのさ。
さらに抵抗でもされては、重労働が辛くなるような傷をつけかねんぞ。

234 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/01/22(Mon) 00:12
>>230
おや、それは気の毒に。
親切な人に飯を食わせてもらった以外『何も』していない――
――特に料金も払っていない、というわけかな?

ああ、冗談だよ。すまない。
昔、吟遊詩人から聞いた滑稽話によく似た状況だったものでな。
開放されたばかりの農奴が都会に行って騒動を起こすという題材の話で、
大昔は実際にそういうことがよくあったとかいう触れ込みだった。
まあ、今は笑い話をしている場合ではないか。

お詫びに一つ、良い手段を教えてさしあげよう。
追いかけてきた者の前で、一つ小芝居をしてやるのさ。
「今ここに、自分と同じ顔の男が来なかったか?」
「そいつが食い逃げ犯だ、追え!」
そうして追跡隊に加わって、我が身の潔白を主張するわけだ。
簡単だろう?

真犯人が見つかるかどうかは運次第。
信じてもらえるかどうかは貴公の説得次第と言うわけだ。
では、頑張りたまえよ。幸運を祈る。

>>231
……クク、そうか。では貴公、私を鳥貴族とでも呼ぶかね?
子供の頃は、口さがない雀どもから下賎の血と囁かれたものだが……
それが今になって貴人と見なされるとは皮肉なものだ。
まあ、否定はすまい。半分とはいえ、この身には貴人の血が流れている。

と、言っても……私は既に廃嫡された身でな。
土地も財も権力も持たず、代わりに特別な荷物を持たされている。
何かって? この、謎の病に冒された体だよ。
羨ましく思ったのなら申し訳ないが、残念ながらこの荷物は譲ってやれん。

――ああ、同情なら結構。落ちぶれてなどいるものか。
私は今なお誇り高く、貴い使命を果たしている真っ最中だ。
大陸各地を巡り、痛みや病に苦しむ人々の治療に勤しんでいる。
これを貴い行いと言わずして何と言えよう。
少なくとも、私自身に恥じることは何一つないとも。

……それにしても貴公、間が悪いな。
よりによって着膨れてフワフワしている時にこんな話をすることになるとは……。
こんな出で立ちでは、いくら格好つけたところで様にならんじゃないか。

>>232
なるほどな。言うなれば、貴公は地中に眠りし原石というわけだ。
私の故郷には鉱山があってな。貴重な鉱石、貴石がよく採れた。
しかし、いくら良いものが埋まっていようと、掘り出せるとは限らない。
特に貴石は脆いからな。万全の形で掘り出されるほうが稀だよ。

採掘師の手元が狂えば傷つき、ヒビが入り、場合によっては割れてしまう。
運が悪ければ、砕かれた挙句にクズ石の扱いを受けるのが関の山だ。
運良く掘り出されたとて、研磨師の腕が悪ければ台無しにされてしまう。

その点、貴公には足も腕も、なんと口まであるからな。
採掘師や研磨師を待たずとも、自ら動き出せるというわけだ。
輝かしい未来を望むのならば、待つのをやめても良いと思うがね。

とは言え……英雄になるばかりが良いとも限らんか。
貴石を素晴らしいと称えるのはあくまで人の都合だからな。
石にとっては、地中にて眠り続けるほうが幸福かも知れん。
貴公にとっても同じこと。周りの評価より自らの意思に従うが良かろうよ。
私もそのようにしよう。今日は寒いので、明日から本気出す。

235 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/23(Tue) 00:50
鳥のお医者様、いつもありがとう
この花はお礼の気持ちです
(マスクの通気孔に花を挿してゆく)

236 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/24(Wed) 18:49
雪山で生存できるスキルはある?

237 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/01/26(Fri) 00:08
おや、貴公。良いところに来てくれた。
もし暇ならアーモンドを砕くのを手伝ってくれないか。
薬に使うのだが、粉状にするのが少しばかり手間でな。
粉になったら砂糖と卵を混ぜて……菓子? いや、薬だよ。
失恋に効くという伝統的な薬だ。確かに、空腹にも効くがね。
手伝ってくれるのなら、完成品を一つ差し上げよう。

>>235
それはどういたしまして。また何かあったら来たまえよ。
花か。この時期は殺風景になりがちだからな、嬉しいよ。
有難く受け取……、……??????

貴公。その……なんだ。感情表現が独創的だな……?
おそらく今、私は嘴に花を咥えたような状態になっていると思うのだが……
――メルヘンでカワイイ? ああ、それは良かった。どうも。
だが一つ耳寄りな情報を授けると、実は私は手でものを掴むことができる。
その代わり、自由に空を飛ぶことはできないがね。

……それで、貴公。一つ気になることがあるのだが。
私のように手頃な穴がない相手の場合、どのように気持ちを伝えるのだね。
耳か? それとも、まさか鼻……いや、やはりこの話はやめた方が良いか。
昨今は花粉と聞いただけで恐れ慄く者も多いからな……。
そう無闇に彼らを震え上がらせることもあるまい。

>>236
これは断言できるな。無い。
雪山で命を落とさぬ方法はただ一つ。雪山に入らぬことだよ。
健康な体と十分な体力、充実した装備に、豊富な知識と経験――
そこまで揃えたとて、山の機嫌ひとつで命を持っていかれるのが雪山だ。

一方、私が持つのは病んだ体と貧弱な体力。
更には、手放せぬ道具類が装備を圧迫する。
ただの山越えでも厳しいのだから、雪山など以ての外だろう。
辺り一面真っ白すぎて、天国に迷い込んでも気づかないかも知れん。
生き残れることがあれば、運命神のご贔屓が過ぎて見返りの要求が怖い。

私にできることは、体温の維持を助ける薬を作るぐらいのものだな。
それも、さほど長く効果が続くものではない。
冒険者として危険地帯に行かざるを得ない状況に陥ることはあるにしても、
必要に迫られない限りは、暖炉のある部屋で平和に過ごしたいものだよ。

238 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/26(Fri) 07:56
俺、狼男なんですけど別にいいですよね?
毛深いだけだし

239 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/27(Sat) 16:12
この魔法書は擦りきれていて読めない
復元する方法はないだろうか

240 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/27(Sat) 21:01
戦闘力数値で表せる?

241 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/28(Sun) 13:57
魔女じゃ!災難は全て魔女の仕業なのじゃ!

242 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/28(Sun) 14:22
食人植物って人間まるごと食うくらいだから
野菜にしちまえばかなり栄養あるんじゃないか?

243 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/28(Sun) 23:51
この箸で飛ぶ虫を掴んでみせよ

244 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/01/30(Tue) 00:52
失恋の薬があるのだから、当然、恋の薬もある。
昨今では、西の大陸で採れる豆を使用したものが特に人気だな。
……ああ、私は作っていないよ。材料が手元にない。

もし興味があるなら、西の港街に行ってみるといいだろう。
豆の形ならカカオ、加工品ならショコラトルの名目で売っているはずだ。
今の時期は、価格が高騰しているかも知れんがね。

>>238
自分ではごく普通だと思っている部分が、他人の目を通せば奇異に映る。
自分ではひどく奇妙に感じている部分が、他人には気付かれてさえいない。
人狼に限らず、個性というのは往々にしてそういうものだよ。
貴公はおそらく、自身で認識しているよりも個性的だ。
……少なくとも、私の目には『毛深いだけ』には見えんな。

ああ、貴公の人種について、殊更に騒ぎ立てるつもりはないとも。
ただ、貴公が良ければ、話を聞かせて頂きたいと思っている。
人狼に特有の病や、健康状態の変化……それに治癒方法、毒になりうるもの。
致し方ないところではあるが、私の知識は只人に偏っているのでな。

差し当たって……そうだな、神聖なものに弱いというのは本当だろうか。
もしそれが事実であれば、治療前に行う祈祷で天に送ってしまいかねん。
貴公の情報がいずれ同朋の命を救うと思って、ご協力の程よろしく頼むよ。

>>239
人体の修復なら私の出番と胸を張って言えるのだが、書物は専門外だな。
一応、もう少しよく見せてもらえるかね。
……ふむ。経年による紙の劣化や、虫食いは致命的とは言えないな。
ページが破れている箇所もさほど……問題があるとしたら、インクか。

貴公、一つ伺いたい。
これが魔法書だと言うのは確かなことかね?
ならば、意図的にこう書かれたものだという可能性が残る。
魔術師というのは、今も昔も偏屈な輩や挑戦的な輩が多いようでな。
秘密を守るため、知恵者と認めた相手にのみ秘技を継承するため……
理由は様々だが、暗号文で知識を書き残すという例を聞いたことがある。

著者が有名な魔術師なら、復元を試みるより写本を探すのが良いかも知れん。
大概、弟子や信奉者などが手書きで書き写したものがある。
そちらが読めれば良し、同じような状態ならば、意図的なものと確定する。
復元の役には立てそうもないが、私に貸せる知恵はこんなところだろう。

>>240
できないとは言わんさ。正確性に目を瞑って頂く必要があるがね。
数年前、冒険者ギルドで戦力評定を導入しようかという試みがあった。
複数の項目を設けて各人に点数をつければ、依頼の目安になるのでは……とな。
結局、評価項目に不満が出たようで、正式採用には至らなかったのだが……
その時の評価が、概ねこのようなものだったよ。


【試験結果(模擬戦・筆記)】
 身体能力:1/10
 精神安定:9/10
 戦術知識:7/10
 後方支援:7/10
 特殊技能:8/10
 総合点数:32/50

【総評】
 安定した精神状態と人体に対する知識の深さは明確な強みと言えるでしょう。
 問題となるのは、あらゆる美点を無に帰すほどの極端に貧弱な身体能力です。
 すぐに決着をつけられる状況、対人に限定すればそれなりの活躍を見込めますが、
 それ以外の状況では、戦力として数えることすら憚られると表現せざるを得ません。

 追伸――
 模擬戦担当試験官に対する侮辱・挑発行為は作戦として認めますが、
 円滑な人間関係のため、個人的に謝罪しておくことをおすすめします。


……このようなものでご満足頂けるだろうか?
戦闘を生業とする連中と比べたら、ほとんどゴミのような数値だろうがね。

245 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/01/30(Tue) 00:55
>>241
災いと混沌をもたらす者、遍歴の魔女か。
奇跡にも等しい強大な魔力、数百年の時を経ようと変わらぬ若さと美貌。
彼女らの甘言に惑わされた者は皆、願いの対価に破滅の運命を得るという。

多くの物語において、魔女の役割は人間の願いを叶えることだ。
魔女自体が何かをするというよりは、歪な形で叶えた願いが破滅を招くのだな。
では、魔女自身は、何を願ってそのようなことをしているのだろうか。
長くを生き、何を見聞きし、何を望んでいるものか……ふむ。

思いつくこととしては、復讐だろうか。
魔女と聞くなり火にかけたがる人間が、些か多すぎるようだ。
悪行が先か、迫害が先かは、私の知ったことではないがね。

いずれにせよ、偏見はいらぬ遺恨を招く。
森の薬師や魔術を扱う者を『魔女』と混同するのはやめておきたまえよ。
仲良く菓子を囲んで茶を飲めとまでは言わんがね。
気に入らぬ相手と顔を合わせれば、茶の飲み方一つで揉めるものだろう?

>>242
一理あるような気もするが、気持ちの問題というものがな。
少なくとも、私が調理を担当するのは御免こうむりたい。
中から消化しかけの人間でも出てきたらと思うと、想像だけで寒気がするよ。

豆などは痩せた土地にも育つが、とても滋養があるだろう?
あまり妙なものを食おうと試みるより、素直にこちらを食したまえよ。
広く栽培される食物には、栽培されるだけの理由があるものだ。

……栽培か。ああ、自分で言っておいて嫌な気分になってきた。
容易に入手できないものは、しばしば珍味として高値がつくものだ。
そして世の中には、生き血を啜っておぞましく肥える蛭の如き輩がいる。
連中が食人植物の味を知り、売れると踏んだらどうなるものか……
人並みの理性も持ち合わせていない輩に、倫理を期待できるだろうかね?

世界には、知らぬ方が良いこと、知られぬ方が良いこともあるということだ。
貴公も、食人植物を食らうなどという思いつきは忘れてしまいたまえよ。
せめて、自らの命を繋ぐ必要に迫られた時まではな……。

>>243
待て、貴公。ハシというのは、確か……遠東の食器だな?
食器で虫を……? 貴公……虫を食らう趣味でもあるのか……?
人の趣味に口を挟むのは無粋だが、薬師としては止めざるを得ん。
自分のみならばともかく、人にすすめるのは止めておきたまえよ。

もしや、虫を医療に使うという話でも聞きかじったか。
確かに、呪術医などが行う治療法の中には、特定の虫を使うものもある。
毒素を利用するもの、性質を利用するもの、様々だ。
しかしな、それも経験と知識を蓄えた専門家の処方だよ。
虫ならば何でも良いというものでは――

……む、何だ。誤解か。
ふむ……達人の優れた動体視力と繊細な力加減を表す逸話、と。
……それは、日常の中で自然に行えるからこそ逸話になるのではないかね。
わざわざ模倣や練習をするのは違うだろう、貴公。
他に優れた技能がなければ、ただの奇妙な特技がある者だ。
凄いことは凄いのかも知れんが、宴会芸として披露するにも地味すぎる。

246 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/30(Tue) 16:31
旅の目的が見つからなくて何していいかわかんないや

247 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/30(Tue) 21:29
いつか昆虫のようなヒーローになって悪を打ち砕きたいと思っているんだぜ

248 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/30(Tue) 21:42
脱サラして旅の商人を始めたら
儲かるし自分も強くなるしいいことづくめだった

249 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/30(Tue) 22:28
俺はカメに触れただけで倒れる弱い体質で困ってるんです…

250 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/31(Wed) 16:17
ねーねー、まほう見せて見せてー?

251 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/02/02(Fri) 00:27
この大陸で治癒を行う者といえば、まず教会や修道会に所属する聖職者だろう。
だが、実は薬師や医師などの所属する治療師ギルドというものもある。
冒険者や商人のギルドとは比べ物にならぬほど小規模だがね。

正教の知名度は言うまでもなく、構成員の数、組織としての力も圧倒的だ。
聖職者ならば、わざわざ治療師ギルドに所属しても恩恵がない。
自然、治療師ギルドには聖職者以外の者が集まることになるわけだな。

>>246
それは大変だ。貴公、ひとまず私の薬を買ってみるといい。
活力を出す薬が良さそうだが、詳細な注文があれば調合しよう。
そのような悩みを持つということは、旅費には余裕があるのだろう?
生活に困っているのなら、まず金を稼ぐという目的が出てくるからな。

なぜ目的もなく旅に出たのかは……事情もあるだろう、深くは聞くまい。
冒険者の中にも、叶うなら安定した生活を送りたいと望む者は多くいる。
そういった者は大概、次の生活を見据えて貯蓄に励んでいるものだがね。
私と同年代の冒険者も、大半がそうして引退してしまったよ。

次の一歩を踏み出す目当てさえ浮かばぬのなら、そうだな……
幼い頃に何を夢見ていたか、思い出してみてはどうかね。
非現実的な妄想、くだらぬ空想と切り捨てた記憶を拾い集めるのも良かろう。
願望を見失うのは、抑圧する習慣を身につけた者にありがちなことだ。
いざ解放したら、時間と身体が足りぬほど願望が溢れ出て来るかも知れんぞ。

>>247
ほう、昆虫とは珍しい理想だな。
私の国で英雄といえば颯爽と馬を駆る騎士の姿が定番だが、
昆虫となると自らの翅にて空でも翔けるのだろうか。

国や文化が異なれど、英雄の姿は変わらず人心を惹き付けるものなのだろう。
私も子供の時分は、物語に登場する騎士に強く憧れたものだった。
病を患うまでは、将来は騎士になりたいと本気で思っていたほどでな。
中でも強く記憶に残っているのが、歴史を題材にしたという演劇だ。

大昔、この大陸を吸血鬼の軍勢が襲ったことがあるという。
その際に王の命を受け立ち上がった者こそ、英雄と名高き白騎士ジェロだ。
対する吸血鬼の首魁は、かつて帝国の圧政を打倒すべく立ち上がった勇士にして、
不死者として三度蘇ってなお誇り高き騎士と呼ばれた吸血鬼アルベール。
古き時代を担った騎士と新時代を率いる騎士が剣と議論をぶつけあう決闘は、
双方の譲れぬ正義と矜恃、取り戻せぬ過去への哀愁が強く心を打つものだった。

正確な歴史に沿ったものではなかろうが、面白かったよ。
あの劇を演じた役者たちも、今は何をしているのだろうな……。

252 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/02/02(Fri) 00:29
>>248
貴公は才に恵まれたと見える。羨ましいよ。
それまでの生活を捨て、新たな道を行く胆力も商才のうちなのだろうな。
商売は好機を逃さず、時に慎重に、時に大胆に……
言葉にするのは容易いが、的確な判断力などそう持てるものでもない。

私はどうやら、あまり商才に恵まれなかったようでな。
薬師としては一通りの技術を修めたが、それを売るのが上手く行かん。
決して浪費が激しいわけではないが、金の使い方が雑だと師匠からも言われた。
……正直、それがどういうことなのか、今もよく分かっていないのだが。
自覚ができれば改善にも繋がろうものだが、分からぬものはどうにも……。

何にせよ、上手く行っている者は人目を引き、また妬まれやすいものだ。
足元をすくわれることのないよう、存分に気をつけていくといい。

……ああ、話ついでに商品を少し見せて頂けるかな。
特に、珍しい薬草などあれば積極的に買い取りたい。日用品もやや不足だな。
これはすぐに必要なわけではないが……余剰ぶんは人に分ければ良かろう。
よし、これとこれとこれを貰うよ。いくらだね。

>>249
似たような話を聞いたことがある。
特定のキノコに触れると体が二倍ほどに腫れ上がるだとか、倒れるだとかいう……。
キノコは熟練者でも種類を判別する難度が高いと聞く。
おそらく、見た目には分からぬ毒にでも反応したのだろう。
二倍という表現は誇張としても、体質というのは難儀なものだな。

その点、貴公はカメか。ならば、さほど困ることもなかろうよ。
水辺に出向いて触れようとでもしない限り、そう出会うものでもないからな。
見るなり叩いて虐めるなどという非道を働いているわけでもあるまい?
カメとて、人間を倒したり、娘を攫う為にはるばる出向いて来るわけもなし。

もしそのようなカメがいるのなら、おそらく魔物だ。
魔物ならば、体質に限らず倒されるのは致し方ないこと。
被害が広がる前に退治を依頼することをおすすめするよ。
冒険者も魔物狩りも、相談に乗ってくれることと思う。

>>250
おや、これはどうしたものか。私は魔術の専門家ではないのだが。
神聖術なら多少は扱うが、あれは目に見える変化のないものばかりでな。
貴公が見て楽しめる魔法などあるかね……少し考える時間を頂こうか。

まず、基本的な祈祷はいずれも駄目だろう。
傷を癒す、心身を防護する、物品に祝福を与える、穢れを払う……
後は、生者の気配を感知するもの……感覚を鋭敏にするもの……

……強いて言うなら、あれがあったか。プルクシユタルの瞬き。
星の光の如き、ごく淡い小さな光を発する魔法だな。
言ってしまえば光るだけなのだが、この光は雨や水の中でも消えることがない。
そうだな……透明な瓶など持っているかね? なければ私の薬瓶を貸そう。
今宵一晩ほどなら、瓶の中でほのかに光ったままでいてくれるはずだ。

253 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/02/02(Fri) 17:41
アクセサリーは防具にも、投げつけて武器にもできる!

254 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/02/02(Fri) 21:51
ガラの悪い奴らに囲まれた時の対処法は?

255 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/02/03(Sat) 11:30
お前もオーガにならないか?

256 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/02/03(Sat) 22:05
ただただどこか知らない場所に行きたがる、それが旅人の性
あてもなくたどりついたのがこの場所であり、それも運命

257 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/02/04(Sun) 09:17
恋の病を治すすべは無いのか

258 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/02/04(Sun) 18:15
お宝を見つけるレーダー能力があればそれ使って一攫千金狙うのに!

259 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/02/06(Tue) 00:46
神聖術に、導きの恩寵という魔法がある。
自分の周辺にいる生者を感知する魔法だな。
戦場、事故現場、被災地。様々な状況で迅速に生存者を発見し、命を救う……
そんな高邁な理想のもと、神より授けられし奇跡ということになっている。
実際どのように使われているかは……大体、想像がつくのではないかな?
いずれにせよ、幾度となく私の命を救った魔法であることには変わりない。

>>253
ふむ……魔法王国産の装飾品か?
特定の行動で魔法を発動するものがあったように記憶している。
魔術師として積むべき修練なくして、結果だけを使えるという代物だな。
高価な上、魔法の発動は一度きりの使い捨てだというが……
貴族や富商が護身用に身につけるには、丁度良いのだろうかね。

特殊なものでなくとも、護符の意味を持つ装飾品は多い。
身を飾るものの多くは――化粧などもそうだが、本来は魔除けだったと聞く。
悪霊や病などといった厄災から、高貴な者の身を守る為のものなのだと。
その数が多いほど、重要な地位にある者だという証になるのだな。
今では、華美な装いで豊かさを誇示する目的が主になっているようだがね。

さて貴公、投げつけようと考えた装飾品はどのようなモチーフかな?
護符として作られたものであるならば、その形にも意味がある。
投げる目的で作られたものならともかく、そうでないなら慎みたまえ。
あまり扱いが悪いと、守ってくれなくなるかも知れんぞ。

>>254
相手が知性を持つ人間であるようなら、まず対話による解決を試みる。
話の通じぬ二足歩行の獣であるのなら、不本意だが交戦もやむを得まい。

人数が多い場合は、粘膜に強い刺激を与える薬を撒くことが多いな。
私のように顔全体を覆って防護している者は少なく、
視覚も呼吸も不自由な状態で戦える者はもっと少ない。効果は覿面だよ。
ただ、この手は連れ合いがいる場合に使えないのが難点だ。
薬品の性質上、確実に巻き添えにしてしまうからな。
喝采でも浴びせてくれれば良いのだが、大概は大顰蹙だよ。

叶うことなら、まず囲まれぬようにしたいものだがね。
質問の前提を崩すのは無粋だろうが、荒事は避けたいというのが本音だ。
ただでさえ私は体力の乏しい病人の身。
真正面から戦ったところで、三人ほど倒して膝をつくのが精々だろうさ。
いかに修練を重ね、技術を磨こうと、体がついて来なければ意味がない。
だからこそ、私は日頃から小細工ばかりしているのだよ。

>>255
ならない。
……正直な話、全く魅力を感じないわけではないさ。
自らの病んだ身体に歯噛みせぬ日など一日とてない。
一方、魔物は病むことも老いることもなく、人より遥かに強靭だ。
健やかに長く生きられるのであれば、それに越したことはなかろうとも。
……だが貴公、精神と肉体とは分かちがたいものだ。

私は薬師として、疫病医として多くの者を診てきた。
病状の変化に伴う精神や人格の変容も、多く見てきたつもりだよ。
オーガのように、急激に強靱な肉体を得た場合、心はどうなる?
単純に何もかもが強く、優れた状態に置き換えられて終いだとでも?
私には、そうとは思えん。器の形が変われば、零れ落ちる部分が必ずある。
それが私にとって、最も重要な部分ではないという保証はない。

……ああ、想像がつくよ。今でさえ、時には揺らぐのだから。
「なぜ、あのようなくだらぬものを後生大事に抱えていたのか?」
などと、疑問に思うだろう。事実、生きるのみならば不要なものだ。
だが、ただ自らが生きることのみを望むようでは獣と変わらん。

お引き取り願おうか。霧の彼方に帰るがいい。
生き恥を晒し続ける無様な身でも、譲れぬものは持っている。

260 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/02/06(Tue) 00:51
>>256
旅を好む者は少なくないが、貴公ほど徹底している者も珍しい。
貴公のような者ならば、旅の途中に倒れることさえ本望だろう。
普段ならば、旅行記でも出版してみてはどうか、と言うところだが……ふむ。
資料価値はあれど、俗世の人々を楽しませる娯楽本には不向きかね。
貴公、あまり他人に興味がないだろう? そういう顔をしているよ。

貴公は風そのものに近い性質なのかも知れんな。
風は通り過ぎるより他になく、人もまた、風を掴むことはできない。
触れたと思った瞬間には、もう過ぎ去ってしまった後だ。
風の残した痕跡に感傷を抱くことはあるがね……。

一方、私は明確なる目的を持って旅を続ける身だ。
この病がなければ、旅人になることすらなかったのだろう。
運命神は気まぐれにして、少しばかり意地が悪い――
――あるいは、極めて愛情深いが愛情表現の手法に著しい誤解がある。
貴公が神の気まぐれに旅路を止められることのないよう、祈っておこうか。

>>257
おや、難病の名が出たな。
恋に関しては、どのような状態を治癒と呼べば良いものか。
想いが成就すれば良いのか、すっかり冷めてしまえば良いのか?
罹患率が極めて高い上、繰り返し発病するのも厄介だ。
おまけに中毒性があるな。自ら恋を求める患者さえ見られる。
極めつけに、時には死者まで出す。困ったものだ。

この話を私にするということは、貴公、恋でお悩みかね。
だとしたら、頼る相手は選ぶべきだと助言しようか。
私か? 恋愛に関しては今のところ無敗だよ。勝ったこともないがね。
もし私のことを心強い味方だと感じたのなら、貴公は冷静さを欠いている。

ああ、恋愛感情そのものを否定しようとは言わんとも。
発病したのなら、己が宿痾として向き合うより他にないというだけだ。
薬師として可能な処方も、不眠や精神不安への対症療法に尽きる。
個人的に話を聞く程度ならできようが、私が楽しく聞くだけだ。
本気で有用な助言を求めているのなら、他を当たりたまえよ。

>>258
魔術や工学の面で、似たような研究をしている者はいそうなものだがね。
特定の存在を探知する魔法はある。私が生者を探知するように。
金属や魔力を探知する程度ならば、おそらく既に実用可能だろう。
普及していない理由は……さて。貴公なら、これを人に教えるかね?

英雄譚と同じく、財宝もまた心踊る話題の一つには違いない。
中でも私が心惹かれるのは、失われて久しい伝説の武具だな。
遙か昔、現人神がこの大陸に降り立った際に携えていたと神話に語られている。
七つあると伝えられるが、現存するのは剣と槍のみ。
弓と鏃のみ存在が知られ、あとはどのような武具かさえ不明だ。

もしも財宝を探知する能力で、これらの所在が明らかになったなら……
……ふむ。一攫千金どころか、戦争が起きるかも知れんな。
あまりにも素晴らしいものは、人に渡したくないだろう?
それが武力ともなれば尚更、他者が持っていては恐ろしくて敵わん。

神々のもたらす奇跡は、どうにも人の手に余る。
程々の財宝、不自由しない程度の富が良いのではないかね。
おや……夢があるのだかないのだか、よく分からない話になってしまったな。

261 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/02/08(Thu) 16:34
酔っ払うと敵味方の区別ができなくなったりしません?

262 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/02/08(Thu) 22:34
炎の魔法で綺麗な花火を見せよう!

263 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/02/09(Fri) 00:33
幽霊の正体が見える眼鏡を探してます
これを通して見れば全て枯れ尾花

264 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/02/09(Fri) 16:58
お薬を無くしてしまった!
あれがないと持病が止められないのに…
代わりになりそうなの持ってない!?

265 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/02/09(Fri) 23:45
・地図に載らぬ村
 村民、概ね健康。疫病の兆しは見られない。
 近郊に湯治場あり。薬効――皮膚炎、呼吸器疾患とのこと。
 存外に旅人の行き来は活発な様子。湯治場目当てだろうか。

・懸念事項
 近隣の街道にてアンデッドの発生報告あり。要警戒。
 変質者による事案の発生。対処を急ぐ必要はないか。
 オーガの出現――ただし会話を行ったのみで退散。
 ……現状では無害だが、勧誘に応じる者が出た場合その限りではないだろう。

・・・・・

……ふむ。この村に逗留して一ヶ月か。
想定外に長く世話になってしまったな……。
名残惜しいが、そろそろ出立の準備をせねばなるまい。
ひとまず、今日のところは借家の掃除でもするかね。

>>261
前後不覚に陥るほどに飲めば、そうなる可能性はある。
邪魔な者――特に、武勇に優れる豪傑や怪物に対してよく使われる手だな。
歓迎、恭順を示すなどという名目で宴を開き、油断したところを頂くわけだ。
何とも血なまぐさい話だよ。

……ああ、私に関してならば、心配ご無要。
この嘴を人前で外せぬ都合上、酒場や酒宴で鯨飲することはまずない。
酩酊したまま戦闘を強いられる可能性も、ほぼないと言えるだろう。
気味が悪い、付き合いが悪い男だとは言われてしまうがね。

なに、気にすることはない。
付き合いのよろしい皆様方のうち、何名かは私の客になるのだからな。
飲みすぎて潰れた連中を介抱してやるのは、私に限らず素面の仕事だろう?
酔い醒ましでも飲ませてやれば、陰口を叩く連中も多少は態度を改める。
それに、私としても助かるよ。
手間賃として治療費を多めに徴収しても、酔っ払いなら文句も言わん。

>>262
炎とは、あれほどまでに鮮やかに空を舞うものか……。
認識を改めねばなるまい。炎の魔法といえば荒事と思っていた。
私の知る以上に、世には様々な魔法があるものだな。
祭や宴の折には特に、貴公の魔法は重宝されることだろう。

まあ、正直……連れ出された時は、何事かと思ったがね。
冬の夜に外に出るなど、よもや殺意でもあるものかと身構えてしまったよ。
ああ、腐すつもりはないとも。素晴らしい魔法だった。
貴重な機会を頂けて、心より感謝しているよ。
寒さに耐えて見る価値は十分にあったと保証しよう。

……そうだな、少し考えたのだが。
冬場にこれを披露するのなら、同時に酒でも振る舞ってはどうかね。 
腹から温まって気分が良くなれば、私のような寒がりからも文句は出まい。
私も闇の中ならば、人目を盗んで飲んでも良いのだが……ふむ。
……今は花火の光で、表情まで克明に見えてしまうな。我慢するとしよう。

266 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/02/09(Fri) 23:46
>>263
貴公は不思議なことを言う。幽霊は幽霊だろうに。
全て枯尾花に見えるのなら、それは枯尾花に見える道具ではないかな?
あまり使用をおすすめできる道具ではないように思えるがね。
想像してみたまえよ。却って気味が悪いだろう。
枯尾花が無人の廃墟を動き回り、顔を覗き込み、鏡に映り込んできては。

そも、正体とは何なのだろうかね。幽霊に限らず。
実は私も、正体というものには非常に困らされていてな。
いつも「善良な旅の薬師だ」と正しく名乗っているにもかかわらず、
「本当は何者なのか」などと警戒されてばかりいるのさ。
旅人、薬師、疫病医、剣士、冒険者、皮肉屋、気取り屋、お喋り……
私を表す言葉は幾つもあるが、いずれも真実の一片だというのに。

……ああ、すまない。少し、話をややこしくしてしまったか。
つまりだ……苦労して特殊な道具を探し求める必要はないのではないかな。
聖水でも撒けば、大概の幽霊は素直に消えてしまうものだ。
消えなかったのなら、その時に改めて調査をしたまえ。
聖水を浴びて育った聖なる枯尾花が収穫できるかも知れん。

>>264
貴公、まずは落ち着いて深呼吸でもしたまえよ。
悩まされているのはどのような症状かね?
咳か、熱か、腫れや爛れか、痛みか。痛むのならばどの部位か。
一時的に症状を和らげる薬ならば、私でも調合できるかも知れん。

無論、日ごろ服用しているものも全く同じというわけには行くまい。
薬物は匙加減一つで毒物に変ずるもの。
安易にあれこれ飲ませては、却って悪化させるだろうさ。
今の状況では、放置と対症療法のどちらがマシなのかは分からん。
貴公の命だ。私の薬を使うかどうかは貴公が選ぶといい。

定期的に薬の服用が必要ならば、医者にも定期的にかかるのだろう?
次に主治医を訊ねる折には、正直に事情を話して、この紙を見せたまえ。
何をどの量、どのような薬効を期待して調合した薬か記してある。
そこで良し悪しの判断をつけてもらえば、次に備えることもできよう。
失くさなければ良いのはその通りだが、それができれば苦労はないからな。

267 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/02/13(Tue) 06:08
旅立つのならついでに妹に手紙を届けてくれんかいの
北の町に嫁いで以来なかなか会えんでな・・・

268 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/02/13(Tue) 10:19
チョコレート…受け取ってくださいっ!!

269 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/02/15(Thu) 21:51
龍の刺青を入れることでパワーアップを試みているのだ

270 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/02/16(Fri) 02:06
街道へ出るのも久しぶりだな。
夜はまだ冷えるが、昼の光の下に見れば、諸処に花芽が芽吹きつつある。
豪雪で落ちた橋は修復困難なようだが、代わりに臨時で渡し守が配備されたそうだ。
着任して間もないにもかかわらず、早くも気難しいという評判が聞こえてくる。
次の村までは数日かかるだろう。いつも通りというわけだな。

>>267
ああ、確かに承った。任せたまえ。
その様子、貴公と妹君は仲が良かったのだろうな。
……私の妹弟も、そのように仲睦まじければ良かったのだが。
人の相性というのはままならぬものだ。

妹と弟は、気性が正反対でな……妹は気が強く、弟は内気だった。
どちらも私にはよく懐いてくれたが、二人にすると必ず弟が泣かされる。
弟の肩を持つと、私が弟ばかり甘やかすと言って妹が拗ねる。
妹の機嫌を取れば、今度は弟が自信を失くして塞ぎ込む。
実に苦労させられたよ。可愛かったがね。

どのような大人に育ったものか、今の私には知るすべもないが……
立派とは言わずとも、せめて健康であってほしいものだ。
……貴公の妹君も、体に不具合の出やすくなる年頃かね。
では、手紙を届けるついでに少し診ておこう。
この村では随分と世話になった。少しは恩を返さねばなるまいよ。

>>268
承った。これは誰に渡せば、……? ……おや。私か。
すまない、非礼をお詫び申し上げよう。
今回に関しては、からかうつもりは一切なかった。
ありがとう。とても嬉しいよ。
気持ちに応えることはできないが、せめて大切に頂こう。
……貴公、返せと言うのなら今のうちだぞ。良いのかね。

恋愛もまた、旅人が旅を止める理由としてありふれたものの一つだな。
結婚を機に引退する冒険者も多いが、私の場合はそうも行かない身の上だ。
この病が癒えるまでは、歩み続けねばなるまい。

まあ……貴公のことは、少しばかり心配だがね。
行きずりの、それも顔すら見せぬ男に情を移すものではないよ。
危ないだろう? ここは平和な村だが、もう少し人を警戒したまえ。
この鳥の面の下に、猛禽の顔を隠しているかも知れぬとは思わんかね。
私が本当に猛禽であったなら、連れて行ってしまうところだ。

確か、返礼は来月という習慣だが……私は村を離れる身。
礼の代わりとしては粗末なものだが、マジパンを一つ受け取って頂けるかな。
失恋の伝統薬、そして痛みを和らげる甘い菓子でもある。
貴公、幸福になりたまえ。

>>269
ほう、呪術のようなものだろうか? 勇ましいな。
力あるものを象り、その恩恵に与るというのは各地でよく聞く風習だな。
実感として、どうだね。傍目には、そうだな……
龍を背負っているという自負が、貴公に力を与えているようには見える。

貴公、もし良ければもう少しよく見せて頂けぬかな。
翼竜ではないようだか、これは……東洋龍か。
いかにも恐ろしげだが、同時に知性と威厳を感じる。
見事な意匠だ。さぞ腕の良い彫師だったのだろう。

……ああ、すまない。あまり人の肌をまじまじと見るのは不躾か。
しかし龍はな……種類を問わず、どうしても憧れるからな……。
貴公、折角だ。その刺青、魔力を帯びると光るようにしてみぬか。
魔力に反応する染料を用いれば可能なはずだ。彫師に相談してみたまえ。
いや、特に深い意味はないが……光ると気分が上がるだろう?

271 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/02/16(Fri) 07:29
ご妹弟とは似てますか?

272 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/02/18(Sun) 19:21
兄弟分とかそんな存在はいるの?

273 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/02/19(Mon) 23:36
人里離れた辺鄙な地にも、まれに小さな宿や酒場がある。
そんなところで賊に狙われやしないかと疑問に思うかね?
安心したまえ。そういった店は大概、元冒険者の店だ。
賊に対抗するだけの武力を備えている上、冒険者ギルドとの繋がりが深い。

賊にとっても、大してうまみがないのさ。
まず、抵抗が激しい。襲撃に成功しても、特に蓄えが豊かなわけでもない。
更には、組織規模の報復までついてくる可能性が高いのだからな。

>>271
少なくとも、子供の頃は全く似ていなかったな。
髪や瞳の色も違えば、顔の造形も性格も似たところがない。
他人から似ていると言われたことも一度もないよ。
単に言及しづらかっただけかも知れんがね。
どちらかと言えば弟は父に、妹と私は母親に似たと――

……ああ、そうか。
失礼、まず話すべきことがあるのを忘れていた。
弟妹と言ったが、正確に言えば私は彼らの異母兄となる。
父親は同じでも私は先妻の子、弟と妹は後妻の子だな。
よって、私と妹は共に母親似だが、だからこそ似ていないというわけだ。

私の生母は、私を産んで間もなく他界したそうでな。
周囲からは母に似ているとよく言われたものだが……
他意なく言われる場合もあれば、悪意を感じる場合もあったよ。
他の客人に少し話したことがあるが、母は身分が低い人だったものでね。
……私としては、顔を見たこともない相手だ。
何をどう言われたところで、実感も何もあったものではないが。

>>272
ふむ、そうだな……。
個人的に盃を交わしたわけではないが、兄弟子や姉弟子なら何人かいる。
師のお宅でご厄介になっていた頃、しばらく生活を共にしていた。
そう長い間のことではなかったが、良くして頂いたよ。

私の師が薬草園を営んでいるという話はしただろうかね。
引退なさるまでは、各地を放浪して人々に治療を施す傍ら、
有用な薬草類を収集しては持ち帰って栽培と研究を行い、
また時が立てば、薬草園の世話を弟子に任せて旅立つ……
……というような生活をされていた。
そのような経緯で、師のお宅に住み込んでいる弟子が数人いるわけだな。

旅暮らしでは顔を合わせる機会もないが、今も手紙のやりとりはしているよ。
親睦を深めるためというよりは、要件があって送るという形に近いがね。
珍しい薬草類の種子を採取した際は、いくらか師に送ることがある。
……私は過去に一度、その件でかなり大きな失敗をしてな。
それから数年が経った今でも、師や兄弟子らにからかわれるのだが……
……さすがに話が逸れすぎるか。いずれ、機会があれば話すとしよう。

274 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/02/22(Thu) 08:36
苦手なタイプの人っている?

275 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/02/23(Fri) 01:24
アザの町……預かった手紙の届け先は、ここで間違いないだろう。
……が、今日はもう遅いか。夜が明けるのを待つべきだな。

>>274
さて、人間ならば大概は好ましく思うがね。
最低限の距離感さえ保って頂けるなら、大概の相手とは付き合える。
少なくとも、表面上は無難にこなせるつもりでいるよ。
逆に言えば、距離感を保って頂けない相手との付き合いは厳しいが。

私自身、さほど我慢強い方ではないからな。
不調和を察してすぐに距離を置けるのなら良いのだが、
距離を置けない状況や、察することの苦手な相手だと問題になる。
……これは相性だな、本当に。
相手に洞察を求めすぎるのも、それはそれで甘えと言えるだろう。

定住者と比べれば、旅人が人間関係に悩まされることは少ない。
しかし、時には旅先で築いた人脈が役に立つこともあるわけだ。
だからこそ、私は概ね友好的に接することを心がけているよ。
行きずりの――例えば貴公のような相手に対しても、同じように。
それで相手から好印象を抱いて頂けるかと言えば……
まあ、何事も思うようには行かぬものだ。残念ながら。

276 名前:化け狐(幼女の姿) 投稿日:2024/02/24(Sat) 20:01
ねぇねぇ、とぃさん!
あっちにねぇ、こーんなおっきいきのみがあったよ!
こっちこっち!

277 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/02/26(Mon) 21:35
ヒットマンを差し向けられても返り討ちにしちゃえる?

278 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/02/27(Tue) 03:31

 雨の夜、ふと空を見上げると、雲の一点が光って見えることがある。
 厚い雲でさえ覆い隠せぬほど、月の輝きが強いのだ。

「――そんな夜には、あまり良くないことが起きると言いますよ。
 気まぐれな月の女神様が、雨に身を隠して地上を眺めておられるの。
 あの方が悪戯を行うには丁度よいお天気なのでしょうね」

 老婦人は小さく祈りの言葉を口にし「道中お気をつけて」と話を結んだ。
 手紙の届け先、閑静な僻地、アザの町。
 重く曇った天候ゆえか、昼間というのに薄暗く、行き交う人の姿も少ない。

>>276

 宿へ向かう道中、幼い娘に袖を引かれた。
 なんでも、大きな木の実があるという。
 方向からして、町外れの森にでも連れて行くつもりなのだろう。

「貴公、……」

 先に続けるべき言葉を、少し考えてしまった。
 幼子に『怪しげな者について行くな』と諭すことはあれど、
 逆に『怪しげな者を連れ回すな』とは言わぬものかも知れぬと。

「……ああ、分かった。行こう。だが貴公、一つ聞きたまえ。
 淑女はみだりに一人で出歩かぬものだ。
 此度は私が務めようが、次からは見知った者を供につけたまえよ」

 時刻は昼過ぎだが、この様子では日暮れも早かろう。
 おそらく地元の子供と思われるが、一人にするのは憚られた。


 娘は森に慣れている様子で、道もないというのに迷いなく歩んでいった。
 時おり振り返っては「こっちこっち!」と手招いてみせる。
 そのうち、次第に妙な兆候が見え始めた。
 頭部の癖毛は三角形の耳に変化し、スカートの裾から太い尻尾が見え隠れする。
 振り返った目の瞳孔が縦に割れて、その顔はにんまりと笑っている。

「……さて、貴公。一つ忠告をしておくよ。
 私は謎の病に蝕まれた身、喰らうのはおすすめできない」

 これが他愛ない悪戯ならば、さっさと帰れば話は済む。
 そうでないなら、普通に話せぬ事情でもあるものか。
 暗い森の中に、ざわめくような雨音が鳴り出す。
 上を見上げても空は常緑樹の葉に覆われて、月の所在は分からなかった。

>>277

 事態の停滞中、思い出すのは過去のやりとりだった。

>「ヒットマンを差し向けられても返り討ちにしちゃえる?」

 師の厄介になっていた頃、兄弟子を相手にそんな問答をしたことがある。
 出自を話した際に、怖れと興味が半々といった様子で聞かれたのだった。
 師を同じくする身とはいえ、私の身上と彼の間には何一つ関係がない。
 貴族絡みのややこしい揉め事に巻き込まれてはたまったものではないだろう。
 暫く生活を共にすると考えれば、不安にもなるというものだ。
 私は少し考えて、素直に話した。

「……相手の出方によるのではないかと」

 暗殺者と一口に言っても、やり方は色々と考えられる。
 剣などで近距離から狙われた場合、応戦できる可能性もある。
 弓や魔法で遠隔から狙われた場合は、何も分からぬまま死ぬだろう。

「ですが、私は捨ておいてもいずれ勝手に命運尽きる病人の身。
 暗殺者を雇って始末する価値はありますまい」

 廃嫡された以上、命があろうと貴族としては既に死んだようなものである。 
 価値があったのは嫡子という立場であって、私個人は今や無価値に等しい。
 その返答に彼が納得したか、本当に安心できたのかは定かでない。
 ただ、彼がその後の生活で親切に接してくれたことだけが確かだった。

 暗殺。心底うんざりする話ではある。
 耳にしたくない話題に順位を付けるとすれば、陰謀と並んで上位だろう。
 しかし考えてみれば、人目につかぬ森の奥ほど暗殺に適した場所もない。
 幼女の姿に釣られたのは、いくら何でも緊張感が欠けていたのだろうか。
 つまるところ『怪しげな者についていくな』と留意すべきは私の方だった。

279 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/02/28(Wed) 23:02
おかあさんが毒矢を受けてしまったの
あなたからは薬草の匂いがするから
どうか助けてほしい
報酬はおかあさんの宝物
ここからずっと東の、海の向こう側にある故郷から持ってきた、宝物

280 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/02/29(Thu) 13:57
命だけは助けてつかぁさい!

281 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/03/03(Sun) 00:47
風邪もひいていないのにくしゃみが出るのを治せないか

282 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/03/03(Sun) 05:15

 古い格言に『竜の巣に入らねば卵は手に入らぬ』というものがある。
 大きな成果を得たければ、相応の危険を冒す必要がある――という意味だ。
 私は今、狐の……巣というよりは家と呼ぶのが相応しい場にお邪魔して手記を綴っている。
 特に成果を望んだわけでなくとも、時には成り行きでこうなることもある。
 冒険者だからな。

>>279

 幼い狐はたどたどしくも必死な様子で語った。
 私が疑ったように人を食らうつもりなど毛頭なく、ただ助けてほしいのだと。

「助けが必要ならば、そう言いたまえよ。
 ……まあ、話は後にしよう。今は急ぐべき時だ」

 疑おうと思えば疑うことはできる。しかし結局、私は娘についていくことにした。
 毒の処置は速さが肝要だ。急がねばなるまい。
 時間がかかればかかるほど患者の命は危うくなる。

 案内に従って行った先には、金色の毛並みを持つ狐が倒れていた。
 神聖術により光を呼び出し、傷の状態をよく観察する。部位は左の後足。
 患部は痛々しく腫れているが、傷そのものは浅いようだ。素早く身をかわしたのだろう。
 何より特徴的なのは、患部周辺と口元の毛が鈍い青色に染まっていることだ。
 おそらく、咄嗟に傷を舐めた際に着色したものと思われる。

「……これなら、星見苔の薬が効くだろう。
 貴公、運が良いな。ちょうど手持ちがある」

 この青色の着色は、近隣で最も流通している毒に見られる特徴である。
 主に殺鼠剤の用途で用いられるが、甘い香りからしばしば幼児の誤飲事故を起こす。
 町に行くなら、星見苔の薬を一つは作っておくべきだと言ってもいい。
 清潔な布で毒を拭い去り、祈祷を行って穢れを払う。
 傷口に膏薬を塗布し、包帯を巻けば処置は終了だ。

「後は体力だが……この雨の下にいるのは良くないな。
 貴公、雨を防げる場所に案内して頂けるかな。運ぶのは私が手伝おう。
 どうせ患者の様子もしばらく見ておく必要がある。

 ……ああ、それと。大きな木の実があるのだろう?
 報酬にはそちらを頂こうか。実はとても楽しみにしていたものでね」

 東方の宝物には興味があるが、些か多く頂きすぎるようにも思えた。
 母狐殿が目覚めてから、改めて話を伺うこととしよう。


283 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/03/03(Sun) 05:18
・・・・・

>>280
おや……どうしたのかな。たかが薬師に、そう怯えることもあるまい。
それとも、何か命を取られねばならぬような真似でもしたのかね?
安心したまえ。私の仕事は命を取ることではなく、救うことだ。

まあ……私が恐ろしいのは理解できるがね。何しろこの面だろう?
慣れ親しんだ今でこそ、男前の面だと胸を張って言えるが……
私も着け始めた頃は、暗がりで窓や鏡に映る度に驚いていたものだ。
顔を覆っているおかげで、誰からも悟られずに済んだがね。

これは元来、疫病に対抗するための格好だ。
かつて東より訪れ、猛威を振るった黒死病。名前ぐらいは知っているだろう?
かの病も近年はおとなしくしているようだが、恐怖の記憶は心に残る。
黒死病と共に姿を現す疫病医が、死神の扱いを受けることも珍しくはない。

怖がられることには慣れている。
まずは顔を上げて、落ち着いて話をしてみたまえよ。

>>281
毎年この時期になると、貴公と同様の症状を訴える者が増えるよ。
一説によると、目覚めたばかりの春の精霊が悪戯をしているのだという。
一方、冬の精霊が去りがたくしがみついているせいだと言う者もある。
一斉に花が咲くことから、花粉による害を主張する声も根強いな。

もう少し春が深まれば、何もせずとも自然に良くなるとは思うが……
主な症状は鼻か。目は? ……ふむ。不便そうだな。
一時の気休め程度で良ければ祈祷をしよう。
穢れ払いの祈祷は、このような時にも便利でね。
直に洗えぬ部位を洗い流したような爽快さを得られると評判だよ。

より根本的な解決を望むのならば、そうだな……
私のように顔全体を覆ってみてはどうだろうか。
私はかねてより病弱の身だが、不思議とその症状とは縁がなくてな。
もしかすると、季節の精霊殿は顔を隠した人間が苦手なのかも知れん。
試してみる価値はあると思うがね。

284 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/03/03(Sun) 19:49
この草、薬草?毒草?プロなら判別できるの?

285 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/03/03(Sun) 20:10
わたしのマッサージは、ヘタな回復アイテムより効果抜群ネ!

286 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/03/05(Tue) 02:21
……。

…………貴公か。いつから居た?
そうか。少し……眠っていたようだ。
疲労が蓄積しているか……薬の量が多かったかな。

>>284
これは……どちらかと言えば薬草だな。冷えに効く。
よく干した葉を茶にしたり、根を酒に漬け込んで飲むのが主な用途だな。
薬として用いるには些か頼りないが、そのぶん害も少ない。
薬草と言うよりは、健康食品に近いだろうかね。

そうだな、慣れていれば判別は可能だ。
冒険者の仕事として、薬草の採取はありふれた依頼だが……
これがなかなか、依頼側としては難儀するものだとよく聞くよ。
草など、どれもこれも同じに見えるという者が多くてな。

特にまずいのが、薬草とよく似た毒草が近くに生えている場合だろうか。
うっかり混ぜてしまうと、後で笑えないことになってしまう。
花の咲かぬ時期の採取ともなると難度は更に上がるな。
葉や茎、周辺の特徴から見分けるより他にないが、
粗忽者では、そういった細やかな差異をあっさり見落としかねない。

やはり手っ取り早いのは、私のような知識を持つ者を指名することだろう。
私としても、ご贔屓にして頂けると助かるよ。

>>285
おや……東方の出身者か? かつて噂に聞いたことがある。
東方では、体内に流れる“気”の流れを操作するのだとか。
特に武芸者は、傷や疲労を癒し、魔を払い、筋力を増大するなど、
様々に“気”の力を応用して戦うものなのだと聞いたよ。

要はこちらで言う魔力のようなものかと考えているのだが……
さほど知らぬ物事について、あまり訳知り顔で語るべきでもないかね。
いずれ識者が訪れることがあれば、より詳しく伺いたいものだ。

……ふむ。
旅の仲間に貴公のような技術者があれば、荷物の節約となるのだろうか。
旅先で疲労困憊した者を見ることがあれば、貴公を紹介するとしよう。

ああ、私は結構。確かに、疲れてはいるがね。
貴公の施術にも興味があるのだが……奇病を患う身の上でな。
どうにも、素肌を晒すことや触れられることに抵抗がある。
健康体を取り戻した後の楽しみとしてとっておくよ。

287 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/03/05(Tue) 07:47
ウソをつけなくなる毒草とウソしかつけなくなる毒草
どっちの方がタチ悪い?

288 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/03/07(Thu) 01:22
おや!君も亜人だな!ここは人間ばかりで心細かったんだ!
種族は違えども少数派のよしみだ!仲良くしようじゃないか鳥くん!!
(尻尾ブンブン)

289 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/03/09(Sat) 11:37
遠い先祖にドラゴンがいたらしくて俺の背中には僅かに翼が生えてるんだ
飛べないしジャマなだけだけど…

290 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/03/10(Sun) 20:48
一日に18時間は寝ないと僕、真の力が出せないんです

291 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/03/11(Mon) 01:41
ソムニフェルムと呼ばれる花がある。
花は見目よく、果実は非常によく効く薬となるのだが……
よく効く薬であるほど、その扱いは難しくなるものだ。
苦痛を和らげ、眠りに誘うその薬は、冥府へ至る距離をも縮めていく。
医神ジヤビルがもたらした偉大なる知識の一つと伝えられるが、
同時に、かの神が邪神と呼ばれる理由の一つでもあるな。

>>287
どちらかと言えば、嘘しかつけなくなる方が厄介だろうかね。
嘘をつけぬのなら、異常があると周囲に伝えることはできるだろう?
一方、嘘しか言えぬ状態では、仲間に状況を伝えることすら困難だ。
“何かがおかしい”と主張したくとも、口から出る言葉は“何の問題もない”。
これでは、察しの良い者が通訳してくれることを祈るより他にないだろう。

ただ……一つ、気になったのだが。
これらの毒草を、同時に二つとも服用した場合はどうなるものかね。
互いに効果を打ち消しあって正常に戻るのだろうか?
あるいは……どちらでもない状態になる可能性もあるか。

世を騒がせる怪しげな予言者などが、そのような言葉を好んで使うよ。
解釈次第で如何様にも意味を変えてみせる、曖昧で難解な玉虫色の言葉……
もしもそれが毒草の効果だとしたら、中々に哀れなものだがね。
必死に助けを求めるも、口をつくのは詩的で神秘的な言葉ばかり。
信者から祭り上げられていても、その真意は誰からも理解されない。
毒の効果が切れたとて、真実など誰からも求められてはいないわけだ。

>>288
貴公、……フフ、そうか。……そうだな。
見たところ、貴公は犬か狼の獣人だろうか。
種族は違えども、仲良くしたい気持ちは私も同じだよ。
私はジャックドウ、薬師を営んでいる。薬が必要なら相談したまえ。

ところで……一つ聞かせてもらって良いだろうか。
やはり私は、他の人間とは少し違った匂いがしているかな?
特定の病の患者は、体から独特の匂いを漂わせていることがある。
嗅覚が鋭ければ、匂いから病を判別できる可能性もあるかと思ってな……
……だが、私では薬草や香料の匂いにかき消されてしまうか。

ああ、そうそう……言うのが遅れてしまったが、私は鳥人ではない。
鳥のような格好をしているだけの人間だ。
すまない。貴公の尻尾が微笑ましかったものでな。
つい、もう少し眺めていたくなってしまったのさ。
騙すつもりはなかったが、許せとも言うまい。
ただ、種族は違えど仲良くしたいという言葉だけは、繰り返させて頂こうか。

292 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/03/11(Mon) 01:55
ついでに一つ、連絡をしておこうか。
近頃、病の状態が悪い。次回は遅れるかも知れん。

……私は、少しばかり見栄を張る癖があるようでな。
このような状態でも、人に弱った姿を見せるのは抵抗があるのさ。
よって、見舞いは結構。くれぐれも部屋を覗かぬように。
体の調子が戻り次第、すぐにいつもの姿をお見せするよ。

>>289
ほう、先祖返りというわけか。
なるほど……それは着るものに難儀しそうだな。
服に収めるのは窮屈そうだが、背中の空いた服を着るのだろうか。
夏場ならば扇の代わりにできるかも知れんが、冬場は翼が冷えて辛かろう。

人ならぬ者の血を引く家系は、しばしばその血に特殊な能力を宿すという。
その最たるものが、現人神の血を引くという皇帝家だろうな。
この大陸の貴族には魔法剣の使い手が多いという風潮があるが、
それもまた血統に由来する才の一つと言えるかもしれん。
皇帝家の縁戚ならば、遠くとも神の血を引いていることになる。

貴公も竜の末裔ならば、血統に由来する能力が他にもあるのではないかな。
人より頑丈だとか、呪いや魔力に強いというのが本命だろうかね。
今は何もないと思えても、ただ眠っているだけかも知れん。
竜という生き物は、古来よりよく眠るものだと聞く。
無理に起こすこともなかろうが、必要とあらば目覚めるだろうさ。

>>290
おや、奇遇だな。私も時々、そのような気持ちになるよ。
特に寒い朝などは、何時間でも睡眠が必要であるように思える。
実際には真の力が出るどころか、身体が鈍っていくばかりなのだがね。
体調を悪くして寝込んだ後などは顕著だな。明らかに体力が落ちる。
以前はもう少し、鈍る速度も緩やかだったのだが……歳かね、やはり。

その点、貴公はただ燃費が悪いだけだろうか。
真の力が必要な時に寝ておけば良いのだから、予定は立てやすいかね。
まず予定日から逆算して、寝る日とよく眠るために疲れておく日を設ける。
更に力を磨く日と、生活必需品を用意する日、生活費を得る日を割り振る。
しかしいくら予定を立てても不足の事態は起きるものだ。調整の日も……

……貴公、眠そうだな。真面目に聞きたまえ。真の力の活用法だろう。
眠いからといって好き放題に寝ていては、私のようになってしまうぞ。
真の力を出したところで、地力が衰えていては何にもならぬだろう?
いかに真の力が強力だろうと、その力を出せぬ時には役たたずでも困る。
何事にも、まずは地道な鍛錬が必要だと思うがね。

293 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/03/12(Tue) 21:32
春がもうすぐそこまで来てる
ここは俺が食い止めるぜ!お前は先へ行くんだ!!

294 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/03/13(Wed) 16:04
気絶するほど苦いお薬出しときますね

295 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/03/16(Sat) 12:39
ドジっ子だからうっかり伝説のドラゴン目覚めさせちゃったの!てへ!

296 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/03/18(Mon) 17:58
ワン、ツー、スリーで魔法の早撃ち勝負だ…!

297 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/03/20(Wed) 18:58
傷口は炎の技で無理矢理消毒する他ないって状況もあるんでしょうかね

298 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/03/21(Thu) 20:25
ストリートファイトが強い奴に心当たりない?

299 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/03/26(Tue) 20:49
予定よりも長く空けてしまったな。
ああ、体調は戻ったゆえご心配なく。
しかし、突発的な問題が起きてしまってね……。
申し訳ないが、手が空くまで今しばらくお待ち頂きたい。
本日は連絡のみにて失礼。では、また。

300 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/03/26(Tue) 21:13
四天王の最弱候補は俺だぜ

301 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/04/06(Sat) 23:02
すっかり夜が短くなったな。
日々の過ぎ去る速度ときたら……何らかの異変を疑うよ、全く。
ともあれ、随分と待たせてしまった。旅の再開といこうか。

>>293
――結局、共に残るような形になってしまったな。
なに、貴公ばかりに良い格好はさせられんということさ。
それに、私も冬の寒さにはいい加減に飽き飽きしていた。
春が来るのなら、さっさと挨拶してやりたいと思っていたところだよ。

さて、春の尖兵と言えば、そこかしこに咲く花だろうかね。
頭上を覆う木の花には目を奪われるものだが、時には足元にも目をやるといい。
特に薬師として、一つ知っておいて頂きたい植物がある。

清らかな香りを纏い、見るからに可憐な白い花でな。
その佇まいから聖女の鈴と呼ばれるが……名と姿に反して、猛毒だ。
丁度この時期に咲く。迂闊に手に取らぬよう、気をつけたまえ。
冥府や天界は常春と言う者もあるが、いずれにせよ、貴公にはまだ早かろうよ。

>>294
おや、それはどうも。
本来の効能はともかく、睡眠薬としては素晴らしい即効性があるようだ。
だが、結構。頂くのは気持ちだけにしておくよ。
薬を飲んだ後は、できるだけ細やかに記録をつけたいものでね。
本当に気絶してしまっては、体調の変化が分からなくなるだろう?

良い薬ほど苦いというのが世の常だが、実は薬を飲むにも技術があってな。
飲み慣れぬ者ほど、ゆっくり飲もうとして咽せるものだ。あれがよくない。
慣れれば、薬が舌の上に乗らぬよう素早く流し込むコツも覚えるのだが。

……具体的にどうやるのだと言われても、説明に困るがね。
頻繁に薬を飲んでいると、自然にできるようになるものだよ。
なんなら貴公、一度その苦い薬で練習でもしてみるといい。
時には患者の苦しみを知ることも、薬師としては良い経験になるだろうさ。

302 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/04/06(Sat) 23:05
……と、話を続けたいところだが……時間切れだな。
申し訳ないが、話の続きはまた次回にさせて頂こう。
さすがに今回ほど長くお待たせすることはないはずだ。

>>295
おや……そうか。それで、その後どうなったのかな。
貴公の様子を見る限り、大事には至らなかったようだが。
大冒険を繰り広げたか、あるいは、竜が二度寝でもしてしまったか。
……ふむ、私の予想としては後者かね。

たかが人間の不用意で覚める眠りなど、元々そう深いものでもなかろうよ。
春の陽気の中で二度寝をするのは、人の身には心地よいことだ。
竜にとっても、それは同じだったのかも知れんな。

いずれにせよ、無事に済んだようで何より。
深刻な問題だからといって、深刻な顔をすれば良いというものでも――
……待て、薬箱には近寄るな。もう少し距離を置きたまえ。
貴公のうっかりは、何が起きるか分かったものではないからな。
笑い話を聞くのは好ましいが、当事者になるのは御免こうむる。

>>296
……つまり、私は勝負の審判役でも務めれば良いのだろうか。
見ての通り、私は魔術師ではなく薬師でな。魔法は専門外だ。
全く使えぬとは言わんが、使える魔法の多くは戦闘向きではない。
そんな輩に勝負を持ちかけては、雑魚狩りの汚名を着せられても文句は言えんぞ。

とはいえ……無理だと言い張るのも、少々芸がないかね。
魔法の指定をこちらがしても良いのなら、受けようか。
治癒術を早撃ちして、より素早く患者の傷を癒す勝負というのは如何かな。
つい先日、近隣で大規模な魔物騒ぎがあってな。
魔物自体はおおかた討伐されたが……処置を待つ怪我人が少なくない。
この状況では、癒し手の数が多ければ多いほど助かる。

ああ、もちろん無理にとは言わんとも。
だが、もし受けてくれるのならば、あちらの救護場に来てくれたまえ。
一度来たら、恐らく半日は帰してもらえんと思うがね。

303 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/04/12(Fri) 03:13
春の夜というものは、空気からよい香りがするものだ。
この面を身につけている都合上、満喫する機会は多くないがね。
時間も季節も、もう少しゆっくりと過ぎ去ってくれれば良いものを。

>>297
焼灼か……あまり考えたくはない状況だが、ないとも言いきれんか。
切断などの重篤な創傷、ろくな施設も薬品も癒し手もない、猶予もない……
それほどに悪い状況でもなければ、まず選択肢から外したい手だよ。
火傷の対処は手がかかる。何より、患者に強い苦痛を与えるからな。

……そういった状況に、一つ心当たりがある。
昔々……私の故郷に、魔物が出るようになった頃の話だ。
農民だろうと鉱夫だろうと、武器をとれば戦士にはなれる。
生活や家族を守るためならば、魔物と戦うことはできる。
魔物討伐隊は、そういった必要に迫られて結成された。

しかし、傷の処置に長けた者、知識を持つ者はそう多くないものだ。
治癒の神聖術を扱える者も、当時は司祭以上の地位を持つ聖職者に限られた。
教会まで辿りつければ深手を負っても助かるが、そうでなければ命を落とす。
初期の討伐隊はそのような状態だったという。
……さすがに、近年は違うがね。

何にせよ、傷の備えは万全にしておきたまえ。
後悔してからでは遅いだろう? ここで薬を買っていくといい。

>>298
路上で戦闘を? 見世物の一種だろうか。
ふむ……そうだな。腕に覚えのある冒険者なら、何人か伝手がある。
どのような人材が入用か言ってくれれば、紹介しよう。

状況を問わず、相手を選ばず、暴力であれば右に出る者はない――
そういった輩にも心当たりはあるが、正直おすすめしかねるな。
あれを御しきれる人間など、そうそういないだろうさ。
私としても、あれとはあまり関わりを持ちたくない。

状況次第では、私もそれなりのものだとは思うがね。
相手が人間に限られ、複数人を相手取る必要がなく、
短時間で決着をつけられるのなら、間違いなく私の得意分野だと言えるよ。
戦闘後の救命処置まで可能なのだから、なかなか良い人材ではないかな?

>>300
――だが、そういった人材ほど戦闘以外の面で貢献しているものだ。
貴公もその口なのではないかな?
四天王と呼ばれる以上、一定以上の武力は備えているのだろう。
しかし誰しも、得手不得手があるものだ。

個としての武勇に優れるが、用兵が下手な者。
人心掌握に欠け、部下からの信頼を得られぬ者。
知性の乏しい者に、下克上の疑いを拭えぬ野心家……。
主君としては、こういった連中は頭痛の種になるだろうな。
なまじ強いからこそ、半端に扱うわけにも行かん。

貴公が周囲から何を評価され、何が評価を落としているのかは分からん。
しかし、謙虚な人柄であることは分かるよ。
案外、人間関係における要石となっているのではないかな?
よくあることだよ。分不相応な無能と思われていた人間がいなくなった途端、
人間関係の軋轢が表面化し、組織ごと瓦解してしまうというのは。

304 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/04/13(Sat) 19:46
敵が味方になるなんてことも時にはあるのか?

305 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/04/14(Sun) 12:15
仲間のピンチをきっかけに新たな力が覚醒するのはよく聞くけど
そんな状況にはなりたくないよね

306 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/04/14(Sun) 20:58
この井戸は異世界に繋がってるって友人のマイケルが言ってたぞ

307 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/04/14(Sun) 22:52
伝説の剣が中古屋で売ってた
しかも店主に知識がないもんだからかなりの格安

308 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/04/14(Sun) 23:17
昨日よりちょっぴり強くなれば
チリツモで一ヶ月後にはかなり強くなるよね

309 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/04/22(Mon) 03:05
ここから少し北上すると、街道を外れた辺りに要塞跡があるそうだ。
何やら妙な噂も耳にしたが……次の宿はそちらにしようかね。

……噂の内容か? まあ、よくある与太話だよ。
曰く……その要塞跡は、大昔に滅びた国の重要な拠点だったという。
地上は小型の魔物や亡霊が徘徊している程度のありふれた廃墟だが、
実はどこかに地下へと続く階段が隠されている。
地下深くには滅びた国の財宝と、財宝の守護者が眠っている。
これまで、守護者の姿を目にして生きて戻った者はない……と。

誰も生きて戻らないのなら、噂になるはずがないだろう?
賊や魔物がそれらしい噂を流しているのなら納得だがね。

>>304
ああ、そうだな。よくあると言ってもいい。
冒険者の大半は、ただ金で雇われて働く人間だ。
無論、それぞれに目的や思想、信条はあるにしても……
雇い主が変われば、敵は味方に、味方は敵にと変わりうる。
いちいち以前の立場を気にしていては、冒険者などやっていられないよ。

だからこそ、味方は大事に扱うべきだな。
敵であった際の怨恨は水に流せても、味方への恨みはそうも行くまい。
見捨てられたり、侮辱されたりすれば恨みは相当に後を引く……
……おっと、これは味方が敵になる話だな。失礼、話を戻そう。

組織に属さぬ傭兵などは侮られやすいが、その分身軽でもある。
雇い主が気に食わなければ、より金払いのいい方、
あるいは人柄が気に入った方に鞍替えすることもある。
不満を抱えていそうな傭兵がいれば、声をかけるのも手だろうさ。
丁重に扱わねば、再び敵になってしまうかも知れんがね。

>>305
流れを読む才こそ、冒険者に最も必要なものだと主張する者は多いな。一理ある。
窮地を脱する力は得難いが、まず窮地に陥らぬよう立ち回りたいものだ。
力に覚醒せねば死あるのみでは、賭けとしてもあまりに分が悪い。

だが……時には、不利な戦いを強いられることもある。
……そうだな。貴公、遊戯盤で遊んだことはあるかな?
チェッカー、タブラ、チェス……種類は何でも構わない。
あるのなら、勝つ為に捨てる駒があるのは分かるだろう。
盤面を見れば勝利が決まっていても、最初から死ぬ運命にある駒がな。

いかに風向きや潮の流れに敏感でも、察知できる範囲には限りがある。
大きな流れの渦中にあっては、個人の力などたかが知れている。
ましてや、その流れの存在を知らなければ、逆らうという発想すら出ん。
我々はせめて、運命神の大鎌に刈り取られぬよう祈るかね。
幸か不幸か、あの方は諦めの悪い者をお好みのようだからな。

310 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/04/22(Mon) 03:07
>>306
つまり……その井戸からは異世界の水が出るということか。興味深いな。
貴公、飲んだことはあるか? 味はどうだ? 体調に変化は?
そもそも、なぜマイケル殿はそんなことを知っている?
彼は既に、異世界から来た魔人に成り変わられているのでは?

……というのは、さすがに冗談だ。
異界に通じる井戸というのは、たまに聞く話だな。
大概は底が見えぬほど深く、石を落としても音がしないという理由だよ。
わざわざ井戸に入っていく奇人など、そうそういないだろう?
おとぎ話の勇者殿でもあるまいし。

何故か家々を訪ね回り、壺や樽を割り、クローゼットを漁り、
井戸に侵入していくとかいう奇行に走ったとされる勇者殿。
話として伝わっている以上、何らかの意味があるものと思われるが……
残念ながら、私にはよく分からん。
偉大な人物にも、尊敬できぬ奇癖はあるものだということだろうか。

>>307
貴公、随分な目利きのようだな。それで、買ったのかね?
買ったのならば、是非お目にかかりたいものだ。
私は貴公のような良い目を持ち合わせてはいないが、興味はある。
見せて頂けたとして、子供のような感想になりそうだがね。

しかし……気になるのは、貴公が見かけた場が中古屋という点だな。
つまり、それを売り払った者が存在するということだろう?
店主は勿論、売った側もろくに知識を持っていなかったのだろう。
おそらく、正規の持ち主ではない。ならば、盗品だろうか?
……これも考え難いな。伝説の武具ならば、相応の場から盗み出した筈だ。
街の中古屋よりも高値で買う者はいくらでもいるだろう。

二重、三重に不可解だが……この謎は、私が負うには些か荷が重いようだな。
銘が『伝説の剣』という普通の剣、などというつまらぬ結論になりそうだ。
それならいっそ、より荒唐無稽に、中古屋の店主こそ伝説の武具の継承者で、
価値の分かる者に譲りたがっている――などという話の方がまだ面白かろうよ。

>>308
……と、思うだろう? そうなら良いと、私も思うさ。
だが、風に吹かれた塵は容易く散ってしまうものだ。
強くなったことを実感できる機会はそれほど多くない。
才や効果がないと感じた時、その努力を続けることはできるだろうか?

無論、努力をせず一流の実力を身につける者はそうそういない。
だが、厄介なのは実際に才能の差が存在することでな……。
才能がないのなら、他の方面に時間と労力を費やした方が良いではないか。
そのように感じることも、時にはあるだろう。

足を止める理由はいくらでもある。場合によっては、歩み続ける理由よりも多く。
その理由を振り切って歩み続けることは、途方もなく困難だ。

……少し、意地の悪いことを言ってしまったな。
本音を言えば、貴公は強くなると私は思うよ。
自らの未来を信じられる者には、前に進む力がある。得難い才だ。
私が言わずともそうするだろうが、今後も励みたまえ。

311 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/04/24(Wed) 17:54
身体が小さい奴が大男を倒すなんてファンタジーなんだぜ…

312 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/04/25(Thu) 17:17
実力が互角の者と戦うのが一番楽しいけど
なかなか見つけるのは難しい

313 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/04/27(Sat) 03:00
街道をずっと北上していくと、自由都市ランディアと呼ばれる街がある。
僻地だが、古来より防衛の要として精強な兵が集う土地柄のようでな。
腕自慢が集まるうち、武闘大会が盛んに行われるようになったと聞く。
中でも、年に一度のリベルタス杯は大いに盛り上がると噂だよ。

>>311
なんと、貴公……さては、闘技場に行ったことがないな?
大柄な戦士と小柄な戦士の対戦は、闘技場でも特に人気のカードだよ。
一度とは言わん、折を見て行ってみたまえ。参加するのもいい。
あれを体感せずに過ごすなど、人生の損失も甚だしいと言えよう。

無敗の王者が悠々と連勝を重ねる様は観客を熱狂させ、
時には流星の如く現れた謎の新人が混乱をもたらし、
体格で劣る女子供が巨漢を打ち負かす姿には一際大きな歓声が上がる。
不利を覆す戦術や技術は参考になるが、単純な娯楽としても一級品だ。
賭けるのも良いな。己が損得に繋がるとなれば、応援にも力が入る。
無論、損得など顧みず贔屓の戦士に肩入れするのも自由だとも。

……む、すまない。少しばかり熱くなってしまったな。体格差の話か。
どういうわけか、体格に恵まれた者は魔法に弱い体質の者が多いと聞く。
闘技場でも、重戦士の天敵といえば魔術師の名がよく上がるものだ。
もしも世界のどこかに魔法が存在しない国があるのだとしたら、
その国では体格や筋力こそが絶対的な強さの指標となるのだろうか?
しかし……それこそおとぎ話でもあるまいしな。

>>312
貴公も好きだな。ああ、分かるよ。私も似たようなものだ。
完全に互角よりも、やや上の相手をどうにか打ち負かすのが好みかな。
まあ、それが可能な状況は相当に限られるがね。
大概は殺されぬよう、姑息な手段を用いて必死に立ち回ることになる。

相手の力が高すぎれば手も足も出せずに敗北と屈辱を味わうばかり、
かと言って低すぎれば歯ごたえも経験も得られない。
同程度の仲間と組めば、定期的に手合わせできるのかも知れんが……
相性の違いもあれば、成長速度にも差はある。ふむ、実に難しいものだ。

つい最近聞いた話だが、昨今は路上で戦闘を行う催しもあるようだ。
機会があれば参加して、実力の近しい者を探してみては如何かな。
ただ……どのような規定が設けられている催しなのかは、私も存じ上げない。
場合によっては、悪質な相手に心身を破壊される恐れもあるわけだ。
薬師としては、負傷は治せる範囲に抑えて頂きたいものだが……
どのような目的であれ、戦いである以上は危険が伴うのは致し方ないことかね。

314 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/04/28(Sun) 23:08
いつの時代も人気の物語といえば英雄の怪物退治に悲劇喜劇に恋愛物よ
先生には浮いた話とかないんすか

315 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/04/29(Mon) 10:08
マッチはいかがですか…

316 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/04/29(Mon) 11:10
お客さまの中にお医者さまはいらっしゃいませんかー!?

317 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/04/29(Mon) 13:03
荷物袋に沢山詰め込めばそれ自体が武器になるんじゃないかと思った

318 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/04/29(Mon) 22:02
血が止まらないの…助けて…
鼻血が…

319 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/04/30(Tue) 04:32
……。
ああ、今日は起きているよ。ただ、少し考え事をな。
私が貴公らと初めて顔を合わせてから、それなりに経ったろう?
最初と現在とで、どのように印象が変わったか……変わらなかったか。
人の目に映る姿は、鏡を見たところで分からぬものだからな。

>>314
そうだな。それらに加えて、未知なる秘境を巡る冒険譚は心が踊るものだ。
戦記や歴史を題材とした叙事詩も興味深く、謎を解く物語にも惹き付けられる。
ただ、恋愛は……主題として扱うよりは、添え物の印象が強いかね。
壮大な物語に華を添える挿話としては悪くないが、
それを中心とした物語となると、さほど興味が――

……うん? 私か?
あいにく、私はどこに行っても浮く男でね。
更に浮いた話などあっては、地に足がつかなくなってしまうだろう。
おまけに、冥府から熱烈な求婚を受けている身の上でな。
全く縁が無いとは言わんが、一時の熱に身を捧げられるほど若くもない。

結局……何をするにも、まずは病を治してからということになるわけだ。
良い題材をお探しの吟遊詩人殿には、些か申し訳ないがね。
私の如き平凡な薬師の独り言では、人々の支持を広く集めるわけもなし。

>>315
おや……このような時間に物売りとは。
冬場と比べて暖かくなってきたとは言え、夜はまだ冷えるだろうに。
貴公、どうせなら火に当たっていくといい。その方が売り物もよく見える。

売り物は……ふむ。点火具か?
手間と時間がかからぬ代わりに使い捨てと……なるほど。
些か割高だが、何があるか分からぬのが旅人だからな。一つ二つ頂こうか。
しかし、点火具を売る娘とは……おとぎ話を思い出すな。
あまり愉快な話ではないが、聞きたいかね。では、あらすじだけ。

貧しい物乞いの娘が魔女と出会い、魔法の点火具を手に入れる。
お陰で娘は冬の寒さに凍えず済むが、魔女のもたらす道具には罠があった。
その点火具は夢を見せるのだ。甘やかで優しい、理想の世界を。
その甘美な夢を自ら否定せねば、夢に囚われたまま命を落とすのだという。

……物語の結末? さて……どうだったかな。
ちょうど小銭も入ったことだ、明日は貸本屋にでも足を運ぶといい。
体は十分に暖まったろう。今日のところは、早く家に帰りたまえ。

・・・

む……雨が降ってきたな。
些か短いようだが、本日はここで一区切りとさせて頂こうか。
また近いうちに話の続きをするとしよう。では。

320 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/05/01(Wed) 09:25
高いとここわ〜い!
だから山のダンジョンは行けない!

321 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/05/07(Tue) 02:12
少し雨宿りをするつもりが、予想よりも時間がかかってしまったな。
待たせてすまない。色々あった。事の顛末は……機会があれば話すとしよう。

>>316
いると言えばいるが、いないと言えばいない。
……などと、回りくどくふざけている場合でもないな。
まず、何があったか手短に教えて頂けるか。私は薬師だ。
他に適切な者がいないようなら、私が診よう。

……ふむ。急に痛みを訴えて倒れたと。意識はあるな。
持病は? 直前に食べたものは分かるかな? ……なるほど。
顔色、脈拍、体温、痛みの位置、……よろしい、大体分かった。
安心したまえ、すぐに楽にしてさしあげよう。
……失礼、言葉選びが悪かったな。治るという意味だ。

さてと……ああ、最初に言った言葉の意味か?
私は正式に医者と名乗れる身分ではないが、疫病医の肩書きを持っている。
しかし疫病医というものは、資格・経歴・年齢不問、未経験者歓迎の仕事でな。
要は疫病を前にして逃げなければ、誰でも名乗れるというわけだ。
信頼のおける癒し手が必要なら、聖職者を求めた方がまだマシだろう。
そのまま鎮魂の祈りを捧げられる羽目になるかも知れないがね。

>>317
一理あるな。非武装の際に必要に迫られれば、私もそうするかも知れん。
だが、荷物の中には衝撃を与えたくないものや、壊れては困るものもある。
それらを除外すると、武器として使える内容物は意外と限られるのでは?
少し考えてみようか。

まず、薬や油などの瓶は割れたら困るだろう。除外だ。
着替え、天幕、水袋、ロープ……布や水は衝撃を吸収してしまうかな。
重さを確保する分には役立つだろうが、詰める位置には配慮が必要だ。
糧食、小鍋……まあ、これらは少し歪んだとしても使えるか。
後は……書類、貴重品類は荷物袋ではなく携帯袋で身につけるとして。

何よりの課題は、荷物袋そのものの耐久力だな。
革は頑丈だが、さすがに刃物で裂かれれば破れてしまう。
いかに素材が良くとも、長く使えば縫製が緩む場合もある。
私としては、やはり武器は武器で別に持つべきだと感じるね。
戦いの最中に旅の荷物がぶちまけられては大惨事だろう?
こういう技だ、作戦だと開き直ろうにも、武器がなければ格好もつかん。

322 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/05/07(Tue) 02:13
もう五月か。ワフエルダの祝祭、俗に言う花祭りの時期だな。
農村部ならば、豊穣の女神ワフエルダに扮した娘の姿を見られるだろう。
彼女らは花冠を身につけて花を配り、道行くものに祝福を授けてくれる。
同時に、“善意による自発的なご支援”も求められるがね。
花と笑顔は無料だが、その後の愛想は有料というわけだ。

>>318
おや、それは気の毒に。貴公、まず座りたまえ。原因に心当たりは?
出血が始まってからの時間は? 痛みはあるかね?
日頃からよく出血するのなら、もう少し詳しく聞かせてほしい。
あるいは負傷した際、血が止まりづらいということは?

ふむ……さほど心配はいらないと思うが、ひとまず血を止めようか。
安心したまえ。薬草を鼻に詰め込むようなことはしないよ。
このような内部の止血に関しては、神聖術に頼ることが多い……私はね。
少し顔に触れさせて頂くよ。不快かも知れんが、我慢したまえ。

……これは聞いた話だが。
正教の総本山、神聖帝国の直轄地では、民も神聖術を扱えるのだという。
さすがに領地の全域に教育が行き届いているというわけもなかろうし、
術の行使には魔法の素養が必要と思われるが……それにしても羨ましい話だ。
それと引き換えに、かの国では医者が流行らぬという話も聞くがね……

……血は止まったな。再発するようなら、また来たまえ。

>>320
山頂でもなければ、高所にいるという実感は薄いように思うがね。
道中は険しい坂や鬱蒼とした木々の間をひたすら歩むばかりだよ。
だからこそ、不意に切り立った崖道や吊り橋が現れて肝を冷やすわけだが……
そのようなもの、不意に現れる落とし穴などと大差なかろう。

高所が恐ろしいのなら、貴公が真に避けるべきは塔だな。
塔というのは人の手によって建てられるものだろう?
どういうわけか、あの手の建築物は魔術師が好んで建てる傾向がある。
侵入者を阻む仕掛けも、魔術師の性格や叡智が反映された厄介なものが多い。
中には目に見えぬ床の上を歩まされるような、悪趣味なものもあってな……

……ああ、失礼。怯えさせる意図はなかった。本当だとも。
何にせよ、恐ろしいのなら無理に向かう必要はあるまい。
かく言う私にも恐ろしくてたまらないものはある。大金だ。
大金が恐ろしくなければ、高額報酬の依頼を次から次へと請けるのだがね。

323 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/05/08(Wed) 21:13
ねえねえとりさん、なにかおはなししてー
ねむれないの

324 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/05/10(Fri) 02:10
東の街に竜が出て、大変な騒ぎになったという。
この竜の様子が奇妙だったそうでな。あちらこちらで噂になっているよ。
何でも、機嫌よく好きなものを挙げるだけ挙げて去っていったのだと……
……何故と聞かれてもな。私も知りたいよ、それは。

>>323
貴公、なかなかに豪胆だな。
私のような男が近くにいては、却って眠れなくなるのではないかな?
少なくとも、大概の大人はそのようなことを言うがね。
さて……お話か。そうだな……では、貴公のように勇敢な少年の話をしようか。


大昔……各国が戦争に明け暮れて、人々が苦しい生活を強いられていた頃。
ある貧しい少年が、神から天啓と奇跡の力を授けられたのだという。
その力で人々を助け、楽園を目指すようにと。
少年は言葉に従い、大陸各地を旅して様々な奇跡をもたらした。

その頃、大陸には貧しい子どもが大勢いた。
戦争や疫病で親を亡くした子、貧しさゆえ捨てられた子……
そのような子どもたちが少年の後についていった結果、
少年ひとりで始まった旅は、やがて数十名もの大所帯となったそうだ。

この大勢の子どもたちは、大陸各地に目撃証言が残されているそうなのだが……
彼らが最終的にどうなったのかは伝わっていない。
ある港町で目撃されたのを最後に、彼らは消息を絶ってしまったという。
騙されて奴隷商に売られてしまったのだという説もある。
乗った船が難破し、皆死んでしまったのだという説もある。
無事に大海原を乗り越え、新天地に子供ばかりの楽園を作ったとも囁かれる。
……そうであってほしいものだ。


……さて、そろそろ眠くなってきたのではないかな。
よく眠らねば、治るものも治らなくなる。今は休みたまえよ。

325 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/05/11(Sat) 15:10
                          ,. 、
                         く r',ゝ
r' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ           ,ゝー'、
|              |     、   /    ヽ.
|              |    く、` ヽ/ ∩    |
|     とりさん     >    `>        |
|              |     く´ , -'7       レ个ー─┐
|              |     `´  // /    ー个ー─'7
|              |        // /     _  |    (
ゝ__________ノ       // /'┤    |ヽv'⌒ヽ、ゝ

326 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/05/11(Sat) 17:10
野宿にはなかなか慣れんわい

327 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/05/12(Sun) 10:31
マミーの包帯を引っ張ってよいではないかよいではないかしたい

328 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/05/13(Mon) 17:59
物欲がありすぎる者は結局全てを失いやすくなってしまうのだろうか

329 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/05/14(Tue) 22:14
誰かに頼らないのも強さだけど
頼る勇気も必要ですよね?

330 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/05/17(Fri) 03:20
世に魔物と呼ばれる存在は多いが、その基準や区分は曖昧だ。
中でも代表的な例が、精霊とも神獣とも呼ばれる一角獣。
蘇った死者とされることも、生まれながらの人種とも囁かれる吸血鬼。
そして、竜だろうな。

……竜といえば、噂に聞いた竜に会ったよ。
ほら、話したろう。好きな物を挙げていく竜の噂だよ。
つい先日のことなのだが――

>>325
……そうだな、少し変わった竜だったよ。
幼体だったのか、単にそういう個性の持ち主だったのか……
小柄で、表情が豊かでね。まあ、そういうこともあるだろうさ。
私も正真正銘の人間だが、人間らしい見た目かと言われれば返す言葉もない。

さて、竜に話を戻そうか。
かの竜は旅をして見聞を広げ、好ましく感じた物を人に伝えているそうだ。
その様子が実に楽しそうだったものでね。よく覚えているよ。

「旅の好物発見ドラゴンが旅の醍醐味を発表します」
「寄り道」「旅仲間」「お祭り」「旅の思い出を書き込む手記」
「正式名称が分からないあの人も」……と、他にも色々なものが好きだと。

竜と言えば、力強く恐ろしく、ゆえに美しいものと思っていた。
しかし、あの竜は実に親しみやすく愛らしかったな。
あの様子なら、今後も楽しく旅を続けていけることだろうさ。

>>326
それはそうだろうとも。
私も旅暮らしをして長いが、可能なら人里で夜を明かしたい。
野営と比べれば、安宿の藁の寝台でさえ楽園のように心地よく思えるよ。
たとえ廃墟であろうと、屋根と壁があるだけで大違いだ。
天幕も無いよりは遥かにマシだが、雨風を防ぐには少しばかり頼りない。

決して快適な環境ではないからこそ、人は知恵を絞るものだ。
野営地に適した場所を確保し、塩漬け肉はスープに加工する。
雨水の侵入を抑えるために、天幕の周辺に溝を掘る。
少しでも安心して夜を過ごすには何が必要なのか、皆よく考えている……。

……というわけでだ、貴公。
賊に魔物に獣に加え、そろそろ毒虫が恐ろしい頃だろう?
旅を更に快適にしたいのなら、虫除け薬を買っていくことをおすすめするよ。
野営の共に使うのなら香、道中も使うのならば軟膏がいいだろう。
無論、両方買っていってくれても構わんとも。
何しろ、虫はどこにでも出る。損はさせないと思うがね。

>>327
マミーというのは確か、古代の墳墓や霊廟に出るという魔物か。
かつて埋葬された貴人の成れの果てとも、
死してなお主君を守らんとする殉葬者とも言われるが……
貴公は、魔物に巻かれた包帯を……何だって?
『よいではないかよいではないかしたい』……?

……ああ、何かしらの俗語か隠語であることまでは分かる。
しかし、私もあらゆる文化を網羅しているわけではないのでね。
折角の機会だ、具体的にどのような意味か教えて頂けるだろうか?

……。
…………。

……なるほどな。
よく分かったと言うべきか、全く分からないと言うべきか……。
行為自体は理解したが……それを、乾涸びた死体と思しき魔物に……?
何故……いや、深淵を覗き込むような真似はやめておこうか。
深淵は至る所に口を開き、こちらを喰らう隙を伺っているものだ。
貴公も、自らの深淵に呑まれぬよう気をつけたまえよ。

・・・

む……本日も時間切れか。
あまりまとまった時間が取れずにいてな。すまない。
また改めて話すとしよう。それでは、失礼。

331 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/05/19(Sun) 20:02
ワープしたければこの馬を使うといいよ!
その蹴りでどこまでも吹っ飛ばしてくれるから!

332 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/05/22(Wed) 04:09
……妙に雨が多いな。北部の雨季は南部よりも遅いと聞いていたのだが……。
致し方ない。しばらくは要塞跡で雨宿りとしようか。
そろそろ薬草の補充をしたいところなのだがね。
このような状態で森に入っても、泥濘に足をとられるばかりだ。

>>328
さて、どうかね。運命神の大鎌は気紛れに、容赦なく振るわれるものだ。
強欲だろうと無欲だろうと無差別に、奪われる時は奪われる。
それに、いずれ死を迎えれば、誰もが平等に全てを失うだろう?

……おや、不満かな。そのような話をしたいわけではないか。
では、もう少し真面目に考えるとしようか。

物欲に限った話ではないが、人には器というものがある。
いくら欲しがろうと、自らの器より多くは持てぬものだ。
集めたところで零れ落ち、無理に詰め込めば壊れてしまう。
察するに、貴公もそのような物語を見聞きしたのではないかな?
強欲の果てに自らの器以上のものを求め、破滅を迎える悪役。定番だ。
皆がそのような物語を求める。報いや理由を。納得のいく結末を。

かく言う私も、かつて神のご采配により多くを取り上げられた身でな。
失ったもの全てを取り戻すことはできずとも、
私にとって納得のいく結末を迎えに行くところだよ。

>>329
それを聞くということは、貴公、薬師の助力が必要かな?
安心したまえ。私はこう見えて情の深い男だ。
助けを求められれば、可能な範囲で応じるよ。
長話でも構わないとも。とりあえず話してみたまえ。
このような長雨では、私も貴公も、暫くここから動けんだろう。

他者に頼れぬ一人旅では、様々な状況を独力で乗り越える必要となる。
だが、より適した知識や技術の持ち主がいるなら、助け合う方が効率がいい。
海のことは漁師に、薬のことは薬師に任せておくのが賢明というものだ。

かく言う私も、肉体労働はできるだけ他人に頼りたくてな。
健康で屈強な旅人が居合わせてくれないものかと願っていたところだよ。
ああ、私と比べれば大概の人間は健康で屈強だからな。
相応の礼を用意すれば、道を塞ぐ瓦礫を撤去してくれるに違いない。

>>331
なんとも魅力的なお誘いだ。しかし、私は遠慮しておこう。
馬殿のご機嫌を損ねれば、たちまち冥府への一方通行となりそうだ。
町では馬に蹴られて重症となる例が意外と多くてな。時には死者も出る。
私は今後も、地道に歩いて目的地を目指すとするよ。

しかし、転移か……本当にそのようなことが可能なら便利なのだが。
遠く離れた土地から土地へ、普通の旅程では有り得ぬ速さで移動する――
ただし、移動した本人にも、何が起きてどこにいるのか全く分からない。
そういった不思議な話は、昔からあちらこちらで聞くよ。
馬に蹴られて、というのはさすがに初耳だがね。
奇妙な霧の中に迷い込んだ……というのが、比較的よく聞く例か。

……私も、奇妙な霧の中で妙な話を聞いたことがある。
いかにも怪しげな連中が、“向こう側”だの“門”だのと……。
まあ、いずれにせよ今は関係の無い話か。
不可思議な馬殿によろしく言っておいてくれたまえ。

333 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/05/22(Wed) 18:55
太りすぎのくせに逃げ足速すぎる食い逃げ常習犯の存在に悩んでいる…

334 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/05/25(Sat) 03:31
あちらの草むらに、転々と小さな赤い実がなっているのが見えるかね。
いや、毒でも薬でもないさ。あれは食用になる。
生で食すには味気ないが、よく煮詰めてソースにするといい。肉が柔らかくなる。
干し肉の味に飽きたらやってみたまえ。数を集めるのは手間だがね。

>>333
お困りのようだな。私で良ければ相談に乗ろう。
そこまで特徴が判明しているということは……ふむ。

まず、街の複数の店舗が被害に遭っている状況と見た。
よもや食い逃げ常習犯と分かりきっている相手に食事を提供する筈もなし。
恐らく、その悪漢は短期間に複数の店を荒らし回り、
街に噂が広がりきる頃には次の街に移動していくだろう。

そうだな……詳しい人相書きは用意できるか?
できるなら、冒険者ギルドに協力を仰ぎたまえ。
何をするのかって? 冒険者に露店を開かせるのさ。
流れ者の露店ならば、油断して罠にかかる可能性がある。
後は食事を提供する前に、不意打ちでもして捕縛するだけだ。

……ああ、すまないが私自身は協力できない。
いかに美味そうな食事を用意しようと、店主が私では怪しすぎるだろう?

335 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/05/26(Sun) 22:36
物語では仮面キャラの素顔は美形というのが定番だが…(凝視)

336 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/05/29(Wed) 02:35
当然ながら、私も常にこの鳥面を装着しているわけではない。
清潔に保つ為の手入れも必要なら、香料を詰め直す必要もある。
無論、装着したままでは飲食も不可能だ。

……実は、嘴にパンを押し付けるのはやめるよう諭す機会が意外に多くてな。
殊に小さな子供が相手となると、どう説明したものかと考えることがあるよ。

>>335
定番の話をするのならば、注目すべき点は他にもあるのではないかな。
例えば、“善良で病弱な薬師”は大概、鳥男ではなく若い娘の役割だろう?
献身的な看病を施されるのなら、美女の手による方が嬉しいものだ。
そのまま主人公に恋でもして、物語に華を添えるまでがお約束だよ。

一方、私のような鳥男ではどうなるかと言えば……
目覚めるなり、私の姿を見て悲鳴を上げる患者が後を絶たん。
別に構わんさ。叫べるだけの元気が出たのなら何よりだ。
好奇であれ恐怖であれ、視線を向けられることには慣れている。

それで、貴公。観察した結果、目ぼしい収穫はあったかな?
実際のところ、私の素顔を知っている人間など、さほど珍しくもない。
生活を共にしていた師や兄弟子……それに冒険者仲間にも何人かいるな。
必要がなければ見せないが、必要があれば見せても構わない程度のものだ。
知りたいのなら、まずは地道に信頼関係を築きたまえ。
私としては、そのような価値はないと断言したいところだがね。

337 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/05/30(Thu) 13:47
なるほど。野鳥にエサをやってはならないという戒めですな!

338 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/05/30(Thu) 18:41
あなたが暗い小路を歩いていると後ろから足音が聞こえる
それは誰か?

お答え願おうか、そこな旅人殿

339 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/06/01(Sat) 04:12
深夜、早朝は音がよく響く。無人に等しい廃墟ならば尚のこと。
だが――雨風の激しい夜なら、話は別だ。
何事か起きたとしても、痕跡ごと掻き消されてしまうだろう。

>>337
クク、かも知れんな。私のような鳥では、特に。
人馴れしていて、すぐに懐く。おまけにお喋りときた。
みだりに餌付けしては、軒下に住み着いて毎日囀るようになるかも知れん。
何より問題なのは、得体の知れぬ病を患っていることだがね。

人里に疫病をもたらすものといえば、まず鼠と蚤の名が挙がるだろう。
その次に鳥だ。未知なる遠方から飛来し、災厄を運んでくるという。
――だが、そこから転じて、鳥に願いをかけることもある。
今ここにある災いを、どこか遠くに持ち去ってくれるように……と。

必要なら、貴公もこの野鳥に何か願いをかけていきたまえ。
私自身には特別な力など無かろうが、気持ちは軽くなるだろうさ。
より遠くまで飛べるよう、支援してやるのも縁起が良いかも知れんぞ。
先に申し上げた通り、住み着かない程度に加減して頂く必要はあるがね。

>>338
……何とも風変わりな趣向だな。
非常に残念なことだが、まず思い浮かぶのは、悪漢、ごろつきの類だ。
嘆かわしいことに、旅人から金を巻き上げようとする輩が後を絶たなくてな。
あまり近くに立たれると、剣に手を伸ばす習慣がついてしまったよ。

背後からこっそりと近づいて「だーれだ」と問いかける悪戯は、
親しい相手か子供の仕業にしておいて頂きたいものだ。
客や患者なら歓迎したいところだが――期待はできんな。
もしも客なら、呼びかけは『旅人殿』ではなく『薬師殿』になるだろうさ。

さて、貴公。どちら様かな?
叶うのなら、要件と真意を手短にお答え頂きたいのだがね。
ああ、念の為に言っておくが――私は少しばかり気が短い。
よくよく気をつけてくれたまえ。痛くされるのは嫌だろう?

340 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/06/05(Wed) 10:53
ずっと一人旅?寂しくならない?

341 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/06/07(Fri) 03:28
さて、今日は何の話をしようか。
気の触れた王の話、おぞましき悪疫の話、滅亡の日を繰り返す廃村の話――
おや……困ったな、ろくな話がない。

>>340
ずっと……そうだな。ずっと、と言ってもいいか。
師と別れ、一人旅になってから、もう五年ほどになる。
寂しくはない……と言いたいところだが、断言しづらいな。
こうして饒舌になるのも、人恋しさゆえと言われれば否定できん。

とは言え、耐えられぬほどではないがね。
依頼の兼ね合いで、一時的に他の冒険者に同行することもある。
貴公のような、旅先で出会う人々とのささやかな交流もある。
ただ、時々……

……いや、止めておこう。何、そう大した話ではないよ。
私は人前で格好のつかない真似をするのが嫌いでね。
要するに、その類のことが口から出そうになってしまったわけだ。
どうにも気が緩んでいるらしい。暖かくなったせいかな。
もう少し、気を引き締めていかねばなるまい。

342 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/06/09(Sun) 21:55
魔物と出会ったら逃げるべきである

343 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/06/11(Tue) 22:50
しみったれたお話より、熱烈な甘いラヴロマンスの方が聞きたいね

344 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/06/11(Tue) 23:53
参ったな、何度も同じ場所に来てる・・・これは思いっきりワンダリングワンダじゃんか!

345 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/06/12(Wed) 17:10
私は素敵な青空に恋をした、いつかはあの大空を自由自在に羽ばたくこと
それが私の夢、アナタの夢は…?

346 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/06/14(Fri) 03:24

「おい貴様。誰に許可を得てこの地で商売をしている」
 そのように声をかけてきたのは、おおよそ十二歳程度の少年だった。
 傍らに大柄な従者を伴い、いかにも貴族のご令息らしい様子で威張り散らしている。
 だが、声変わりも終えていない子供に凄まれたところで、恐ろしいより滑稽だ。

「おや。そのような制度があるとは露知らず。ご無礼をお詫び申し上げます」
 形ばかり畏まってみせると、少年はますますふんぞり反ってみせた。
 横の従者の方は、何やら困った様子でチラチラとこちらに目配せをしている。
 悪いが少し付き合ってやってほしい――とでもいったところか。

「最低限の礼節は弁えているようだな。僕から父上に話を通してやってもいい」
 少年は横柄に従者を見た。従者は今にもため息をつきそうな顔で頷いた。
「……こちらは、領主様の四男であらせられる、レイマン様です」
 まあ、そんなところだろうとは思った。
 近隣で名高い領主の息子達といえば、実直な長男、聡明な次男、勇猛な三男。
 そして年の離れた四男はと言えば――話題の端にも上らない存在なのだった。 


>>342

 魔物と出会ったら逃げるべきである。一般人なら、間違いなくその通りだ。
 冒険者であろうとも、状況次第ではそうするべきだろう。
 しかし、今の私に課せられた任務は、まさにその反対を行く内容なのだった。

 商売の許可を与える交換条件として、レイマン少年はこのように述べた。
「魔物が我が領民の暮らしを脅かしているらしい。退治しろ。
 本来なら僕が退治してやるのだが、こいつが煩く止めるのでな」
 少年の雑な説明を、横の従者が甲斐甲斐しく補足した内容によると――

・領地のはずれに魔物が出たという噂が流れている。
・曖昧な噂ばかりで、特にこれといった被害は出ていない。
・魔物を倒したという証拠を持ってきてほしい。
・あわよくば手柄はレイマン少年のものということにしたい。

 大体、こんなところだった。
 私が証拠を偽造してくることは想定外なのか、あるいはどうでもいいのか――
 おそらく、少年は前者、従者の方は後者なのだろう。
 一通り話して満足したのか、やがて少年は領主館まで帰っていった。
 ああ見えて忙しい身の上らしい。私には、この上なく暇そうに見えたがね。


>>343

 少年を領主館まで送り届けると、従者はため息をつきながら戻ってきた。
 私を監視するよう命じられたか、まだ話すべきことでもあるのか。
「随分とご立派なご主人様のようだな。領民の信望もさぞ厚かろう」
 軽く皮肉を飛ばしてみたが、返す元気もないらしい。従者は黙って首を横に振った。

「……魔物が出ると噂の場所は、粉挽き小屋なのですが……、
 レイマン様は、どうも、粉屋の娘に気があるようで」
「波乱万丈なことだ。若くして身分違いの恋とはな」
 粉屋、水車屋といえば、多くの土地で差別の対象となる職業だ。
 生まれながらに村はずれの生活を余儀なくされ、村人からも蔑まれる。
 ましてや貴族との付き合いなど、以ての外と言っていいだろう。

「魔物など、暇な連中が流す馬鹿げた噂に過ぎません。
 貴方には、レイマン様の恋を諦めさせる手伝いをして頂きたいのです」
 方法は任せる。いっそ、何もせずこの地から立ち去っても構わない。
 そう付け加えると、従者は私に小金を握らせ、足早に立ち去っていった。

 ……このようにして、私は何やらよく分からない状況に放り込まれてしまった。
 恋物語の萌芽を前に、橋渡しをするか、敵役を演じるかは、私次第というわけだ。
 どいつもこいつも勝手な要望ばかりで、肝心の方法は私に丸投げしてくる。
 いや全く、どうしたものか。困ったものだな。



347 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/06/14(Fri) 03:25

>>344

 判断に迷った私は、ひとまず水車小屋の視察に訪れることにした。
 本当に魔物がいるのなら、退治するなり逃げ帰るなりしてもいい。
 いないならいないで構わない。話題の娘がどのようなものか興味がある。

 ……と、向かったまでは良いのだが。
 どういうわけか、水車小屋へ至る林の様子がおかしかった。
 さほど広くもない林である。粉を運ぶための道もある。
 だというのに、いくら歩けど一向に林を抜けられない。
 まるで魔法にでもかけられたかのように、幾度も同じ場所を巡っている。

 道中、同じように道に迷ったと思しき旅人に出会った。
 彼の故郷では、このような現象のことをワンダリングワンダと呼ぶらしい。
 専用の言葉が必要なほど頻発するのだろうか。何とも苦労しそうな土地だ。

 木々に印を付け、ロープを結び、時に祈り、火を起こし……
 傍目には奇行と思えるような様々な試行錯誤の果てに、私と彼は林を抜けた。
 時に、苦労は人と人との距離を縮めるものだ。
 彼とは一生涯の親友になったような気さえしたが、私たちはそのまま別れた。
 互いに旅の道中だ。縁があれば、また会うこともあるだろう。
 またワンダ……? なんだったか。その現象の最中でなければ良いのだが。


>>345

 林に入った時には昼前だったというのに、今や日が傾きかけている。
 異常があったということは、魔物がいる可能性が高まったということでもある。
 周辺を警戒しつつ歩を進めるうち、一人の娘が目に入った。
 何やらふわふわとしている。そんな印象を持った。
 浮いてこそいないが、足取りは踊るように軽快で、視線は宙に向けられている。

「こんにちは。旅の人ね」
 私の姿を認めると、娘はにっこりと笑った。妙な娘だと思った。
 私の容貌を見れば、大概の人間は眉を顰めるか怯えるものだ。
 そこまであからさまな反応でなくとも、取り繕う素振りぐらいは見せる。
 そのような動揺が、この娘には、一切、見られなかった。

「魔物が出ると聞いて来たのだが、貴公、何か知らないかな」
 私の問いかけに、娘はただ微笑んでみせた。それから、また空を見る。
「私は素敵な青空に恋をした、いつかはあの大空を自由自在に羽ばたくこと、
 それが私の夢、アナタの夢は…?」
「魔物の噂について知らないかな」
 娘は答えなかった。笑顔を浮かべたまま、私の返答を待っている様子だった。

「……悪いが、夢らしい夢は思い当たらんな。
 先のことを考えるのは、持病を治してから。
 そのように考えているうち、この歳になってしまった」
「つまらない人!」
 言葉に反して、娘は楽しげに笑った。

「村の人が言う魔物というのは、私のこと、きっとね」
 感覚を狂わせ、不思議と道に迷わせる林。夢見がちで不可思議な娘。
 それらを気味悪がった村人たちの一部が、娘のことを魔物と揶揄した。
 その話を耳にしたレイマン少年が、本当に魔物がいるものと勘違いした。
 娘の話を総合すると、どうやらそのような事情らしかった。
 

 さて、材料は揃った。そこからどうするかが問題だ。
 ここにいるのは娘が一人。余所者の薬師が一人。
 この場にいないのは、恋する少年が一人。悩める従者が一人。
 誰の手を取り、誰の意向を無視するかは、相変わらず私に丸投げされている。

 結論――魔物は退治する。
 ただし、ここで言う魔物とは、この娘のことではない。 
「貴公は魔物を退治した。そういうことにしよう」

 噂の魔物の正体は変な格好をした旅の男であり、林に毒を撒いたり、
 レイマン少年の命を狙ったりという諸々の企てをこの娘が暴き、何とかした。
 ……“何とか”とは具体的に何なのかと言われると困るがね。
 皆して私に丸投げしたのが悪い。私も丸投げさせてもらう。

 ……少年少女の恋物語がどうなったのか?
 さて、私は魔物として退治されてしまったので分からないな。
 従者殿に握らされた小金を手元に、私はこの土地を立ち去った。
 後のことは、風の噂で耳にすることもあるだろう。

 青空に恋した奔放な娘と、娘に恋する少年貴族と、ついでに情けない従者の珍道中。
 そのような他愛ない物語ばかりを集めて、人に語って聞かせるような、
 そんな生活ができたら、夢のように愉快かも知れぬと、今は考えている。
 ……おや、今と大して変わらないような気がしてきたな。

 今回は、大体そういうお話だ。楽しんで頂けたなら良いのだがね。


348 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/06/15(Sat) 22:18
是非少年には娘の尻に敷かれて心を入れ替えてほしい
商才があれば家を捨ててもなんとかやっていけるよ、とりさんのように

349 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/06/16(Sun) 02:08
伝統的な騎士物語の主役と言えば、遍歴の騎士だな。
各地を冒険し、危険な魔物や悪人を退治し、武勲を立てて名を上げる。
私の父も、若い頃、そのような生活をしていた時期があったという。
結局、そう長く続けることは叶わなかったようだが……
父が時おり語る冒険譚の数々には、幼心に憧れたものだったよ。

>>348
おや、私に商才を認めてくれるのかね?
では早速、こちらの薬をだな――という茶番は後にしようか。

私も、あの少年は家を出たほうが良いのではないかと思うよ。
親の威光に頼るばかりで、自ら何かをする、できるという発想がない。
自分の力で何かを成し遂げた経験が無いか……
あったとして、非常に乏しいのだろうと感じたな。
滑稽で、空虚で、哀れなものだ。

無論、旅は良いことばかりではないがね――どう表現するべきか。
曖昧にぼやけていた世界が、実感を伴って鮮明に描かれるようになる。
苦境を切り抜け、困難を乗り越えた経験は自信に繋がる。
あの娘と共に行くのなら、否応なしに見聞も広がるだろう。
私の目が確かなら、あれは好奇心の赴くままに首を突っ込む性質だ。

……とは言え、あのような子供が何もかも自力でやろうとしても死ぬからな。
その辺は従者殿の尽力に期待するとしよう。
私も師には、随分と世話になった。
私が師の世話をしていた面も大いにあるがね。

350 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/06/16(Sun) 20:13
おい、一体誰なんだ?
俺は記憶を失って自分が誰かわからないのだ!

351 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/06/18(Tue) 01:46
貴公か。……何やら、奇妙な夢を見てしまってな。
荒唐無稽な内容なのだが、聞いてくれるか。

夢の中で、私は学び舎らしき奇妙な施設に務めていたのだが……
私に割り振られた仕事場に、巨大な狼が居座っているのだ。
おまけに、同僚や上司も得体の知れぬ者ばかり……私も怪しい?
心外だな。私はこんなにも善良で真っ当な人間だというのに。

……まあいいか。話すうち、目も覚めた。
そろそろ、現実の旅に戻るとするかね。

>>350
目を覚ましたか。貴公、気分はどうだね。
ああ、私は旅の薬師ジャックドウ。決して怪しい者ではないとも。
貴公が倒れていたところを発見したのでな。軽く介抱しておいたのさ。
安心したまえ。特に大きな外傷はなかった。
あったのなら、相応の治療費を請求しているところだ。

しかし、あのようなところで倒れているとは、一体何が――
……おや。何も覚えていないとは。
そうだな。まずは持ち物の確認をしてみたまえ。
何かしら、手がかりになりそうなものを持っているかも知れん。
例えば書状や手紙、日記など文字の書かれたもの。
小物の意匠や細工にも、地域ごとの差は出るだろう。

さて貴公、現状確認をしたところで……今後どうするのかね?
特に思いつかないのなら、私と共に来ても構わないが。
私はこれから、北のランディア……と言っても分からんか。
この近隣で最も大きな街に向かうところでな。
人が集まる場所ならば、何か知っている者が見つかる可能性もある。
そうでなくとも、当面の働き口ならば見つけられるだろうさ。

352 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/06/18(Tue) 17:08
魔女って噂とは裏腹に案外善い人が多いよ

353 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/06/19(Wed) 17:30
鳥の仮面…?もしかしてペスト医者か??

354 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/06/20(Thu) 20:39
明日は握手会!明日は握手会!うおぉぉぉお!!
(甲冑姿の集団が駆け抜けてゆく)

355 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/06/21(Fri) 01:10
・ランディア
 到着。市門の堅牢さは、これまで見てきた街の中でも随一。
 宿をとる。必要な物資を購入、他、所用を済ませる。
 栄えた街とは聞いていたが、想像以上に人が多い。
 貧民街の訪問は明朝を予定。

・記録
 概ね落ち着いているが、そろそろ発作が起きる頃合だろう。
 個室を取れたことに感謝せねばなるまい。
 滞在中に

・・・・・・・・・・

……しまった。インクを買い忘れていたか。
買い忘れぬようにメモを……、するためのインクがないのだった。

>>352
言葉から察するに、貴公の出身地には魔女が多いのだろうか。
魔女と関わる機会も多いが、実態と乖離した悪辣な噂も多い……と。
どこであろうと、噂というものの性質はさほど変わらぬようだ。
囁き交わされるうちに姿を変え、面白おかしく尾鰭もつく。

魔女についての奇怪な噂なら、私も聞いたことがあるよ。
匂いを嗅がれると魂を奪われてしまうだの、
枯れ木のように痩せこけていて口から猛毒の黒霧を吐き出すだの、
男を根絶して豊満美女のみの楽園を作ろうと画策しているだの、
例を挙げていけばきりがない。

巷間の噂も、情報の一つとして心に留めておくまでは良いが、
耳にした内容の全てを真に受けるべきではなかろうな。
私の言葉も、貴公の言葉も、互いにとって数ある風聞の一つというわけだ。
実際のところは、関わった際に自力で判断するとしようか。

>>353
いかにも。本業は薬師だが、疫病医の肩書きもある。
その口ぶりなら、かの大悪疫――黒死病についてはご存知だろう。
この大陸でも、様々な悪疫が幾度となく猛威を振るった。
近年では、そういった疫病の大流行も落ち着いて久しいが……
小規模な流行ならば、今なお各地で発生している。

中でも、大都市の貧民街などは、統治者の管理が行き届かぬことが多い。
そういった環境は、疫病の発生地にもなりやすいものだ。
そのような経緯で、私が所属する治療者ギルドでは、
疫病の発生状況に関する調査・治療を請け負っている。
放っておくと、消毒と称して貧民街に火を放つような屑も湧くのでな。

……とは言え、私が常にこの格好なのは個人的な理由でね。
この装束は、病に対する防護の意味合いを持つ。
病を内に入れぬということは、同時に、外に出さぬということでもある。
要するに、私自身も厄介な病を患っているというわけだ。
貴公、私にあまり近寄らぬよう気をつけたまえよ。
これまで人に伝染った例はないが……万一ということもあるだろう?

>>354
私も、じきに行く。かの地で、再び見えよう。
……言葉をかけたところで、もはや聞こえてはいまいか。

貴公も、きっと知りたいとお考えだろう。
彼らが向かった先に、何があるのか。
純粋で、輝きに満ち、ただ熱狂によって人の心を漂白する……
そのような恐ろしい存在が待ち受けているのさ。
まあ、言うなれば宗教行事のようなものだ。

さて、彼らに対する心配は無用だろうが……心配なのは遠方よりの旅人かね。
行列や祭り騒ぎに目がない輩は、どこにでもいるものだ。
野次馬気質とでも言うべきか、何事か分からずとも参加したがる。
生半可な覚悟で参加しては、命さえ落としかねんというのに。
ここは一つ、メッセージでも残しておくとしようか。
そうだな……『この先、闘技場があるぞ』と、これでいいか。

本当に素晴らしい存在と握手ができる会合だと勘違いしては哀れだからな。
ランディアの夏至といえば、闘技場で行われるリベルタス杯。
武闘大会を握手会と呼ぶのはいかがなものかと思うが……
まあ、幕間に歌姫や舞姫の演目もあるようだからな。
彼女らを目当てにするなら、そう大間違いとも言えんのだろう。たぶん。

356 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/06/21(Fri) 22:01
私は相手の弱い部分を見抜く能力があるのだ
それによって医者となった

357 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/06/25(Tue) 01:28

 ランディア闘技場名物・リベルタス杯。
 大陸有数の規模を誇る、トーナメント形式の武闘大会である。
 古の英雄の名を冠したこの大会は、年に一度、夏至の日に開催される。
 その知名度は高く、優勝者ともなれば大陸中に名声が知れ渡るという。

 栄達を目指す野心家、ひたすらに武を極めんとする武人、
 腕試しに訪れた新米冒険者、記念に参加する観光客……。
 見た目も思惑も様々な参加者が、ただ一心に勝利を目指して戦い抜く。

 無論、私も闘技場に足を運んだ。……観客として。

 
>>356

 試合に挑む前に、参加者は自由に口上を述べることができる。
 戦いに対する意気込みから対戦相手への挨拶まで、その内容は様々だ。

 準備室から姿を表したその男は、あまり強者らしくは見えぬ姿だった。
 体格は並、装備は軽装。魔術師といった風体でもない。
 対戦相手の大男が「悪いが俺は手加減できねえぜ」と述べた後、
 口上を求められた男は、よく通る声で淡々と述べた。

「私は相手の弱い部分を見抜く能力があるのだ。
 それによって医者となった」

 それがどうした、医務室と間違えたんなら引っ込んでなと、
 観客席から好き勝手な野次が飛ぶ。

「――だが、今はこの力をもって貴様を打ち負かそう」

 一転して、闘技場は沸いた。
 このような状況下では、得てして不遜な態度である方が盛り上がるものだ。
 どちらに賭けるかという声に、私は医師の男に賭けると答えた。
 今回の大会は彼を応援するとしよう。
 ぜひとも勝ってほしい。私の懐のためにも。


358 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/06/25(Tue) 01:32
……おっと。闘技場にかまけて連絡を忘れていた。
次回の訪問は、普段よりも少し遅れる可能性がある。
と言っても、そう長く空ける気はないがね。心配せずに待ちたまえ。

359 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/06/27(Thu) 20:17
YOUは何しにこの街へ?

360 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/07/02(Tue) 01:37
もうそろそろ、夏になるのか。
私がこの場に訪れるようになったのは、収穫祭の頃だったな。
つい最近のことにも思えるが、長い時が過ぎたようにも思える。

>>359
無論、観光だとも。……半分はな。
もう半分は、目的地へ向かうための準備と情報収集といったところだ。
……ふむ。考えてみれば、旅の目的を話したのも随分と前のことになるか。
この辺りで、一度おさらいするとしよう。

まず、私は持病に関する情報を求めて旅をしている。
長いこと治療を試みているが、手がかりさえ掴めぬまま時が過ぎた。
千年もの時を生きるエルフの賢者ならば、何か知っているのではないか……
そう考えて、彼らの住まう北西の地、聖地アケルナルを当面の目的地とした。
そして、今はここ――北のランディアまで辿り着いたというわけだ。

貴公、ランディアの人間か?
もしそうなら、何か聖地のことを聞いていないか。
聖地に向かう人間ならば、大概はこの街を通るだろう。
噂の一つや二つ、聞けぬものかと考えていたのだが……
ちょうど武闘大会の時期と重なって、街はその話で持ち切りだ。
なかなか思うように情報収集が進んでいないのさ。

・・・・・

さて……ここで少し、先の話をしよう。
夏が盛りを迎える頃、私はこの場に足を運ぶことができなくなる。
もしも話したいことがあるのなら、私がいるうちに済ませておきたまえ。

……改めて促すまでもなく、話したいことは既に話しているとは思うがね。
言うまでもない、聞くまでもないと互いに思い込んでいただけで、
相手には何一つ伝わっていなかった……というのも、ありがちな話だ。

別れを宣言するまで……少なくとも今月の間は、
今までと同じように、定期的に顔を出すと約束しよう。
先の話は以上だ。それでは、また次の機会に。

361 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/07/02(Tue) 15:21
えっと、要約するとあなたとは二度と会えなくなるってこと??

362 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/07/02(Tue) 18:24
じゃあ、餞別代りにこれやるよ…鳥仮面の兄ちゃんよ
オレの実家は裕福だから遠慮せず貰いな、世の中金だぜ?
つ大金貨三枚

363 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/07/02(Tue) 21:46
>>361
二度と……と言い切ることはすまいが、暫くは無理だな。
どれほど短く済もうとも、戻るまで数ヶ月の時を要する。
この場の記録が抹消されるには十分な期間だろう。
抹消されぬよう、処置はしていくつもりだがね。

他に旅人が訪れる見込みがあれば、このような心配も不要なのだが……
残念ながら、新たな出会いや懐かしい再開に期待できる状況でもない。
ひとまず今は、貴公がこの場に足を運んでくれたことに感謝を。
そして、残された時間を良いものにできるよう、尽力しよう。

>>362
だが断る。
このジャックドウが最も好きな事のひとつは、
自分で親切だと思っている申し出に「NO」と断ってやる事だ。

貴公の善意を踏みにじった詫びに一つ、つまらない情報をさしあげようか。
我々のような人間は、時に肉体よりも誇りを傷つけられる方が堪えるものだ。
偏屈な物言いで悪いが、私は一方的な施しを受けたいとは思わん。
さほど豊かでないのは事実と認めよう。しかし、自活はできている。
他者のお恵みに縋りたいと思うほど落ちぶれたつもりはない。

……ひねくれた人間ですまないな。
貴公の主張は正しいとも。金銭で贖えるものは多い。
だからこそ、他人にばらまくよりも有益に使いたまえ。
私は旅の無事でも祈って頂ければ十分だよ。

364 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/07/02(Tue) 23:15
薬師である貴方の最終目標は?

365 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/07/03(Wed) 18:31
蜜月とはかくも短いものか……
いずれ帰りたまえよ
貴殿の旅は、未だ道半ばであろうから

366 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/07/05(Fri) 00:00
待て、貴公。私が良いと言うまでそこを動くな。
……危ないところだった。ああ、もう良いぞ。
なに、この茸が貴公の足元に生えていたものでな。
踏む前に気付くことができて幸運だった。

……いや、別に危険な毒ではないが。むしろ良薬の材料になる。
この茸は滅多に姿を表さぬ上、収穫可能な時期が短いのだよ。
時期を逃せば瞬く間に朽ち、幻のように姿を消してしまう。
うっかり踏まれては収穫できぬだろう。実に危ないところだった。

>>364
薬師として語るのなら、そうだな……。

……悪いが、もう少し待ちたまえ。今、よく考えているところだ。
そこになければないですね、というわけにもいかんだろう。
しかしな、明日をも知れぬ生活をしていると、未来を考える余裕がないのさ。
明後日ですら、そんな先のことは分からないと言いたいぐらいだよ。

……さて、待たせたな。一つ、思いついた。
これまでに見知った薬草の効能、民間療法、病の症例、対処――
それらの知識を、書物の形にまとめることを目標としたい。
実用的で、可能なら安価で、貧しい者でも手元に置ける……
持っているだけでも、少しは安心できるような本だといい。

貴公に、感謝せねばなるまい。
未来など、実在すら疑わしい妄想のようなものだと思っていたが……
たとえ妄想だとしても、考えてみることで希望を持てるものだな。
考える価値はあったよ。十分に。

>>365
おや、この鳥の囀りはそんなにも甘かったかね?
何はともあれ、貴公に蜜月と感じて頂けたのなら何よりだ。

人生、思うようには行かぬことばかりだな。
これも運命神の気まぐれか、深謀遠慮あってのことか。
もしくは相変わらず、愛情表現の手法を誤解しておいでなのか。
だとしたら、我らが主神にはご子息の教育を見直して頂きたいものだ。

安易な口約束は誠実さに欠けるが、しかし――
それでも期待を込めて「いずれ、旅の続きを」と言いたいものだ。

……。
いや……以前にも、このようなことがあったような気がしてな。
何だったか……ああ、そうか。家を出た時だ。
同じではないが、確かに似たようなことを言った。必ず帰る、と。
妹を泣かせたのも、弟に嘘をついたのも、あの時が初めてだったな……。

……おっと、すまない。一人で感慨に浸ってしまった。気をつけねばな。
過去の記憶は優しく心を慰め、明日を生きる活力を与えてくれるものだが、
過去を振り返ってばかりいては、先に進めなくなってしまう。
貴公も、気をつけたまえ。我々が生きているのは、今なのだから。

367 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/07/05(Fri) 00:56
ドラゴンを見たことがありまして?
さぞや力強く美しい姿なのでしょう

368 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/07/05(Fri) 15:48
規約ではスレ主がこれくらいの期間を不在すると表明して何時帰還すると明記すれば此処が消される事は無いよ

369 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/07/06(Sat) 01:30
私は寒さが苦手だが、暑さにも弱い――という話はしただろうか。
何にせよ、この時期までに北方に来られて良かったよ。
旅の進み具合によっては、どこかで蒸し鳥が出来上がっていたかも知れん。

>>367
ああ、あるとも。ほんの二度ばかりのことだがね。

一度目は、遠方の旅人が連れていた騎竜だった。
よく人に慣れていたが、やはり竜と言うべきか。
強く賢いが、そのぶん誇り高く扱いが難しいという。
背に乗せるのは、竜自らが相棒として認めた人間のみ。
主従ではなく対等の間柄ゆえ、時には喧嘩もすると聞いたよ。
馬より遥かに大きかったが……あれでも、竜としては小柄なのだろうな。

二度目は……旅の竜とでも言うべきか。少し言葉を交わした。
幼体のような姿でな。力強い、美しいという感じではなかったが……
親しみの湧く、非常に愛らしい竜だったよ。
叶うことなら、また彼の発表を聞かせて頂きたいものだ。

……少々、変わり種ばかりだろうかね。
童話や伝説に語られるような巨竜は、未だ目にしたことがない。
旅を続けるうち、いずれ目にすることもあると信じたいものだ。
目にした後、五体満足で帰れるとなお良いのだが。

>>368
貴公の心遣い、有難く受け取った。
だが、心配には及ばないよ。場の規則については十分に存じている。
どうにも先行きが不透明でな。具体的な日時の指定は難しい。
差し当たって、この場の記録を止めて頂くよう申請を行う予定だ。

……ふむ。私の話し方では分かりづらいかね。
具体的な対応については以下の場で話している。
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/17089/1425469748/133

普段とは姿や雰囲気が異なるかと思うが、紛れもなく私だ。
この件に関しては、そちらで会話を行うほうが互いに楽かと思う。
この場では話しづらい内容、私の言葉では分かりにくい内容に関しても同様だ。
強制できることではないが、選択肢として提示しておこう。

370 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/07/07(Sun) 01:37
やあ、薬師の旦那
武術大会の決勝はどうなったんでヤンスか?
金のないアッシにも教えて欲しいでヤンス!

371 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/07/08(Mon) 03:25
あちらの空に、強く輝く星が七つ連なっているのが分かるかね?
私の国では、あれをリエンツィの七つ星と呼んだ。
鍛治神リエンツィが鍛えた七つの神器になぞらえているのだろう。
方角を知る助けになる星として知られるが、武芸の上達を願う星でもある。
何の為に強くなるにせよ、道を誤ることのないように、とな。

>>370
貴公か。その様子は、依頼でしばらく街の外にでも出ていたのか?
この時期は皆、あまり外に行きたがらないからな。
仕事を引き受ける人員が少ない時は、依頼者の金払いも少しは良くなる。
我々にとっては稼ぎ時というものかね。

さて、決勝の話だったか。そうだな……
有力候補として注目されていた奴が何人かいたのは覚えているかね?
たとえば“黒騎士”エクリス、“忌み子”レイン、“不壊の”ナハト。
ああ、別に知らなくても構わない。有力候補は全滅した、という話だからな。
ちなみに私が応援していた者も三回戦で敗退した。

決勝戦は、大会前にはまるで注目されていなかった新顔同士。
名前を呼んだとて、顔すら浮かばぬような無名の二人だよ。
彼らの実力が確かであることは、決勝までに存分に証明した。
しかし、どちらも未だ決定的なものを隠している――そんな予感がした。
……異様な雰囲気だったな。昂揚感よりも緊張感が勝るような。

――続きが聞きたいかね?
金のない貴公でも、街の噂ですぐにも耳に入るだろう。
だが、今すぐに聞きたいのなら、暑気に抗う水薬でも買っていきたまえ。
生憎、私も高い薬を買ったばかりでね。懐に余裕がないのさ。
退屈によく効き、時に反省を促す良い薬だよ。賭博とかいう名前のな。

372 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/07/11(Thu) 23:03
お腹が弱いのですわ・・・何か良い薬は無いかね

373 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/07/13(Sat) 01:15
――ずっと健康に暮らしていた人間が、ある時、急な病に倒れたとする。
大概は、病とはそういうものだと納得して終わりだろう。
だが、その人間が“面倒な立場”であった場合……
得てして、別の可能性がまことしやかに囁かれるものだ。

……さて、ここで一つ問題だ。
ありふれているが、具体的に何なのか特定できぬ症状。
決定的な証拠も痕跡も、何も残されていない状況。
この場合、病と呪いと毒を判別する、明確な方法は存在するだろうか?

>>372
腹なら甘藍の葉を煎じた薬が良いだろう。様々な不調に広く効く。
しかし……その様子では、薬の効果も一時しのぎといったところか。
体質とは難儀なものだな。煩わしくとも縁を切れる間柄でもなし。
日頃より細やかに気を配ってやるのが一番の薬かも知れん。

気難しい淑女と同居しているようなものだと思いたまえ。
怒らせた後で機嫌を取ろうとしても、却って拗らせる元となるだろう?
普段から、可能な限り良好な関係を築いておくのがいい。
暴飲暴食を控え、冷やさず……後は、そうだな。
心労で痛むようなら、鬱憤を溜め込まぬことも必要か。

平穏も健康も、小さな我慢と歩み寄りを積み重ねた果てに勝ち取り――
そして、時にあっけなく崩れ去るものだ。結局な。
そうなった時には、また来たまえよ。

374 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/07/13(Sat) 18:37
あんたも医者なら、死者すらも蘇らせた伝説を持つ医者の神様は知っとるよね?

375 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/07/13(Sat) 19:04
あなた方、お医者様は人命を救命することだけが善だと思ってる節がある
だがそれだけじゃ間違いだよ、隻腕隻足になってまで生かして欲しいと思うかい?
生と死のバランスを取らなければダメだよ、時には患者を安らかに死なせてやるのも
医者の大事な役目だと思うのだがね…ワシのこの考えは悪くて間違っているかい?

376 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/07/16(Tue) 00:06

 どのような人間にも、上手く行かぬことはある。
 今回はそういう話をしようか。決して愉快な話ではないがね。

 ――時間は、少し遡る。
 ランディアの街に到着した当日。
 宿をとった私は、まず治療師ギルドの支部を訪ねた。 
 この街に滞在して薬師の仕事をするのなら、挨拶ぐらいは必要だろう。
 下手をすると、人の客を横取りしてしまうことにもなりかねない。

 ……そう思ったのだが。
「ああ。助かりますよ。ここ、いないですからね。医者」
 ギルドの受付は、淡々とそう述べた。

「……いない? これだけの大都市で?」
「ゼロではないですけど。ありますから。色々と」
「戦闘の多い地域だろう。医者の需要はあるはずだが」
「はい。ちょうど、様子を見ておきたい患者さんがいますね。何人か」

 受付は名簿を閉じて、肩をすくめた。
「まあ、すぐに分かるんじゃないですか。色々とね」


>>374

「あんたも医者なら、死者すらも蘇らせた伝説を持つ医者の神様は知っとるよね?」
 こう話したのは、この街で請け負った最初の患者だ。

「当然だろう。医者の神なら、ジヤビルだ」
 この大陸で医学の神といえば、ジヤビルの他にはいない。
 彼の権能は幅広く、医学・薬学、化学に錬金術――
 まとめるとすれば、知識と技術の蓄積・継承、
 実験による新たな可能性の探求、といったところだろうか。
 我らが治療師ギルドの象徴でもある。知らぬわけがない。

 しかし、患者は渋い顔をして、首を横に振った。
「いや違うけど。何それ? ローカルな邪神か何か?」
 ……このように、時には邪神の扱いを受ける神でもある。

「まさかとは思うが、知らんのか? へえ? 医者なのに?
 じゃあ俺の方があんたより物知りで賢いってことだ。いいよな。
 まあ、あんたが何を言おうと俺の方が上なのは事実だから。
 知らないなら教えたるよ。神様の子供で、最後には天に昇って……」

 どうも、この患者は遠方の出身であったらしい。
 治療中ずっと、私の知らぬ遠方の神話を楽しげに語り続けていた。
 そうなのか、すごいな、と相槌を打ってやり過ごしていたが……
 不思議なことに、肝心の内容に関してはよく覚えていない。

 彼が話した内容は、頭に霧がかかったようにおぼろげになっている。
 再び彼と会い、その話をされたとしても、覚えられないのではないか――
 なんとなく、そんな気がしている。ただの勘だがね。

「一つ訂正しておきたいのだが、私は薬師だ」
 退出前にそう述べたが、彼が私の話を聞いていたかどうかは定かでない。


377 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/07/16(Tue) 00:06

>>375

 次の患者は、老人だった。
 かつて負った怪我の後遺症で、身体が不自由なのだという。
 老人は暗い瞳で俯きながら、ぼそぼそと語った。

「あなた方、お医者様は人命を救命することだけが善だと思ってる節がある。
 だがそれだけじゃ間違いだよ、隻腕隻足になってまで生かして欲しいと思うかい?」

 ……その状態なら、まず助けられないのではないか。
 その場に治癒魔法の凄腕でもいれば話は別かも知れないが。
 そう思ったが、話の腰を折りそうなので黙っておいた。

「生と死のバランスを取らなければダメだよ、時には患者を安らかに死なせてやるのも
 医者の大事な役目だと思うのだがね…ワシのこの考えは悪くて間違っているかい?」

 私は首を横に振った。
「貴公にも、そのような思想に至った理由や、相応の経緯があることだろう」
 それを頭ごなしに否定したところで、何にもならない。
 この場で止めたとて、また別の人間に同じ話を繰り返すだけだ。

 彼が語る内容は医者の役目についてだが、本音は少し違うように思えた。
 この老人の真意は「あの時に死なせてほしかった」であり、
 そして「なぜ、あのまま死なせてくれなかった」なのではないか、と。
 強い不満や怒りの影には、概して、深い悲しみが潜んでいるものだ。
 他者は悲しみに寄り添うまではできても、悲しみを消すことはできない。

「悪いとも、間違いとも言うまい。
 だが、生と死のバランスをとるべき存在がいるとしたら……
 それは医者ではなく、神の役割だと思うがね」
「神? そんなものが本当にいたなら、ワシはこんなことになっていないよ」

 彼はかつて、蛮族との戦闘に駆り出されて負傷し、体が不自由になったという。
 彼の代わりに妻が働き詰めになり、やがて体を壊して他界したという。
 残された子供たちも家を出て行き、連絡をよこさなくなったという。

「ワシはこんな風に生きたくなどなかった。なかったんだよ。
 なあ、無責任じゃないか。何か言いなよ、お医者様。どうなんだい」

 ……何も言うことはできなかった。
 言えることがあるとすれば「私は薬師だ」というぐらいだろうか。
 言える雰囲気ではなかったので、結局、言わなかったのだが。

・・・

 他、数名の“難しい”患者殿の応対を終え、私は治療師ギルドに戻った。
 完全に疲れ切っていた。山歩きより疲れたかも知れない。

「とてもよく分かった。色々と」
「でしょう。飲みますか? ウチの支部の秘伝のやつ」

 受付はそう言いながら、鮮やかな緑色の液体をグラスに注いだ。
 凄い色をしているが、口ぶりからすると薬酒か何かなのだろうか。

「やめておくよ。人前ではこの面を外したくない」
「そうですか。暑くないですか、それ」
 受付は謎の液体を一気に飲み干すと、こんな話をした。

「蛮族と戦うために、人が集められるでしょう。傭兵とかね。
 で、大怪我するでしょう。故郷には帰れない。働けもしない。
 無力感でイライラする。手近な人に当たり散らす。人も離れていく。
 そういう生活するうち、なっちゃう人がいるわけですね。ああいう感じに」

 そもそも、医術を志す人間は、人を助けたいという意思があるものだ。
 助けたかった患者を助けられず、心を病む医者も珍しくはない。
 それに耐えても、お次は絶望した負傷兵たちが、
 また違うやり方で心をへし折っていくというわけだ。

「辞めるか、別の街に行っちゃうんですよね。心の柔らかい人は、皆。
 続けてる人たちも、ああいう患者さんは避けるし。
 あなたはいいところに来てくれました。運が悪いですね」
「……助けになったようで何よりだよ」
「はい。またお願いしますね」


 ――この街には人間性が限界を迎えている輩しかいないのか。
 そんな風に感じたよ。あの時は本当に、不安で一杯だった。
 武闘会が終わり次第、可能な限り早く立ち去ろうかとさえ思ったが……
 結局、私はまだこの街に滞在している。
 まだ宿の日数もある。それに、情報収集も足りていないからな。

 人生は長く、どのような経験が役に立つか分からないものだ。
 時が過ぎてしまえば、ろくでもない思い出も懐かしく……
 ……いや、さすがにこれはどうだろうか。難しいかも知れんな。
 まあ、いい。細かいことはまとめて未来の私に託すとしよう。

378 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/07/16(Tue) 03:50
末期的患者には尊厳死が良いと思う、終末ポスピタルでローダナムの服用が好ましいかな

379 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/07/16(Tue) 04:01
この街には闇医者で通称「白い死神」って二つ名で呼ばれている薬師がいるらしいよ
金さえあれば喜んで死を望む患者を安楽死させてくれるらしいが、あなたはどう思う?

380 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/07/16(Tue) 06:41
魚魚魚!新鮮採れたてピッチピチ!!
さあさあそこの陰気な旦那も買っていきな!

381 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/07/16(Tue) 23:04
……ああ。貴公か。昨晩、飲みすぎてしまってな。
おかげで顔色がこんなに真っ黒になってしまったよ。
副作用で嘴も伸びてしまって……と、茶番は程々にしようか。
私にも酒に逃げたくなることぐらいあるさ。

>>379
貴公。話をする前に、一つ、私の頼みを聞いてほしい。
すまないが、この話題はこれきりで終わりにしてくれたまえ。
せっかく武闘大会で気晴らしをしたのに、また気が滅入ってしまうよ。
できることなら、私は晴れやかな気持ちでこの場を後にしたい。

……さて、話すと決めたからには真面目に話そうか。
件の死神殿は、彼なりの誠実さで患者に向き合っているのだろうな。
彼の行い全てを肯定しようとは思わんが、理解できる部分もある。
患者の苦しみを取り除くことも、尊厳を守ることも、大切なことだ。

だが、医者は神ではない。無論、薬師もな。皆、ただの人だよ。
人の身にできること、手を伸ばせる範囲には限りがある。
生も死も、選んだ結果は重く、取り返しがつかない。
何が正しく、何が間違いか。何を優先し、何を切り捨てるか……
時には、こうして自らに問うことも必要なのだろうな。

かと言って、そのような自問自答ばかりしていては、心が壊れてしまうがね。
自分自身を守るためにも、ある程度は割り切らねばやっていられないものだ。
私から話せることは、大体、こんなところだろうか。

>>380
おや、心外だな。私はこう見えて陽気な鳥なのだが。
服装はご覧の通りの烏でも、心は火炎鳥の如く燃え盛っているとも。
しかし、心は目に見えず、見えてしまっては面白みのないものだ。
私の言動の端々から想像を膨らませてくれたまえ。
見え隠れする手がかりを探り、隠された何かを追うのは、面白いことだろう?

さておき、魚か。せっかくだ、一尾頂こう。
以前に立ち寄った村の魚には、目の病を治すという伝承があった。
そのように、魚が薬になるという伝承は大陸各地にあってな。
皮膚疾患や宿酔を和らげるという話も多いよ。
この近隣の魚はどうだろうかね。

話のついでだ。良い調理法などご存知ではないかな?
土地の魚には土地の調理法があるものだろう。
余所者の知識が良い結果をもたらすこともあれば、
余計なことをせず、素直に伝統に従った方が良いこともある。
料理の下手な輩というのは、大概、変に独自性を出そうとして――
……いや、この話はやめておこうか。思い出すと腹が痛くなる。

382 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/07/16(Tue) 23:47
盗賊さんに…私のハートを盗まれてしまいました…

383 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/07/17(Wed) 03:10
アラワ騎士団の長テオが亡くなったそうだ
偉大なるテオ・アラワナイトに神の慈悲があらんことを

384 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/07/17(Wed) 12:17
俺とチキンレースする度胸のある奴はいるか

385 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/07/17(Wed) 15:08
あらら、貴方とはもっと生と死のお話がしてみたかったが…荒らし扱いとは……とても残念だ

386 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/07/17(Wed) 16:03
魔女も薬師も同じ役割を持つ「医者」的な存在だと思うのだが…厳密には違うのかね?

387 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/07/17(Wed) 18:12
全てのものは毒であり、毒でないものなど存在しない。
その服用量こそが毒であるか、そうでないかを決めるのだ。

388 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/07/17(Wed) 21:03
北へ行くのですね鳥のお方
これもなにかの縁でしょう我が家のミードを一杯どうぞ
血となり肉となりあなたの旅路の助けとなりましょう

389 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/07/19(Fri) 01:16
近隣で名高い騎士団といえば、イラ地方の守護騎士団だろうか。
決して強くはないというか……むしろ弱いという評判なのだが……
これが不思議と領民からよく慕われ、愛されているのだという。
イラ騎士団がのんびりと巡視している姿を見ると、平和を感じるそうだ。
人々と騎士団の関係も、ところにより様々ということだな。

>>382
乙女の心を盗み出すとは、不届きな大罪人がいたものだな。
それで貴公、これからどうしたいのだね?
奪われてしまった心を取り返したいのか――
それとも、仕返しに盗賊の心を奪ってやりたいのか。

だが、いずれにせよ注意したまえ。
奴らは盗みの専門家だ。素早く、狡猾で、手強い。
素人が無闇に挑んだところで、とても敵わんだろう。
精々、上手いこと逃げられるか、火傷をさせられてしまうか。
ここは一つ、周到に計画を立てて挑んでみては如何かな。

無計画では翻弄される一方でも、策を施せばまだ望みはある。
釣り出すための餌なら、貴公は既に持っているだろう?
貴公の心が盗まれたのは、盗みたくなるほどの魅力があるからに違いない。

差し当たり、すべきことは――まずは自信を持つことだろうな。
どのような駆け引きも、最後には強い意思と度胸がものを言う。
励みたまえよ、お嬢さん。

>>383
何……!? あのアラワナイト卿が……!?
惜しい方を亡くしたな……素晴らしく高潔な騎士だと噂に聞いたよ。
不正や汚職を嫌い、無駄な暴行や略奪を厳しく取り締まったとか。
些か潔癖すぎるという評判もあったようだが、
それでもやはり、彼ほどの傑物は滅多になかろう。

それで、アラワ騎士団は……やはり、腹心のディスタンス卿が継ぐのか?
彼は彼で優れた騎士に違いないが、どうにも人を避ける癖があるという。
団員を取りまとめるには不向きな性質ではないかね。

……いや、待てよ。アラワナイト卿には子息がいたな。
まだ従騎士の年齢だったはずだ――名は確か、ヨークと言ったか。
少しばかり神経質な性格の持ち主だというが、
ディスタンス卿の後見のもと経験を積めば、いずれ化けるかも知れん。

私も貴公と共に祈ろう。
偉大なるテオ・アラワナイトに神の慈悲があらんことを。
若きヨーク・アラワナイトに神の加護があらんことを。

>>384
ほう、挑戦者募集というわけか。大した自信だな。
だが、自信と度胸ならば私も負けてはいないさ。
残念ながら参加させる鶏を持っていないのだが、観戦しても良いかね?

……何だ。鶏の速さを競わせる催しではないのか?
ふむ……身を危険に晒し、先に怖気付いた者が負け、と。なるほどな。
今回は、具体的にどのような競技で度胸を試すつもりだね。

何……農場の鶏を虐めて、鶏に逆襲されないギリギリを狙う……?
貴公……さすがに小動物を虐めるのはやめたまえよ……。
鶏に逆襲をされずとも、農場主に損害賠償を求められるだろうに。
身体の傷なら治してやれるが、経済的な痛手は治してやれん。
別の方法を試そう。それこそ、鶏を走らせる程度の。

そうだな……コカトリスの好物を体に括り付けるのはどうだ。
連中の巣まで行き、石化させられないギリギリを狙って倒す。
これなら、実力と度胸との両方を試せるのではないかね?

390 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/07/19(Fri) 01:17
>>385
私との会話を有意義なものと感じて頂けたのなら嬉しいよ。
だが、一つ誤解が発生しているようだ。それは解いておきたい。

貴公が場を荒らしに来た者だと判断したのなら、まず会話に応じていないよ。
適当に茶化したり、受け流すような対応は望まれていないと判断し、
私なりによく考え、真摯に向き合って返答をしたつもりだ。
だからこそ、貴公にも、もっと話したいと思って頂けたのではないかな。

……だが、難しい問題に対して真摯に向き合うというのは、
想像していた以上に精神に大きな負荷がかかる取り組みでな。
長く続けていては、活動に支障が出かねない状態になった。

不当な扱いを受けたと感じれば、誰でも腹が立つものだ。
貴公の言葉に非難のニュアンスが含まれているのも、その意図だろう。
貴公にとって、これは場に適した話題で、特に負担も感じないのだろう。
しかし、感情や感想は個人によって大きく異なるものだ。
一人一人が違うからこそ、対話することに意味が生じる。そうだろう?

私にとって、この話題は苦しいものだ。
話し相手と見なしてくれるのなら、私の感性、判断も尊重して頂きたい。
貴公は会話のできる相手だと判断したゆえ、このように返答を行った。
これが、私の見込み違いでないことを祈るよ。

更なる返答は不要だ。叶うことなら、また別の話をしよう。

>>386
そうだな。細かな差はあれど、大差ないと言えばその通りかも知れん。
しかし、一つ一つを詳細に説明するとなると、とんでもなく長い話になる。
ここは簡単に行こう。

真っ当な『医者』は、医学院などを卒業し、相応の学位を取得している。
一方『薬師』『魔女』など、他の多くの治療師は……あくまで自称だ。
大概の者は師の元で修行に励み、専門的な技術・知識を身につけているが、
特に公的な資格や経歴を保証するものはないのだな。
無論、学位など持たないままに『医者』を自称する者もいる。

私が薬師を名乗るのも、そういった経歴上の理由が大きい。
医者に求められる知識や技術は、一通り持っているものと自負しているが――
師の教育は、独自研究や経験則に基づく内容も多いようだった。
師ご自身は医学院を出た立派な医者なのだがね。
どうも、医学院の方針や権威主義に不満をお持ちらしい。

魔女に関しては、また少しばかり特殊な事情がある。
というのも『人間の魔女』と『魔女という生き物』が存在するのさ。
貴公の想像する魔女は前者だな。調薬や魔術を行う民間の医療者。
後者は――永遠の若さと奇跡の如き力を持ち、関わる者を破滅に導く魔物だ。
魔女と薬師の違いとしては、基本的に薬師は魔術を扱わないという点だな。

大体こんなところかね。
もう少し詳しく聞きたいことがあれば、改めて聞いてくれたまえ。

391 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/07/19(Fri) 01:18
>>387
左様。良薬が口に苦いのも、飲みすぎぬようにとの配慮なのさ。
何事にも適切な量はあり、それを超えれば毒となりうる。
物質的なものは勿論、精神的なものに関しても、同様だ。
心身の痛みや渇きを癒すものも、過ぎれば依存となる。

逆を言えば、悪徳と見なされがちなものも、適量ならば薬になるわけだ。
例えば、強欲や憤怒。どちらも行動を促し、悪しき現状を変える力となる。
例えば、嫉妬。他者との差異を認識しているからこそ、生まれる感情だな。
適度であれば、向上心の源となるだろう。

多くあって毒にならぬものがあるとすれば――知識と経験だろうか?
これらに関しては、多すぎて困る、ということはあまり聞かぬように思う。
可能性があるとすれば、何もかも知りすぎて退屈になる……だろうか。
私は依然として未熟者、その域に至らぬゆえ想像に過ぎんがね。
聖地でエルフの賢者と対面したなら、その辺についても聞きたいものだ。

>>388
ああ。北へ行くには良い時期だろう。
旅を見守ってくれた貴公らと別れるのは辛いものだが……
会わぬ時間があればこそ、適度な幻想が保たれるという面もあるだろうさ。
常に身近にあると鬱陶しい部分も、離れていれば恋しく思えるものだろう?

これは……蜂蜜酒か。ありがたい。好物だよ。
そのまま飲んでも良いものだが、果汁で割って飲むとまた美味い。
この地方なら、林檎か、苔桃か……旅先で試すのも楽しみだ。
一度に飲みすぎぬよう、気をつけねばなるまい。

思えば、食すというのも不思議なものだ。
食したものが自らの血肉となり、命を受け継いでいく。
日頃の食事こそ、最も身近な薬と言えるのかも知れん。
貴公もどうか、健やかでありたまえよ。
旅立つ者にも定住する者にも、それぞれの困難がある。

……とは言え、実際に旅立つのはもう少しだけ先だがね。
街にいるうちに蜂蜜酒に合いそうな肴でも買っておくか。

392 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/07/19(Fri) 15:27
あなたも俺のバディーにならないか?

393 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/07/21(Sun) 02:05
詩人の語る英雄譚にも色々あるが、仲間との関係性もまた多様だな。
例えば、若者が多くの信頼できる仲間と行動を共にし、互いに成長していくもの。
長らく孤高の旅を続けていた英雄が、幼子を保護する展開も王道だ。
貴公はどのような物語がお好みかな。

>>392
バディーというのは、二人組の相棒のような関係性……だったか?
目的地が同じならば断る理由は特にないな。
複数人で行動した方が、何かと便利なことには違いない。
いざ行動してみて気が合わなければ、さっさと解散すれば良い話だ。

ところで……『も』という言い回しが気になるのだが。
他にも連れがいるのだとしたら、バディーではなくチームになるのでは?

……ほう。今は誰もいないのか。
次の目的地に合わせて、期間限定の相棒を作ると……なるほど。
互いに別の目的を持って旅をしている者同士なら、
結成と解散を繰り返すことになるのも道理か。

以前に、そのような物語を読んだな。旅人たちの話だ。
一人一人が異なる事情を抱えて旅をしているように見えたが、
問題の根幹は同じ――ただ一つの陰謀が招いたものだったのさ。
異なる道筋で解決を目指した旅人たちが、最後には同じ場所に辿り着く……
あの展開は見事だったな。胸が熱くなったよ。

私と貴公が相棒として過ごすのは、ごく短い間になるのだろう。
だが、そうして結んだ縁が、いずれどこかで再び繋がるかも知れん。
今はただ、運命神の粋な計らいに期待しておこうか。

394 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/07/23(Tue) 01:07
病を治す手立てが見つからなかったらどうするんですか?

395 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/07/23(Tue) 01:42
病みついた時、私は十四……いや、十三だったか。
よもや、治らぬままこの歳まで生きるとは思っていなかったな。
治るにしろ、治らぬにしろ、もっと早く決着がつくものと考えていた。
もしかすると、このまま八十過ぎまで生きてしまうのかも知れん。
毎日のように「もう寿命だ」「明日にでも迎えが来る」などと言いながら。

>>394
どうもこうも。今までと同じように、旅を続けるのみだよ。
現状、エルフの賢者との面会は最後の望みのように思えるが、
そのような存在がいることも、旅の最中に知ったことだ。
旅を続けるうち、また新たな希望を見出すこともあるかも知れん。
何も得られず、失意のうちに命を落とすかも知れんがね。

実際のところ、私に選択肢などあってないようなものだ。
この病を治さぬ限り、人並みに生きることすら叶わぬだろう。
体力が更に落ちれば、旅すらままならぬ状態になる可能性もある。
そうなった時、受け入れてくれる場所が見つかるとも限らん。
……得体の知れぬ病人というのは、本来、忌避されるものだからな。

今はただ、動けるうちに動き、手がかりを探し続けるのみ。
貴公が良ければ、どうか幸運を祈ってくれたまえ。
先の見えぬ旅では、こうしたささやかな交流が支えになる。
心の支えになるものは、いくら多くても良いものだろう?

396 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/07/23(Tue) 14:55
謎の買取屋へようこそ。
あなたが謎に思っている事を買い取りますよ。

397 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/07/25(Thu) 22:00
いつ世を去るかわからぬ身の者は結婚などすべきではないのか

398 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/07/26(Fri) 00:04
古典的な表現に“ゴーレムを自壊させる”というものがある。
色男を示す言葉だが……少しばかり品性に欠ける言い回しだな。
使い所は非常に限られると言っていいだろう。

……由来?
ゴーレムには『EMETH』と書かれた符が貼られているそうだが、
その符から『E』を消して『METH』にすると自壊するという。
ここまで言えば、何となく分かるのではないかね。
つまるところ、駄洒落だよ。

>>396
一体なんの店かと思ってみれば……面妖な商売もあったものだ。
目下の謎といえば、やはり貴公を置いて他にあるまい。

買い取られた謎はどうなってしまうのか?
私の手元……いや、頭の中に残るのか、失われるのか。
契約成立する前に、買取り価格の見積もりなどできるのだろうか。

それに、謎をどのように金銭に変えているのかも気になるところだ。
商いが成立しているということは、需要があるのだろう。
情報屋の一種と思えば……いや、しかし謎を……?
考えれば考えるほど謎だらけだ。もはや他の謎が頭に浮かばん。

……そういえば、謎を食らう魔物の噂を聞いたことがあるな。人の世を餌場とし、様々な謎を解決して暮らしているのだと。
聞いた当時は無害な魔物もあるものだと思ったが……
まさか貴公……いや、まさかな。

>>397
そのようなことはないと思うがね。
結婚など、個人の感情より家の都合が優先されるものだろう?
たとえ余命が僅かであろうと、婚姻により利益が生まれることはある。
関係が結ばれるのは個人のみならず、家と血だ。
広く結んだ縁戚関係で力をつけた家など、さほど珍しくもない――

……おや、何だ。私の認識に問題があるかね。
ここは感情的な話をした方が良い場面か。

そうだな……当人同士が納得しているのなら、すれば良いと思うがね。
愛する人との離別は辛く苦しいが、いつか必ず訪れるものでもある。
早いか遅いか、どのような形で別れを迎えるかの差だ。

悲恋物語なら、病人側が身を引こうとするのが定番だな。
金銭的な問題や、相手の若い時間を奪うという理由で。
私としては、一方的な主張で決めようとするのは身勝手だと思うがね。
正解も不正解もない。互いによく話し合って決めるべきことではないかな。
いずれにせよ、部外者がとやかく言うのは野暮というものだ。

399 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/07/29(Mon) 23:39
病気が治ったらまず何をしたいですか?

400 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/07/30(Tue) 17:05
我ら病み人は古き病に選ばれ方舟となったのです
さあ友よ兄弟よ共に播種を
我等の死肉に芽吹く者達と

やがて来る新たな死と灰を迎えるために

401 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/07/31(Wed) 22:19

 書物は語った。
 時には剣と魔法、恐ろしい魔物たちとの戦いの物語を。
 またある時には竜や英雄、姫君や神々との交流の物語を。
 物語を望む者があるのなら、時を越えて、何度でも語るだろう。

 私は手記を開いた。忘れぬよう、旅の記録をつけていく。
 いくら書いたところで、全てを残せるわけではない。
 詳細な記録を試みようと、零れ落ち、そのまま忘れられる内容もある。
 反対に、意図して書かずにいたことを、深く記憶に刻むこともある。

 こうして書いていると、改めて思う。
 書物にも、語っていないことはあったのだろう、と。
 文字と文字の間に幻を見たことも、きっとあったのだろう。
 そういうものだ。


>>399

 問いかけに、私は軽い調子で答えた。
「折角だ、恋愛の一つでもしてみようか。
 ……と言いたいところだが、恋などいつでもできるな。後回しにしよう」

 この忌まわしい病を退治したら、勿論やりたいことがある。
 だが、最優先でやりたいこととなると、どうだろうか。

 最初にやるべきことなら決まっている。師に連絡をとることだ。
 手紙を送り、それから正式に訪問をして、これまでの感謝を述べたい。
 だが、それはどちらかと言うと『予定』である。
 彼が問う『願望』とは、些か趣が異なるだろう。

「……そうだな。願望の話をするのなら、家族に……」
 会いたい、と言いかけて、私は言葉を選び直した。
「いや……故郷の様子を見に行きたい」

 私が故郷を離れてから、十余年もの月日が過ぎた。
 追い出されたわけではない。捨てたわけでもない。
 それらしい建前を用意した上で、自ら望んで旅に出た。

 だが、故郷の状況も変化していることだろう。
 叶う事なら大手を振って帰還したいところだが、歓迎されるとも限らない。
 まずは、現在の状況を確認する必要がある。
 再び私が争いの種になるようなら、遠目に様子を眺めるだけでいい。

「実を言うと、私は神々に誓約している身の上でな。
 詳細は省くが……“この病が治るまでは、決して故郷の地を踏まない”と。
 治ったのなら、様子を見に戻る程度のことは許されるだろうさ」

 少なくとも、神は許してくださるだろう。
 人と状況が許してくれないのなら、再び旅に出れば良い話だ。

402 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/07/31(Wed) 22:20
>>400

 ――微かに、鼻をつく異臭がした。すっかり慣れた匂い。
 血の混じった匂い。死を目前とした患者の、病の匂いだ。
 周辺を見渡せば、その出処はすぐに分かった。
 夜に浮かび上がるような、真っ白なドレスの娘。
 毒々しい赤い花冠を身につけた娘が、同じ色のスカーフを持って佇んでいる。

 歌うような調子で囁く声は、透き通るように美しかった。
 しかし声とは裏腹に、その言葉は粘つく不快感を伴って耳に残る。
 祝詞にしては禍々しい言葉が、耳の奥でざわざわと騒ぎ立てている。

「疫病の乙女……」
 呟くと、くすくすと笑う声が応じた。
 乙女の顔は見えない。見てはならぬものだという予感がする。
「懐かしい呼び名ですね」

 魔女。
 かつて異教徒として迫害を受け、森に隠れた癒し手のことではない。
 各地の民話に登場する、災厄を撒く魔物。本物の魔女だ。
 花冠の下に薄く透けるベールを纏った姿は花嫁衣装のようにも見えるが、
 だとしたら、この娘は一体何と婚礼を挙げようというのか。
 よく見れば、赤いスカーフを持つ手は死者の如く灰色に染まっている。

 ――大昔の伝承によれば。
 かつて、疫病の乙女の腕を切り飛ばした若者がいたという。
 それ以降、近隣の村で疫病が広がることはなくなったのだという。
 私は剣を抜いた。それを見て、乙女はまた笑った。

「ご存知でしょう。私の腕を持って行ってしまった彼が、どうなったのか」
 疫病は止まった。
「そうだな。英雄として語られている」
 それと引き換えに、若者は命を落とした。
「とても勇敢な方でした。今なお、彼の目を忘れることができません」
 疫病で命を落とした人間は、彼で最後だったという。

 首を狙った剣閃に手応えはなく、ベールだけが地に落ちた。
 乙女は滑るような不自然な動きで遠ざかり、異臭と笑い声もほどなくして消えた。


・・・


 今しばらく別れを惜しみ、ゆっくりしていきたいところだが……
 あれを放置するわけにもいかんな。続きは次の機会に話すとしよう。
 貴公、どうか次に会う時まで息災であってくれ。私も努力はする。
 それでは、良い旅を。

403 名前:真・スレッドストッパー 投稿日:停止
書けませんよ( ̄ー ̄)ニヤリッ

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